能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ 【随時更新】 https://www.nhk.or.jp/shutoken/ne...

2023年5月15日月曜日

お猫様H:光を追って



毎年の今頃、太陽が日々高くなっていって天窓から射す光の角度が変わっていく。 それが面白いと思い(昼の11時から12時頃)その変化を記録しようとしたけれど、写真としてはあまり面白くなかった。光の射す向かって正面の壁が西。画面右横の壁が北。こちら側が東。画面左の階段が南側。


3月15日 11:09 am
4月7日 11:58 am
4月7日 11:59 am
4月10日 11:15 am
4月12日 11:26 am
4月14日 11:27 am
4月20日 11:17 am
4月23日 11:27 am
5月9日 11:30 am
5月10日 11:28 am
おまけ 4月19日 11:07 am
少し後の時間 4月6日 12:40 pm
午後 4月21日 1:36 pm



2023年5月11日木曜日

仏/英ドラマCanal+/BBC『Marie Antoinette』(2022):子供だまし!『ベルばら』を読んだ方がいい






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『Marie Antoinette (2022) Season 1 – 8 Epsode/仏/カラー
/1話52 m/脚本:Deborah Davis』
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18世紀フランスの宮廷。王妃マリー・アントワネットのなんちゃって伝記大河ドラマ。

制作はフランスCanal+と英国BBC。脚本は英国人、監督はベルギー人と英国人他。英語劇。俳優は欧州各国より集合。

米国での放送は公共放送ネットワークPBS(Public Broadcasting Service)。オリジナルのリリースはフランス2022年10月31日、英国12月29日、米国2023年3月19日。

シーズン1はアントワネットの子供時代から彼女の長男の誕生(1781年)までを全8話で描く。



歴史の再現を楽しむドラマではない。「18世紀のベルサイユにタイムスリップした現代の女の子」のようなドラマ。またいつもの軽薄なマリー・アントワネットを描く作品。既に何度もリサイクルされている彼女の評判を、またカジュアルなマリー・アントワネットのファンに向けて再構築。今回も結構酷い。

今まで様々なフランス18世紀関連の映画やドラマを見てきたが、マリーアントワネットに関して歴史にリスペクトを込めて作られた作品を今までほとんど見たことがない。いったいどういうわけだろうかと思う。あれほど彼女の人生はドラマチックなのに。

そもそもイギリスやハリウッドには何も期待していない。しかしフランス産のドラマや映画もあまりいい作品の記憶がない。2000年の初頭に見た仏産のドキュメンタリーが良かったぐらいか(どうやら記憶違い。調べたがどの作品かわからない。TVの放送を見た)。(私が想像するのみではあるが)フランス革命関連に関しては事実日本人が(歴史へのリスペクトを込めて)一番知識が多いのではないかと本気で考えてしまうほど。


(今の)だいたい60歳前後世代の日本の女性はフランス革命に比較的詳しい人が多いと思う。それは(私を含む)その世代の女性の多くが、子供の頃に池田理代子氏の『ベルサイユのばら』を読んでいるから。その世代の人々の中には、漫画とアニメと(もしかしたら)宝塚などでストーリーに親しんだのみならず、漫画をきっかけにフランスの歴史に興味を持った人も多い。「フランス革命オタク」と呼んでもいい層もかなりいると思う。たぶん私も(カジュアルではあるが)その一人。

オタクになったら探求するのみ。本を集め資料を漁り、果てはフランスのベルサイユやパリにその歴史の痕跡を求め旅をし、少しでもその時代の名残りを身に感じようとする。時間をかけて探求してきたから素材に対する知識もある。(人によって得意分野は分かれるだろうが)そんな「フランス革命/フランス史オタク」の興味の対象は歴史の流れのみにとどまらず、歴史の登場人物たちの人となりやその時代ならではのしきたり、慣習、ゴシップ、18世紀当時のファッション、美術品、文化に至るまで果てしなく広がり続ける。歴史を愛し探求する者は皆、その歴史の時代の空気を少しでも感じたいと願う。

