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『Giri/Haji(2019-)TV
Series – Season1/英/カラー
/約60分 全8話/Directed by Julian Farino, Ben Chessell』
Release Date: 17 October 2019 (UK), 10 January 2020
(internet)
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数週間かけて週末に1エピソードずつ視聴。混乱して内容を見落としたので先週の週末に2日かけて全編通しで一気に2回目鑑賞。
面白かった。英国BBCの描く日本のヤクザの話ということで、それだけで興味津々。
1話目からひきつけられる。日本の俳優さん達が英国式の撮影のせいか雰囲気がずいぶん違って見えるのが面白い。皆かっこいい。ミステリアス。皆さん違和感無く画面とストーリーに溶け込んでいましたね。
日本での日本語の台詞は英語の脚本の翻訳でしょう。台詞の言葉がちょっと不自然ではあるものの、見ているうちに慣れて気にならなくなる。それよりも家族の距離感とか…森家のギスギスサバサバした様子に違和感を感じた。お母さんとお婆ちゃんが冷たすぎる。そのちょっと変な感じが「英国の撮った日本の家族」という感じなのかとも思った。
編集がいい。狙ってます。東京とロンドン、時間、時期がどんどん飛んで移動するので混乱する。それがまたかっこいいように思えたりもする。結末がわかった上で2回目に見るとずっとわかりやすい。
日本の俳優さん達がよかった。KENZOの平さんが大きい。彼はミステリアス。最初にロンドンに着いた時はぎこちないのに、すぐに馴染んで全く違和感がなくなる。会話も自然。さすがバイリンガル。実はストーリーに入ってしばらく経つまでKENZOは実はヤバイ人なのだろうか…と思っていた。怖い人かと思っていたら実は家族思いの人でしたね。
YUTOの窪塚さんは日本でもロンドンでも独特の存在感。女性に見せる顔は子供のように純粋なのに、ヤクザがらみでは重く暗い表情。予想不可能だから怖い人物。不思議なカリスマ。しかし森家の彼はなぜあんなにグレてしまったのだろう。お兄さんは真面目な人なのにね。
全体に日本の俳優さん達が皆いい。TOSHIO/
勝矢さんはコミカルな愛されキャラ。TAKIちゃんは不思議ちゃん。もっくんはお洒落。あ…そうだ…JIROの湊祥希さんはまぁー美しい男よ。西洋受けする美男。ガタイがいいと思ったらボクシングをなさるそうだ。あの青臭いヤンキー訛りもいい…あのヤンキー調が面白くて彼の場面はニヤニヤしながら数度見直した。
英国側の俳優さん達も皆いい。もう普通にクオリティーの高い英国製のドラマを見ている感じ。特にRodneyのWill Sharpeさんは熱演に次ぐ熱演。彼は英国では既に良く知られた方だそうだ。SarahのKelly Macdonaldさんは他の作品でも拝見。マフィアのAbbotはコミカル。あ…特に印象に残ったのは女殺し屋のDonna。彼女はかっこよかった。
このドラマは俳優さん達を見ているだけでも面白い。みんないい。配役が素晴らしい。英国の俳優さん達はやっぱりいい雰囲気。普段からもっと英国のドラマを見るべきだな思った。
★以下踏み込んで大いにネタバレ注意
さて…俳優さん達は素晴らしかったのだけれど、ストーリは…うーん…このドラマは、ぶっちゃけ1話から4話までで終わっても良かったのかも…ストーリーの完結のためにもう1話加えても5話かな。
いやもしかしたらこのドラマは元々5話完結で作っていて…出来がいいから無理に8話まで伸ばしたようにも見える。それぐらい4話までと5話以降の雰囲気が違う。
というのも、1~4話まではものすごく面白かったのですよ。東京のヤクザの抗争にロンドンが絡んでくる話がとても面白かった。スピード感と編集の巧みさ、場面の切り替わりにも目が離せない。どんどん引き込まれた。そして4話のレストランでの銃撃戦は大興奮。あの緊張感。ドキドキした。もう映画ですね。暴力的でスピードが速くて…興奮した。大きな拍手。
銃撃戦の印象があまりにも強くて、2度目に見たら第4話は真ん中にYUTOとFUKUHARAの娘EIKO、そしてSarahとIanの2つの話が挟まれている構成だったこともすっかり忘れていた(それぞれもいいドラマだけれど)。びっくり。
そして最後にまた銃撃戦…日本のFUKUHARAの家のシーンが同時進行で描かれる編集にも緊張する。音楽とSarahの哲学的な言葉「また同じ事が起こる…」が被さる場面はとにかく素晴らしい。編集がいい。本当に興奮した。
その後、5話でVickersとDonnaが突然消え、その後はだらだらと普通の人々の話になってしまう。YUTOが休んでる間に、KENZOとSarahが近づき、TAKIの初恋話、森家の父の死…などなどヤクザ話に全く関係のないストーリーが続く。6話と7話はRodneyの薬と元彼。森家父のお葬式+英国砂浜での儀式~日本の女性3人の…。もう全く違うドラマのようだ。
そのテーマの変化にものすごく戸惑った。
頭の中では1話から4話までのヤクザの話の続きがまた直ぐに始まるだろうと期待しているのに、全く関係ない話が延々と続く。そしてそもそもロンドンではあれだけ大掛かりな銃撃戦があったのに、その後その現場にいた関係者達がのうのうと普通に生活していることにも大きな違和感。話の構成にかなり戸惑う。じりじりと「いったい何のドラマを見ているのだろう…」と戸惑っていたら8話でやっとそれらしいヤクザ話が復活。Abbotが8話になって急に帰ってきた。
どういうわけか8話の屋上シーンは全部がコメディ風味。Abbotがものすごくおかしい。いったいどうした?
…TAKIがさらわれて、ビルの屋上に向かうKENZOにAbbotがばったり出くわす。そして彼はよせばいいのにKENZOと一緒にTAKI救出劇のお手伝い。TAKIをさらったのはJIRO達。皆が日本語を話せば、Abbotが「ハイ、訳してくださいね、でなければ俺は銃を振り回すアホ野郎なのよね」と文句を言い、ハンサムなJIRO君達のことを「このファッキンボーイバンド(アイドル野郎)」と言う。爆笑。とても真剣な場面なのにAbbotが喋るたびにゲラゲラ笑う。なんじゃこれは笑。そして謎のダンス
最初の4話でヤクザ話をして、途中で日本のエキゾチズムを散りばめ、最後はアート+浪漫に逃げた。雰囲気だけ良さそうに見せてリアリティがないのは大きな問題。最後はYUTOをうまく逃がした設定なのだろうけど、彼は動けば空港やユーロスターで捕まりますね。もう警察には顔も知られているわけだし。YUTOが自由になる浪漫は無いでしょう。
…だから最後まで首をかしげながら終わってしまった。しかし1~4話まであれだけ面白い話なのに、どうしてこんなに雑な終わり方になってしまったのだろう???不思議。
それでも西洋では非常に高い評価。IMDBでは7.9/10点。Rotten
Tomatoesでは何と100点。そしてBAFTA(英国アカデミー賞)
2020のテレビドラマ部門では、作品賞、編集、音楽の各部門、それから主演の平岳大さんは主演男優賞、ウィル・シャープさんが助演賞にノミネート!おめでとうございます!
というわけで文句も書きましたが…十分に面白かったです。日本の俳優さん達がいい雰囲気でかっこよかった。
これは1シーズンで終わりかな。最後をうやむやで嘘っぽくしたせいで次に話が続かないかもしれぬ。親分達もJIRO君も死んじゃったもんね。