能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2024年3月13日水曜日

映画『とんび』(2022):人生は大河のように







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『とんび (2022)/日/カラー
/139分/監督:瀬々敬久』
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TV Japanで過去に放送されたものを録画していた。やっと鑑賞。原作は重松清「とんび」。脚本は港岳彦。監督は瀬々敬久。


以前ここに映画『幼な子われらに生まれ』の感想を書いた。家族がテーマの話だった。原作は重松清氏。今回のこの映画の原作も重松清氏。この話のテーマも家族。

前情報は全く見ずに鑑賞。



1962年(昭和37年)、市川安男/ヤス(阿部寛)美佐子(麻生久美子)に息子・旭(北村匠海)が生まれる頃からストーリーは始まる。親の愛情を知らずに育った二人は、息子が生まれて家族になった幸せを噛み締める。時は昭和40年頃、1960年代の半ばの高度経済成長時代。舞台は瀬戸内海に面した広島県備後市。

ヤスはいかにも昭和の男。根は優しいが気が短く頑固、真面目な男だが不器用で照れ屋。言葉が出てこないから手が先に出る。彼は運送会社に勤務していて、会社の同僚や近所の仲間は皆家族のように親しい。男達は皆騒がしく、なにかといえば飲んでわいわい大騒ぎ。皆が集まる飲み屋の女将はヤスの姉貴分・たえ子(薬師丸ひろ子)。近所の寺の跡取りは幼馴染の照雲(安田顕)そしてその妻・幸恵(大島優子)

この映画もまたノスタルジックな「明るい昭和」の映画だと最初は思っていた。幸せな家族の話だろうと思った。ところが映画の初めの頃に美佐子が事故で命を落とす。ヤスは一人で息子・ 旭を育てていくことになる。それからの父と子の物語。

上手い役者さん達が沢山。丁寧に作られた映画。



★ネタバレ注意



息子・旭が生まれたのが1962年(昭和37年 )。原作の重松さんは1963年生まれだそう。そして主人公のヤスは1934年(昭和9年)生まれ…ヤスを演じる阿部寛さんは1964年生まれ。

…ということは、旭は重松さんと同世代。そしてその旭の父・ヤスを(現実で同世代の)阿部寛さんが演じていることになる。つまり映画の最後の2019年の場面で(1962年生まれの)旭は57歳。アラ還だ。 始めは昭和の話だということで「いつの世代の話だろう」と思ったのだが、旭が私に近い年齢だとわかってからはストーリーがもっと身近に感じられるようになった。

この映画には昭和の「普通の人々」の生活が描かれている。昔は特別なことではなかった人と人の距離の近さ。父・ヤスは旭を一人で育てているけれど、子育てに迷えば友人や知人がやってきて手を差し伸べてくれる。特に寺の住職・海雲(麿赤兒)とその息子の照雲と妻・幸恵はまるで家族のように何度もヤスと旭の家庭に踏み込んで助けてくれる。旭の成長は町の皆が見守ってくれている。

そのような環境で旭は成長する。小学生の頃はヒバゴンに興味を示し(ツチノコもあったよね)、高校生になったら野球部に入る。そして旭は成績も優秀。高校を卒業後は東京の早稲田大学に進学する。映画のタイトルの『とんび』とは「とんびが鷹を生んだ」からのもので、「とんび」とはヤスのことなのだろう。


映画の始めにヤスは最愛の妻を、そして旭は母親を亡くす。大きな悲劇。しかし彼らの日常はその後も続いていく。それがメインのテーマなのだろう。時が過ぎれば悲しい事故も過去のものになる。哀しみを溜め込むのではなく、ヤスは雪を解かす海のように哀しみを飲み込んで息子を育てていく。近所の友人たちに助けられながら前を向いて旭と共に歩いていく。

淡々と日々が過ぎる。あたりまえの日常…特に現在アラ還の世代には「ああそうだな」と懐かしく頷く場面も多い。旭の背中には沢山の人々の温かい手。ヤスは立派に旭を育て上げる。父と子の日常を描いて2時間、市川家の二人を見守り続ける映画。


