2025年12月26日金曜日

クリスマスの実験その2・ロースト・ビーフ



さて今年のクリスマスの目玉。今年は人生初めて真面目にロースト・ビーフに取り組もうと思った。

以前からロースト・ビーフにはあまりいい印象がなかった。そのようなお題で2012年にもこのブログに文句を書いている。


英国にいたとき、私はおいしいロースト・ビーフを食べなかった。旦那Aの同僚のアメリカンな奥様方とロースト・ビーフの専門店に行ってロブスターを食べていた。阿保である。

そんなわけで私はロースト・ビーフのことをよく知らなかった。この地に来てレストランで食べるまでは。2012年にロースト・ビーフの文句を書いてから、その後この地でプライムリブのローストを食べる機会が何度かあった。確かにおいしかった。なんだなんだなんだ…いいものを食べれば美味しいではないか。そういうことか。そういうことだ。そのプライムリブを食べるまで私は美味しいロースト・ビーフを食べていなかったわけだ。納得した。

しかしその後も自宅でローストをしたがやっぱりそれほど美味しいわけではなかった。安い肉、小さなサイズ、焼き過ぎてぱさぱさになったこともある。失敗が続いた。
…結局はいいお肉を買わなければプロの作るものほど美味しいものは作れない。それなら自分で焼くのはやめよう…となんとなく思い込んでいた。


今年なぜロースト・ビーフを思い立ったのかわからない。25日のディナーをやめて24日にしようと23日にスーパーにお肉を買いに行った。クリスマスの直前だからなのか、肉売り場に大量の巨大な肉の塊がたくさん並んでいた。驚いた。ビーフも様々な箇所の塊。大きなラムも、ポークもガラスのケースにみっちり並んでいる。

そうか…みんなクリスマスはローストなのか…。

もしかしたらそれを見てその場でロースト・ビーフにしようと思ったのかもしれぬ。よく覚えていない。今年は大好きなラムはやめて、まず基本のビーフに真剣に取り組もうと旦那Aと話し合う。

ガラスケースの中には長いテンダーロイン。1ポンド/453グラムの値段が高い。その下に紐で巻かれた大きな丸い塊。その塊の値段は1ポンドの値でそれほど高いと思わなかった。ああこれくらいならいいんじゃない?それで旦那Aが買っている間、私は肉売り場から離れて他のものを見ていた。

肉の塊の包みをカートに入れてやってきた旦那A。「いくらだった?」と聞けば、なんと1ポンドがお手ごろ価格だと思った肉は 2.8ポンド/1.3キロの大きさだった。なんと値段は名札で見た値段の3倍に近かった。目を丸くする。うなずく旦那A。その値段にびびる夫婦。どうやらプライムリブを買ってしまったらしいと後で知った。

なんとかやってみよう。これでダメなら二度とうちでローストをやらなければいい。覚悟を決めた。23日の夜に様々なネット上の情報を見て焼き方を研究した。


思う以上に狼狽えていたのかもしれぬ。私は24日の朝に早く目を覚ました。冷蔵庫から出した方がいいのか。一旦肉を冷蔵庫からとり出し、カウンターに置いて数分後にまた元に戻した。YouTubeで焼き方を検索したら「塩を塗り込んで4時間以上~一晩寝かせるするのがよい」という情報が出てきた。旦那Aが起きてきたので同ビデオを見せて「どうする?塩塗る?4時間以上寝かせるんだってよ。この人は18時間寝かせたと言っているよ。今日に間に合わないじゃん」

結果、4時間寝かせるだけなら24日のディナーにまだ間に合うので、そうしようということになった。午前に肉に塩をすり込み冷蔵庫にしまう。

その後、ヨークシャー・プディングを作ったらびっくりするほど上手くいった。それで気分が上がった。


今回のローストはとにかく本格的にやろう…と思った。肉が大きいので全てオーブンで処理する。フライパンで焼かない。ローストの方法が2通り出てきた。

①最初に高で焼いて肉汁を閉じ込め、後で温度を下げて焼く方法。そして②最初に低で焼いて後から高温にする方法。さてどちらだろう。②は肉汁が出てくるのではないか?それなら先に高音で肉汁を閉じ込める①にしよう。

高音で焼いて、その後オーブンの温度を下げ、温度計を肉に刺して中の温度が140°F/60°Cになるまで焼き、その温度に達したらオーブンから出してアルミホイルを被せて15分から30分…別のビデオでは30分以上90分まで放置とあった。