そのような「18世紀フランス歴史オタク」を映画やドラマなどで喜ばせるのは、実際にはかなり難しいのだろうとは思う。


しかしそれにしても実在の歴史上の人物を描くのならせめてその人物に敬意を払い、史実からはあまり外れてほしくないと思うのは求め過ぎだろうか。

マリー・アントワネットとは、激動の時代を生きた彼女の人生そのものが他に比べられないほどドラマチック…映画やドラマを作るのなら何の脚色もいらないほどの素材。歴史をそのまま再現すればそれだけでかなり面白い話が描けるはずなのに、このドラマはまた…「おつむが足りないウブな現代風の少女が18世紀のフランス宮廷にやってきた」…話をまた繰り返している。もうそのような軽薄なものはコッポラの映画で十分なのに。

そして(近年の欧米の歴史ものドラマではいつものことではあるが)性に関する描写も必要以上に多い。18世紀の宮廷が性にゆるかったのはわかるが、それをマリー・アントワネットのドラマで見せる必要はなし。不快。女性同士の嫉妬心やライバル心などによる争いごとも必要以上に強調されているのも不快。

脚本を担当したのが、英国のアン女王を不快極まりなく描いた『女王陛下のお気に入り/The Favourite』のDeborah Davis氏であれば、ああなるほど…期待してもしょうがないかと思う。この脚本家の視点は基本的に品がない。そういう下世話なことにしか興味のない人なのだろう。



★ネタバレ注意

第1話を見て「またか」とがっかりし、その後あまり真面目に見ていなかったのだけれど、それでも気になった点を挙げておこう。録画を残してないので確認できないが、おかしな場面はもっとあったと思う。
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大食漢で大柄なはずのルイ16世が瘦せ型の長身の青年に変わっている。
● フランスでもオーストリアでも宮廷ではお堅いマナーやエチケットが当たり前だったはずなのにこのドラマの宮廷はゆるゆる。身分の上下関係もあまり感じられない。
● マリー・アントワネット(以下アントワネットで)が最初からデュ・バリー夫人と親しく会話をし、果てはキスの手ほどきを受ける場面で怒り心頭。バカか。
● その後なぜかあの有名なデュ・バリー夫人への「話しかけ」の場面も再現されるが、野外で数名が突っ立っているだけの珍妙なシーンに変わっている。
● デュ・バリー夫人が不自然に前に出過ぎ。安易なアントワネットのライバル設定だろうが笑止千万。
● アントワネット付きの女官長・ノアイユ伯爵夫人のアントワネットに対する態度はあれでいいのか?
● アルトワ伯はどこ?
● ポリニャック公爵夫人は宮殿で3P。不快。
● ウブなルイ16世が女性の扱い方がわからないので娼婦から性の手ほどきを受ける?ばかばかしい。あれは身体の問題だったはず。
● アントワネットは妊娠のために昼間から半裸で脚を中に浮かせる。はしたなく不快。
● どの俳優も欧州各国から調達したせいか、英語の台詞での芝居に慣れていない俳優も多いのではないか。欧州俳優の訛りを優先したのか。だったら最初からフランス語でやればいいのに。
● アントワネットの肖像画の問題(大問題!)後述。

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ネタバレ終了


歴史の人物たちに対してリスペクトを感じられない。純情な女の子が政略結婚で遠方の外国(敵国)の宮廷に嫁ぐ話ならそれだけでも十分ドラマチックなのに、このドラマはそんな基本の話さえ女同士の争いごとやゴシップに変えてしまっている。宮廷でガチガチのルールやしきたり、決まり事の中で生活するからこそ人と人の関係の乱れが歪なバランスで興味深いのに、このドラマは全てがゆるくて品がなく、いつまでこのようなぐだぐだを見せられるのかと途方に暮れる(それでも見るけれど)。

一番呆れたのは、アントワネットから彼女の母親/オーストリア君主マリア・テレジアへ送られたアントワネットの肖像画。間違ってますよそれ。その絵はポリニャック公爵夫人の肖像画。この映画の制作チームは恥を知れ。誰か注意する人はいなかったのだろうか。これがフランスのプロダクションだとは信じられない。

…とかなんとか言いながら、第2シーズンも制作決定だそうです。このドラマは軽薄で下品な茶番。しかし素材は個人的に好きすぎる、愛着がありすぎる。だからまた来年も見ると思います。セットや衣装は豪華で綺麗だし。

