能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2020年6月8日月曜日

Systemic Racism Explained/システム的な人種差別とはどういうことなのかを学ぶ



Systemic Racism Explained
システム全体的な人種差別を解説する

大まかな内容の訳を文に書いてます
…おっと日本語の字幕がありましたね



今、皆が人種問題のことについて考えている時期で、情報も様々なものがネット上をめぐっているのですが、そんな中からいい動画があったので紹介する。

アメリカのシステミック(=システム全体的な/構造的な/制度的な/組織的な)人種差別とはどのようなものなのかを解説するビデオです。このビデオが作られたのは1年前の20194月。


昨日は英国のアーティスト、バンスキーさんが「有色人種の人々は白人が作った社会のシステムに苦しめられている」と書いたメッセージをとりあげたのですが、この動画か説明することがまさに「白人のシステム」のことなのだなと納得。たまたまタイミングよくぶつかったので記録しておく。

このビデオの事を教えてくれたのは、旦那Aの親戚の20代の女の子。彼女も(私が昨日言っていたような)中都市に住む大変健全な正しい白人の一人なのですが、彼女のような若い世代の人達が意志を持って世の中を変えようとしていることが嬉しい。いいことです。
このビデオでは私も沢山のことを学びました。
それにしても「Redliningとは知らなかった。酷いものですね。それから学校などの話は親戚から聞いていて…「例えばどれどれの地域はここの学校の校区だから、その辺りの家を探してる」などというのは、まさにこの話をしているのだなと思った。
アメリカの人種問題の現状は、皆がもうすでに出来上がってしまっている差別のシステムに、個人個人が合わせて生活をしているわけで、この悪のシステムが100年も前に決められていたと考えれば…、アメリカの人種問題の根は深い…としか言いようがないです。本当に深い。
私もこの国に来て、あらためて学んでます。アメリカの差別とは、町を歩いていて白人にからかわれたとか無視されたとか…そんな表面的なレベルではないのだということがわかりますね。いや~大問題だ。

私は以前から英国の人種問題とアメリカの人種問題は質が違うと自分の肌で感じていたのですが、私が個人的に感じたアメリカの田舎や地方都市の独特の微妙~な感じとは、こういうことからきているのかもしれません。

このビデオのおおまかな訳↓にも出てくるのですが、偏見を持つ人々が自らの偏見を自覚しているのかどうかで、受け取る側が受ける印象はかなり違うと思います。

 全訳はしませんが、大まかな内容を書いておこう。

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登場人物は、

貧しい地域に住む黒人のジャマル君
 彼の家のご近所はアフリカ系の人々
裕福な地域に住む白人のケビン君
 彼の家のご近所は白人ばかり

それぞれ公立の学校に通っているのだけれど、
学校はそれぞれの地域の住民からの税金で経費をまかなっているので、

ジャマル君の困地区の学校は経費が足りていない
 結果教育の質は落ちている
 ・人数の多すぎるクラス
 ・先生の給料も安い
 ・補助教員も足りない
 ・課外活動もできない
ケビン君の裕福な地区の学校は豊か
 質のいい教育を受けられる
 ・ゆとりのあるクラスの人数
 ・先生の給料は高く
 ・補助教員も優秀
 ・課外活動も盛ん

学校の質が違えば、それぞれの男の子達の人生は小学生の頃から違ってしまう


その「違い」の問題は19世紀の南北戦争の数十年後から始まっている。

奴隷が解放されて数十年後、白人は都市を経済的に投資して見込みがあるかどうかで仕分け。地図を赤い線で囲み(Redlining)…有色人種の多く住む地区は政府の援助や銀行などからの融資を拒否されるシステムを作る。結果、

黒人の住む地区は投資をされないまま放置され、
当然その中に住む黒人達も銀行からの融資を拒否される。
黒人の家族は銀行のローンを拒否されたため家を購入できない
また大学への道も閉ざされる

一方白人は白人の住む地域で融資を受けて家を購入でき
トップレベルの大学はそもそも伝統的に白人にしか門戸を開いていなかった。
そんな風に白人の資産と裕福な生活をつかむチャンスは白人から白人の子孫に受け継がれてきた

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例えば1980年代でさえ、ジョージア州アトランタの不動産業界では、銀行は中~高所得の黒人の家族よりも、低所得の白人の家族への融資を優先していた

そのような人種差別の結果、現在

白人の家族が100ドル得るのに比べ、
黒人の家族は5ドルしか得る事が出来なくなっている

2017年の調査では、例えばシカゴ市など未だに(南北戦争後になされた)地域ごとの仕分けRedlining)が不動産の価値を左右している

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問題はもっとある。(社会を構成する)個人の中にある

無意識のバイアス/偏見

例えば、子供の名前

白人的な一般的な名前=ケビン
黒人的/白人から見て個性的な名前=ジャマル

の場合、例えばこの二人の学生は全く同じ成績で同じ科を専攻したにもかかわらず、

履歴書の段階で

白人の一般的な名前は、黒人的名前の学生よりも

2倍の仕事のチャンスが与えられる(企業からの連絡など)

そのような理由もあって、
同等の大学の卒業の資格があっても

黒人の失業率は、白人の失業率の

2倍。

それ以外にもシステム的な人種差別の証拠は様々なところにあり、
白人と黒人の格差となって現れている…

 
 投獄される率
 政治の場へ自分達の代表を送れるのか
 教育

などなど、多くの分野での人種差別による格差が生まれている


一番の問題は、それらのシステム的な人種差別は、
 ・たった一人や、
 ・一つの団体(企業などの様々なグループ)
などに責任を負わせれば解決されるものではない(=人種差別は様々な理由が絡み合っているため、単純にこれを正せば解決するというものではない)ということ

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人種差別の現状を改善する為にできることは、個人個人が
自分自身の中にある無意識のバイアス/偏見を認識すること

過去の奴隷制とジム・クロウ法(※後述)が、今でも有色人種の人生のチャンスに影響を与えていることを知ること

皆が平等にチャンスを与えられるための、システム的な変化(法を変えるなど)をサポートすること

例えば、公立学校の財源を地区の税収から独立させる…地区の税収に関わらず学校に平等に資金が行き渡るようにする …等等



システム的な問題はシステム的に対処するしかない。誰もがシステムの中に暮らすことから、誰もが世の中を変える力を持っている。


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※ジム・クロウ法
1876年から1964年にかけて存在した、人種差別的内容を含むアメリカ合衆国南部諸州の州法の総称。 主に黒人の一般公共施設の利用を禁止制限した法律を総称したもの。この対象となる人種は「アフリカ系黒人」だけでなく、「黒人の血が混じっているものはすべて黒人とみなす」という人種差別法の「一滴規定(ワンドロップ・ルール)」に基づいており、黒人との混血者に対してだけでなく、インディアン、ブラック・インディアン(インディアンと黒人の混血)、黄色人種などの、白人以外の「有色人種」(Colored)をも含んでいる。