前回の最後に「頼朝は自分の死が迫っていることがわかっている」とあった。頼朝が亡くなったのは52歳(満51歳)だそう。Wikipediaには「原因は落馬とも病気とも言われるが定かではない」とある。もしこのドラマのように「自分の死が迫っている」のがわかっていたのなら、頼朝は身体の調子が悪い自覚があったのだろうか。当時の51歳はどんな様子だったのだろう。
ネット上を検索してみると鎌倉時代の平均寿命が出て来た。24歳だそうだが、これは当時の乳幼児死亡数が多かったことによるもので、実際は貴族なら40~50歳ぐらいほどだったそう。
ということは、頼朝が51歳まで生きたというのは平均寿命か…比較的長寿。そろそろ加齢により具合が悪くなる年齢だったのかも。当時の権力者は比較的栄養バランスのとれた食事ができて健康的で、特に鎌倉の武士達は貴族的な生活を送った平家よりも健康的だったという情報もあった。彼らの死因はもちろん戦死も多い。ストレスによる病死もある。戦の前線にほとんど出なかった頼朝が51歳まで生きたのは幸運だったのだろう。平清盛の63歳も長寿。それにしても前回24話で調べた岡崎義実が89歳というのは…彼は超人、仙人レベルですね。
というわけで今回は(身体の具合が悪かったのか)不安になった源頼朝(大泉洋)が、縁起の悪い物事を避けようとしてバタバタするお話。その縁起の悪い物事とは…弟の阿野全成(新納慎也)が言ったデタラメのリスト。その頼朝の様子がコメディ。場面場面が漫画のような構図。すごく面白い。
●その縁起の悪いこと、気をつけることのリスト
① 陰陽五行では相性のよくない色…平家の赤
② 久方ぶりの者が訪ねてくるのはよくないことの兆し
③ 自分に恨みを持つ者の縁者には気をつける
④ 昔を振り返ること
⑤ 人に先を託す
⑥ 仏事神事は欠かさぬこと
⑦ 赤子を抱くと命を吸い取られる
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① 平家の赤
政子の指示で義時の異母兄弟・北条時連(瀬戸康史)が赤いほおずきを頼朝の部屋に飾る
④ 昔を振り返ること
和田の館に巴御前を訪ねて昔の話をする。巴に謝罪。
相模川の橋の落成供養では政子(小池栄子)としみじみ。しかしこの場面の頼朝は気にしていない。
⑤ 人に先を託す
比企能員や大江広元(栗原英雄)三善康信(小林隆)が集まって頼朝の後継者を話し合っていた場に頼朝が現れて激怒。しかし相模川の法要の後には、北条義時(小栗旬)に源氏の未来を託す頼朝。
⑥仏事神事は欠かさぬこと
建久9年(1198年)12月27日。北条時政の四女の夫・稲毛重成(村上誠基)が、亡くなった妻のために相模川に橋をかけ、その橋の落成供養を行う。頼朝はそれに呼ばれて参加。しかし法要の後、悟りを開いた頼朝は神仏には頼らず好きに生きると言う。
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頼家には比企家のせつとの子供がいるが、せつを正室にするつもりはない。つつじを正室にしたいと言う。三浦義村(山本耕史)が頼家に紹介したつつじの母は頼朝の叔父・鎮西八郎為朝の娘。頼家はすでにつつじと夫婦の契りを結んでいると言う。頼家は手が早い。頼朝はつつじが源氏の血筋だと大変喜ぶ。
頼家君がすごく嬉しそうだ |
●頼朝は北条家による相模川の橋の落成供養に出かける。縁起を担いで方違え(忌むべき方角を避けて外出)により和田義盛の館に立ち寄る。一旦館を出るが、途中の道が八田知家(市原隼人)の指揮のもと工事中。和田の館に引き返して巴に会い謝罪。
●相模川の法要で頼朝は時政の妻・りく(宮沢りえ)と初めて会う。時政の本心を探るが、りくは時政にそのような野心はないと言う。りくは頼朝に「共に京育ち。りくは強いお方が好き」と頼朝に京にのぼるよう促す。現れた時政も「不満などない」と言う。
この場面の宮沢りえさんが最高。さすがの美女。やっぱり美女はこうでなくちゃね。男性を色香で惑わす美女。いいですねぇ。もうね、宮沢さんの色っぽい表情が最高。素敵。りくさんはどんどん男を色香で惑わせてください。
●政子と和む頼朝の顔は明るい。義時には「頼家を支えてやってくれ」と告げる。頼朝は大御所となると言う。そろそろ引退しようと思っているらしい。「人の命は定められたもの。甘んじて受け入れよう。好きに生きる。怯えて過ごすのは無駄。」 頼朝、悟りを開いたか? 神仏には頼らぬということか?
●頼朝は安達盛長(野添義弘)と共に帰路に就いた。二人、思い出話を始めたところで頼朝が落馬。
あれっ?わだっちがすごくイイ男でびっくりしたわ |
●その瞬間、それぞれの人物達が鈴の音を聞く。それまで頼朝が聞いていたのと同じ鈴の音。その音は義時には聞こえていない。なぜだなぜだなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?
今知った。このドラマの元になっている『吾妻鏡』には、頼朝の死の記録が抜けていて、「落馬」のことに触れられているのは頼朝の死の13年後だそうだ。不思議ですねぇ。
とうとう頼朝が落馬してしまう。これで頼朝も最後か。それにしてもこの大泉さんの頼朝は素晴らしかった。大泉さんは色んな引き出しのある役者さんなのですね。最初はこのドラマはコメディ仕立てだとばかり思っていた。初回からちょっと面白系だった。それなのに回が進むに連れて頼朝はどんどん変わっていった。
上品な源氏のぼんぼん。女好きで手が早い。やる気のない若者から密かに野心が芽生え、リーダーとしての自覚を持ち、上総介との対面では源氏の棟梁の威厳を見せた。大軍を抱えるトップとして指示を出し、それでも女好きは止められない。警戒した部下の処刑。親族の討伐。平家討伐。冷酷。狡猾。残酷。親族の処刑、暗殺。京への野心。家族も犠牲にする。猜疑心。不安。そして悟り。
すごいと思います大泉さん。様々な顔を持つ頼朝が全て一人の頼朝として納得できました。面白かったです。三谷さんの脚本が素晴らしいのはもちろんのこと。大泉さんの頑張りに大きな拍手。