それにしてもこの英国人の脚本家は、18世紀のフランスの政治に全く興味がなさそうだけれど、これから当時の世の中が緊張してきて、王妃が歴史の激流に飲み込まれていく様子をまともに描けるのかどうか甚だ疑問。革命は軽い気持ちで描けるような素材ではない。いったいあの血なまぐさい時代をどう描くのだろうと違う意味で興味がわく。そこまでシリーズが到達できるのかどうかも疑問だけれど。

というわけで日本の「フランス革命オタク」の方々は、このドラマにはあまり期待しないほうがよいとだけ書いておこう。とはいえ私も最後まで見たので見ればそれなりに楽しめるかもしれません(回が進むにつれ次第にドラマの雰囲気にも慣れてきて違和感も減り見るのが楽しくなったのは事実)。

またフランス歴史熱がぶり返すかな?また読もうかな。



2023年5月10日水曜日

The Blessed Madonna - Shades of Love (feat. The Joy) (2023)



英国ダンスチャート入り



The Blessed Madonna - Shades of Love (feat. The Joy) (2023)
Shades of Love (feat. The Joy) - Single
The Blessed Madonna
Released: February 22, 2023
Under Exclusive Licence to Warner Music UK Limited, 
℗ 2023 Margeverse Limited



リミックスしたのはアメリカのDJ、The Blessed Madonna。元曲がこのお方の作曲なのか、それとも南アフリカのアカペラグループ The Joyなのかわからなかったです。ノリがいい。チャート入りしてます。

イントロといい、途中で出てくるドドドドドッドドッドドッドッというBridgeだかDropだかがやたらと古臭い。うわ~もうどうしようもなく頭を抱えるほどダサいダサい笑。でもダンスMusicなんてこれでいいのだ。ノリよく踊れればいい。だから英国で今よく売れてる。しかしこの音の感じはいつだったろう?90年代だっけ?

★The Blessed Madonna
Marea Stamperさん。米国ケンタッキー州出身のDJ, producer and musician。1977年生まれ。1990年代に活動開始。Dua Lipaを含む様々なアーティストのリミックスを手がける。

★ The Joy

どうやらサウス・アフリカの男性アカペラ・グループらしいです。この曲のアカペラバージョンがYouTubeに上がっていた。詳しいことはわからない。


Shades Of Love
The Blessed Madonna
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朝 目を覚ます時
金色と銀色が私を包む
私に必要なもの 
私に見えるものは
色彩と魔法

私が必要とするとき 常にそこにある
虹を通り抜ける太陽のように
光の中で 
あなたも輝ける
忘れないで

誰もが欲しい 誰もが必要とする
様々な色合いの愛
誰もが欲しい 誰もが必要とする
様々な色合いの愛


様々な色合いの愛
様々な色合いの愛


朝 目が覚めたとき
金色と銀色が私を包む
常にそこにある 私が必要とする時
虹を通り抜ける太陽のように

朝 目が覚めたとき
金色と銀色が私を包む
常にそこにある 私が必要とする時 
虹を通り抜ける太陽のように

誰もが欲しい 誰もが必要とする
様々な色合いの愛

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Written By James Vincent McMorrow, Paul Epworth, The Blessed Madonna & The Joy (Band)





映画『記憶にございません!』(2019):中井貴一の泣き顔と肉食の吉田羊






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『 記憶にございません! (2019)/日/カラー
/127 m/監督:三谷幸喜』
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少し前のTV Japanでの放送の録画をやっと鑑賞。

悪徳暴れん坊総理大臣が頭に石をぶつけられて記憶喪失になる話。 三谷幸喜監督・脚本。三谷監督のもとにスター俳優さん達が勢ぞろい。ゆるい笑いの映画。


★ネタバレ注意


肉食の吉田羊さんが中井貴一さんを襲うシーンがおかしい…さすが女優さんすごいな。おもしろいわ。その場面以外は全体にファミリー向けのゆるいコメディという感じでしょうか。驚くような展開もなく、ああそうかと予想通り綺麗に収まるお話。映画としてそれほど強烈に面白いわけではないけれど、三谷監督でおなじみのビッグネームのスター俳優さん達が勢揃いなのは楽しい。身構えることなくまったりと見るおだやかなコメディ映画。

このようなまったりと見る映画の見どころは笑いの小ネタ。小さな笑いどころが沢山散りばめられていて、それぞれの小ネタはおそらく見る人によってウケる場所が違うのではないかと思う。見る人によっては三谷さんが脚本で意図した笑いには笑わず、意外な場所でゲラゲラ笑ったりすることもあると思う。私も私個人の笑いポイントを楽しんだ。


