Mozart: Le nozze di Figaro, K.492 – Overture
Conductor: Karl Böhm
Orchester der Deutschen Oper Berlin ·
Orchester der Deutschen Oper Berlin ·
℗ 1968 Deutsche Grammophon GmbH, Berlin
↑元気が出る!かっこいいわーなんとゴージャスな。指揮したくなって手を振り回す。踊りたくなる。これは空でコロコロ鳴っていないな。がっつり胸倉を摑まれて振り回されるようなエネルギーに溢れた力強い演奏。思わずコブシを振り上げてヘドバンしそう。楽しいね。
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'E Susanna non
vien!... Dove sono i bei momenti'
Sir Georg Solti, Dame Kiri Te Kanawa, Samuel Ramey,
有名なキリ・テ・カナワ様。この歌を動画サイトで探したのですが、これが一番綺麗だと思った。動画にあまり情報が無いのですが、ショルティにラミーと出てきたので、1981年のロンドン録音かもしれない。とにかく綺麗な声で、ここの文章を書きながら聴いて涙が出た。
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Le nozze di
Figaro/The Marriage of Figaro
Opera by W.
A. Mozart
Language: Italian
Based on ‘La
folle journée, ou le Mariage de Figaro’ by Pierre Beaumarchais
Premiere: 1 May 1786, Burgtheater, Vienna
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Blaisdell Concert Hall
Feb 14, 2020, Friday, 7:30pm
早く書かないと忘れてしまう。公演を見たのはほぼ2週間前。先週は忙しくて文が書けなかった。
さて『フィガロの結婚/Le nozze di Figaro』。久しぶりのオペラ。去年の秋にあった『Tosca』は見逃した。旦那Aがカレンダーに1週間間違えて予定を書き込んでいたギャ~!そんなわけでオペラは去年の5月の『椿姫』以来。先日手に入れたワンピーを着て友人夫婦と出かける。そういえば当日はバレンタインだったわふふふ
今回も事前にストーリーだけ読んでいった。言葉(イタリア語)がわからないのでストーリーはだいたい理解していった方がいい。しかしこれが思ったよりも複雑…面白いのでWikipediaで再度確認してまとめてみることにした。今後また見るときに役に立つかも。
…と思ったのだけれど、あまりに複雑で長いので最後に載せる。
さてこのオペラは古いです。モーツアルトよ! 初演はウィーンで1786年。有名なオペラの多くが19世紀だと思えばこの作品は音楽のスタイル的にも古いのでは…。ドラマチックで浪漫な19世紀の音楽スタイルはまだ生まれていない時代かも。
モーツアルトの音楽は綺麗。幕が上がる前の序曲/Overture「K.492」は超有名。綺麗ですねぇ。天から降ってきた音楽。空でコロコロ音が回るような音楽。
…しかし綺麗だけれど軽い。オーケストラで聴くインストは本当に綺麗で楽しい「陽」な音楽で気持ちがいい。しかし正直歌劇が始まって…さて台詞を歌うのに都合のいい音楽なのだろうか?…と思ってしまった。ちょっと忙しいかも。
チェンバロがジャラランと鳴って「ちょっと見てよぉ…あたしの帽子ぃ…幸せだわぁ…」「君に似合ってるよぉ…」台詞が全部早口言葉の歌になっているみたい。アリアは落ち着いた綺麗な曲もありますが、会話劇の場面は全体に忙しい。
しかし18世紀の作品ですから別世界の雰囲気は最高。その別世界の響きだけでも楽しめる。初演はウィーンで1786年だそうで、フランス革命のバスティーユ襲撃の3年前。あの時代は大好きなのでちょっと嬉しい。当時の欧州のハイソな方々の見たオペラなのね…。
人の声なのに楽器みたいな音。すーっと空気に馴染むように繊細に響いて人の声じゃないみたい。本当に美しい声。生まれ持った才能ってすごいと思った。
三幕の夫人の嘆きのアリア「Dove
sono i bei momenti(幸せな時はどこへ)」が特に素晴らしかった。観客もじっと聴き入っているのがわかった。オペラは本当に上手い人が歌うと客の一人一人が集中しているエネルギーを感じるんですよ。そしてManéさんが歌い終わった瞬間に「おおっ」と歓声が起こって割れんばかりの拍手。すごいなと思う。生のライブの面白さ。
