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『KPop Demon Hunters』(2025)
/米・加/カラー
/1h 35m/監督・脚本:Chris Appelhans, Maggie Kang』
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今も大ヒット継続中だそうです。Netflixの『KPop Demon Hunters』。
私は普段から欧米の音楽の情報を集めていて、時々ビルボードのチャートをチェックしたりするのですが、このアニメ映画からのサウンドトラックが欧米でものすごい大ヒット。主題歌の「Golden」がビルボードのシングルチャートに初登場したのが7月5日。そして8月16日に1位。現在のシングルチャートは新旧のクリスマスソングだらけで普通の状態ではないのですが、それでもこの「Golden」は5位。チャートインしてからすでに24週間(6カ月間)にもなるそうだ。とてつもないモンスター級の大ヒットだと思います。
この歌のことは以前からチャートで見ていたし、1カ月前ぐらいまでは同作品のサウンドトラックから数曲が同時にシングルチャートにチャートインしていたと思う。作品全体が大変な大ヒットなのでしょうね。
なんとなく今まで延ばし延ばしにしていたのだけれど、数日前にXGの「GALA」でK-POP業界界隈の力を実感したのでこの映画も見てみようと思い立った。先週の週末に鑑賞。
面白かったです。ぶっちゃけ世の中がひっくり返るほど素晴らしい大傑作だとは思わなかったけれど(スマン)十分楽しめました。画面が今どきの映画らしくゲームみたいで飽きないし、曲もキャッチーで楽しい。なによりもアジアテーマのアニメーションが今どきの欧米の若者達に刺さるのがおもしろいなぁ…と感慨深かったです。
女の子3人のアイドルグループ「Huntrix」のメンバーはいかにもアメリカンなキャラですが、設定は韓国の国内なのかな。K-POPのアイドルの女の子3人が、デーモン(悪霊)を退治する…というお話。どうやら地下か異次元だかに、デーモン達(鬼のようなものか?)が暮らす世界があって、そこに(姿は見えないけれど)炎のような大王がいて現世界にデーモン達戦士を送り込んでくる。その戦士たちとは…。
なによりも全篇にK-POPが沢山で楽しかったです。女の子達はかっこいいし、アイドルの男の子達がいかにもK-POPの綺麗な細マッチョの男の子達笑。それにしてもあのパキパキの胸筋は、欧米の女の子達が好きなのかしらね。
猫の妖怪がいかにもアジアの装飾品のようなお顔で面白い。ちょっと猫バスも思い出した。あ、そうだ、紫の魑魅魍魎がうにゃうにゃ出てくるところも宮崎アニメに似ていますね。この韓国テーマの3Dアニメも日本のジブリも、西洋にはない「妙なもの、面白いもの」の造形やクリエイティビティが、欧米の若い人達に受けているのだろうなと思った。。
欧米の若い人々にとってはアジア発のアニメやゲームは、もう普通のエンタメなのでしょうね。思えば、旦那Aの親戚の小学生の男の子が2000年頃にポケモンカードを集めてました。その世代が、今はもう30代後半の年齢になっている。今どきの日本のアニソンの歌い手が世界でもライブをやってウケているのは、欧米にアジアのソフトが十分に受け入れられているということなのでしょうね。沢山の欧米の人々が(私の全く知らない)日本発の文化を楽しんでいるのだろうと思います。ちょっと感慨深いです。
そのような背景で、この『KPop Demon Hunters』も大ヒットしたのだろうと思います。韓国のK-POPが長い時間をかけて世界に発信し続けたこと。それから昨今の韓国の映画やドラマの大ヒットも同じ。大量に絶え間なく発信し続けた韓国/アジアの文化が、やっと欧米(世界)で歓迎されるようになった。それは本当に凄いことです。K-文化の成功は一日にしてならず。大きな拍手。
私は韓国の文化が世界に広がることはありがたいことだと思ってます。欧米は長い間自分達の文化以外の異文化を受け入れなかったのに、ここにきてアジアの文化が「ちょっとかっこいいこと」になりつつあるのかもしれません。それは本当に本当に喜ばしいことです。
(私は個人的には)文化の上では日本とか韓国とか中国とか…アジア内で喧嘩している場合ではないと思ってます。アジアの一つの国の文化が西洋で受け入れられれば、他のアジアの国々も恩恵を受けます。今まで頑なにアジアを下に見てきた欧米で、Kが流行ればJにも扉が開くということです。だからこの映画の大ヒットは私はとても嬉しい。
日本の「将軍」の大ヒットもそうだし、韓国の「イカゲーム」もそう。K-POPもJ-POPも海外にどんどん出るようになった。野球の大谷さんも山モーロも…アジア人の生み出す作品やスター達が西洋で頑張ってくれれればアジア全体の印象が上がっていく。そのことが私はとても嬉しい。
もうそろそろ…西洋よりアジアの方がかっこいい…と思われるようになってもいいよネと私は思います😊
元々このブログを始めたのは「Perfumeが日本でこんなに面白いことをやってるのだから西洋に出るべきだ」と言いたかったから。あれから14年も経って、アジアのソフトもここまでいけるようになったのだね…とちょっと感動してます。
全篇英語劇ですが、ボイスオーバーをしているのはほぼ韓国系の俳優さんの方々。ダニエル・デイ・キムさんとかケン・チョンさん、イ・ビョンホンさんなどの有名な俳優さんもいる。声だけなのに韓国系の方々ばかりを集めたのも、今どきの authenticity へのこだわりもあるのでしょうね。
それにしてもあの韓国の魔界(?)とは、韓国の歴史や伝統的なストーリーとして存在するものなのでしょうかね。日本の鬼みたいなものなのかな。この作品はこれだけヒットしたのだし、これからも続編がありそうですね。