能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ 【随時更新】 https://www.nhk.or.jp/shutoken/ne...

2024年10月3日木曜日

Walter Taieb, The Original - Feeling In Me (feat. ALIA)(2024)



猫さん



Walter Taieb, The Original - Feeling In Me (feat. ALIA)(2024)
Feeling In Me (feat. ALIA) – Single
Walter Taieb, The Original
Released: July 12, 2024
℗ 2024 WT Records



これは今UK upfront club chartに入ってます。猫が歌うビデオがかわいくてそれに気を取られますが、曲もかなりいい歌。攻撃的なビートと、サビの展開が気持ちいいです。ヴォーカルのALIAさんの声もかっこいい。

最初に映る猫さんは実写だな。しかしすぐにCGに変わる。目ヤニの有無でわかりますね。

★Walter Taieb
フランスのレコード・プロデューサー、作曲家、指揮者。1973年生まれ。ハウス・ミュージック・グループ The Originalのメンバー。1995年に「I Luv U Baby」がヒット。またThe Alchemist's Symphonyの作曲家。

★ALIA
オーストラリア出身、米国LA在住のアーティスト。父親がベーシストで幼いころからR’n’B Soul を歌って育つ。様々なアーティストとのコラボも多く、オーストラリアではかなり知られた存在らしい。パワフルないい声ですね。



2024年10月2日水曜日

MLB★2024 WILD CARD SERIESのスケジュールと結果記録



今年もMLB ポストシーズンの季節がやってまいりました!

もう始まってます。…しかし今年はなんだか私に気合が入らない。というのも、うちのケーブル・テレビに1チームを追うチャンネルがなくなってしまったから。レギュラー・シーズン中に毎日贔屓のチームの試合結果を見る習慣がなくなったものだから、結局MLBへの興味も薄れてしまっている今日この頃。

いやいやいや…見ますよ。ワールド・シリーズは見る。見ますとも。結果の記録だけはしようと思った。

ワイルド・カードの試合はもう始まってます。今日でいくつか結果が出るらしいです。


まず今年勝ち残ったチームは…


★アメリカン・リーグ

地区リーダー

東:ニューヨーク・ヤンキーズ/New York Yankees
 勝94– 68敗 ①

きましたね。アメ・リーグの王様
中:クリーブランド・ガーディアンズ/Cleveland Guardians
 勝92 – 69敗 ②

お、クワンちゃんがいるわ💕 カワイー
西:ヒューストン・アストロズ/Houston Astros
 勝88 – 73敗 ③

わっやっぱり今年もアストロズなんだ。やっぱすげ~な。トゥーベがんばれ

ワイルド・カード

東:ボルチモア・オリオールズ/Baltimore Orioles
 勝91 – 71敗 ④

優秀GMの技。今年も残った
カンサス・シティ・ロイヤルズ/Kansas City Royals
 勝86 – 76敗 ⑤

これは私は初めて見るチーム?
デトロイト・タイガース/Detroit Tigers
 勝86 – 76 敗 ⑥

このチームも知らん~

え~ちょとちょとちょとまって
レンジャーズはどこ?マリナーズもいないやん…


★ナショナル・リーグ

地区リーダー

東:フィラデルフィア・フィリーズ/Philadelphia Phillies
 勝95 – 67 敗 ②

このチームは面白い。キャラクターが勢揃い。マーシュ君💕
中:ミルウォーキー・ブルーワーズ/Milwaukee Brewers
 勝93 – 69 敗 ③

今年も残りましたね ソーセージ・レース。
西:LAドジャース/Los Angeles Dodgers
 勝98 – 64 敗 ①

西の雄。大谷さんのおかげでこのチームのことは毎日ニュースを見る。
大谷さん応援💕

ワイルド・カード

サンディエゴ・パードレス/San Diego Padres
 勝93 – 69 敗 ④

来たなパードレス。嬉しいね。このチームが勝ってくれたら面白いぞ。
ダルビッシュ様💕
アトランタ・ブレーブス/Atlanta Braves
 勝89 – 73 敗 ⑤

なんとブレーブスがワイルドか。ここも頑張って欲しいわ。
ニューヨーク・メッツ/New York Mets
 勝89 – 73 敗 ⑥

おぉ 今年はメッツか

今年もカブスの ベリンジャー ならず シクシク。



さてもう今年は始まってます。サラッと結果だけを記録

赤 - アメリカン・リーグ
青 - ナショナル・リーグ

先に2回勝って勝ち抜き



WILD CARD SERIES

Tuesday, Oct. 1

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SD Padres 4 - 0, ATL Braves (SD leads 1-0)
NY Mets 8 - 4 MIL Brewers (NYM leads, 1-0)
DET Tigers 3 - 1 HOU Astros (DET leads, 1-0)
KC Royals 1 - 0 BAL Orioles (KC leads, 1-0)


Wednesday, Oct. 2
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MIL Brewers 5 - 3 NY Mets (series tied, 1-1)
SD Padres 5 - 4 ATL Braves (SD wins series, 2-0) 
後からリプレイで見たわ。Braves、Maxフリード様がボコボコにやられてたワ😭Matオルソン様が綺麗ね。彼らが見れたからイイワ。パドレス勝ったわね。次はドジャースよ。ダル様も大谷様も頑張れ。ワクワク
DET Tigers 5 - 2 HOU Astros (DET wins series, 2-0) 
え~全然見てなかったわ。アストロズ全然見てなかった ウワ~ン
KC Royals 2 - 1 BAL Orioles (KC wins series, 2-0) 


Thursday, Oct. 3
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NY Mets 4 - 2 MIL Brewers  (NYM wins series, 2-1) 
9回でアロンソ逆転HR!スゴイネ NY決定です


