昨日10月4日に行われた副大統領候補のテレビ討論。
今回の討論の両候補は、
クリントン候補側=ティム・ケイン/Tim Kaine氏
(民主党/The
Democratic Party)
対
トランプ候補側 =マイク・ペンス/Mike Pence氏
(共和党/The
Republican Party)
海亀の点数
ケイン候補5.6点
対
ペンス候補4.4点
いや~どちらがいいのか悩みました。今回はガチの喧嘩。もう大変よ。そもそもテレビ討論ってこんな風でいいんですかね。お二人とも国民の前で喧々囂々ガチの大喧嘩。決してお上品とは言えない。
討論の印象は、
頭も舌も良く回るが
少し黙って相手の話も聞きましょう熱血漢
対
軍拡が最大目標の礼儀正しい紳士
特にヒラリーさん側のケイン候補は噛み付かんばかりに吼えてました。相手のペンス候補が話している上から被さるようにガミガミ吼え立てる。決して印象がいいとは言えない。まーうるさいうるさい。
途中で司会者が怒った…
People at
home cannot understand either one of you when you speak over each other. I
would please ask you to wait until it is that the other is finished.
(家で見ている視聴者は、お二人が同時に話すとどちらの言う事もわからないんです。どうか一人が話し終わるまで待ってください!)
…思わず「そうだそうだ!」と叫んでしまったぞ。そんな調子でお二人とも最後までガミガミやりあってました。
まずとにかくケイン氏があきれるほど攻撃的。下準備もよくなさってたのでしょう…多くの具体的な政策を明確に提示。話す情報の量がものすごく多い。司会者の問いかける質問に対し、マシンガンのように情報をまくし立て、その上でトランプ氏への非難を付け加える。頭も回るし舌も回るし…本当によく喋る。話に澱みがない。攻撃攻撃攻撃。相手が話し終わるまで待てずに、被さるように話し始めるのは気が短いんでしょうか。非常に有能だけれど直情的な熱血漢。マッチョで攻撃的。あまりいい印象ではないけれど、たぶん正直な人だろうとは思う。
一方ペンス氏は紳士的。丁寧。慇懃。いかにも古き良きアメリカの形式的な紳士風なんだけれど、実際モタモタしていてもったいぶっているようにさえ見えてしまう。さっさと本題に行けばいいのに。ケイン氏の攻撃、それから司会者からのトランプ氏へのツッコミ質問にも明確に答えることはなく、他の話を始めてはぐらかしてしまうのももどかしい。紳士的な態度は政治家の技。紳士的でも正しい事を言っているとは限らない。個人的に一見紳士的でありながら本質は失礼なアメリカ人を知っているので、こういう人には警戒してしまう。
まとめと感想の前に討論の内容を記録。討論を見ながらメモを取ったものなので抜けている事柄もあると思う…おおまかな内容。ネット上にある討論を書き起こしたものも全ては読んでいない。▲印は相手に対する攻撃。
●討論の内容
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★ティム・ケイン氏(民主党/The
Democratic Party)58歳
具体的な政策の案を話してました。そのリスト。
自己紹介とクリントン氏の援護スピーチ。
トランプ氏を非難…差別主義者だ★喧嘩
クリントン氏の外交政策の実績を賞賛★喧嘩
●経済を立て直すには?
①工業、設備への投資+クリーンエネルギーをリサーチ ②労働者の教育、幼児教育、教師の育成、低所得家庭の子供には無料の教育を ③最低賃金を上げる。女性への報酬を平等に ④中小企業を応援 起業を奨励 ⑤中小企業をターゲットに減税、大企業には増税。▲トランプは最低賃金を無くし、大企業への税を下げると言っている。★喧嘩
●社会保障は?
民営化しない。▲トランプは民営化すると言う。
●人種問題/警察は仕事が多すぎ?