暴れん坊総理大臣が記憶喪失になった結果、まっとうないい人に変わってしまって最後には全て綺麗に収まるおとぎ話。驚きはないがそれでいいそれでいい。

尺は2時間ほど。シンプルな話の映画としてはかなり長いが、大物の俳優さん達の戯れをだらだらと見るのは楽しい。そういう映画だと思います。前情報のない状態で初めて見たので、俳優さん達が出てくるたびに面白かった。次は誰が出てくるかな~と思いながら見た。


というわけで、この映画の何十とある笑いポイントの中で、私個人に響いた面白い場面を記録しておきます。

中井貴一さんの情けない泣き顔。なぜだろ~笑、この中井さんの泣き顔に笑う笑う。中井さんはこんなお顔をなさるのですね。発見。すごくおかしい。吉田羊さんに襲われる場面の泣き顔がおかしい。
・猛烈肉食の吉田羊さん。あはははすご~い。かっこいい。面白いわ吉田さん。いいね
・ローリー寺西/ROLLYさんは存在の全てがおかしい。七三分けで出てきたらもう嬉しい嬉しい笑う笑う。ローリーさんは出てくるだけでウケる。ギター弾いちゃうもんね。ゴルフの師匠も妙笑。
佐藤浩市さんのキャディさん。すごいね。こんな格好をなさるのね。口紅つけてた笑。さすが三谷さんだ。佐藤浩市さんは最後の方でバーで沢山の女の子に囲まれて嬉しそうな様子にもニヤニヤした。
・一番びっくりしたのは総理の恩師の山口崇さん。
えーーーーっ!っと声が出た。お~~~びっくりびっくりびっくり。今もびしーっとなさってる。すご~い。昔もピシーッとしたイケメンのお兄様でしたよ。その先生のお言葉「この国の人間は枠に収まらない人間をすぐに排除しようとする。よくない傾向だ」禿同
斉藤由貴さんの首相官邸料理人。斎藤さんはいつも印象に残る。すごい存在感だと思う。
阿南健治さんの定食屋のおやじ。なんかうれしいわ。鎌倉殿でもいいキャラだったお方。
梶原善さんのゲーハーおやじ。びっくりすご~い。善児~
・最後のハッピーターンを食べる寺島進さん
・さこっち迫田孝也さんは現代劇と時代劇で全く印象の変わるお方。不思議よ。
・おなじみ小林隆さんの半ズボン。なぜ半ズボン省エネスーツ
近藤芳正さんが酔っ払いのサラリーマン。思わず巻き戻して確認した。
・日系のアメリカ大統領の木村佳乃さん…これはコメディだからヨシ(現実には絶対にありえん)。木村さんがノリノリでおもしろい。
・最後の最後までわからなかった有働由美子さんのニュースキャスター。映画の最後の出番でやっと気が付いた。びっくりした。ず~っと誰だろうと思ってた。

というわけでまったりおもしろかったです。


2023年5月9日火曜日

WOWOW 連続ドラマW『ギバーテイカー』全5話



全5話。日本での放送はWOWOWの「連続ドラマW」枠で2023年1月22日から2月19日まで。主演は中谷美紀さん。原作はすえのぶけいこさんの漫画『ライフ2 ギバーテイカー』。


モンスター級の殺人鬼が主人公の女性を追い詰める。女性は強く立ち上がり最後はモンスターと女性の一騎打ち。

近年の私は、ドラマも映画も「怖いもの」「痛いもの」「グロなもの」「辛いもの」はできるだけ避けるようになってきていて、このドラマも最初は大丈夫かと思いながら見ていた。しかしどんどん話に引き込まれ、とにかくこの殺人鬼ルオトがなぜああいう風になったのかが知りたくて最後まで見続けることになった。

演出がいい。俳優さん達の演技もいい。ストーリーは結構見るのが辛いテーマ。しかし「辛い」ということよりも話の続きが知りたくて後半は次の回が待ちきれなかった。すっかりはまった。


★ネタバレ注意


いやぁ人間は怖いなと。貴志ルオト(菊池風磨)はどうしてあんなことになったのだろう。母親がまっとうな愛情で彼を育てなかったから…というのが表向きの理由だろうが、だからといって(一般的に)そのように育てられた子供が皆人を殺めるとは思えず。むしろ(あまり認めたくはないとはいえ)元々彼はどこかおかしかったのではないか…と思わずにはいられなかった。生まれながらのモンスター、サイコパス。理由なきモンスター、それが一番怖い。

