4. 残酷さ
この時代、戦国時代の演出、描かれ方ががずいぶん荒々しい。血なまぐさい場面もある。信長に嘘をついた僧侶の首が斬られるのだが(斬られる場面はない)次の瞬間、地面にゴムの坊主頭が転がっている(笑ってしまったけど)。演出として成功しているかどうかはともかく、信長のもとに仕える緊張感は良く出ていた。桶狭間では五右衛門が秀吉と全身泥にまみれて斬りあう。光秀の母は、敵からの密書が届けばその場で密使を自ら斬り殺す。浅井、朝倉の髑髏杯は有名な場面だろう。演出としての意図的な残酷さは好きではないが、戦国時代のような、今と全然違う時代を描くのなら、多少の荒々しさは必要だと思っている。汚い格好、多少の生臭さ、人の荒々しさや激しさは戦国の時代ならあたりまえのことだと思う。
数年前「風林火山」の演出がずいぶん荒々しくて、歴史時代劇らしい男のドラマだと喜んでいたら、これが親戚の女性達にことごとく評判が悪かった。あまりに汚くて見る気がしないのだと言う。その後彼女達が「篤姫」を楽しんだのは言うまでもない。面白いのは、そんな彼女達も1996年当時にはこの「秀吉」を喜んで見ていたはずなのだ。この違いはなんなのだろうかと思う。やはり時代の空気が変わったのだろうか。