ぇぇぇもうアストロズが負けてしまったの 😭😭😭ワ~



2024年10月1日火曜日

2024年米大統領選 ウォッチ-その2: 副大統領候補 ヴァンス氏 vs ウォルズ氏 TV討論バトル



さきほど副大統領候補の討論会を見た。
ざっと印象を書いておこう


共和党 副大統領候補


ドナルド・トランプ元大統領サイドの J・D・ヴァンス氏
2023年からオハイオ州を代表して上院議員を務める。現在40歳。1984年生まれ。

民主党 副大統領候補


カマラ・ハリス副大統領サイドの ティム・ウォルズ氏
2007年から2019年まで12年間ミネソタ州を代表して下院議員を務め、2019年からミネソタ州の州知事を務める。現在60歳。1964年生まれ


今回討論会に望んだのはこのお二人。

まず私の見た今日の討論は100点満点で


ヴァンス候補 45

ウォルズ候補 55




これは、二つの観点から見た討論の結果の平均点です。私の個人的に見た印象。ウォルズ氏が勝ちましたね。だいたいこのような数字だろうと思った。それではその二つの観点でどのように採点したのかを思ったことを書いていこうと思う。


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★まず外見、カリスマ、印象のみ
(これ大切)

ヴァンス候補 65

ウォルズ候補 35




若いヴァンス候補カリスマに溢れ、印象的な青い目で、ルックスも良く、弁舌もしっかりと、いかにも頼りになりそうなまっとうな政治家に見える。少なくともそう見える。それはカリスマというものでしょう。生まれ持ったカリスマ。言葉もしっかりとしていて、この喋りのうまさはたぶん天才的。うまいよね。とにかくうまい。立て板に水を流すような滑らかさ。力強さ。そして相手のウォルズ候補が話している間に相手の言葉に耳を傾ける様子さえカリスマに溢れている。真っ直ぐ立って微動だにしない。特に最初の休憩前の第一戦はロボットかと思うほどのカリスマと威厳と落ち着き。

そうです。私は今外見のことばかり書いている。そのとおり。中身のことは書いていない。しかしこれ、テレビの討論会では本当に大切なこと。候補がカメラの前に立っていかに自信に溢れて頼りになりそうに見えるのか…強そうにみえるのかは、アメリカの国民にとって本当に大きなものです。はっきり言ってヴァンス氏のカリスマだけで(中身は全く関係なく)大勢の人が彼に投票するのではないかと思ったほど。それほどヴァンス氏のカリスマは尋常じゃない。喋りも上手い。いや~以前からテレビのインタビューなどでヴァンス氏よく喋ると思っていたけれど、こんなに舞台映えがするとは…。

一方、ウォルズ候補。カリスマは…ない。あまりないですね。確かに彼は温かい実務的な…彼の喋る言葉の中身と彼の政治家としての経験から、彼はおそらくいい政治をやってくれそうだと思える。しかしここでは外見と印象のみの話。ヴァンス氏が、ウォルズ氏の方を見ながらも、相手の言葉にほぼ影響を受けていないように見えたのに対し、ウォルズ氏は大きな目を開き、驚いたような表情でヴァンス氏を見ている。それがすでに負けているように見えてしまった。20歳も年下のヴァンス氏の言葉にいちいち驚く様子はあまり見栄えのいいものではない。

しかしこの二人の討論のことは、昨日までにこちらのメディアでも予想されていて、私も聞いていたのは「ウォルズ氏はあまり喋りが上手くない」…いや、うまくないわけではないと私は思ったけれど、ただただ政治家らしいカリスマに欠ける。それが少し心配かなと思った。カリスマではヴァンス氏の圧勝でしょう。要するに、討論を聞いても中身がさっぱりわからないタイプの選挙民には、ヴァンス氏は大変魅力的に映っただろうね…という印象。



さて中身は

★具体的な内容、内政のみ
(もちろんこちらの方がもっと大切)

まず外交政策に関してはお二人ともどちらがいいかは私には判断できない。お二人ともあまりきちんと答えていたようにも見えなかったが、今のイスラエルやウクライナの状況で、今までホワイトハウスに入ったことのない候補のお二人がそれを語ることには無理がある。だから判断できるのは内政のみ。


ヴァンス候補 25

ウォルズ候補 75




この数字の一番の理由はウォルズ氏が今までに12年間ミネソタ州を代表して下院議員を務め、それから現在はミネソタ州の州知事を6年間務めている実績による。どうやら今回の討論を聞く限り、ミネソタ州の内政はかなり成功しているらしい。ウォルズ氏が長年、下院議員として国の政治に関り、また州知事として民を治める実務をやっていることに、私は希望を見た。彼が言うように、それほどミネソタ州での内政が成功しているのなら、それを国のレベルでも見てみたいと思った。

その判断は、あくまでも(ミネソタ州の住人ではなく)外から見た私の個人的な判断。ただこの経験豊かな60歳の政治家のお方…普通の家庭に育ち(富裕家庭出身でもなければ貧困家庭出身でもなく)、兵役に就いて国外での経験もあり、また下院議員として国の政治を経験し、また知事として民に寄り添った政治の経験もある。これだけのバックグラウンドを持つ人なら、きちんと国の政治を任せられるだろうと考えた。

特に討論の中でウォルズ氏が輝いたと思ったのは、中絶に関する考え方、ヘルスケア、銃、子供のケア、気候変動、トランプ氏の「関税」に対する具体的な反論などは、さすが今まで長年現実を見てきたウォルズ氏の話は具体的で信頼できる。内政の具体的な内容に関しての話は、ヴァンス氏は経験も実務も取るに足りない、ウォルズ氏の足元にも及ばない。


ヴァンス氏の一番の問題は、元々民主党支持の家庭で育ち、彼本人が今の(ウォルズ氏の語る)民主党の考え方にもかなり賛同しているのにも関わらず、…ヴァンス氏が最初に上院議員に選ばれた経過が「トランプ氏に推された」ことから、今更トランプ氏を否定するわけにもいかず…トランプ氏を持ち上げないわけにもいかず…。
実際には、ヴァンス氏の中でも、トランプ氏の言動に対しての葛藤があるのではないかと思ってしまった。要は、ヴァンス氏御本人がトランプ氏の人気に乗っかって副大統領の候補になっていることに葛藤があるのではないか。