貴志ルオト は12歳で殺人を犯し(その前には妹も殺害)、12年間も医療少年院に入って更生し社会に帰ってきた。しかし彼の中の悪意が消えることはなかった。過去の殺人からもう12年も経っているのに、彼はその殺害した被害者の母親・倉澤樹(中谷美紀)を執拗に追い始める。そしてその理由が、彼の当時の先生=倉澤の「よくできました」だとか「先生が飴を取って僕の手にはナイフが残ったから」などの理由だとあった。そこのところがどうも説得力に欠ける。

彼が殺人を犯したのは12歳。子供時代の時間は長い。12歳の少年が12年間も医療少年院に入って指導を受けていたのなら心理的になんらかの変化はあったはずで、なぜ彼はわざわざまた倉澤を追い詰めるのかの理由がわからない。倉澤に対して一方的な恨みがあるわけでもなさそうなのになぜ彼は倉澤にこだわるのか。

もし自分の過去の過ちが母親によるネグレクトからくるものなら、むしろ彼の怒りは母親に向かうものではないか?彼が赤の他人の先生に怒りをぶつけているのなら、結局彼は理由なきモンスターだということになってしまう。


殺人犯とその生い立ちがテーマだろうか。ドラマを見ながら考えさせられた。それにしてもルオトは母親から十分な愛情を受けれていたのなら殺人鬼にはならなかったのか。それとも母親の愛情不足は「単なるきっかけ」なだけで、更生することのないモンスターは存在するという話なのか…とも考えた。


そのようにすっかり内容にはまったということは、ドラマとしてよく出来ているということなのだろう。音楽も演出も怖い。ドキドキさせられた。しかし視覚的に不快な場面は少な目で、そのため私のような小心者もかろうじて見続けることが出来たのはよかった。


最後に、違和感を感じた最終話の倉澤とルオトの対決場面のことを書いておこう。
ルオトと二人きりで対峙する倉澤。両者とも拳銃を相手に向けている。ルオトがうだうだと倉澤を言葉で追い詰め、言葉で長々と説明をしていたが、あれはドラマならではの綺麗ごとだろう。

まず延々と話し続けるルオトを「黙らせなさいよ」と思い、あまりにも説明が長いので「さっさと撃てばいいのに」と思った。私は米国の警察のやり方に同意するわけではないが、ルオトが倉澤に拳銃を向けている限り、倉澤には正当防衛が可能(日本は駄目だそうだ。米国はOK)。アメリカだったら倉澤は迷いもなくルオトを射殺していただろう。それから倉澤はルオトに「裁きを受けなさい」と告げていたけれど、彼は既に3人も殺しているわけで死刑は免れないだろう。もちろん日本のドラマとしては「正しい裁き」がフェアな正しいやり方でそれを見せるべきなのだろうけれど。そういえば狙撃班が二人の様子を見てましたね。彼らはあそこで何もしないのか?

そもそも倉澤が殺人犯に屋上でたった一人で対峙するのが無謀。相手は拳銃を持ってるのに危ない危ない。それからルオトに彼の意図を語らせるのであれば、なんとかして彼の音声をスマホで録音は出来ないものかとも思った。ドラマチックなはずの最後の場面が冗長で嘘っぽく感じたのは残念。


それでもドラマ全体は十分楽しんだ。

気味の悪い殺人モンスター・ルオトを演じた菊池風磨さんは不気味。うまい。倉澤樹の中谷美紀さんは流石。彼女は日本を代表する女優さん。ルオトの母親の斉藤由貴さんも怖い。ルオトに利用される馬場ふみかさんも追い詰められた表情がうまい。見ていて辛い。ベーカリーの主人の吉田ウーロン太さんはイヤな野郎が最低。うまい。皆いい。

というわけで面白かった。見てよかったです。
全5話で終わったのもちょうどいい長さだと思う。
WOWOWのドラマはいいですね。これからも期待してます。



2023年5月8日月曜日

Sigala, Mae Muller, Caity Baser - Feels This Good (ft. Stefflon Don)(2023)



キャッチーです。



Sigala, Mae Muller, Caity Baser - Feels This Good (ft. Stefflon Don)
Feels This Good (feat. Stefflon Don) – Single
Sigala, Mae Muller, Caity Baser
Released: March 3. 2023
℗ 2023 Ministry of Sound Recordings Ltd./B1 Recordings GmbH. 
a Sony Music Entertainment Company.