途中でじわっと涙が出るような場面が何度も出てくる。特に人と人の絆の修復を描いた場面に心動く。飲み屋の女将・たえ子の後悔と再会。カウンターに並ぶ美味しそうなご飯に娘への愛を見る。そしてヤスと父親の関係の修復…ヤスが父に話しかける「俺を生ませてくれてありがとうございました、おかげでわしの人生は幸せそのものじゃった…ありがとう、お父ちゃん」


そして映画最後の場面は幸せの風景。旭と由美(杏)と息子が浜辺で遊ぶ様子を、ヤスが25年前の「自分と美佐子と旭のいた幸せな風景」に重ねながら眺めている。25年前のヤスの幸せそのままに、旭にも彼の家族が出来た。美しい情景。

その最後の場面の頃には私の目尻もヨレヨレに緩んでいた。2時間をかけてヤスと旭の25年間の旅を見終わって感無量。そしてその後のヤスも幸せだったことを考える。

「山あり谷ありのほうが人生の景色は綺麗なんよ」

ヤスの孫も大きく成長した2019年、ヤスは85歳、旭は57歳。旭の家族がヤスのお葬式のことを話している。旭は小説家にとして成功しているようだ。長い時間が流れた。


幸せが繋がっていく。ヤスの孫たちもこれから結婚し、いつか旭にも孫ができるだろう。そうやって家族は次の世代へと繋がっていく。

最後に私の目尻がヨレヨレになったのは、ヤスや旭の生きた人生がほんの少し羨ましかったからなのだろうと思う。これからも広がり繋がっていくヤスと旭の家族の未来を羨ましいと思ったのだと思う。

ヤスの晩年が幸せで本当によかった。



少し余談だが1960~70年代の再現が驚くほど丁寧。懐かしいものが沢山。

1974年昭和49年の市川家の食卓には見覚えのある物が並ぶ。派手な色のトースター、花柄の白いポット、日東紅茶ティーバッグの黄色と赤の箱、台付きの白い灰皿?、壁には鎌倉彫の壁掛け。奥の部屋にはチャンネルをカチャカチャと回すテレビ。その上には大阪万博の太陽の塔の像。横の床にはビニールのテープで編んだゴミ箱。ヤスの後ろの茶箪笥の引き戸の丸い金具をはめ込んだ取っ手、その茶箪笥の上の籠の中には雪印マーガリンの箱も見える。キッチンの窓辺には白地に赤い模様のホーロー鍋。そして旭の後ろの棚の上には青く塗った金属の懐中電灯、笠をかぶった狸の置物。あの頃の物が懐かしい(北海道土産のヒグマの木彫りはどこだ笑)

1978年昭和54年には屋内の物が少し変わっている。壁には海の風景を写した写真のシンプルな額縁。居間の電話はグレーの押しボタン式。食卓にはハイライトのタバコとLarkの缶灰皿。旭の部屋にはファンシーケース。その上には旧ロゴのアディダスのバッグ。その隣は(縦になっていて見えないが)マジソンスクエアガーデンのバッグだろう(縁が銀)。壁には修学旅行のお土産の奈良と別府の三角形のペナント。カラーボックスの上の時計は数字のカードがパタンと捲れる仕組みのデジタル表示。机の上には日本史や英語の参考書。見覚えがある笑。

そして時は流れ1988年昭和63年はバブルの頃。旭は出版社で働いている。編集部の雑然とした様子は私の知るあの頃の出版社編集部の様子と同じ。ポジフィルムを見るライトボックス。デスクで煙草を燻らせる編集者。ハンガーにかかった社員達の上着がカラフル。男性社員の着るセーターも派手。由美の前髪はムースで固められてゴワゴワだろう(私も固めていた)。


どの時代も丁寧に再現されていて懐かしかった。それでふと思った。私が子供の頃…旭が子供だった頃の1970年代は、もしかしたら今から見ればもうすでに過去の歴史上の時代になっているのではないかと。40年前の1984年はマドンナやマイケルが流行っていた頃。彼らもそろそろ歴史上の人物になりつつあるのではないか?…そのことをふと思いついて何とも言えない気持ちになった。あの頃は遠い昔。


2024年3月8日金曜日

テレビ東京 ドラマ24『きのう何食べた? 』シーズン2・第10話 ケンジ家族と遂に対面…鰻のフルコース!