彼も幼少時代に苦労をなさった方らしく、現実を見れば、例えばオバマケア/Affordable Care Act が多くの社会の弱者を救っているのが見えているはずなのに、(トランプ氏と共和党を選んだがために)トランプ氏の言うところの代替案「プランのコンセプト」を推すしかない。そこをウォルズ氏につっこまれて困っていた…と私は思った。実際にそうだろうと思う。

そのあたり…、ウォルズ氏の言葉が彼の政治の経験から発せられていることに比べて、ヴァンス氏の言葉は次第に(共和党とトランプ氏支持者を喜ばせるだけの)薄ぺっらいものに聞こえてしまったのは問題だと思う。結局はヴァンス氏は外見だけはいいけれど、政治の経験が少なく、具体的な案が何も出せないように見えてしまった。そして口から出るのは、トランプ氏サイド(共和党サイド)を喜ばせるだけの事前に準備した台本通りの内容。言っている言葉は抽象的で大雑把(違法移民が全部悪い…等々)。トランプ氏と同じ。

トランプ氏の1月6日の国会議事堂襲撃に関しても、ウォルズ氏から「トランプ氏は負けた思うか」と詰め寄られてきちんと答えられず「未来のことに集中してます」などとはぐらかしてしまったのは残念。そのようなところ、国民はきっと見ていると思う。見ていて欲しいと思う。


なんだか正直もったいない気もした。あれだけカリスマに溢れ弁の立つヴァンス氏が、トランプ氏などという「政治家とさえ呼べないような人物」の下に付かなければいけないのも悲劇だと思う。残念ですね。しかしトランプ氏がいなければ彼も政治家になれなかったわけなら、しょうがないかとしか言いようがない。

さてこれからどうなるか。










2024年9月30日月曜日

英ドラマ BBC/HBO『インダストリー/Industry』(2024) シーズン3:沈みゆく船を描く…ものすごい密度の金融業界のドラマ





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『Industry』 (2024) TV Series-Season3/英・米/カラー
/約50分・全8話/
制作:Mickey Down, Konrad Kay』
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英国BBCと米国HBOの制作。米国での放送は HBO チャンネルで2024年の 8月11日から9月29 日まで。全8話。



面白かったです。近年見たドラマの中で一番面白いし一番わくわくした。いいドラマ。世間での評判もシーズンを重ねるごとに良くなっているらしく、最終話の放送のあった昨日、すでにシーズン4も決まったと発表されたらしい。あっぱれ。よくやった!



難しい専門用語

しかしとにかく難しいドラマだ。金融の専門用語が山のように出てくるので素人には本当にわからない。

ただわからないならわからないままでも「これはポジティブね、これはダメなのね、で、この契約が無くなったのね、儲けが出なかったのね…」ぐらい理解できればなんとか見続けることは可能。しかしこのドラマの本当の面白さは、その内容をいかに理解するかにかかっているとも言える。内容が全て理解できればもちろんもっと面白い。


シーズン毎に変わっていったドラマ

それにしてもシーズンを追うごとにこのドラマは随分変わった。シーズン1 の意図は、新入社員の目を通した金融業界の(ステレオタイプ的)魑魅魍魎の実態を見せる…その間に新入社員たちは湯気を出して組んず解れつ…不毛なセックスシーンが多いので鼻白んだ。しかしシーズン3 でのセックスはストーリー上で意味があるもののみ。今シーズンのドラマのメインは、金融業界の緊張するストーリー展開。…大人になったね。ほんと。


その変化を見ていて想像した。
脚本家はシーズン3 を…金融業界の本質に迫ったドラマに大きく飛躍させようとしたのだろうと思った。もう若者達のサイド・ストーリーでお茶を濁さない。生き馬の目を抜くと言われる厳しい業界の現実をドラマとして描こうとしたのだろう。

脚本はもう業界の専門用語を説明することさえ一切せず「分からなかったらネットで調べてね」と言わんばかりに専門用語が雪崩のように降りかかる。すごいですよ。全然わからないもん。アルファベットで略された言葉ばかりで難しいのなんのって…。とうとう脚本家が視聴者を信じ始めた…業界用語は難しいけれど視聴者はなんとか受け止めてくれると思ったのだろう。

それがシーズン3の面白さの要。わからないことが多いからもっと知りたくなる。まるで脚本家から挑戦されたように感じる。受けて立とうじゃないか…金融専門用語チャレンジドラマ。だから字幕をオンにして掘り下げて何度も巻き戻し言葉を確認しながらじっくりと見る。そしてわかればもっと面白い。そして次の週が待ちきれなくなる。

毎週、ドラマは日曜日に放送されるので私はすぐに見る。なんとか話の流れを掴んだ上で、次の週末に旦那Aを連れてきて一緒に見る。そして内容を質問攻めする。わからない言葉を全部説明をしてもらう…1時間のドラマを見るのに毎回2時間以上かかる。それを毎週今まで7話続けた(最終話はまだ一緒に見ていないが大丈夫)。感無量。本当に面白かった。ドラマなのにものすごい労力を必要とするチャレンジ。学ぶ喜び。面白かった。


金融メインの話が面白くなるにつれて個々の人物達のドラマも面白くなった。シーズン1では新入社員たちがわけもわからず振り回されていたけれど、シーズン3では皆が人生と仕事に踏み込んだ話をしているのでドラマとしてもかなり緊張する。ストーリーのスピードが早く一言も台詞を聞き逃せない。だから字幕を出して何を言っているのかをチェックしながら見る。

それにしてもよく詰め込んだものだと思う。会社の問題と個人のプライベート、社会の問題とが絡まり合い、レイヤーにレイヤーを重ねて内容が濃くみっちり詰まっている印象。たった1時間のドラマで8話しかないのに、なんだか大河ドラマを見た気分。昨日は見終わったら背伸びをして「やった~終わったー」と安堵。大きな山を登りきった気分。金融界隈のことがよく学べた。ものすごく知識が増えた。達成感で心地よい。おもしろかった。