警察と地域コミュニティーの繋がりを強化し犯罪の低下に繋げる。警察側にも偏見があるので改善。銃規制は購入者のバックグラウンド・チェックを。▲トランプは警察を強くするだけ。トランプは差別主義者で偏見の塊。ペンスさんが彼の味方をするのが信じられない。★喧嘩
●移民問題
①移民政策の改善 ②危険人物へ法の執行 ③国境のコントロールを強化 ④勤勉な移民には市民権を。▲トランプは1600万人を国外追放。
●テロリズムは(現行の政府の元で)増えたか減ったか?
何とか/ともかく/ある意味(Somehow)減ったと言える…その例。 ▲トランプはダメダメダメ
●国内でのテロは
▲トランプの移民政策は差別を助長する。ペンスさんが彼の味方をするのが信じられない。
●Intelligence Surge(テロリストに対し内外の様々な情報戦・ハイテク分野からの協力)←よくわからない
①ベストな人材と機材の確保 ②他国との協力。▲トランプはNATOさえ否定した。★喧嘩
●シリアの市民がロシアからの爆撃に晒されているのをどうするか?
①救済の安全地帯を確保 ②アメリカのパワーを行使 ▲トランプはプーチンを認めている。トランプは世界中が核を持つと言う。(トランプのような)狂った人間が(核の)ボタンを押すかもしれない。ペンスさんが彼の味方をするのが信じられない。
●米国とロシア
プーチンは独裁者。
●北朝鮮
(脱線して)▲クリントン財団は慈善団体。トランプ財団は私欲のため。
●北朝鮮が核を保有したら先制措置をとる?
回答無し。経済制裁を加える。中国との関係。
●信仰について
カトリック信者だがそれで政策を曲げることは無い。中絶は女性が自分で決めることだ。▲トランプはマッケイン氏を侮辱し、メキシコ人を侮辱し、アフリカ系を侮辱し、女性の中絶は犯罪だと言う。なぜそんなトランプ氏を信頼出来るのか。
●国を団結させる為に
党派を超えて協力し合う。
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★マイク・ペンス氏(共和党/The
Republican Party)57歳
一方ペンス氏の内容は。
自己紹介とトランプ氏の援護。
現行の政府をこき下ろす…クリントン財団を非難★喧嘩
クリントン氏の外交政策の実績を非難★喧嘩
●経済を立て直すには?
減税。今の状態は現行の政府のせい。オバマケアなど現行の政策は無効に。経済を発展させ負債を減らす。トランプ氏の税金問題への質問には答えない。★喧嘩
●社会保障は?
高齢者の権利を守る。減税。
●人種問題/警察は仕事が多すぎ?
ケインさんに同意。刑事司法制度の見直し。 ▲ヒラリーは警察側に偏見があると言う。★喧嘩
●移民問題
不法滞在者を取り締まる。国境をコントロール。犯罪者は送り返す。▲ヒラリー氏のトランプ氏への侮辱キャンペーンは酷い。
●テロリズムは(現行の政府の元で)増えたか減ったか?
悪化した。 ▲ヒラリー氏のせい。彼女ではリーダーシップが取れない。
●国内でのテロは
移民政策を改善。怪しい人物は国内に入れない。
●Intelligence Surge(テロリストに対し内外の様々な情報戦・ハイテク分野からの協力)
▲ヒラリーは個人のサーバーを悪用している。★喧嘩
●シリアの市民がロシアからの爆撃に晒されているのをどうするか?
①救済ための安全地帯を確保 ②アメリカを強くする。軍事予算を増やす。軍備拡張。現在の軍隊は小さすぎる。アメリカがもっと出て行って世界のリーダーシップをとらなければ。力でコントロールする。
●米国とロシア
ロシアが強く大きくなった。アメリカももっと大きく強くあらねばならない。アメリカを強く。
●北朝鮮
アメリカは軍備拡張。軍のパワーアップ。それが外交に影響する。強ければ強いほどいい。▲トランプの税を非難するのなら、ヒラリーの外国政府からの献金はどうなんだ。クリントン財団は外国の政府から金を受け取っている。
●北朝鮮が核を保有したら先制措置をとる?
