ああ とうとう事件が起こってしまった。
前回はその
事件の起こる日の1日をみっちりと描いてましたが、今回はその一晩とその後の数日間。
ああでも悲しいですね。実朝君がいなくなった。そして公暁君の事も悲しい。彼もいなくなった。そして仲章もいなくなった。…とそこまで考えて…ちょ…と待て。この3人がいなくなって得するのって、
義時じゃん。え~
これって歴史上の考察で「企てたのは義時だった」という説はないの?…とWikipediaに見に行ったら、義時黒幕説、三浦義村、北条・三浦ら鎌倉御家人の共謀、後鳥羽上皇説等々、諸説あるそうだ。しかし近年は
公暁単独犯行説を取る研究者が多いとのこと。そうなの?
だって京都のスパイ源仲章がやられたとなると…
一番得をするのは義時ですよねぇ。
この八幡宮の階段とイチョウの木「隠れ銀杏」での話は、1979年の大河
『草燃える』でも一番印象に残っていた事件。というのもあのドラマの実朝はウルトラマンタロウの篠田三郎さんだったから。だからよく覚えていた。悲しかった。 数年後に初めて上京した時には鎌倉を訪ねて実際のイチョウの木を見て、ああこれがあの大銀杏なのね…などと思った。 その後『草燃える』は2005年ごろに総集編のDVD を買って見た。すごく面白かったです。唸りました。この
『鎌倉殿の13人』を見終わったらまた見直すつもり。松平健さん怖かったよね。
さて話はそれましたが、とうとう実朝の最後の夜です。
前回の最後は、実朝の拝賀式の直前。太刀持の義時の横から源仲章が現れた場面。そして泰時が公暁の意図を知って焦る場面でした。
今回はその続きから
建保7年(1219年)1月27日 雪の日の夜
源仲章(生田斗真)が
北条義時(小栗旬)から太刀持の役を奪って列に並んでいた!
そして早速仲章が飛び出してきた
公暁(寛一郎)に斬られる。
ぁああああああああああああああああぁああああああああぁああああああああぁああああああああぁああああああああぁああああああああぁああああああああ |
似顔絵を描きながら笑いが止まらなくなったのは初めてだ😁 仲章に拍手!生田さんに大きな拍手!!! |
仲彰の奇声。なに?なにそれ笑…なかあきら面白すぎギャ!ハハハ…と笑ったら、それに続くシーンの仲章は本当に苦しんでいて怖い。辛い場面。「寒いんだよ」と最後は怒ってる。生田さんうまい!すごい~!
公暁は斬った相手が義時ではないと気付いて驚いている。
そして
実朝(柿澤勇人)。最初は短刀を手にするのに…
歩き巫女(大竹しのぶ)の言葉「天命に逆らうな」を一瞬思い出したのか、刀を捨てる。公暁に向かって微笑むように頷く。そして斬られてしまう。
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逃げて 実朝 |
ぇえええええ悲しい。悲しい。実朝くん。なぜ、なぜ、なぜ逃げないの?
そして斬られた後はそのまま。一度だけ雪の上に倒れたお顔を映しただけで、そのまま実朝は亡くなってしまった。涙涙涙。ぇぇぇぇええ…。実朝ロスが…悲しい悲しい悲しい涙涙涙。
そして
公暁。この公暁の描写が秀逸。これは脚本なのか、監督のアイデアか、それとも寛一郎さんのアイデアなのか。実朝を…自分の叔父さんを斬った
公暁は明らかにうろたえている。「阿闍梨公暁、親の敵を討ったぞ!源氏嫡流簒奪の謀略はここに…」と言いながらその文書をうっかり落としてしまう。そして拾い上げた書は実朝の血が大きく滲んで読めない。そのシーンの公暁の慌てた様子。焦っている様子がリアル。この青年は、自分のやったことの大きさにうろたえている。(おそらくは)人を初めて斬ったことにショックを受けて震えている。一瞬の場面なのになんとリアルな描写だろうと思った。
もうそこからは公暁がかわいそうでかわいそうでたまらん。彼にはもう後がない。…実際にもこういう感じだったのかもしれませんね。彼は武士として訓練された人ではなかった。もちろん人を殺したこともなかっただろう。だとしたら自分の手で人を二人も斬ったら冷静でいられるわけがない。それに斬った相手は自分の叔父。その叔父は自分に向かってくることもなく、全てを受け入れるように微笑んでさえいた。そして父の敵だと斬ったもう一人の人物は北条義時でもなかった。
全てが想定外。公暁は慌てていたのだろうとおもう。緊張して震えて、全てがうまくいかない。どうしよう。どうしよう。ああ辛いね。思わず公暁君の気持ちになって苦しくなった。
そして逃げる。逃げて祖母の北条政子を訪ねた。
この時の公暁の表情は怯える子供のよう。政子が「どうして」と尋ねれば、公暁「
知らしめたかったのかもしれません。源頼朝を祖父に持ち、源頼家を父に持った、私の名を…」「公暁…。結局、
私には武士の名はありませんでした」…涙涙涙。これは悲しい。「
4代目は私です。それだけは、忘れないでください」とお婆ちゃんだけに本心を話して公暁は消える。もうかわいそうだ公暁くん涙涙涙。彼は孤独だったのだろう。泣いてる。誰かに存在を認めてほしかったんだよね 涙涙涙。
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かわいそうな公暁 |
そして次に助けを求めた三浦館で義村に討ち取られる。無念。
はぁあああああ…とうとう事件が終わってしまった。