脚本、俳優の演技、全てがハイレベル

もう一つ。脚本がよければ俳優の演技が輝く。特にシーズン1で新入社員を演じた3人の飛躍に目を見張る。シーズン3ではそれぞれのキャラクターが彼ら以外には考えられないほど馴染んでいた。彼ら/彼女達も役と共に大きく成長した。エリックやアドラー、リーシなどのキャラクターにもそれぞれに見せ場がある。話が進むにつれてサイド・キャラクターのストーリーも掘り下げ、ドラマ内の世界がもっとリアルにもっと大きく広がっていった。



★ネタバレ注意


シーズン3は、沈没寸前の船・Pierpoint 社の運命を追うストーリー
その大変おおまかなあらすじ

貴族の末裔サー・ヘンリー・マックは環境にやさしいエネルギー会社 Lumi 社を運営。株式公開を目指す。

● ロンドン・シティーの投資銀行 Pierpoint 社のセールス部署…エリックの率いるチーム(ロバートとヤスミン)は、Lumi 社の株式公開をサポート。株式公開の初日は成功するが、Lumi 社は始めから経営困難に陥っていた。結局 Lumi 社との関係は失敗に終わる。

● Lumi 社の失敗はそれを推進した Pierpoint 社の業界内での評判に関わる。またそれとは別に Pierpoint 社は数年前から良識的投資(ESG)を推していたものの、その分野は成績が振るわなかった。おまけに5年前に発行した Pierpoint の社債が満期を迎えようとしていた(元本を返済しなければならない)。

● Pierpoint 社の経営困難を嗅ぎつけたハーパー・スターン(Pierpoint 社の元社員)は自らの経営するヘッジ・ファンド会社 LeviathanAlpha 社で、Pierpoint 社の株を大量に空売りし利益を得ようとする。…それが Pierpoint 社の株価を暴落させる。

● Pierpoint 社の陥った状況とは…
① Lumi 社株式公開での失策で、社の評判を落とし、
② たまたま社債が満期になり元本の返済が迫る
③ 折り重なる ESG 投資への失策、他の株式公開でも失策を重ね
④ そこにハーパーの会社による社の株の大量の空売り
…により Pierpoint 社そのものが存続の危機に陥る。

● 藁をもつかむ思いで Pierpoint 社は、社外からの救済を募り社の存続を画策する。


話の主題は Pierpoint 社の運命。以前は主役だった人物達は、Pierpoint 社没落のストーリーを飾るサイド・キャラクターでしかない(もちろんそれぞれにも興味深いストーリーはあるが)



主要な人物達

Pierpoint社のセールス部署を率いるエリック・タオはこのシーズンで社のパートナー(経営側)に昇進。彼はミッドライフ・クライシスの真っ只中。妻とは離婚協議中。このシーズンでの彼の行動は不安定。しかし彼は全力で沈みゆく Pierpoint 社を救おうとする。見どころは第7話、8話。

● 元  Pierpoint 社の社員・ハーパー・スターンは独自にヘッジ・ファンドの LeviathanAlpha 社を立ち上げ(彼女らしく)攻撃的に利益を求める。そのターゲットは沈みゆく Pierpoint 社だった。社の利益と元同僚ヤスミンとの友情の板挟みになる。見どころは第6話の最後のヤスミンとの会話。恐ろしいほど棘のある台詞の脚本。

● Pierpoint 社に残るヤスミン・カリ・ハナニは、出版会社を倒産させた父親の影に悩みながら日々を過ごしている。貴族ヘンリーとの関係と同僚ロバートとの友情の間で揺れ動く。見どころは第8話。

● 労働者階級出身+オックスフォード大卒の(自信に欠ける)ロバート・スペアリングは懇意にしていた大型投資家の後ろ盾を失い、Lumi 社での尽力も無駄に終わり、Pierpoint 社では捨て駒として使われ途方に暮れている。



シーズン3の話のレイヤー

お馴染みの人物達
たった8話にもかかわらず大量の情報が詰め込まれている。前シーズンからお馴染みの…エリックの迷いと苦悩、ハーパーの攻撃性、ヤスミンの迷い、ロバートの苦悩、そしてもう一人… Pierpoint 社のトレーダー、リーシ・ラムダニのギャンブル癖も第4話で描かれる。

Pierpoint 社救済の緊急ミーティング
…にはトップが集う。30年間 Pierpoint 社と共に生きたFICCヘッドのビル・アドラー、そして同じく30年間勤めたエリック、外部から経営改善のために雇われたCEOのトム・ウォルジー、女性CEOウィルヘルミナ。等々…Pierpoint 社トップのメンバーが、社の救済場面であるにもかかわらず尚もそれぞれの個人のエゴを通そうとする場面も描かれる。速い展開にハラハラする。

外部からは
● 若い貴族サー・ヘンリー・マックは Lumi 社の経営者。
● ハーパーと共に LeviathanAlpha 社を立ち上げたやり手の女性ペトラ・コーニヒ
● 投資家・オットー・モスティンはハーパーとペトラの LeviathanAlpha 社に大型投資。

社会の上層部
ヘンリーの属するプライベート・メンバーズ・クラブには、大型投資家、ヘンリーの貴族の叔父/伯父で出版社の経営者ノートン卿、首相を目指す女性政治家、(過去には)元出版社経営のヤスミンの父などが出入りしていて、英国社会の上層部の内輪で取引が行われている様子も描かれる。

英国社会の様々なレイヤーが描かれている
投資会社の内部…上(CEO)から下(新卒社員)までのそれぞれの様子、政府の内部と金融界とのかかわり、英国社会上層部の集いがそのままビジネスや政治上のコネとして繋がっていく様子…等々がみっちりと描かれている。
…そしてその上で、お馴染みの登場人物達の個々の日常の問題も描かれていて、ま~驚くほど密なドラマ。



脚本…意図的なサプライズ

そして脚本の展開は、意図的なサプライズが満載。金融に関する動きも、会社の行方も、個々のキャラクター達の選択も…、驚くほどのサプライズが続いて驚かされる。ストーリーを追っていてまるで裏切られたように感じるほど話が急展開していく。

