Winning Time | Opening Credits
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『Winning time: the rise of the Lakers dynasty』 (2022)
TV Series/米/カラー
/約59分・全10話/
制作:Max Borenstein、Jim Hecht』
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まず一言。ここのところワタクシの文は長い。長すぎる。おそらく老化のせいだろう。このドラマの感想文を書いた後で思った。適当に文をカットして少しまとめればいいのだが、それはめんどくさい。それも老化だ。だからそのまま載せる。
スポーツ観戦にそれほど興味のない人間には、スポーツ関連のドラマや映画はハードルが高い。スポーツと言っても色々だが、そもそもそのお題のスポーツや時代背景のことを知らなければ、どうやって興味を持てばいい?
というわけで私がこのドラマを見た理由はもちろん旦那A。
去年から大谷翔平さんで初めてアメリカの野球に興味を持ち…、
そこで旦那Aが勝手に録画して見ることになった映画…
・映画『マネーボール/Moneyball』(2011): 安く効果的にチームを構築する
…これが結構面白かった…と言ったら旦那Aがどうやら「妻はスポーツモノもいける」と思ったらしく…今度は勝手に70年代後期から80年代初期のアメリカのバスケットボールのドラマを録画していた。
というわけで見始めたHBOのドラマ『Winning time: the rise of the Lakers dynasty』。初回の放送は3月6日。最終話は5月8日。全10話。
よく出来た再現ドラマで70年代後期から80年代初期の時代の雰囲気もリアル。人物達の服装も髪型もよく再現。映像まで多少色あせたように黄色味がかっている。私にとってあの時代は…中学や高校生の頃、雑誌やテレビや映画で見ていたアメリカのイメージのそのまんま。そのイメージが旦那Aにとっては実際のティーンの頃の思い出だ。アメリカ人中年の青春時代の再現。だから彼には懐かしいだろうし初回から面白がっていた。
私にとっての1979年1980年頃のあの時代はディスコでありチャーリーズ・エンジェルであり、チープ・トリックにキッス、エイリアンにスター・ウォーズ、ドナ・サマーにシックにスーパーマン、ザナドゥにレオタード。ブルック・シールズにクリスティ・マクニコル、ジョディ・フォスターにテイタム・オニール、マッケンロー × ビョルン・ボルグ(←スウェーデン人だが彼はセットで出てくる)そしてジミー・コナーズの怒り顔だ。そんなアメリカの文化を遠く日本から見てドキドキしていた。懐かしい時代ですよ。
さてドラマ。私は最初は予想通り苦戦。プロ・バスケットボールのチーム「ロサンゼルス・レイカーズ」の成功物語なのだが、私には全く知識がない。何度も旦那Aに説明を求める。
主人公(の一人)ジェリー・バス/Jerry Buss (John C. Reilly)。彼は不動産業で成功したビジネスマン。彼がNBA (The National Basketball Association) のチーム、ロサンゼルス・レイカーズを買い取ってオーナーになったところからストーリーはスタート。大まかな筋は、彼がレイカーズのオーナーになり、チーム内の様々な事柄を揺さぶって再構築…新しいコーチを雇い選手と契約をしトレーニングをし…そこからチームが勝ち始める。その時にチームと契約をしたのが有名なマジック・ジョンソン/Earvin "Magic" Johnson Jr.。このシーズン1の最後は1980 NBA Championship優勝。そしてジョンソンは新人ながらファイナルMVPを受賞。
実際には、このマジック・ジョンソンが在籍した時代はレイカーズの黄金時代。ジョンソンとカリーム・アブドゥル=ジャバー/Kareem Abdul-Jabbarのコンビが誕生。1979年から1991年の時代はレイカーズの「ショータイム/Showtime」と呼ばれた。
おそらくドラマのシリーズは、これからいくつかのシーズンを使ってこのレイカーズの黄金時代を描くものなのだろう。シーズン2もすでに決定しているらしい。
このシーズン1はその初期、1979年から1980年まで。ジェリー・バス氏がレイカーズを買収してから「ショータイム」が実際に始まるまでの準備期間の話。だから結構退屈な場面もある。