テレビ東京系のドラマ24『テレビ東京ドラマ24』。ここではTV Japanにて。日本での放送は2023年10月7日(6日深夜)から12月23日(22日深夜)まで。この10話は2023年12月9日放送。


毎週楽しみに見てます。この話も主なテーマはLGBTQだと思うけれど、このドラマの主人公のお二人の関係は、少し前にここで感想を書いた『作りたい女と食べたい女』シーズン2のお二人に比べるとずっと落ち着いている。

『作りたい女と食べたい女』が女同士の初めての恋…告白したりドキドキしたり…がストーリーの中心にあったのに比べて、この『きのう何食べた? 』は、主人公のゲイのカップル…筧史朗さん(西島秀俊)と矢吹賢二さん(内野聖陽)がもう同居して長いのだろう…二人の関係が熟年夫婦のように落ち着いていて何の心配もなく見れるのがいい。二人の関係がとても微笑ましい癒しのドラマ。

お二人の周りの人々は…皆二人がゲイのカップルであることを理解しているらしく、二人がゲイであることに悩んだり苦しんだりする様子はほとんどない。まるで仲のいい夫婦のように二人は周りに受け入れられて幸せに暮らしている。。


ところがこの第10話では、(おそらく今まで避けてきた)家族との問題に触れていた。シロさんがケンジさんの母と姉二人に初めて会う話。緊張の食事会は鰻フルコース。それぞれが初対面でとても緊張している。

その食事会で、ケンジさんの母・峰子(鷲尾真知子)が二人の関係に理解を示していることが語られた。平和的に「他人だけれど身内」、何かあった時にシロさんを身内として認識したいとのこと。


いい話。若い世代のケンジさんの姉二人が弟の恋人を受け入れるのは理解できる。しかしケンジさんの母親が二人の関係を理解するのには時間がかかったのだろうと思う。それでも息子がもう長い間シロさんと共に暮らしていることを考えたら(相手のシロさんが)いつまでも「一度も会ったことがない他人」というのも不自然だと思ったのだろう。そのことをお母さんはよくお考えになったのだろうと思う。

無理をせず、喧嘩別れになることもなく、母親は息子の生き方を静かに受け入れた。多分時間がかかったのではないかと思うが、それでも母は息子の幸せを願うからこそ息子の生き方を受け入れることにした。すごくいい話。またちょっと感動した。


このドラマは本当にいい。お互いに信頼し合った二人が、おうちで「おいしいね」と笑顔で一緒にご飯を食べる様子は、人と人の関係の基本の幸せなかたちだと思います。このドラマを見ていると毎回そのことを感じる。

西島秀俊さんも内野聖陽さんも「ほんとに好きなのかな?笑」と思うぐらい自然なのがすごいと思う。お二人とも本当に楽しそう。演技以上にお二人が一緒にいることを楽しんでる様子が伝わってくる。ご飯もおいしいんだろうね。いいな。

シロさんがちょっと昔の男っぽいのね。ケンジさんに「お前」「おい」とか言っている。そしてケンジさんがくねくねしてかわいい。本当にかわいい。LGBTQとか難しいお題が無くても、このドラマはただただ二人の会話が微笑ましくていい。幸せのドラマ。癒し。


2024年3月7日木曜日

Youngr - The Bam Bam Song (2023)



こういう息子が欲しい



Youngr - The Bam Bam Song (2023)
The Bam Bam Song - Single
Youngr
Released: October 13, 2023
℗ 2023 Blue Llama Records



1月ぐらい(だったと思う)に、UK commercial pop club chartに上がってきていた曲。曲もいいが何よりもそのパフォーマンス・ビデオに驚いた。映像の様子を見る限り生の演奏らしいが、レイヤーを重ねて曲を作っていく様子が本当に面白い。彼のYoutubeチャンネルを見てみたら、このような生演奏が山のように出てきた。様々な曲をカバーしているらしい。…もしかしたらいまどきの天才なのかもしれぬ。それからこの機材の数。自分の楽器なのだろうか。だとしたらお金持ちの息子さんなのかな?