今回実際にやってみた作業の順番と数値を書いておこう。

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午前中に 2.8 ポンド/1.3 キロの肉を冷蔵庫から出す。
● シャープなナイフで余分な脂身と青みがかって見える筋を取り除く(後でソース用に使うのでとっておく)
● タコ糸で縛って形を整える。
● 塩大さじ1(以上)胡椒を適量すり込む。
● 冷蔵庫に戻す。カバーをせずに表面を少し乾燥させる。
● (最低)4時間後、肉を冷蔵庫から出し1時間。肉を室温に戻す。
● オーブンを500°F/260°Cにセット。
● バターとすりおろしガーリック/オレガノ/ローズマリー・タイムを混ぜてペーストをつくり、それを上に塗る(これは間違った方法、しかし大丈夫だったので一応記録)
● オーブンが温まったら、脂身を上にして肉をラックに乗せてロースト開始。
 500°F/260°Cで、20分間ロースト。お肉の外が焼ける(Maillard roasting)。
● 肉を取り出す(アルミを被せた)。オーブンを消してドアを開け温度を下げる。
● おそらく30分後、オーブンを325°F/163°Cにセットしてリスタート。
● オーブンが温まったら、肉をオーブンに戻す。アルミは被せない。
● 刺した温度計…肉の中央が145°F/63°Cになるまで焼く。目標の温度に達するまであまり時間がかからなかった。
 肉の温度を度々チェックする。温度が大切。時間は肉による。
● この温度の設定は、焼けた状態がミディアムになる設定。
● 肉の中央が 145°F/63°C になったら、肉を取り出す。
● アルミホイルを被せて、40分間放置(私は加熱不足、旦那Aは加熱し過ぎを心配した)
● 出来上がり。

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塩をすり込んでしばらく寝かせる
高音で焼いた後 この後ベーキングシートは取り換えた
できました


たぶん途中でちょっと間違ったと思う。ガーリック・ハーブ・バターは焼き上がった後に塗るべきなのに焼く前に塗ってしまった。だからバターはほぼ溶けてトレーに流れた笑。

それでも信じられないほど美味しいロースト・ビーフが出来た。レストランで食べるのと同じ味。なんとなんと極上のロースト・ビーフが出来てしまったらしい。これは嬉しい。とても嬉しい。

お肉の質が良ければ丸ごと全部美味しい。翌日も十分美味しい。どこを食べても柔らかいのに驚く。塩をすり込んだのがよかったのか、お肉のどこを食べても味がある。とても美味しい。

なんだこんなに美味しいのならまたやりたいね。なかなか出来ないけど大切な日のディナーならいいねと言えばうんうんとうなずく旦那。それにこんなに沢山お肉を食べられるならあの値段にも悔いはない。満足の方が大きい。半年分ビーフを食べた感じだ。

今年のクリスマスはとてもいい学びができた。実験は大成功。


新しい実験に夢中になって、クリスマス・ディナーのプレッシャーが無くなったのもよかった。ディナーも義務に感じると面倒だし苦しいが、新しいことに挑戦するならまた楽しい。毎年こういう感じでなにか新しいことに挑戦すればいいのだなと思った。それも学び。


クリスマスの実験その1・ヨークシャー・プディング



ヨークシャー・プディングを作ろうと思い立った理由は…

ロースト・ビーフを作ろうと、YouTubeで手順を確認していたら「ヨークシャー・プディング」のビデオを見付けた。覗いてみたらなんだか簡単そうだ。じゃあやってみようと24日のディナーの日の午前中に作ってみることにした。人生初めてのヨークシャー・プディングに挑戦。

レシピは英国のシェフのおじさんのビデオ。このとおりに作ってみた。おじさんの声が優しくて癒し。


12 Traditional Yorkshire Puddings: A Christmas Dinner Essential
https://www.youtube.com/watch?v=iNib0TeLHSI


卵を混ぜる人
卵に小麦粉、塩、牛乳をただ混ぜるだけ
とろとろの生地をあらかじめ熱した型に流し込んで210°Cのオーブンで25分。油はラードがないので植物油を使った。バターはダメだそうです。
立ち上がり始めるプディング
盛り上がってまいりました。オーブンが汚いな
なんだかすごいぞ
出来た。感動。
すごいすごいすごい、できるもんだね びっくり
試食 味もお店と全く同じ 感動