将来有望な学生プレイヤー、マジック・ジョンソンと契約し、有能なコーチJack McKinney氏、Paul Westhead氏、Pat Riley氏を雇いながらチームを構築。新しく契約した若者・ジョンソンがどのようにチームに馴染んでいってチームが出来上がっていくのか。またオーナー、ジェリー・バスのアイデアで「バスケットボールの試合はスポーツイベントとという概念を排除し、エンターテインメントの見世物として捉え」イベントを活性化させていく様子などなど。かなり詳しくレイカーズの成功の舞台裏を見せてくれる。
回を重ねるにつれて少しずつ面白くなる。私に前知識がなかったので最初はなかなか話に入り込めなかったが、レイカーズの「あの時代」に馴染みがあるのであれば、最初からかなり面白いのだろうと思う。
私は最初はこのドラマをマジック・ジョンソンの伝記ドラマだろうと思って見始めたのだけれど、彼の話というよりもレイカーズのチームの話なので混乱した。
全10話を見てやっとこのドラマの意図が理解できた。レイカーズの黄金時代の話なのですね…そういえばタイトルも『Winning time: the rise of the Lakers dynasty』だった。おっとそのまんまじゃないか。
マジック・ジョンソン氏以外、なんの知識もなかったけれど全部見たら面白かった。よく出来た入魂/力技の作品だというのもよくわかる。製作のものすごい情熱とエネルギーを感じる。
まずあの時代の再現が素晴らしい。現代の役者さん達を使っているのにあの時代そのまんま。すごいと思う。なんとなく洗練されていなくて男性も女性もむさ苦しい。英語のscruffyな感じもそのまんま。あの時代は髪型もスタイルも野暮ったかったのだなと思う。みんなタバコを吸う。皆髪形がすごく変。その野暮ったさもリアルに再現。もちろん人物達だけではなく部屋のインテリアなどのセットも風景もそれらしく古い。
脚本の時代再現もリアルなのだろうと思う。あの時代は男性が今よりずっと野蛮(日本もそうでした)。特にプロ・スポーツの世界だからというのもあるけれど、それにしても言葉づかいが荒い。特にコーチの一人Jerry West氏が(脚色なのだけれど)とにかく言葉が汚くて驚く笑。F言葉があまりにも多過ぎて何を言っているのかわからないほど笑(御本人はあれほど口の悪い人ではなかったらしい)。 皆すぐに怒りを爆発させるし、大声を出すし、とにかく荒々しい現場。マッチョな時代。そのあたりの再現もうまい。男性がマッチョなら当然女性との生々しいエロいシーンも多い。ベビー・ブーマーが若者だったあの時代は様々な事がワイルドだった…あの時代のアメリカのそのような話は日本にも色々と聞こえてきていた。
そして脚本がリアルなら役者さん達も巧み。Jerry Buss を演じるJohn C. Reillyや母親のSally Fieldが上手いのは当然。それ以外の人々も全てうまい。それがすごい。たぶんこのドラマで有名な俳優はJohn C. ReillyとAdrien Brody、Sally Fieldぐらいではないかと思う。それ以外はほぼ無名か助演の多い中堅どころ。それなのに全員が1980年頃の人物を自然に演じているのは皆演技が上手いからなのだろう。
特にバスケットの選手達に驚く。元々の選手達に似た俳優を連れてきて…それぞれが役者として上手い。全員上手い。すごいです。そして皆かっこいい。 マジック・ジョンソンのQuincy Isaiahが似ている。Kareem Abdul-Jabbar選手を演じたSolomon Hughesは役者なのに身長が211センチ。そんな高身長の役者さんがいることにも驚く。Norm Nixon選手を演じるのは御本人の息子さん。Larry Bird選手を演じるSean Patrick Smallもそっくり。彼らはおそらくほぼ無名。それなのに役者としてうまい。みんな上手い。ハリウッドの役者の人材のプールがどこまで大きいのか…と驚いた。キャスティングだけでもものすごいドラマだと思う。もちろん俳優を活かすのはうまい脚本。まず脚本が上手いのだろう。
最後のエピソード10は1話ほぼ全てを使って1980 NBA Championshipのゲームを見せる。これが盛り上がる。それにそれまでの皆の苦労を9話分見てきているので大変興奮する。カメラワークも編集も巧み。実際のゲームを見ているよう。うまい。最後は盛り上がって終了。
面白かった。アメリカのプロの力技。ものすごいドラマ。
スポーツに興味の無い人は最初は苦戦するかもしれないが、レイカーズの情報をある程度仕入れて見ればもっと楽しめると思う。9話かけてだんだん馴染んできて10話目は最高に盛り上がった。
またシーズン2も必ず見る。