今プロフィールを見てみたら、なんとこのお方、キッド・クレオール&ザ・ココナッツのリーダーの息子さんなのですね。なんだそうか~プロの息子さんなんだ。だからこんなに機材が沢山買えるのか。パパから才能も受け継いだのだろう。

ビデオもすごく面白い。私がまず思ったのは「こういう息子が欲しい!」。息子の演奏の後ろでぐでぐでタコ踊りしたい。楽しいだろう。


そうかそうか…プロの息子さんか。今このお方の曲は連続してUK commercial pop club chartに何曲か入ってきている。そしてこの調子で機材を持ち歩いて各地でソロのライブもしているらしい。

2か月前ぐらいかな。南半球にツアーで行ったらしく、どうやらその後ハワイにも来たらしい。この地で演奏があったのかは知らないが、彼のYoutubeチャンネルで彼がハワイの豪邸やマウイ島の山の上で一人で演奏している動画が出てきた。彼はどこでもこの調子で演奏するらしい。面白いですね。

新しい時代の音楽家。きっと天才なのだろう。


新しい動画では「このワンテイク式のビデオは初めて演奏しているように見えるけれど、実は何百回も練習している」と言っている。努力のたまものですね。

★Youngr
Dario Younger Brigham-Bowesさん。英国のシンガー・ソングライター、プロデューサー、ミュージシャン。1989年、英国生まれの現在35歳。アメリカのディスコ/ラテン・バンドKid Creole and the CoconutsのリーダーKid Creoleさん(本名August Darnellさん)の息子さん。母は同バンドのコーラス+オリジナルメンバーのAdriana Kaegiさん。2012年から兄弟と共にバンド・Picture Bookで活動開始。2016年からYoungr としてソロ活動。FacebookとYoutubeにてワンテイクで曲を演奏するソロ・パフォーマンス動画で注目を集める。


歌詞も結構いいことを言ってますね


The Bam Bam Song song
Youngr
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夢をあきらめないで
星を捕まえ続けて
感情をなくさないで
君ならではの
手遅れになるまで放っていられない
僕らはそんなに長くない
今日を生きよう
Go bam bam bam bam bam
Go bam, go bam, go bam
Go bam bam bam bam bam
Go bam, go bam, go bam

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Composer: Dario Darnell, Tim Woodcock





Bryn Christopher – High (2023)



軽快



Bryn Christopher – High (2023)
High – Single
Bryn Christopher
Released: October 20, 2023
℗ 2023 Bryn Christopher



UK commercial pop club chartに入っていた曲。軽快です。ハイトーンの声の響きに1970年代のビージーズを思い出す。

★Bryn Christopher
英国のシンガー・ソングライター。そしてEDMのグループI See Monstasのメンバー。1985年バーミンガム生まれの現在38歳。パフォーミングアートの学校「Italia Conti Academy of Theatre Arts」で学び、リアリティ番組『Popstars: The Rivals』にコンテスタンととして出演。2007年頃から英米の有名アーティストのサポートを行う。2008年にファーストシングル「The Quest」をリリース。その後もオリジナルをリリースしながら、様々なアーティストにも楽曲を提供してコラボ。


High
Bryn Christopher
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あなたが私を高みにつれていく

[Verse 1]
宗教は信じてない
でもあなたを信じてる
私は深く 跪いて (Oh)
祈っている 祈っている, oh
私に無い信仰を
私はあなたに感じる
あなたのパワーを