というわけで午前から無茶苦茶気分が上がりました。実験は楽しいな。



ローストのクリスマス・ディナー



今年は王道をかましました
無茶苦茶うまくいったので記録

メニューはロースト・ビーフにロースト・ポテト、ヨークシャー・プディング、芽キャベツ炒め、茹でインゲン。
盛り付けに脂身を切り落としてしまった合理的な旦那A、私は大きなカットをそのまま。ナプキンが紙…布を買わなきゃ。
 No-nonsense、シンプルな王道
ビーフにBordelaise sauce…ワインはボルドーではないけど。ホースラディッシュ・ソースも。
チーズは赤ワインに合わせてハードチーズ…Kaasaggio Gouda、English Chedder、Appenzeller。
灯の光がワインを通ってキラリ
デザートはエスプレッソとラム・レーズン・アイスクリーム(お腹一杯で他に入らない)
25日にはあらためてクリスマスプディングをバニラ・アイスと



本来クリスマス・ディナーは25日なのだけれど今年は24日のイブに。

2年前に12月25日のクリスマス当日、ビーフ・シチューを3時間煮込んだつもりがストーブの火が消えていて食べられず。26日に食べることになって盛り上がらなかったので、今年は失敗を見込んで24日のディナーにした。もし24日に料理を失敗しても25日にディナーを食べられればよい。24日のディナーなのでプレッシャーもなく気分も楽。そのせいかご飯もうまくできた。

24日の午前中に急に思いついて(人生で初めて焼いた)ヨークシャー・プディングが上手く焼けて嬉しくなった。ものすごく気分が上がってやる気満々になり、その勢いで焼いた(人生初めての)高い肉のローストも大傑作。お店と同じ味になったので驚いた。

それならテーブルもそれらしくセットしようぜと思い立った。写真のシルバーウェアの置き方に迷いが見える。旦那Aの置いたアメリカ式(面が上向き)のセットを見て「下向きじゃないの?」とフォークだけ下に向けたがスプーンに迷った。ご飯の後で調べたら、ヨーロッパは全て下向き。アメリカンは上向きだそうだ。

※追記・訂正…下向きは古式なフランス式らしい。フランスでもレストランでは上向きが多い。英国も上。下向きはあまり無いということでしょう。今はフランスも下向きはフォーマル、古いレストランか家庭のプライベートなディナーだけらしい。私どうして下向きと思ったかな~…以前どこかで見たのと、英国でフォークの面を決して上に向けない友人がいたこと…それで情報を混ぜたのかも。


25日の当日は料理をしなくてよかったのもいい。プレッシャーがないのはいい。クリスマスの日の車の少ない道路を自転車に乗りにいった。

今年のご飯は大成功。プレッシャーがないからクリスマスごっこも楽しくできた。来年も24日にしよう。


2025年12月23日火曜日

Season’s Greetings 2025🎄🎄🎄




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🎄🎄🎄 Happy Holidays !!!🎄🎄🎄

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Merry Christmas!!!




今年も無事終わりそう。
クリスマスホリデーを満喫中💕
旦那っちがご飯を作ってくれるので
私は嬉しい


Have a wonderful holiday season~

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2025年12月22日月曜日

映画『コネチカットにさよならを/The Land of Steady Habits』(2018) :完璧な人生…成功者の闇






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『The Land of Steady Habits』(2018)
/米/カラー
/1h 38m/監督:Nicole Holofcener』
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旦那Aがクリスマスの休暇を取っているのでまた一緒に映画を見る。もう殺人事件もスーパーヒーローもいらないから「普通の人々」の話が見たい。普通の人々の普通の話。またまたNetflixを探していたらそれらしい映画が出てきた。この映画も1時間半ぐらいの長さ。いいですね。どうやら中年男のミッドライフクライシスの話らしい…。


この話は、米国東海岸のWASP/White Anglo-Saxon Protestant(必ずしもWASPである必要はないが、成功者の人生を送ってきた男)が、その頑張り過ぎた人生から逃げ出す話でしょうか。コメディとしては結構暗い。


最初は単なる中流階級サラリーマンのミッドライフ・クライシスの話かと思っていたのだけれど、この映画に出てくる人々は中流ではない。大変裕福な生活を送る人生の成功者の話。

主人公アンダース・ヒルの住む場所はコネチカット州のウェストポート。主人公はすでに退職しているのだけれど、以前は金融業界に勤めていた。ウェストポートとは、住人がNYマンハッタンのウォールストリートまで電車で通勤できる距離で、金融業界で成功した者の多くが落ち着く土地のひとつだそうだ。コネチカット州のグリニッジの辺りにもまた金融関連の会社が多く、NYに近いグリニッジからウェストポートの辺りまでは富裕層が住むエリアとして知られている。