この曲も英国のダンスチャートに入っていた。キャッチーですね。いいメロディ。Sigalaさんは今までにも何曲かとりあげてます。それにしても作詞作曲者の名前が多い。大勢の共作なのかな。

★Sigala
本名Bruce Fielderさん派1990年生まれ。英国のelectronic dance music producer、DJ、songwriter。今までに8曲が英国のシングルチャート入り。名の知られたシンガーとのコラボも多い。

★Mae Muller
英国のシンガー・オングライター。1997年生まれ。2018年のデビュー。

★Caity Baser
英国のシンガー・オングライター。ブライトン在住。このお方はTicTokで曲を公開していたものが音楽関係者の目に留まってデビューとなったらしいです。

★Stefflon Don
Stephanie Victoria Allenさん。英国のラッパーとシンガー。1991年生まれ。デビューは2015年。過去に何度も曲がチャートに上がっているそうだ。この曲のラップパート担当。


意味
Pull up on me anytime in the Woods
誘ってよとか参加してよ~とかそんな感じらしい
 Woodの意味は不明。どこかお店?韻を踏んだだけ?
feelin' like Suge
Sugeがわからない、固有名詞かな?
I'm not the one you can slide on
(前のラインを受けて)恋人を蛇のペットのように飼えるのは私の方で、
恋人(あなた)が私をアクセサリーのように身に纏ったりはできない
…とかなんとか。自分が主で恋人(あなた)が自分を思い通りにはできないよ…の意味らしいです。パイソンとスライドオンの語呂合わせもある。
I'm gettin' money while you're tryna sign on.
英国に限ってsign on は失業保険の手続き。多分その意味。
Hundred degrees but my wrist feel on freeze
wrist on freezeブレスレットのダイアモンドがギラギラしてる様子
Me, I'ma keep it G
keep it G=落ち着いてる、現実的、嘘じゃない、リアル、周りもリスペクト



Feels This Good
Sigala, Mae Muller & Caity Baser
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[Verse 1: Mae Muller]
Yeah, こんな夜はめったにないでしょ
それにこれが悪いわけがない だって魂にいいから
だから全ての責任を忘れて
私にはあなた あなたには私がいる

[Pre-Chorus: Mae Muller & Caity Baser]

Yeah, ずいぶん前に決めた約束
夜にしがみつこうって
決して後悔はしないって言い合ったのも覚えてる
ハイになって夜更かししてた

[Chorus: Mae Muller & Caity Baser]
こんなにいい気持なら もう少しここにいよう
このまま 我を忘れて
こんなにいい気分なら もう少しここにいよう
このまま このままで


[Drop: Mae Muller, Caity Baser]
Whеn it feels this good (When it feels this good)
こんなにいい気分なら (So good)
こんなにいい気分なら (Whеn it feels this good)
こんなにいい気分なら (So good)
こんなにいい気分なら
Woo-hoo (Woo-hoo), woo-hoo (Woo-hoo)
Yeah, yeah, yeah, yeah (Yeah, yeah, yeah, yeah)
こんなにいい気分なら
Woo-hoo (Woo-hoo), woo-hoo (Woo-hoo)
Yeah, yeah, yeah, yeah (Yeah, yeah, yeah, yeah)
When it feels this good


[Verse 2: Mae Muller]
ずいぶん長い時間が過ぎた 最後にあなたに会ってから
自由ってこんなにいい気分なんだって 忘れてた
そう こういう時期からいつか卒業するって皆は言うけれど
でもあなたと私 そんなことないよね 

[Pre-Chorus: Mae Muller & Caity Baser]
Yeah, ずいぶん前に決めた約束
夜を楽しもうって
決して後悔はしないって言い合ったのも覚えてる
ハイになって夜更かししてた

[Chorus: Mae Muller & Caity Baser]
こんなにいい気持なら もう少しここにいよう
このまま 我を忘れて
こんなにいい気分なら もう少しここにいよう
このまま このままで
こんなにいい気分なら