例えば、Pierpoint 社救済に出てくる銀行は3社…たった1話(第7話)でどんどん状況が入れ替わる。その場面に関わるエリックとアドラーの関係はどう変わるのか。また Pierpoint 社が沈みそうになれば、若手の社員たちはどのような動きをしているのか。LeviathanAlpha 社のハーパーとペトラの関係はどうなるのか。大型投資家はその様子をどのように見ているのか。人物のたった一言の台詞で状況がひっくり返ることに何度も驚かされる。本当に一言たりとも台詞を聞き逃すことが出来ない。密な密なドラマの脚本が見事。一瞬も気が抜けない。




主なキャラクター達への感想

私はハーパー・スターンのキャラクターが好きだ。頭がいい。頭がいいからどこでどのように動けば最高の利益が出るのかを直ぐに思いつく。そしてそのチャンスに飛び込むことを全く躊躇しない。友人を利用したことで多少戸惑ったとしても、結局彼女は利益の方を優先する。生き馬の目を抜くような業界内でも彼女の決断力は飛びぬけている。このキャラクターが小柄な女性であるのが楽しい。もしこのキャラクターが男性だったとしたら、私はこれほどまでにワクワクしないだろうと思う。小さな愛嬌のある笑顔で、百戦錬磨のエリックを苛立たせる様子は見ているこちらもニヤニヤしてしまう。

エリック・タオ
。元々は一番好きだったキャラクター。しかしこのシーズンのエリックは変わってしまった。私が好きだった昔のエリックは、彼本人が叩き上げの実力者で、(まだ粗削りの宝石のような)新卒のハーパーに大きな未来を見る…父親的な人物。そして会社では猛烈社員なのに家庭に変えればいい夫と父に変わる…そんな人物だと思っていた。それなのに、このシーズンのエリックは迷って迷って血迷うばかり。妻とは離婚協議中。ヤスミンの弁護士と薬でふらふら。部下にもよろめき…いったいどうしたのだろうと思った。全然違う人物じゃないか。ただ俳優さんKen Leungさんがすごくいい役者さんなのでこれからも目が離せない。…いやどうだろうね。彼は来シーズンにもドラマに残っているのだろうか???

ヤスミン・カリ・ハナニ
父との愛憎。それが彼女に付きまとう。このキャラクターは父親との歪んだ関係から、出会う男性達とまともな関係が築けない…人との関係性に問題を抱えた人物として描かれている。美人で、何処に行っても男性に人気だが、本人は「男性に “私が彼らを好き” だと思わせるのが得意だけれど、私は誰かを本当に愛したことがあるのだろうか」と話す。最後の彼女の決断には驚いた。もしかしたら現実とロマンスを完全に分けた…ようにも見えた。全シーズンで唯一 愛のあるセックス…思い出だけは…と考えたのだろうか。これから妊娠か…どうなりますかね。

ロバート・スペアリング

父親との関係が問題だったのか(前シーズンのことでよく覚えていない)、それとも(頭はいいが世間知らずで)階級の違う人々との関りでどうしていいのかわからないのだろうか。彼は常に自信が無さそうで心配になる。このシーズンでは母親との関係にも触れられていた「母親がTyrant/暴君的だった」などと言っていたが、過干渉の母親だったのだろうか。常に弱々しい人で彼に起こる様々な禍を見ていると彼がかわいそうになる。ただ純粋な人物であることは間違いない。どのような悲しみが襲ってきても彼は静かに受け入れる…いつも静かに戸惑うばかりのロバート。彼にはこれからなんとか人として大きくなって欲しいと願う。


第8話が終わってほっとしているが、なんともうシーズン4が決定したそうだ。驚いた。今シーズンの最終話で、それぞれのキャラクターの方向が変わることが予想される展開だったので、私はこれでこのドラマシリーズも終わるのだろうとばかり思っていた。


ハーパーは米国に帰国するのか?シーズン4ではジェシーがまた出てくるのだろう。ロバートは今どこにいるのか?ヤスミンは仕事をやめるのではないのか?エリックはあそこで引退だろうか。さてこれからどうなるか。

ますます目が離せなくなる。これからも期待したい。



2024年9月29日日曜日

Sophie and the Giants - Shut Up And Dance (2024)



80年代シンセポップそのまま



Sophie and the Giants - Shut Up And Dance (2024)
Shut Up And Dance – Single
Sophie and the Giants
Released: May 17, 2024
An Island Berlin release; ℗ 2024 S & TG Music Ltd, 
under exclusive license to Universal Music GmbH



先日は米国の女性アーティストが80年代のピーター・ガブリエル風な音の曲を出していると取り上げたのだけれど、このアーティストの曲もそのまんま80年代風味。

UK Commercial pop club chartに今年の夏頃入っていた曲。

これはそのまんま1980年代初期の英国シンセポップ。1980年代初期は英国のシンセポップが世界中で大ヒットしていて、米国では Second British Invasion 等と呼ばれていた。その頃流行っていた音にそっくり。当時はこのような音をシンセポップのバンドが演奏していた。似ているのは誰だろう…ヒューマン・リーグやディペッシュ・モード、サビの雰囲気はシンプル・マインズ…辺りかな。こういう音は当時よく聞こえてきていた。

…と思って、同世代の旦那Aにも聞いてみた「ねぇこれどのバンドの音に似てる?」

A「ジョルジオ・モロダーじゃね?」

あ…そうか、ジョルジオ・モロダーか…。そうだわ、こういうバックの音でドナ・サマーの曲がありましたね。いや~でもこれバンドの音な気もするけどなー。

いやいやいやいや…もっと似てるやつ見つけた。旦那Aが思い出した。New Orderの「Blue Monday」。ひゃ~似てる~。まぁそういう感じの当時のシンセポップ風です。

というわけでこの曲はあまりにも1980年代のコピーみたいで最初はどうかと思ったけれど、全部聴いてみると結構いい曲。今の曲だから音もいいし勢いもある。展開もアレンジもうまい。それで記録しておこうと思った。