この主人公アンダースもまさにそのような土地に住む成功者の一人。元ウォール・ストリート勤めの退職者。しかし離婚して家族で住んでいた豪邸は妻に与えた…その家はおそらく350万ドルぐらいだろうか(5億円以上?)。豪邸です。5ベッドルームの大きな家。広大な土地にプールもあるのかな。そのような豪邸に暮らすためには家の維持費も大変。税金や保険もとんでもなく高い。そのような家に10年20年も住む人々は大富豪。普通の一般人の感覚とは全く違う人々だと思う。


ウォールストリートで大成功してウェストポートに豪邸を購入(ローンはあるが)。近隣には弁護士なども多く、周りの家全てが富裕層。そのような土地に住む家族は夫も妻も優秀な人々。子供も私立のいい学校に入れて…寄宿制ボーディング・スクールに入れたりする(=子供が面倒なティーンになった頃に都合よく家から追い出してしまう)。5ベッドルームの家は美しく整えられて、調度品の全ても品よく収まっている。妻は度々30人以上集まる立食のパーティーを催す…彼女は優秀なホステスになって多くのゲストをもてなすのがお決まり。妻も夫も「成功/サクセス」の言葉の元に努力を惜しまない。彼らは常に「勝たなければならない、正しくあらねばならない」。そのためのハードワークは当り前、清く正しく日々勤勉(WASPの信条)、どこまでも正しい人生を走り続ける。諦めることなど決してあってはならない。人生は必ず成功させなければならない…。

ふぅ…書くだけで疲れる。

アメリカの東海岸の中流階級以上の人々というのは多かれ少なかれ真面目で勤勉。プロテスタントの信条でしょうか…真面目に働いて清く正しく生きる…その信条を貫くために、アメリカにはかなり堅苦しい生き方をしている人が多いと私は思う。普通の中流階級でも東海岸にはそのような人々がかなりいる。



そしてもし彼らが普通以上に大きな成功を目指すのであれば…彼らはただHardworkなだけではない、彼らは間違いなくDriven、Commited、そしてExtremely competitive。そして仕事だけではなくジムにも通って筋肉をつけ、それでもまだ足りないとトライアスロンに挑戦したりする…彼らは超人を目指すような人々。そして成功の証明=お金を稼ぐ=裕福であることは何よりも大切。Greedなどという言葉も1980年代のヤッピー(Young Urban Professionals)の時代には「美しい」とさえ言われていた。


この映画の主人公は50代前半ぐらいでしょうか。彼らはヤッピーには遅すぎた世代。ヤッピーに憧れた世代なのだろう。頭も良くいい大学を出て、ウォールストリートでインターンから始めて、周りと競争しながら努力努力を続けた。必死になって成功を追い求め続けた。走り続けた。

時代が変わってヤッピーの時代が終わっても、彼らは次の目標を見つけて努力をし続ける。優秀な女性と結婚したら夫婦共に高みを目指す。妻は富裕層の住む郊外の土地に大きな家を求め、メルセデスを運転し、子供をいい学校に入れることも当然。そのために夫は馬車馬のように働く働く働く。

そしてこの主人公は燃え尽きたらしい。


この話は、完璧な成功を求めて働いて働いて働き続けた男アンダース・ヒルの…張りつめていた糸が切れたところから始まるストーリーだと思う。燃え尽きて奥さんとも別れ(豪邸は奥さんに与えて)彼自身はそのハイ・スタンダードの生活から逃げ出して、こじんまりとした小さな家を買って新しい生活を始めた。

普通の生活をして見えてくる…彼の過去の生活での歪み。裕福なら裕福で…その高い生活レベルを保つために無理をし続けることで様々なゆがみが生じてくることもあるのだろう。アンダースの息子プレストンは名門ノースウェスタン大学を卒業したにもかかわらず、ドラッグ中毒になってリハビリセンターに送られた過去がある。彼はその後もまともに就職もせずにふらふらしている。またアンダースの元・隣人アシュフォード家の息子チャーリーは、ボーディングスクールにいる間にドラッグ中毒になった。チャーリーはあまりにも厳しい両親をナチと呼び嫌う。

アンダースが逃げ出したかったのは「完璧な郊外の家」「さらなる高みを目指すために限りなく要求する妻」「堅苦しい成功者ばかりの美しい家並み」… 全てが成功の証明のための…美しく完璧な人生。彼はその全てから逃げ出したかったのだろう。