このお方は今オペラ界でどの位置にいらっしゃるのだろう。動画サイトを探したらManéさんが2015年のチャイコフスキー国際コンクールで3位に入賞なさった映像が出てきたのだけれど、まだお若いのだろうか。このお方はこれから大スターになるのかも。生で聴けるのは今回が最初で最後だろうけれど、このお方の声が聴けて本当によかったです。
楽しかったです。面白かった。フィガロと伯爵はお二人とも背が高い。バリトンは大きい方が多い。スザンナも気持ちのよい声。ケルビーノは女性が演じるのだけれど背が高くて少年ぽい。医者バルトロと女中頭マルチェリーナと音楽教師バジリオ、庭師アントニオは外見もコミカル。
ストーリーはドタバタのコメディ。二幕で伯爵夫人の部屋の窓から小姓ケルビーノが飛び降り、その後で庭師が窓に外から梯子をかけて登ってきて「さっき男が窓から落ちてきた」と文句を言うのに大笑い。それを聞いた伯爵がびっくりしているところでフィガロが「私私です」と辻褄を合わせる。笑った。さっきまで争っていた人達が「ああ~息子よ~」と抱き合ったり、スザンナがフィガロを張り飛ばしたり…なんだかドタバタ喜劇。演者も楽しそう。
衣装も綺麗。セットも奇を衒うことなくいつものようにクラシックで豪華。素敵です。
とにかく長い長いオペラで、二幕の後にインターミッション。それから三幕四幕。全部で3時間半ぐらいだろうか。とにかく長い長い。複雑なストーリーで長いので、とにかく覚悟を決めてしっかり腰をすえて楽しむしかない。演者の方々にも大変なショーなのではないかと思います。
ついに終わって幕が開きカーテンコール。脇役が出て来て、伯爵が出て来た後、夫人のMané Galoyanさんが出てきたら会場がどどどっと一気に立ち上がった。大歓声。Manéさんご本人もちょっとびっくりして嬉しそうなお顔。それから出て来たスザンナとフィガロにも拍手が起こったのだけれど、この夜のスターは間違いなく伯爵夫人のManéさん。オペラの観客ってこういうのはものすごく露骨。一番上手い人に一番大きな声援と拍手。演者には厳しい世界なのね。
私もすっかり彼女のファンになってしまって、最後に演者が列になってお辞儀をしている時も、少しでも彼女の姿を目に焼き付けておこうと彼女ばかりを見つめてました。スターってこういう人のことを言うんだろうと思った。ずーっと彼女を見てありがとうありがとう…と心で話しかけた。彼女に出会えてよかった。
STAGE DIRECTOR: Tara Faircloth
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Figaro: Ryan Kuster
Susanna: Elena Galván
Count Almaviva: Edward Parks
Countess Almaviva: Mané Galoyan
Cherubino: Olivia Vote
Dr. Bartolo: Kevin Glavin
Marcellina: Jenni Bank
Don Basilio/Don Curzio: Joseph Gaines
Barbarina: Martina Bingham
Antonio: Jamie Offenbach
-------------------------Count Almaviva: Edward Parks
Countess Almaviva: Mané Galoyan
Cherubino: Olivia Vote
Dr. Bartolo: Kevin Glavin
Marcellina: Jenni Bank
Don Basilio/Don Curzio: Joseph Gaines
Barbarina: Martina Bingham
Antonio: Jamie Offenbach
さてそれでは最後にお話の筋…何が起こるのかを書こう。簡単にまとまるかと思ったら超複雑だった。とにかく長いです。昔の話ってこういうのが多い。シェークスピアも…誰かが誰と勘違いして勘違いのまま相手を口説く…と思ったら実は他の誰かだった…こんなような話ありましたよね。「真夏の夜の夢」は媚薬で妙なことになる話でしたか…。昔のコメディは複雑。昔のお金持ちは暇だったのだろうな。
長いけれどとりあえず載せる。いつかまたこの作品を見るときに役に立つだろう。
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★フィガロの結婚
封建領主の(召使の女性への)セクハラ問題に対して、その奥方と使用人が一緒になって抵抗/仕返しをするドタバタのコメディ
一幕
18世紀、スペイン・セヴィリャ。アルマヴィーヴァ伯爵の館
●従者フィガロと女中スザンナの結婚式の日。どうやら主君のアルマヴィーヴァ伯爵はスザンナに対して「初夜権」を復活させようとしている。怒ったフィガロは伯爵を困らせようと計画する。
●女中頭マルチェリーナと医者バルトロ登場。マルチェリーナは以前フィガロから「借金を返せなければ結婚する」という証文を取っている。バルトロは(過去の色々なことから)この証文を使ってフィガロに復讐しようと計画。