アラ還の夫婦がニヤニヤする懐かしい音。  


★Sophie and the Giants
Sophie Louise Scottさん。英国のシンガー&ソングライター。どうやらクレジットは彼女一人だけれど、ライブでは共に活動するバンドもいるらしい。ただ曲はソロとしてリリースしているのかな。2017年からプロとして活動開始。2019年には曲が知られるようになり、各音楽フェスへも出演。2020年にドイツのDJ Purple Disco Machineとコラボした「Hypnotized」が欧州…特にイタリアとフランスで大ヒット。その後も欧州で人気で、この曲「Shut Up And Dance」はドイツのラジオ・チャートで2位に上がった。


Get that taste out your mouth
日本語の後味が悪いみたいに…嫌なこと/嫌な味のことを言っていて、それを忘れろの意味
● Take that pain, scream it out
直訳は痛みを受け取れだが、まぁ現実を受け入れろということらしい。


Shut Up And Dance
Sophie and the Giants
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Shut Up and Dance…

[Verse 1]
たった独りで暗闇に座っている
自己の思考とアルコールに溺れながら
余韻の中で 私はあなたの光になれるかも

[Pre-Chorus]
その味を口から吐き出し ●
痛みを認識し 叫び出せ ●
これが好き これが好きだって
サウンドに我を忘れ
誰も周りにいないかのように
解放して 解放して…


[Chorus]
黙って 踊れ、 身体を動かし
黙って 踊って、 心臓を脈打たせ
黙って 踊れ、 黙って踊って 
誰にも見えないかのように

黙って 踊れ、 身体を動かし
黙って 踊って、 心臓を脈打たせ
黙って 踊れ、 黙って踊って 
透明人間のように


[Verse 2]
あなたの魂に脈動が走るのを感じる?
光とケミカルに目くらましされて
私がしっかりと支えてあげる あなたが我を失うのなら 
(Lose control)

[Pre-Chorus]
その味を口から吐き出し 
痛みを認識し 叫び出せ 
これが好き これが好きだって
サウンドに我を忘れ
誰も周りにいないかのように
解放して 解放して…


[Chorus]
黙って 踊れ、 身体を動かし
黙って 踊って、 心臓を脈打たせ
黙って 踊れ、 黙って踊って 
透明人間のように


[Bridge]i
暗闇で道に迷ったら 自分の心の中の愛を見つけて
そしてただ踊って ただ踊って
暗闇で道に迷ったら 自分の心の中の愛を見つけて
ただ踊って ただ踊って


[Pre-Chorus]
その味を口から吐き出し 
痛みを認識し 叫び出せ 
これが好きだって (Like I love it)
サウンドに我を忘れ
誰も周りにいないかのように
解放して 解放して…


[Chorus]
黙って 踊れ、 身体を動かし
黙って 踊って、 心臓を脈打たせ
黙って 踊れ、 黙って踊って 
誰にも見えないかのように

[Outro]
黙って 踊れ、 身体を動かし
黙って 踊って、 心臓を脈打たせ
黙って 踊れ、 黙って踊って 
透明人間のように

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Songwriters: Toby Scott / Paul Harris / Neil Ormandy / Sophie Scott


2024年9月26日木曜日

Dua Saleh – Want (2024)



溢れる才能



Dua Saleh – Want (2024)
Album: I SHOULD CALL THEM
Dua Saleh
Release: October 11, 2024
℗ 2024 Dua Saleh under exclusive license to Ghostly International



この曲は何処で出会ったかな?たぶん米国のダンスチャートではなかったかと思うが、この曲はダンス・ミュージックと言うよりも、むしろロック(少しプログレ寄り)の音だと思う。重い音の響きとベースのうねりにピーター・ガブリエルの曲を思い出した。すごくいい曲。

この曲は10月にリリースされるDua Salehさんのアルバム『I SHOULD CALL THEM』からのシングル。

彼女は幼い頃から詩を書いていたそうで、シンガーというよりむしろ詩人。しかし私はこの曲は音楽としての音も、彼女の声も素晴らしいと思う。才能に溢れた注目のアーティスかも。近年は女性のアーティストが面白いです。才能のある女性アーティストが沢山出てきていると思う。
 

★Dua Saleh
アフリカのスーダン出身・米国人のシンガー、俳優。現在ミネソタ州ミネアポリス在住。1990年代、彼女が5歳の時にスーダン内戦の戦禍を逃れ両親と米国へ移住。米国各地を転々としたあとミネアポリスに定住。4歳から詩を書き始め、高校までに詩のパフォーマンスを始める。Augsburg大学在学中、詩に曲を加え始めプロデューサーMike Freyと共にレコーディングを開始。2017年にシングル曲「First Take」をリリース。それがプロデューサーPsymunの目に留まる。2018年にはレコーディング多数、2019年に初EP『Nūr』をリリースし評判になる。2020年『Rosetta』、2021年『Crossover』をリリース。また2018年からミネアポリスでは俳優としてステージに立ち、Netflixのドラマ『Sex Education』のシーズン3にも出演した。イスラム教徒であり、第一言語はアラビア語。ノンバイナリー。



You don't even wanna keep it on the down low
 秘密にする
You wanna flex on your ex
 あなたは元恋人に今の自分はもっと幸せだと自慢したがる
● But you pressing on your luck, that's a no, go
 欲張ってる、調子に乗っている、いい気になっている




Want
Dua Saleh
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ほぼ 手にしていた
そして あなたはそれを全部投げ捨てた
ずっと思い反している
感情は同じじゃないのに
いつも私がLAに帰ってくるたび
あなたは 私のベッドの上で起きている 遅い時間に
たぶん私達 そうすべきではないとわかってる でも

私は 欲しい 欲しい 欲しい
私は 欲しい 欲しい 欲しい

過去に封じようとしている
私達の愛し方は 続くはずもない
でも 私は 欲しい 欲しい


あなたに私のエゴを撫でさせた
あなたは 元カノに自慢したがる ●
私を熱中症にする
わかっているでしょ
私は あなたがスローにダンスするほうが好き
あなたはもう一度チャンスが欲しいと言う
あなたは大きな期待を抱いてる