過剰なまでに極端に成功を求め続けることで生じる闇

…そのようなものが描かれているのだろうと思いながら見終わった。面白かった。私は以前からアメリカのプロテスタントの「真面目に生きなければならない、正しく生きなければならない」と型にはまった生き方しかできない堅苦しい人々がとても苦手(嫌い、マジでぞっとする)なので、なるほどなるほど…やっぱりそうだよねなどと思いながら見続けた。
  

成功者でいるのも大変ですね。
おつかれまです。
人生もっとゆるくてもいいと思う。


チャーリーが一番同意できる。
彼は面白いアーティスト。
あの才能を伸ばしてあげたい。
(海亀は美大出)


2025年12月20日土曜日

Alok & DENNIS – Mimosa (Now And Forever) feat. Nyasia (2025)



パーツ的な



Alok & DENNIS – Mimosa (Now And Forever) feat. Nyasia (2025)
Mimosa (Now And Forever) [feat. Nyasia] – Single (2025)
Alok & DENNIS
Released: October 31, 2025
℗ 2025 Alok Music/B1 Recordings, 
a Sony Music Entertainment company



これは今年中に取り上げておきたかった。ここのところUKのダンス・チャートに入っていた曲。

こういうやつです。今どきのK-POPと比べて欧州のダンスミュージックは単純でシンプル過ぎて、パーツだけで曲になってるようなものが多いと言っていたのは。

確かにかっこいい。若者がこの曲をいいというのも理解できる。ダンスに特化した機能的な曲と言おうか…確かに踊るのには何の問題も無し。DJがこれを延々と流せば会場は盛り上がるだろう。

しかしこの曲は、昔の「曲」で言えば間奏です。昔はダンス曲でも、バースがあってコーラスがあって、間奏が入って、ブリッジが…などという風にもっともっと曲が展開していた。今は間奏だけで曲が1曲できてしまう。だから今はK-POPの曲の方が面白いかもな~と思う。

でもかっこいいので記録します。


★Alok
Alok Achkar Peres Petrilloさん。1991年生まれ33歳。ブラジルのmusician、DJ、record producer。2021年からDJ MagazineのベストDJランキングで4年間連続して世界4位。ブラジルで一番成功しているDJ。彼の両親がインドに旅行した後で彼を名付けたそうでAlokはサンスクリットで「光」の意味だそう。

★DENNIS

Dennison de Lima Gomesさん。ブラジルのDJ、シンガー、プロデューサー。Techno、funk、hip-hop をダンス曲にブレンドするスタイルで知られる。Latin and Funk Carioca music sceneでは有名な存在。

★Nyasia
Blanca Batista Santiagoさん。米国フロリダ出身のシンガー。Freestyle musicとdance-popで知られる。


歌詞はこのような感じ


たった一度触れるだけで 私は…
たった一度触れるだけで 私は…
—感じる
—ボディが降参する…
たった一度触れるだけで 私は…
—感じる
—感じる







映画『セッション/Whiplash』(2014) :よく出来た映画、しかしスパルタ式には向き不向きがある





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『Whiplash』(2014)
/米/カラー
/1h 46m/監督・脚本:Damien Chazelle』
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昨日鑑賞。Netflixの映画リストで見つけて、これも2時間以内だったので見てみようということになった。2015年の米アカデミー賞では最優秀助演男優賞を含む3部門で受賞。そのこともあって以前から見ようと思っていた映画。

映画としてとても面白かったです。

緊張感がいい。複雑にならずにストーリーを先生と生徒の話に絞ったのがいい。1時間50分以内でピリッと緊張を保ったままストーリーの軸がブレなかったのがとてもよかった。(こういう映画は色々とサイドストーリーを広げて2時間以上にすると焦点がぼける).



ストーリーの主軸は、

生まれ持った才能のある生徒/その自覚もある/努力家で真面目/真剣で勤勉だが/尊大で/大きなプライドと/アティチュード(気概)もバリバリの…若いドラマー。

アンビシャスな教師…自分の特殊な指導方針が「歴史に名を残す偉大なアーティストを育てることが出来る」と心の底から信じている傲慢な教師。

この二人が1時間以上をかけて戦い戦い戦い続ける映画。その戦いが面白いから…それぞれのエネルギーが上になったり下になったりするので…目が離せない。大変緊張するし、心つかまれる映画。よくできてます。