ひとつひとつ丁寧に丁寧に描かれてます。こんなに
公暁の心が描かれるとは。これは最大級に悲しい話。彼の気持ちがわかる。どうして頼朝の孫なのに、そして頼家の息子なのに、なぜ鎌倉殿になれないのだろう。なぜそういう扱いをされないのだろうとず~っと悩んできたのだろう。これは悲しい。前回はつつじさんに泣いたが、今回は公暁君に泣いたわ。寛一郎さんが素晴らしい。
実朝は、最後の瞬間に(おばばの言うところの)「天命」を受け入れて公暁に頷いてましたが、彼はどういうつもりだったのだろう。というのも、彼が最後に詠んでいた句は
出でて去なば 主なき宿と なりぬとも 軒端の梅よ 春を忘るな
=自分が出て行き 主のいない家となっても
軒端〈軒の先端〉の梅よ 春を忘れるな
…これって(このドラマでは)千世さんへのさよならの歌ですよね涙涙涙。 僕がいなくなっても泣かないで…みたいな意味。ぇぇ悲しすぎる…。 それにしても史実の実朝君はどうしてこんな歌を詠ったのだろう。当日に詠んだのだそうだ。まるでその日に何が起こるのかわかっていたみたいだ。
千世さん(加藤小夏)は大丈夫かなぁ。彼女は実朝と仲良しベストフレンドだったのですよね。とにかく悲しいな、この話は。
さて悪い奴ら。
●北条義時(小栗旬)
史実でも…やっぱりこの人は全てわかっていたんじゃないですかね。(記録によると)実際には式の前に体調不良で太刀持/御剣役を源仲章に変わってもらったそうなのだけれど、それって
仮病ではないのか。だってこの事件は
あまりにも義時に都合がよすぎる。 この回では義時にも迷いがなくなったらしい。そうだな。もうそろそろ心を決めてもらわないとね。それから
義村が裏切っていた事にも気づいたのかな。今更ですよねぇ。
…あっ そうだ。奥さんの
のえ(菊地凛子)さんに昔の奥さん二人の名前を出して貶してましたね。酷い酷い酷い。それは言ってはいけないことよ。一番頭にくるわ。 父を責める泰時にも絡んでいたし、お姉さんの政子さんにも言いがかりをつけてましたね。嫌な奴だ。
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パワハラの権化 義時 |
●三浦義村(山本耕史)
このお方はね、わかりやすい。悪いけれど迷いがないからいい。最後の公暁を斬った時にも躊躇がない。ザクっと表情を変えずにやるべきことを淡々とやっている。納得ですね。うんうん。鎌倉で生き残る人はこれぐらいで丁度良い。早速首桶を持って御所に上がり「これからも、三浦一門は鎌倉のために命がけで働く所存にまいります」と大きな声で宣言。皆に知らしめている。この人の行動は納得できる。義時との騙しあいもどうなるのか?
●大江広元(栗原英雄)
仲章の死は…おかげで手間が省けた
●三善さん
康信(小林隆)
実朝の死に泣く。だって彼はその日の午後、実朝に家族の過去を教えた人。きっと後悔してると思う。
●北条泰時(坂口健太郎)
実朝が斬られた瞬間の表情が印象的だった。彼も実朝に近かった人。実朝に対して尊敬と友情以上の思いがあっただろう。辛いですね。実朝が斬られる直前、実朝を救いに行こうとしたら義時に止められる。それで悟る…
父は鎌倉殿の死を望んでいた。ますます父に反発する泰時「あなたの思い通りにはさせない」 いいぞ、がんばれ
●実衣(宮澤エマ)
自ら育てた実朝を失って泣く。そして野心…息子の時元(森優作)を鎌倉殿に。
●北条政子(小池栄子)
このお方が今回一番頭を捻った。これは脚本?演出?それとも小池さんの芝居か? この女性は…実の孫に息子を殺されても、
表情が硬い。ほとんど泣かない。公暁が訪ねてきた時も、ほとんど表情が変わらない。どうしてだ? 確かに一度は小刀を自分に向けて、その後泣き崩れていたけれど、それでもあまり事件の影響を受けていないように見える。わぁわぁ泣く芝居がいいとは決して思わないけれど、あまりに無表情なのも変。だって孫が息子を殺して同時に死ぬなんてとんでもないことだもの。
寝込むのが普通。 これ、政子さんのシーンが妙に見えてしまった理由のひとつは、
老けメイクをしていないからではないかとも思った。政子さんと公暁は、お婆ちゃんと孫。この時の政子さんは62歳。そして公暁は20歳。実朝は27歳。 この政子さんは62歳には見えない。どうして老けメイクをしないのだろう。そういう演出は意図的なものか。今回の事件は老いたお婆ちゃんの悲しみとして表現したほうがいいと思うけどなぁ。
ところで政子さん、義時に「あなたは鎌倉の闇を断つために何をした?」と凄まれてましたが、鎌倉の闇を作ったのは義時あなたじゃないかっ、バカ野郎! …そうそう政子さんだけじゃなく、
義時もメイクが若いのです。義時はこの時56歳ごろ。もう少し髭や髪に白髪を足してもいい。義村も若いですね。
●運慶(相島一之)
義時に向かい「迷いのない顔。つまらん顔」。よしよしもっと言ってください運慶さん。義時はアーティストをパワハラで脅す武士の親分。義時なんだかな~…義時は三浦義村みたいなポーカーフェイスができないのですよね。圧が強い。運慶さんも困ってる。めんどくせー権力者だと思ってると思う。
義時「おまえは俗物だ。だからおまえの作るものは、人の心を打つ」ぉおおおぅ。ちなみに義時の姿を伝える肖像は、彫刻も絵画も含め現存しないそうです。