[Verse 3: Stefflon Don]
ほらこんなにいい気持ちなら (Good)
どんな時でもいいからやってきてよWoodの中で (In the woods)
BabyがSugeみたいな気持ちにさせてくれる 
My babyが恋に誘う

彼は私の望むことを何でもやってくれる
彼はアイコンのように装って 私が蛇を飼ってるみたいに見えるほど
私はあなたが飾りのように纏える相手じゃない 
あなたがサインオンする間 私はお金を受け取ってる 

何も変じゃないけど 私の愛は安物じゃない
ベンツから飛び出して ジープに飛び乗って
F100度の気温 でも私の手首は凍えそう(沢山のダイヤモンドで) 
ヘイターがなにを言おうとかまわない (Nah-nah)

Bad, あなたは悪い男
G-L-A-M, あなたはグラマラス
私は、落ち着いていて現実的 
言ってよ なんで私がさよならするっていうのよ?


[Drop: Mae Muller, Caity Baser, Stefflon Don, Mae & Stefflon]
When it feels this good (Yeah, when it feels this good)
When it feels this good (Yeah, so good)
When it feels this good (When it feels this good)
When it feels this good (Uh, when it feels this good, uh; so good)
When it feels this good
Woo-hoo (Woo-hoo), woo-hoo (Woo-hoo)
Yeah, yeah, yeah, yeah (Yeah, yeah, yeah, yeah)
When it feels this good
Woo-hoo (Woo-hoo), woo-hoo (Woo-hoo)
Yeah, yeah, yeah, yeah (Yeah, yeah, yeah, yeah)
When it feels this good

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Written By:  Sigala, Jarly, Ella Eyre, Becky Hill, Nat Dunn, Michael Harwood, Static Revenger, Amie Miriello & Stefflon Don





2023年5月7日日曜日

太平洋上から英国を想う👑チャールズIII世戴冠式の日



英国を離れてもう17年が過ぎた。現在の英国のことはさっぱりわからないが、それでもあの国で過ごした10年間は大きな経験だった。今でも英国はなんとなく第2か第3かの故郷のような気がしている。間違っても米国本土は私の故郷にはなり得ない(これから住むつもりもない)ことを考えれば、英国はやはり第2の故郷と言ってもいいかもしれぬ。

その気持ちは旦那Aも一緒。彼は生粋のアメリカ人だが実は英国の国籍も持っている。4年間以上英国で仕事をし居住したことで英国の国籍を取得することができた(現在は5年間の居住が必要)。

私個人は先代エリザベスII世に比べてチャールズIII世にそれほど愛着があるわけではないが、1990年代後半の(ダイアナ妃の件を含む)様々な英国王室関連ニュースを、当時現地で日々目にしていた者として「とうとうあのチャールズ皇太子が王様になったのね」と大変感慨深い。あの時代…もうあの頃も遠い昔。そもそも皇太子がチャールズIII世になることは74年前に彼が誕生したその時から決まっていた。その日がとうとうやってきたのねと…ただただ感慨深い。


チャールズIII世といえば、彼は英国の有機農業のサポートをなさっていることもよく知られている。1990年には御本人の領地ハイグローブ・ハウス・エステートで取れた有機栽培の農産物をベースにした製品(クッキーが最初)で「The Duchy Originals」のブランド事業を立ち上げられ、それから現在は高級スーパーと提携した「Waitrose Duchy Organic」に深く関わっていらっしゃる。新しい王様は意識の高いお方なのですね。過去には色々あったとは言え、彼が偉大なる母・女王の後を継いでよき王になろうとしていることは間違いないと確信できる。


というわけで戴冠式はお祭りだ。

数日前からネット上の戴冠式関連の記事を読んでいたら「Coronation Quiche」の言葉を多く見かけた。キッシュとはフランスのオムレツタルト…タルト生地の皿に卵とクリームを混ぜたものに玉ねぎやベーコンやほうれん草にチーズを入れて焼いたもの。それがどうやら今回の英国王室公式のチャールズIII世戴冠式記念メニューと言うことらしい。ネット上には「当日はみんなでこれを作りましょう」などとレシピも出ていた。

ちなみに1953年のエリザベス女王様戴冠式のコロネーション(戴冠式)メニューは「コロネーション・チキン」で、マヨネーズとカレー粉を混ぜたチキンサラダのようなものだったそうだ。なんとも王室メニューとしては質素である。今回はキッシュならせめて温かいしおいしいだろう。