●小姓のケルビーノ(ティーンの男の子)は血気盛んな思春期の男の子。庭師の娘に近づいたため伯爵に追放されそうなので、スザンナに伯爵夫人ロジーナにとりなしてほしいと懇願する。
●伯爵がスザンナを口説きにやってきたので、ケルビーノは隠れる。
●そこへ音楽教師のバジリオがやってくるので、伯爵も隠れる。バジリオが「ケルビーノが伯爵夫人に色目を使った」と言うのを聴いて伯爵が出てくる。隠れていたケルビーノも見つかる。ケルビーノが伯爵の誤解を解く。しかし伯爵はケルビーノをに連隊に行くように告げる。
●フィガロが村の娘達を連れて登場。伯爵に初夜権廃止を確認。伯爵も同意。
二幕
伯爵夫人ロジーナの部屋
●伯爵夫人ロジーナは夫の浮気心を悩む。スザンナとケルビーノ登場。一緒に伯爵の浮気の尻尾を摑む為、囮作戦を思いつく。伯爵をスザンナの名前でおびき出し、女装させたケルビーノと密会させて現場を押さえようと計画。
●スザンナが部屋から出ると伯爵がやってくる。慌ててケルビーノが衣裳部屋に隠れる。伯爵が衣裳部屋の物音に気付いたので夫人が「中でスザンナが着替え中だ」と言う。疑う伯爵はドアを開けようとするが鍵がかかっている。伯爵は斧を取りに夫人と共に部屋を出る。
●部屋の影に隠れていたスザンナが出てきて、ケルビーノを衣裳部屋から出し、2階の窓から逃がす。そしてスザンナが衣装部屋に入る。伯爵が帰って来て隣部屋を開けるとスザンナが出てくる。
●そこにフィガロがやってくる。庭師アントニオが登場「誰かが窓から飛び降りて植木を壊した」と言う。フィガロは咄嗟に「飛び降りたのは僕だ。スザンナを待っていたが伯爵の声を聞いて逃げた」と言う。医者バルトロと女中頭マルチェリーナと音楽教師バジリオがやってくる。フィガロに対し訴訟を起こすという。結婚式の前に裁判を行うことになる。
三幕
●スザンナは伯爵夫人ロジーナと伯爵への囮作戦を企む。スザンナは結婚式の後に伯爵に会う約束をする。
●裁判に出るフィガロが登場。裁判の結果…結婚を迫るマルチェリーナにフィガロが自らの生い立ちを話す…なんとフィガロは昔盗賊にさらわれたマルチェリーナの息子だった。しかも父親はバルトロ。親子なら結婚できない…と判決を取り消す。親子で抱き合って喜ぶ。
●そこにスザンナがやってくる。母親と抱き合うフィガロを、嫉妬したスザンナが張り倒す。そこで親子がスザンナに事情を説明する。理解して親子と嫁で喜び合う。ついでにバルトロとマルチェリーナも結婚式をあげることにした。
●伯爵夫人ロジーナの部屋。夫との不仲を嘆く。スザンナがやってきて囮計画を告げる。スザンナが伯爵への手紙を書く。
●広間では結婚式が始まろうとしている。村娘がやってきて夫人に花束を贈る。その中に女装したケルビーノもいる。庭師のアントニオがやってきてヴェールを剥いだらケルビーノだった。怒る伯爵。庭師の娘バルバリーナが伯爵に「いつも私にキスをして愛してくれたら何でもほしい物をやるぞおっしゃいましたね。ケルビーノをお婿さんに下さい」と告げる。
●フィガロとスザンナ、バルトロとマルチェリーナの結婚式が始まる。式の最中にスザンナが伯爵に密会の手紙を渡す。伯爵の様子を見てフィガロが「伯爵に誰かが恋文をわたしたらしいぜ」とスザンナに言う。
四幕
●伯爵邸の庭。夜。庭師の娘バルバリーナが探しものをしている。伯爵から「ピンを探してスザンナに届けるように頼まれた」と言う。フィガロは先程の手紙はスザンナが書いたものだと気づく。
●フィガロはスザンナの浮気を暴いてやろうと人を連れてやってくる。女の本性を嘆く。
●スザンナと伯爵夫人が衣装を交換してやってくる。
●そこにケルビーノがやってくる。スザンナだと思い伯爵夫人に話しかける。
●伯爵もやってくる。スザンナの側にいる邪魔者(フィガロ)に平手打ちを食わす。フィガロが逃げ出す。
●伯爵はスザンナだと思いこんだ妻の伯爵夫人ロジーナを口説き始める。二人でその場を去る
●フィガロは伯爵夫人に扮したスザンナと話していて騙されていると気づく。そこで事情をわかった上でわざと「私の妻は奥様のご主人と浮気をしていますが私も奥様が…」と口説く。スザンナが怒ってフィガロを張り倒す。そのあと打ち解ける。
●そこにまた伯爵がやってくる。フィガロが(今度は伯爵を騙す為に)伯爵夫人に変装したスザンナを口説き始める。伯爵が怒る。皆を集める。伯爵は夫人とフィガロの浮気の現場を捕らえたと勝ち誇る。しかしスザンナの服を着た伯爵夫人が現れて、伯爵も状況を理解する。伯爵が夫人に謝る。一件落着。皆で歌ってハッピーエンド。
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ひゃ~それにしても細かい。Wikipediaの筋をまとめようとしたら全然まとまらずにうんざりした。
というわけで登場人物も大変多いですが、中心人物達はスザンナと伯爵夫人、それにフィガロと伯爵の4人。ケルビーノは話のスパイスだからいいとしても、バルトロとマルチェリーナの話なんて必要ないですよねぇ笑。こんなに複雑にする必要もないだろうに。