この1週間、Lying-in-Stateのライブ映像ばかり見ていた
エリザベス女王がお亡くなりになって喪に服すような気持ちで1週間を過ごした。そのようなつもりはなかったのに先週からの1週間、英国で行われている儀式に毎日心を奪われ続けていた。
ウェストミンスター・ホールで行われていたLying-in-Stateのことをここに書いたのは先週の水曜日。それからも毎日度々BBCのライブ映像と情報をチェックし続けた。映像を見ている間は私も列にならんでいるような気がした。
毎日毎日英国の人々は何時間も辛抱強く列に並んでいた。参拝者はロンドンのみならず全国からも列車に乗ってロンドンに集っているとニュースはリポートしていた。一時は並んだ列の最後尾がSouthwark Parkのリミットを超え、参拝者の参加をしばらく止めた場面もあった。待ち時間は24時間を超えたらしい。あのデビッド・ベッカムが個人で列に並んだ話も後から知った。
たまたま映像を見ていて心に残る場面があった。
長身の高齢の男性がお一人。おそらく80歳は超えているだろう高齢の紳士。黒のスーツに白いシャツ、黒のネクタイで杖をついて参列なさっている。このお方は杖で身体を支えながらお一人で何時間も列に並んで女王様にお別れにいらっしゃったのだろうか。
そしてまた別の時に見たのは、おそらく50代後半から60歳ぐらいのご夫婦/カップル。細身の女性は、英国の国旗がそのまま全面にデザインされたTシャツを着て、明るく染めた金髪を頭のてっぺんで無造作に結んでいる。ジャケットを腰に巻いて下はジーンズのカジュアルな格好だけれどたぶん年齢は55~60歳ぐらい。そして男性はスキンヘッドで小太りの身体にSex Pistolsの有名な「God Save The Queen(女王の目と口の部分に文字が入っている)」のデザインの黒のTシャツを着ている。お二人とも昔は勢いのいいパンクスだったのだろう。40年前の若かった頃には「人間じゃねー未来もねー」などと歌っていたのだろう。その小太りスキンヘッドのおじさんが泣いているのに気付いた。左手をピンクの丸い頭から顎へ何度も撫で下ろしお顔をくしゃくしゃにして泣いている。彼はきっと誰よりも英国と女王様を愛していたのだろう。見ている私も泣きそうになった。
お別れにいらした人々は様々。東アジア系、アフリカ系、インド系、中東系、多くのヨーロッパ系、そして多くの純英国人。小奇麗な格好で深くお辞儀をする東アジア系の人々はもしかしたらロンドン在住の日本人の方々かもしれない。
日本からいらした天皇陛下がウェストミンスター・ホールにいらっしゃった写真もメディアで拝見した。アメリカからはバイデン大統領。たまたま私がライブ映像を見ていた時にも中近東の要人の方々がホールにいらしていた。
皆同じように女王様にお別れに会いにいらしていた。
そうやって最後の最後まで何度も何度もLying-in-Stateのライブ映像を開いた。