[Chorus]
このエネルギーは 私を高みにつれていく, high
今までの人生で 何よりも高く, ah
やっと 今夜私は感じている, ah
私達だけの楽園を作ったみたいに感じる
私を高く押し上げる, high
今までの人生で 何よりも高く, ah
ついに 大丈夫だって感じてる, ah
私達だけの楽園を作ったみたいだ

[Drop]
あなたは私を高みにつれていく
とても高く 高く


[Verse 2]
完璧だなんて思ったことない
いつも本当じゃない
私は私の罪を犯してきた
祈ったけれど それも叶わなかった
これは私の告白 (This is my confession)
そしてあなたに誓う (And I swear to you)
私は本気 私が歌うときは

[Build]
大きな声で歌っている
大きな声で歌っている
Oh-oh

[Chorus]
このエネルギーは 私を高みにつれていく, high
今までの人生で 何よりも高く, ah
やっと 今夜私は感じている, ah (Hey)
私達だけの楽園を作ったみたいに感じる (Ooh)
私を高く高く押し上げる (So high)
今までの人生で 何よりも高く, ah (Ooh)
ついに 大丈夫だって感じてる, ah (Oh-woah)
私達だけの楽園を作ったみたいだ

[Drop]
あなたは私を高みにつれていく
とても高く 高く

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Written By Bryn Christopher, Ash Milton, Dan Goudie & Jodie Harsh

2024年3月6日水曜日

米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) 第3話 Tomorrow is Tomorrow :ハリウッド・スケールの活劇の回



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『Shōgun』(2024) TV Mini Series
/米/Hulu, FX/カラー/55–70 minutes
Creators: Rachel Kondo, Justin Marks
Based on Shōgun by James Clavell
No. of episodes: 10話
Release: February 27, 2024 – April 23, 2024
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米国 FXにて。オリジナルの放送は2024年3月5日。
昨日放送。早速週末まで待ちきれずに一人で視聴。


この回はアクション回です。ハリウッド仕立てのお金をかけたアクションが見れる。

もうすっかりワタクシ取り込まれてますね。不満はない。面白い。真田さんがかっこいいな~…真田さんはラストサムライからもう無茶苦茶かっこよくて、真田さんと言えば「うじおぉ~」と旦那Aが喜ぶ。オトコから見ても真田さんはかっこいいそうです。もちろんケンさんも。



★ネタバレ注意



さて今回も日本側とポルトガル側の対立が描かれる。…吉井虎永(真田広之)がポルトガルの(黒い)野望を知ったため船の出航を許可しなかったことから、不満を溜めるポルトガル側。

そして虎永の大阪城からの脱出を疑う石堂和成(平岳大)。ジョン・ブラックソーン(コスモ・ジャーヴィス)が機転を利かせて騒いだことで脱出成功。

ところが道中、虎永の一行はキリシタン大名の木山右近定長(ヒロモト・イダ)と石堂の軍勢に襲撃される。なんとか港まで逃げ船に乗り込むが、漁船に乗り込んだ敵が行く手を阻む。そこで虎永は巨大なポルトガル船に助けを求める。


山中で木山の軍勢に襲われるバトル・シーン。早速真田さんの殺陣が見られるのが嬉しい。そしてポルトガル船にガードされながら敵に囲まれた港を脱出する様子がいかにもハリウッド・スケール。お金をかけてますね~。この回はドラマの3話目。ただ危機から脱出するだけの回でこんなにお金をかけて撮るとは…なんと贅沢な。

このブログの第2話では「日本の文化が丁寧に表現されていて~」などと書いたけれど、この回はアクション回。ただただ映画を見るように楽しんだ。面白かった。


ハリウッドが日本の時代劇をお金をかけて撮ってくれることの醍醐味。お金がかけられているから日本のドラマでは撮れないシーンもしっかり映像として見せてくれるのが嬉しい。今回は漁船をなぎ倒すポルトガル船に興奮した。ジョンの船を(第1回でジョンが助けた)ロドリゲスが救うのも嬉しい。娯楽ドラマとしてよく出来てると思う。楽しかった。