どうだろうな…、この映画を見て「世界的なアーティストを育てるにはこれぐらいの昭和のスポコン的な「しごき」が必要のか」と感心する人はいるのだろうかと思った。それでも最後はいい気持ちで見終われるのでね。映画にもいい印象が残ります。



しかしあの鬼教師の指導方法はダメやろう…と年寄りの私は思った。

あのやり方ではほとんどの生徒が潰れますね。実際にそのような話も出てくるわけで。「あれが音楽のいい指導方法か」という問いには全く同意できない。あれはダメです。

あの先生はナルシストでしょう。「俺だけがこの卵を可愛がって…叩いても叩いても立ち上がってくる、俺についてこれる奴だけが世界に通用するアーティストになれる」…などという信念を長い間信じ続ける男というのは、生徒を育てることよりも、自分の指導方法を無理矢理無垢な生徒に押し付けて悦に入ってるサディストでしょう。

あの教師は最初から最後まで下衆野郎。 
芸術のために全てを捨てた…とても歪んだ人物に見える。

それは私が年寄りだからわかる。

あの教師は今までにもあの abusive な指導方法で問題を起こしているはずなのに、決してあの指導方法を止めない。それは彼がナルシストだから。「俺にしか本物の才能は見えない。俺のやり方でしか抽出できない才能がある」と思いこんでいる自己満足。


この映画を見ていて思い出したのは軍隊の指導教官。映画なら『フルメタル・ジャケット/Full Metal Jacket』『愛と青春の旅立ち/An Officer and a Gentleman』の教官のしごき。しかしあれは軍隊の話。ミリタリー・スクールは軍人を育てる学校…厳しいトレーニングで軍人の強靭な精神力を導き出す目的がある。だから軍隊には厳しいトレーニングも必要なのだろうと思う。
…旦那Aによると、この映画のような厳しいトレーニングはスポーツならいい結果が出ることも多いそうだ。アメリカのテニス・コーチに有名な鬼指導員がいたらしい。スポコンですね。


しかしこの音楽学校はミュージシャン、アーティストを育てる場所。クリエイティビティを育てる場所。あのような虐待で生徒を叩いても、あまりいいものは出てこないと私は思う。

どうでしょうね。私が今書いていることが正しいのかどうかもわからないけれど…。しかし音楽の指導に(いや芸術の全てに)私は abuse/虐待が必要だとは思わないのよ。歴史に名を残すほどの天才の才能は、虐待をしなくても出てくるときには出てくると思うから。モーツァルトの才能が酷い虐待から生まれたとは思えない(よくは知らないが)。そもそも天才は世の中にそれほど多くいるわけでもない。

この映画を見ていてそのようなことを考え続けた。
芸術の才能は叩いて虐待して出るものじゃないと私は思う。


この先生を見ていると…もし(今の)私が彼の生徒だったら、ただ反抗、抵抗しかしないと思う。人をあのように扱う人間には怒りしか湧かない。今の私なら徹底的に言葉で戦ってたぶん殴る。しかしもし18歳だったらきっと恐怖で萎縮する。


この映画は、あくまでも教師と生徒のバトルの話。最後にいい結果になったのは、鬼教師と生徒の相性がよかったからだろう。確かにあの生徒の馬鹿力は引き出せたわけで目的は達成。会場で観客を無視してソロを続けさせるとか…あまりリアルではないと思うけれど、それでもとてもいい気持ちで映画を見終わることが出来たのはいい。ファンタジーとも言える。


それにしてもあの生徒もなかなか傲慢な若者で…友人だか親戚だかとの食事会でも、傲慢かまして鼻持ちならない。おじさんに「友達はいるのか?」と聞かれて「友達はいらない。俺は世界一の…」等々と言い返していきり過ぎ。「おれは世界一のドラマ―になるから他の奴らはみんなゴミなんだよ」的なことを考えてるし、人前で口にもするし…なかなかアンビシャスな若者で… 君、あおいね笑。 

いやいやいやいや…彼の若さからくる傲慢さを否定するわけではない。若い時はそれくらいの傲慢さも必要。それが頑張りの活力になる。


彼が先生に殴りかかったのはすっきりした。あのような下衆野郎は殴ってよろしい。もしそれで学校を追い出されたら、西海岸の学校に入り直せばいいんじゃないの? 彼は元々の才能があるんだから。一つの学校、一人の教師に人生を賭けてこだわる必要はない。

まぁ色んな事を考えさせられました。とても面白かったです。
音楽学校を出たプロのミュージシャンの感想も聞いてみたい。


青年よ、大志を抱け!!!