回答無し。
●信仰について
キリスト教徒。▲ヒラリー+ケインは中絶を許している。中絶はいけない。生んで子供は養子に出せばいい。命は大切に。
●国を団結させる為に
現行の政府の政策は明らかに失敗。税制を変える。様々な事を変えていく。この国はもっと元気に堂々と立てるように強い国になるべき。軍を強くする。そして世界に尊敬(畏怖)されるアメリカになる、強いアメリカ、アメリカはもう一度力強く素晴らしい国にならなければ。
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●まとめ
一番大きな印象は、ケイン氏がトランプ氏を非難しながらも、質問に答え政策にも踏み込んだ具体的な話をしているのに対し、ペンス氏は減税と軍拡、強いアメリカばかりを強調していたこと。ペンス氏はトランプ氏の様々な疑惑を弁明することもない。非難されれば、反対にヒラリーさんと現行の政府を攻撃する。そうやってケイン氏とペンス氏が両サイドから攻撃を始め、司会者にたしなめられる場面が何度もあった。
喧嘩ばかりしている。
…大統領選の討論てこんな感じなのかと疑問に思ったのも、お二人の口論の印象があまりにも強かったから。話した内容よりも喧嘩ばかりしていた印象が残った。
米国のメディアCNNは今回の討論の勝敗を、
ケイン候補42%
ペンス候補48%
と出した。数字にそれほどの差は無いのだけれど、落ち着いて紳士的だったペンス氏の方が好印象だったんですね。討論の内容を見ればケイン氏が具体的な政策の話をしていたのは明白なのに、お行儀の良かったペンス氏が印象で勝った。これがテレビ討論の面白いところであり怖いところでもある。結局内容よりも印象の方が大きいんですね。
一方、また彼らが副大統領候補であることから、彼らが今回の討論で大統領候補のクリントンさん、トランプさんをどれだけ援護したか?…と言う質問(CNN)には、
ケイン候補58%
ペンス候補35%
ほお…なるほど。ペンス氏がトランプ候補を援護できなかったのは視聴者にも見えていたんですね。いやー私もペンスさんのような古き良きアメリカの代表みたいな方が、なぜトランプ氏をサポートするのかわからない。なぜなのだろう?
この大統領選は、個人的に共和党のトランプ候補があまりにも規格外すぎてありえない候補なので、完全にフェアには語れないんですよ。なぜペンスさんみたいな人が立候補しなかったんだろう。共和党はなぜもっと普通の人を選べなかったのだろう…?
冒頭に海亀の出した点数は、2人の候補の話の内容を聞いてケイン氏の方が具体的な政策に踏み込んでいたことによるもの。内容的にはケインさんが7点、ペンスさんが3点ぐらいなんだけど、ケインさんのあまりにも攻撃的で失礼な態度で1.5点程減点。結局あまり変わらない点数になってしまった。
ペンス氏に関しては、紳士的ながらもアメリカの軍備拡張しか言ってなかったことが大変気になる。トランプさんと共に軍拡をするんでしょうかね。怖いですね。本当に必要なのかな。
世界の軍事費のデータを見ると、近年のデータ(List by the Stockholm International
Peace Research Institute, 2016 Fact Sheet (for 2015))では、アメリカの軍事費は世界第1位で、そのサイズは世界のトップ15カ国の軍事費の合計の35%を占めるらしい。(Wikipedia)
↑ちなみに日本の軍事費は世界で8位だそうだ。
アメリカの軍事費は他に比べられないほど大きい。しかしペンス氏によるとまだまだ足りないらしい。軍事費を拡大すれば、国内の政策の予算は減ることになる。ペンス氏は経済、教育、医療など様々な国内の問題よりも、軍備拡張が大切だと言っているのだろうか。本当にそうなら数字にして見せて欲しい。
アメリカの外交政策に関しては正しい答えが全くわからない。軍拡が絶対にダメだと言えるほどの知識も私にはない。世界の軍事費の35%も有るのなら十分じゃないかとも思える。一方米国国内の問題は山積み。…軍拡ばかりを主張したペンスさんに同意出来ない理由はその辺りにあるのだけれど、絶対にダメだとの確信も持てない。
アメリカはこれからどうなるのか…?