もうすっかりハマった。「ハリウッドの時代劇なんて極端なエキゾティズムが…」なんて重箱の隅をつついて心配するよりも、ただただ大掛かりな娯楽活劇として楽しんだ方がいいのだろうなと思い始めた。すごく面白い。


Battlement

バトルメント…日本語で馴染みの言葉がでてこないのだけれど、西洋でいうところのお城の城壁の上に人が歩けるようになっている場所…通路。このドラマの大阪城のデザインでは、城壁の上に長い長いバトルメントが出てくる。西洋の城のデザインですね。全てCGなのだけれど、上からドローンで撮ったような場面はゲームの画面のようだと思った。ちょっと面白い。

● 日本の女の描写が進歩した?

「...women to pillow with you.」前回のくノ一アタックで怪我をしたジョンを見て医者が「緊張をほぐすのなら女がいるだろう」と言う。戸田鞠子(アンナ・サワイ)がそれをジョンに説明をする場面。それに答えてジョンが「こいつが黒魔術師じゃなかったらpimp/女衒だろうね」と言う。すると鞠子がはっとしたように「男性のコンパニオンのほうがいいですか?」と真顔で聞くのがおかしい。ああ衆道か。1600年当時の女性の鞠子さんにはそれが普通なのだな。なるほど笑。

このドラマはいかにも…なステレオタイプの日本女性の描写を避けているようにも見える。第2話でジョンがお風呂に入るように指示される場面があったので「あ~きたきた、またまた日本の風呂の場面、いつもそれ」などと思ったらジョンが断ってお風呂のシーンがなかった。ほっとした。

というのも…1990年ぐらいまでは「日本と言えば女性と風呂のシーン」がまかり通っていたのよ。いかにもなステレオタイプ。『ミスター・ベースボール』って知ってる? 昔から日本の女性と言えば、蝶々夫人…弱々しくおしとやかでかわいそうな日本の女、白人がやってくれば風呂に入れてくれる日本の女のイメージ。あ~いやだいやだ。このドラマではお風呂の場面がなかっただけでも時代は変わったんだなと思った。

おまけに第2話の最後は恐ろしいくノ一登場。いいですね~。日本の女をなめるな。日本の女にも虎や龍や蛇や荒馬がいることを忘れるべからず笑。




2024年3月5日火曜日

米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) 第2話 Servants of Two Masters :面白くなってきた



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『Shōgun』(2024) TV Mini Series
/米/Hulu, FX/カラー/55–70 minutes
Creators: Rachel Kondo, Justin Marks
Based on Shōgun by James Clavell
No. of episodes: 10話
Release: February 27, 2024 – April 23, 2024
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米国 FXにて。オリジナルの放送は2024年2月27日。


第2話を視聴。いい感じ。私の勝手な心配…このドラマはもしかしたら「ハリウッドによるエキゾティズム満載の珍妙中世ジャパン・ファンタジー」ではないか…の心配はなくなったかも。 (どのようなドラマでも)第1話/Pilot回というものが、いかに奇を衒って初見の観客を引きつけるための客寄せをしているのか…というのもよくわかった。第2話はずっと落ち着いている。

第2話はよくできた日本の時代劇。まるで日本の時代劇をものすごく贅沢にお金をかけて撮っているかのようだ。ほぼ違和感がない。出演なさっている俳優さん達も皆よく知られた日本の役者さん達で、台詞も日本語、場面はほとんどが屋内。第1回のような大掛かりな船のシーンもなし。普段から見慣れた時代劇のようにストーリーは進む。



★前知識ゼロで見たい方は少しネタバレ注意



史実を元にした内容が面白い

この回のメインは日本のトップの大名達がどのように派閥争いをしているかという内容。その派閥争いに(欧州から武器をもたらす)ポルトガルが関わっている。そしてまたその後ろにはもっと恐ろしいポルトガルの野心も見えてきた。そのような状況に迷い込んだ英国人ジョン・ブラックソーン。

歴史時代劇に慣れている日本人には馴染みやすい内容だと思う。第1話のように大掛かりなセットのシーンはないので驚きは少ないが、中身のあるドラマとして面白くなってきた。これがいい。すごくいい。(原作からのものだと思うが)人物達の力関係が描かれていて面白く、すでに続きが楽しみ。さてこれから関ケ原までどのような流れになるのか?