今回のコロネーション・メニューには、キッシュの他に有名シェフのケン・ホム氏のアジア風マリネのラム肉ローストや、ナディア・フセイン氏のナス料理、アダム・ハンドリング氏のイチゴと生姜のトライフル等々があったそうだ。


早速旦那Aが戴冠式の当日に「コロネーション・キッシュ」を作ろうと言い始めた。王室公式のレシピを見たらどうやらベジタリアンのキッシュで、中にソラマメを入れろとあった。おっと旦那Aはソラマメが食べられない。それにソラマメなどこの地では手に入らない。それならベーコンを入れよう。キッシュ・ロレーヌだ。それなら以前作ったこともあるから失敗もない(もはやコロネーション用ではなくただのキッシュだけれど)。

当日、金曜日の午後にキッシュ作り。フード・プロセッサーに小麦粉と角切りにした冷たいバターを入れてガリガリッと回し少しの冷水を加えてまたガリガリッと回したら生地の出来上がり。生地に触らないようにまとめてラップに包んで冷蔵庫で2時間寝かせる。その後、中身は旦那Aに任せた。タルトの生地を型に伸ばしてタルトの皿を作ったら、中身は…炒めた玉ねぎ、ベーコン、それに3種チーズとゆでほうれん草をタルト皿に散らし、上から卵とクリームを混ぜたものを流してオーブンで焼く。それにサラダやズッキーニ炒めなどを沿えてうちのコロネーション・ディナーの出来上がり。おいしかった。


テレビのチャンネルはBBC。戴冠式はこの地の真夜中0時から開始だが、夜の10時半頃にテレビを点けたらもう番組が始まっていたので風呂に入った後テレビの前に座る。そして朝の4時までライブで全部見た(物好きである)。王様と王妃様が豪華な黄金の馬車に乗ってバッキンガム宮殿に到着し、王族の方々がバルコニーで手を振った後、宮殿の中に入っていったところで特別番組は終了。ああ感無量。すごいね。やっぱり。派手派手だった。


去年エリザベス女王様の国葬のことを書いた時に、英国の王家の祖先は元々強い軍を持った勝利者であり(形式上とはいえ)現在も王や女王は国の軍隊の最高司令官であると書いたのだけれど、今回のウェストミンスター寺院から宮殿までの行進も大変豪華。本当にすごい。BBCが史上最大の軍人が並んだと言っていたけれど本当にすごいものだ。メディアの情報によると今回の戴冠式は前回のエリザベス女王の戴冠式よりも規模を小さくした(簡素化した)というのだから恐れ入る。英国王室は健在なり。大したものだねぇとまたまた感嘆する。軍服に馬上のアン王女が今回もかっこよかった。

戴冠式の行われたウェストミンスター寺院の中でのセレモニーは完全に宗教的儀式の様子。「So help me God.」が度々唱えられる。王権とは神から与えられたものである…との中世からの理念にもとづいた儀式だろう。これは今の時代の現実的な解釈をすれば宗教的な意味と共に、今までほぼ千年の間守られてきた伝統を次の世代が受け継いで守ることを公の場で誓う儀式という意味でも行われているものだろう。

しかしその現代的な解釈がどうであれ、チャールズIII世御本人とカミラ王妃は、あの厳かな儀式の瞬間に神様や祖先の方々の存在を実際にお感じになったのではないか。(私の想像ではあるが)古の時代から王や女王は儀式を通ることで彼らに与えられた使命を実感する…そのための大切な儀式なのだろう。伝統は大切だと私は信じる。リスペクトを込めて。


あれほどの豪華な、言葉ではほぼ言い表せないほどの歴史的な儀式を見た後、「王室は時代に合わないから」とか「不経済である」などの理由で、王室と王室の儀式を止めてしまうことが英国の国民にできるとは私には思えない。英国は、今でもあのような伝統を守っているからこその英国で、英国の王室は英国の大切なアイデンティティのひとつ。伝統的な儀式を継承していくことはやはり大切だと私は思う。

それは日本も同じ。長い時間をかけて守られてきた伝統は国のアイデンティティとなる。大切に守って欲しいと心から願います。

チャールズIII世の戴冠式が拝見できてよかったです。大変感慨深い。

God Save The King!