2012年2月27日月曜日

源氏物語の映像化2-私のアイデア=妄想


前のエントリーで、源氏物語の映像化は、光源氏に読者それぞれのイメージがあって難しいと書いたのだが、その後アイデアが浮かんだ。これは私の妄想。

光源氏の顔を見せない「源氏物語」の映画化だ。 笑

この光源氏なら(誰にとっても)限りなく美しいまま。映画なら時間制約があるので、内容も彼の幼年期から20代までとする。ドラマチックな若い光源氏の女性遍歴の映画だ(いつもそうだけど…)。最後は「澪標」あたりで静かに終わる。紫式部&菅原道長カップルも要らない。原作を淡々と忠実に映像化すればいい。

この源氏は若い。地位も財力もあって甘やかされて育った世間知らずのボンボンだ。自信にあふれた成人の魅力的な男性というよりも、恵まれたバックグラウンドをもとに好き勝手に振舞う(ちょっと影のある)子供という感じでいい。そもそも10代から20代前半までの男性はホルモン過剰で善悪の判断も誤るほど情熱的なものだ。だからこそ、非常に一途で、素直で、正直で、直球。同時に驚くほど繊細でもある。純粋な子供のようにどの女性とも本気で恋に落ちる。だから始末に負えない。美しい人であるだけに周りの女性陣も彼に振り回される。こういう若い人なら実際にいそうだ。10代からのいろいろな経験を経て、20代後半の最後まで少しずつ成長していく。

もちろん、光源氏は画面に登場する。彼はスマートで背が高く、非常に美しい手をしている。首筋もすらりと清らかだ。美しい立ち姿、後頭部、温かみのある優しい声。…が、顔を画面上に決して見せない。カメラは彼の後姿、首筋、耳、顎と首のラインまでの接写、女性を抱く腕、髪を撫でる手、それに豪華な衣装、絹の艶やかで贅沢な質感など、若く美しい男の部品をとことん写しこむ。女性と倒れこんでも、見えるのは女性の顔。観客には、光源氏の背中と後頭部しか見えない。要は、後姿と魅力的な部品の映像で、ぼんやりとした若く美しい男の姿を抽象画のように作りこむのだ。(実は三浦春馬さんを見ていてイメージが浮かんだ。彼ぐらい若い人がいい)

あとは、女優達の腕の見せ所。観客は彼女達のめまぐるしく変わる表情、迫真の演技から、間接的にこの魅力的な光源氏を想像する。というのも、この源氏物語の始めの頃、光源氏その人の話のように見えて、実は女性達の話だからだ。この物語が1000年も昔に書かれていながら、今に至るまでずーっと魅力的であり続けたもうひとつの理由は、この本の女性達の光源氏を思う切ない気持ちが、女としてどんな時代であっても「わかる」リアルなものだからだ。さすが女流作家。そう思えば、この女性達のほうに光を当てて、映画化することも可能だろう。

女優陣はとことん贅沢な配役でお願いしたい。上手い女優さんたちをぜひ。若い女性には実年齢の子役や女優さんを、大人の女性には大人顔の美人を配役する。出来れば、手の届かないような美しさを表すために、女性陣のメークも最新の美人メークをするのではなく(時代が変わると安っぽくなる可能性あり)、リアルな眉なしにする(あの眉なしが時代考証に本当にあっているのか分からない。絵巻物をみると普通の眉かもしれないとも思う)。ちょっと怖いくらいがちょうどいい。黒澤明監督の『乱』の原田美枝子さんのように怖いぐらいでいい。全員室内で囁くような声で話す。照明もリアルに薄暗くやってほしい。

普通に考えられる映画作りのような、現代の俳優と現代風美人の女優が平安のセットで現代劇を演じるのではなく、(よくあるタイプのキラキラした映像化ではなく)、「かつて日本にはこんな時代があった」ぐらいの突き放したイメージがいい。あくまでも芸術的な雰囲気を大切に。カメラと俳優の関係もよそよそしいか、反対に近すぎるくらいの親密な接写で。衣擦れの音などの効果音も豊かに。CGも使わず重厚な雰囲気でお願いしたい。調度品、セットにはとことんこだわって贅沢にしてほしい。

イメージする重厚さは、ベルトリッチの『ラストエンペラー』あたりの室内の映像。人物の白い顔が暗闇からふぁっと浮き上がるような感じがいい。人物描写のみではなく、当時のリアルな雰囲気を映像に閉じ込めたような「芸術映画」枠で。(黒澤監督とか、勅使河原宏監督とか、どうして源氏を撮ってくれなかったんだろう。)

配役を一人リクエストしたい。今、大河「平清盛」で堀河局をやっているりょうさんに、ぜひ六条御息所を眉なしメークでお願いしたい。彼女は、美人画で有名な上村松園の「焔」=六条御息所のイメージ画にそっくり「コワうつくしい」のだ。

以上、源氏物語映画化の妄想。こういう企画にお金を出してくれる出資者はいないだろうな。


★去年の12月、日本で映画『源氏物語 千年の謎』が公開されたそうです。予告などをネットで見るといい雰囲気ですね。見たいな。ただ、この主演の生田さんがアメリカのコメディアン、ジミー・ファロンにそっくりなので、真面目に見れないかもしれない。でも機会があったらぜひ見たい。

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源氏物語の映像化1-なぜ源氏物語は映像化が難しいのか