● ポルトガルの野望

英国人作家・ジェームズ・クラヴェルが1975年に書いた原作からの内容によるものだと思うが、ポルトガルの日本に対する野望が描かれているのが面白い。(史実でも)欧州ではローマの教皇の元、1494年のトルデシリャス条約によりスペインとポルトガルが世界を勝手に2分し、それにより日本はポルトガル領とみなされており、このドラマでもポルトガルがマカオをベースに日本の植民地化の準備を進めていることが描かれている。それをサポートする日本国内のキリシタン大名。カソリック教徒のポルトガル人+キリシタン大名にとって、その実状を知るプロテスタントの英国人航海士ブラックソーンは邪魔な存在。その辺りの話も面白い。


● 日本の文化の紹介

ドラマ全体では比較的穏やかなシーンが続くので、人々の所作やシーンの細かい部分がよく見える。例えば、石堂が部屋の真ん中で書に判を押すシーン。その直前に家臣がその準備をする様子が数秒だけ映る。部屋の真ん中には文机。家臣がその上に印を準備し、手前に茵(しとね・座布団)を置いた後で前面を両手でさっと撫でて整えるシーン。はっとする。ほんの数秒のシーンなのにそのような細かいところまでカメラで捉えて映している。短いシーンでも日本の細やかな文化を映して紹介しているのだと思い感心した。


● 日本人の出演者

落葉の方(二階堂ふみ)が登場。このお方の冷たさが最高にいい。二階堂さんは以前お若い時にNHKの『軍師官兵衛』で淀殿をなさっている。あの気性の激しい淀殿はよく記憶している。当時二階堂さんは20歳ぐらいだったのに堂々としていてすごい女優さんだと思った。今回また淀殿=落葉の方をなさることになった。この落ち葉の方もキツイ女性ですね。強そう。いい。すごくいい。楽しみ。

日本の俳優さん達は皆安心して拝見できる。今のところこのドラマで妙なアクセントの日本語は聞こえてこない。それにしてもすごいですね…ハリウッドの作品なのに日本人の役が全員日本の役者さん達なのだろうか。それだけでもものすごいachievementだと思う。真田さんのおかげなのだろう。感謝。


● 真田広之さん

最後のくノ一アタック・シーン。真田さんが刀を持つ。かっこいい。真田さんは別格だ。真田さんは刀を持った途端に超人になる。本当にかっこいい。真田さんは刀を振らなくても、ただ刀を手に持っただけでキマる。空気が違う。そのことがよくわかった。そして刀をさっと動かせばもう相手が斬れている。全てがあまりにも美しい。かっこいいわ~💕 これからもソードマスター真田が見られるのかしら。


これからも楽しみです。


米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) 第3話 Tomorrow is Tomorrow :ハリウッド・スケールの活劇の回
米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) 第2話 Servants of Two Masters :面白くなってきた
米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) Pilot第1話 :これから楽しみです



2024年3月4日月曜日

お猫様H:うららかな



この写真は1月に撮影



もう3月になってしまった。
今年は雛人形を出さずじまい。ついつい怠けてしまった。だってつい先日まで1月だったのにもう3月なんて驚きだ。雛祭りも終わってしまったけれど、ハワイが乾季に入ったら箱を開けて虫干しをしようと思う。

ここのところ怠けもの度がすごい。1日にできる物事の質と量も減っている気がする。実は12月にうちに届いたカメラの箱を未だ開けていない。これが老いというものだろうかと思う。