そして私達がそうなる時は やっぱりいい感じだけど
あなたは それを秘密にしようとも思わない ●
でもあなたはいい気になってる それはだめ ●
綱渡りのロープの端から落ちるわけにはいかない


Oh, いけないとわかっているけれど でも
Oh

私は 欲しい 欲しい 欲しい
私は 欲しい 欲しい 欲しい

過去に封じようとしている
私達の愛し方は 続くはずもない
でも 私は 欲しい 欲しい


私がLAに帰ってくるたび
(Want, want to)
あなたは私のベッドの上で起きている 遅い時間に
(Want, want)
たぶん私達 そうすべきでないとわかってる でも
私は 欲しい 欲しい 欲しい
欲しい

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Songwriters: Emma Davidson-dillon / Jason Alexander Suwito / Dua Saleh



2024年9月25日水曜日

Nikon FE2が壊れていた…😭😭😭



かっこいい My Nikon FE2


先日見た映画『Civil War』。その映画で若い女の子Jessieちゃんが使っていたパパのカメラ Nikon FE2。正直、その映画でFE2の名前を聞くまで、私は自分が昔FE2を使っていたことも忘れていた。

ああ…そうだよねぇ。私持ってるし。…どれどれ…とネット上で「今おいくらぐらいなのかしら?」と調べてみた。もしかしてプレミアム?…いやそうでもなかった。本体は200ドルから300ドルくらいか。レンズを入れればまた少し値が上がるかな。もう少し待ったらもっと値段が上がるかも。ウヒヒ…

などなどと不埒な皮算用をしてほくそ笑む。だって自分の持ってる古いカメラが映画に出てきたら、そりゃー嬉しいですよ。なんかお宝を持っている気分…ビンテージNikon

考え始めたら夢も膨らんできた。そういえば、ハワイに来てからあのカメラを一度も使ってないよね。出してみようか。趣味のカメラとして白黒のフィルムを入れて、黒猫の写真を撮るのもいいかもよ。なんかフィルムに焼き付ける愛猫の写真もいいではないか…。夢は膨らむ。


そんな風に考えながらも、怠け者のワタクシの手はなかなか動かない。


前回の引っ越しの時、FE2のカメラ本体からレンズを外しキャップを着け、レンズも前後にキャップを着けて箱に仕舞い込んだのが、私がカメラを見た最後だ。カメラは包装してワインの木箱の中に仕舞い込み、ベッドルームのクローゼットに押し込んだまま、今まで箱を開けることも無かった。それにしても、実際に最後にカメラを見たのはいつだろう? 日本からハワイへ引っ越した時に梱包した時か?それなら16年前。もしかして…もっと前…ロンドンから日本へ引っ越した時が最後なら…、19年前ということになる。げげ


そんなに長い間、箱を開けずにカメラを仕舞いこんでいた。突然心配になってきた。あ、そうだ…、そういえばあのカメラ、小さな電池2個を入れたままにしてなかったっけ?あ、もしかして電池が溶けていたら…。

そんなことを思ったのが昨夜。急に心配になって青くなる。さっそくベッドルームに駆け込んで、カメラを仕舞っていた木箱を棚から降ろした。どきどき。ドキドキ。電池が漏れていたら、カメラもダメになっているかも。


箱を開けたら、カメラ本体に装着したままになっていた皮製のカバーとストラップはカビていた。それほど酷い状態ではないが、皮の表面に丸い斑点が浮かんでいる。あああ… これはもうゴミ箱いきだ。

さっそく古い電池を取り出す。電池を入れるキャップが少し固まっているようで焦ったが、日本の100円コインでなんとか無事開いた。電池は溶けていないようだ。ほっとした。

カビていたカバーとストラップをカメラ本体から外し、昨晩はそこまで。カメラは明日明るくなってから状態を調べよう。
  

ふと思いついてネットを探る。…なんと驚いたことに、Nikon FE2用のレザー・カバーがアマゾンで売っているのを見つけた。新品。多分中国製だと思うが…そうか、FE2はビンテージ・カメラとして、どこかの会社が専用のカバーを売るほどに人気なのだね。…そうかそうか。それからNikonの大きなカメラ用のストラップも新品で売っているから、本体のカバーとストラップは新品を買えばいいのね💕



というわけで今日。

先ほどカメラを開けてみた。中身をチェックする。昨日カメラの本体から電池を取り出してしまったので、自動ではシャッタースピードの設定ができないはず。けど、まぁいいか。

とりあえず、箱に入っていたレンズを取り出して本体に装着。まだ扱い方を覚えていた。ファインダーから覗いてピントを合わせてみる。ぉおお視界もクリア。…これ、大丈夫じゃね? そしてシャッターを切った



ファインダーが真っ暗になった。あれ?あれ、なんで。なんで?

すぐにネットを検索。どうやら中のミラーが上がったままになっているらしい。その状況なら、電池を入れればいいとある。旦那Aの部屋を探したら電池が2個出てきた。1.5 VのLR44電池。これならいいだろう。

電池を入れた。シャッタースピードの設定を変えてみるが、シャッターが元にもどらない。またネット上を検索したら、どうやらM250 に合わせたら、電池なしでもシャッターが切れるらしい。しかし動かない。


これはおかしい。レンズを外して中を覗く。確かにミラーが上がったまま。だからファインダーの中が真っ暗なわけだ。あ~…これ、どうやって降ろせばいいの?

なんとなく状況がわかりはじめる。どうやら電池の問題ではない。カメラ本体のミラーそのものがどこかで癒着だか接着だかなんだか…で動かなくなっているらしい。

カメラ本体の中を再度覗き込む。カメラの中、向かって左側のサイドにレバーのようなものがある。それを触って動かしたら、ミラーが降りた。またシャッターを切る。ミラーが上がる。上がったまま。また中のレバーに触ってミラーを降ろす…。何度か試みるが、状況は変わらない。

シャッターを押すたびに

ミラーが上がりっぱなしになる。



OK。わかった。どうやらカメラ内部の機械の問題らしいですね。


じゃあとりあえずミラーの下げ方はわかったから、再度レンズを着けてファインダーからレンズを覗く。先ほど新しい電池を入れたから、せめてシャッター・スピードは測定してくれるのか?

