能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2020年5月19日火曜日

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第18回「越前へ」5月17日放送



越前で新しい生活スタート

 
★あらすじ
1556年 長良川の戦いに敗れ、光秀(長谷川博己)と家族は越前の朝倉氏を頼る。越前での暮らしが始まる。尾張では信長が弟信勝を討つ。ちゃんの昔の恩人は光秀の父だった。



先週の「長良川の対決」の回ではずいぶん文句を書いた。あらためて考えたのだけれど、時代劇(特に歴史もの)の戦の描写は、演出するのが難しいのかもしれませんね。というのも大河ドラマの戦の描写で文句を言ったのは、このドラマが最初ではないのですよ。

ドラマだから当然芝居がある。しかし戦の場面では、演劇(芝居)の部分だけが盛り上がってしまうと場面にエネルギーがなくなる。戦のリアリティが感じられない脚本に演出…戦場なのに緊迫感のない会話劇。人が死ぬ悲しい場面だから感動しろ感動しろと過剰な台詞に演出…そうやっていると場面の緊迫感がなくなってしまう。戦の描写はバランスが難しいのかも。

戦の場面はギリギリの緊迫感が見たい。そしてスピード。はらはらどきどきさせて欲しい。人物達が危険に晒されているからこそこちらもドキドキする。人物達の緊張と恐怖とアクションが見たい。感動の台詞劇はその後。先週の回に違和感を感じたのはそういうことだろうと思う。

しかし俳優さんの方々は素晴らしかった。大きな拍手。もっくん、西村さん、お疲れ様でした。かっこよかった。素敵でした。



というわけで、今回は戦も終わり。ドラマは会話劇。
今回のストーリーは二つ。

美濃を出た明智家は越前に落ち着く
尾張の信長は弟信勝を討つ。

 
美濃を出た明智家は越前に落ち着く

長良川の戦いの後、明智家の皆さんは戦場から脱出。伊呂波太夫(尾野真千子)と(門脇麦)に助けられ、越前の朝倉氏を頼ります(尾張の帰蝶さんの指示)。そして朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)には、京の細川藤孝からも「光秀を助けてやってくれ」とお手紙が届いていた。というわけで明智家は越前に住むことになる。ところで伊呂波太夫は近衛家で育ったらしい。
 
この朝倉さんは癖がありますね。本心を見せない。光秀に「お金あげようか」と言うのだけれど、生真面目光秀が断る。かわいげがないと思われたみたい。相性が悪いのかも。
 
明智家はお金もなく、これから辛い生活が始まるわけですが、ここで光秀がまた一人哲学を始める。

「私は戦が好きではありません。勝っても負けても、戦は戦でしかない。戦に赴くことは武士のさだめと思うてきた。…されど負けて全てを失うてみると、己の無力さだけが残る」うむ
 
それに答えて母牧様(石川さゆり)が光秀の父の言葉を伝える

人には浮き沈みがある。武士には勝ち負けがある。沈んだ時にどう生きるか。負けた時にどう耐えるか。その時、その者の値打ちが決まると
 
それを聞いて光秀は父の言葉を思い出し、大切なものは「誇り高く」生きることであると結論。成長しているのね。私はこの真面目光秀が結構好きだ。不器用な人ですよね。


尾張の信長が弟信勝を討つ。

次は尾張の信長(染谷将太)の人物描写です。今回は弟の信勝(木村了)を討つ。

兄さん

それにしても…染谷さんの信長には正直まだ慣れない。この信長は心が不安定なのですよ。もちろん意図したキャラ設定だと思うのですが。どうなの?この不安定な信長。
 
今回は(殺すつもりの)弟の信勝に対し、自分の劣等感を語り、母に愛されなかった不満を語り、悲しみを語り、そして泣く。また泣く。大粒の涙。うーん…
 
というのも信長は、このドラマの最後で主人公の光秀に討たれる人。視聴者が主人公を応援したくなる本能寺…の設定であるのなら、このドラマの信長は光秀にとって(視聴者にとっても)かなり嫌な奴になるのではないか…と思っていた。
 
しかしこのドラマでのこれまでの信長は…母にも父にも愛されずに泣く子供のような人物。愛情に飢えた人物として描かれている。すぐに泣く。この信長の設定って…視聴者が哀れむようなキャラを意図しているのだろうか。ノブちゃんは可哀想な人なの?
 
じゃあ可哀想な人を最後に討つ光秀…はどういう人? これからどういう設定になっていくのか読めない。注目です。
 
 
信長は一般的に大人気な歴史上の人物なんですけど、私はたぶん生真面目でカタブツ不器用な光秀のほうが好きだと思う。地味でも真面目な人のほうがいい。もちろん歴史のスーパースターとしての信長は面白いのだけれど、現実には予測不可能パワハラモラハラDV気味のヒステリーですぐキレる信長は、一緒にいてあまり楽しい人物ではなさそう。このドラマの信長は、今のところ子供みたいな人なので、どうなるのだろうと思う。
 
 
最後に明智家の煕子(木村文乃)さんの話。越前では光秀が「誇り」だとかにこだわるものだから明智家にはお金がない。それで質屋に行くわけですが、煕子さんは質屋に自分の帯を差し出して光秀の父の形見の数珠を守る。そしてニコニコ笑顔。いいお嫁さんですねぇ。