動いていない。



自動でシャッタースピードを設定してくれるメーターの針が動いていない。どうやら電池との接続もダメになっているらしい。先ほど古い電池をチェックして漏れていないことは確認したけれど、やっぱりダメだったか。

このカメラってマニュアルの設定にすれば…、そしてミラーが接着/粘着していないのであれば…一応写真は撮れるんでしたっけ…?


まぁとにかく私のFE2は 壊れていた😭


まず(シャッターを切るたびに)上がりっぱなしのミラーの(機械的な)問題を直さない限りこのカメラは使えないということだ。


ぁ~ 


これからどうしようかなぁ。ハワイのカメラ屋に話をしてみようと旦那Aが言う。しかし私はいつか日本に行ったときに、日本の修理専門店を尋ねたいなとも思った。しかしこの怠け者のワタクシ、いつこのカメラの修理のために東京に行くことになるのだろうか。あまり想像できないのだけど。


どうしようかな~…



愛着のあるカメラだったんですよね。1984年からいつも何処に行く時もこのカメラを抱えていってた。学生時代に最初の欧州旅行に持っていき、初めてのシンガポール、初めてニューヨークに旦那Aを尋ねたときもこのカメラを持って行った。ロンドンに移住してからは、英国国内各地への旅、欧州各国への旅行へも必ずこのカメラを持って行った。旦那Aの家族を訪ねて車で米国各地を旅した時も一緒だった。ロンドンで美大の基礎コースを取った時も、絵の材料を撮影するために大量の花の写真を撮りつくした。とにかくよくお世話になった。

実はこの FE2は2台目だ。1984年に買った1台目のカメラは、1998年にロンドンで空き巣に入られたときに盗まれた。しかしこのカメラに愛着があり過ぎてまた欲しくなり、その年1998年の夏、日本に帰国した際に、東京の中古カメラ屋でまたFE2を中古で購入。そんなわけでこの私のカメラは2台目のFE2だ。


しかしその後状況は変わっていった。2003年、初めてCanonのコンパクト・デジカメを購入。その後はデジカメのお手軽さに慣れてしまって、いつのまにかNikonには触らなくなってしまった。ロンドンから東京に移住、そしてまたハワイに移住になっても、Nikonのフィルム・カメラを触ってみようと思うことは1度もなかった。


一眼レフのフィルム・カメラ。そしてオート・フォーカス機能の無いマニュアルのカメラには独特の魅力がある。自分でレンズを回して焦点を合わせる作業は、いかにも自分の見たものを撮影している感覚があっていい。今もフィルムと紙焼きに残っている過去に撮った写真…何千何万枚もの写真のイメージは、私がマニュアルで自分の目で焦点を合わせたイメージなのだ。私がファインダーで見て決定し景色から切り取ったイメージだ。マニュアルのカメラには、そのような独特の魅力がある。


うだうだと書いたけど…これからどうするか考えようと思う。高いお金をかけて修理をすべきなのか。それともいつか(壊れた状態を告げて)下取りに出すことになるか…。悩みますね。


古い友人を失った感じ たそがれる


実は昔このカメラで撮った昔の旅行の写真を別のブログを開設してネット上に上げようかと思っていたところ。大昔…最初の欧州旅行は1987年。昔の街並みは今とは景色が違っていた。フィルムがダメになる前にそれら古い写真をデジタル化したいと思っていた。フィルム専用のスキャナーを買おうと思っている。

このカメラとの思い出を記録することにもなりますね



レンズを外してもかっこいい Nikon FE2
前のキャップをはずした
こうやってカシャッと押すとミラーが上がったまま
そもそも後ろのスクリーンが開いてないのはこれでいいのか?
中の左側のレバーを動かせばミラーは降りるが
(いけないことをしているかどうかもわからない)
このレンズは伸びます
またこの状態でしばらく保留だ

なんか…この写真のキャプションを書いててすごく悲しい… 😭



※追記

もう少し調べてみた。この FE2の本体、今eBay を見ると中古で150~200ドルぐらいで売られている。機能も検査されて使える状態の本体がその値段。…考えてみれば、うちの壊れたカメラを日本で修理したら3万円以上かかるらしい。ということはeBayで中古を買った方が安いということだ。

一瞬考えた。物欲で…また FE2 を欲しいかなと思った。しかしそんなことはするべきではないと思った。なぜなら、これから私がまた一眼レフのフィルム・カメラで写真を撮り始めるとは考えられないからだ。

欲しい理由はただひとつ。慣れ親しんだモノを側に置いておきたいだけ。またあの心地よく重いカメラを両手に抱えてカシャッとシャッターを切る音を聞きたいだけ。 現実的ではない。

貴重なマニュアルのいいカメラなら、今20代、30代のカメラ好きの若者が買ったほうがいい。彼らならこれから何十年間もカメラを楽しむことができる。私の残りの人生は…あと20年ぐらい。もうあまり時間がない。もう貴重なカメラに手を出すべきではないだろう。それよりも去年買った Canon のデジカメを極めたほうがいい。

できれば私の壊れた FE2 も、タダでいいからどこかに引き取ってもらって、修理/再生されていつか若い人に使ってもらえればいいと思った。今調べたら壊れた FE2 本体の日本での引き取り価格は0円だそうだ。それでもいい。誰かが直して使ってくれるならそれでいい。できることなら。

でも今しばらくは側に置いておこう。
しばらく眺めて愛でたい

まるで若い子(デジカメ)に浮気をしている間に
昔の大切な大切な友人を失ってしまったかのよう
全部 私のせいだ 😭

カメラを失った動揺をなんとか抑えようとしている