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Les contes d'Hoffmann
Opéra fantastique by Jacques Offenbach
Language: French
Based on three short stories by E. T. A. Hoffmann
Premiere: 10 February 1881, Opéra-Comique, Paris
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Blaisdell Concert Hall
April 21, Friday, 8:00pm
『ホフマン物語』は『天国と地獄』で有名なオッフェンバックの作品。彼のそれ以外の曲は全く知らない。
単純に面白かったです。全 5 幕、 3 時間に及ぶ長いオペラなのだけど演者の数が多く飽きることがなかった。曲も大変キャッチーでわかりやすい。美しいメロディ。見ていて楽しいオペラ。舞台上の人数も 30 人以上と多く、とにかく全体に贅沢で豪華。
★大変乱暴で大雑把なまとめ
「詩人ホフマンが 3 人の元カノとの失恋話を皆にして酒場で酔いつぶれ、最後は今の彼女のステラも恋敵にとられてしまう」
★あらすじと感想
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1 幕:プロローグ
詩人のホフマン が、舞台に出演中のオペラ歌手の恋人ステラを劇場の外の酒場で待っている。恋のライバル・ニュンベルクの顧問官リンドルフ がやってきて絡む。ホフマンはまわりの学生に過去の失恋話 を始める。
ホフマン: Eric Fennell (テナー)
リンドルフ: Wayne Tigges (バリトン)
酒場のシーン。ホフマンの Eric /エリックさんは線が細い。しかし綺麗ないい声。恋敵のリンドルフの Wayne /ウェインさんはかなりの迫力。艶のある大きな声。私は基本的にバリトンが好きだ。ホフマンが線が細くて繊細そうなら、リンドルフは大柄でカリスマに溢れている。リンドルフを演じるバリトンのウェインさんは、全ての幕でのそれぞれの悪者 (恋敵/人形の作り師/やぶ医者/魔術師/)を通しで演じている。
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2 幕:オランピア ・元カノ 1
科学者の美しい娘オランピア は、実は機械仕掛けのお人形。しかし人形の作り師コッペリウス が科学者から支払いをしてもらえなかったので怒って人形を壊してしまう。
オランピア: Rachele Gilmore (ソプラノ)
コッペリウス: Wayne Tigges (バリトン)
オランピアちゃんの Rachele /レイチェル さんはこの日一番のスター。誰よりも輝いていて会場中から大きな拍手を浴びていた。このお方はオランピア役で有名な方らしい。 2009 年にニューヨークのメトロポリタン・オペラで病欠した歌手の代役で出たのが彼女の The Met デビュー。代役であったにもかかわらず大変な評判だったらしい。ルックスもお人形のようにかわいい。超高音も無理なく出しているのも超人的。今まで 20 数回オペラを見てきて、こんなにすごい高音 を聴いたのは初めて。本当に高い声。驚いた。それにカワイイ。本当に可愛らしい。長いソロを聴き終わったら「今のは何?今何を見たの?あれは何?」などの言葉が頭の中に溢れる。レイチェルさんはこの『ホフマン物語』のオランピア役でヨーロッパの大舞台にも出演なさったそうです。そんな大スターをこの地方都市でみることが出来た幸運。本当に素晴らしかった。
この第 2 幕の衣装はなぜか 18 世紀風 。全員白く膨らませたカツラにウエストを絞ってコルセットで膨らませたスカート。この話は 19 世紀のドイツが舞台 だそうなので、この時代の衣装としては間違っているのではないかと思うが、そんなことはどうでもいい。実は密かに 18 世紀マニアの海亀はもう衣装を見ただけで大興奮。ステージ上の 30 人以上の人物達(多くは女性)が皆 18 世紀風の衣装を着て歌うだけで嬉しくてたまらない。興奮興奮大興奮!
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これがレイチェルさんのその2009 年のMetでのデビューの映像だそうです。4 分あたりから5 分にかけてどんどん声が高くなる。5分 53秒、6 分 18 秒の音がすごい。たぶん今はもっと正確で上手いんじゃないかと思う。最後に何度も何度もお辞儀をするのが可愛い。
VIDEO
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~休憩~
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3 幕:アントニア ・元カノ 2
病弱な歌手のアントニア 。歌を歌うと体力を使いすぎて死んでしまうので父親に歌うのを止められている。そんな彼女と恋に落ちる。しかし悪い医師ミラクル に歌うようにそそのかされて、歌を歌い彼女は死んでしまう。
アントニア: Christine Arand (ソプラノ)
ミラクル: Wayne Tigges (バリトン)
美しいソプラノ Christine /クリスティンさん。アメリカの中堅のソプラノでしょうか。このお方の声も美しい。海亀は実はソプラノがあまり好きじゃない。好きじゃないことが多い。好きな声は限られている。しかし今回このアントニアのクリスティンさんは好きなソプラノだった。オランピアのレイチェルさんがあまりにも衝撃的だったので少し霞んでしまったようにも思うが、クリスティンさんの声も美しい。柔らかな質感の白い衣装に編み上げた髪で、 19 世紀英国のラファエル前派の絵画の女性のように美しかった。
2 人のバリトンに 1 人のテナー、それからソプラノ二人にバリトン(だったと思う)の三重唱それぞれがとても美しい。
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~休憩~
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4 幕:ジュリエッタ ・元カノ 3
ジュリエッタは高級娼婦 。恋に落ちる。悪い魔術師ダペルトゥット がホフマンの「影」を手に入れるように彼女に指示。彼女は「影」を手にいれるとホフマンを棄てていってしまう。
ジュリエッタ: Eve Gigliotti (ソプラノ)
ダペルトゥット: Wayne Tigges (バリトン)
有名な「ホフマンの舟歌」 はこの幕の冒頭。ジュリエッタの Eve /イヴさんはいかにもよくいる大きくてパワフルなオペラの女性歌手ソプラノ。イブさんはとてもパワフルで今回の出演者全員の中でたぶん一番大きな声だった。この第 4 幕は、彼女の声の大きさが一番印象に残っている。
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5 幕:エピローグ
酒場でホフマンが失恋話を終わって酔いつぶれる。恋人ステラ がやってくる。顧問官リンドルフがステラを連れていく。友人ニクラウス は実は芸術の精ミューズ で「詩人としてよみがえりなさい」と悲しむホフマンに語りかける。
ミューズ: Olivia Vote (メゾソプラノ)
実はこのオリビアさんの声がたぶん苦手なタイプのソプラノ。ソプラノはこういう好みがあるので難しいなと思う。
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まずこの『ホフマン物語』は曲がキャッチー。 オペラに慣れない者でも楽しめる。口ずさめるようなキャッチーで美しい曲が多い。第 2 幕オランピアの「生垣に小鳥たちが/Les Oiseaux dans la Charmille 」がとてもかわいい。第 3 幕の三重唱も大変美しい。オペラを見て CD を買おうかと思ったのは初めて。全体に曲がキャッチーだからだろうと思う。
衣装も綺麗。 特に第 2 幕オランピアの 18 世紀風衣装とカツラには個人的に大興奮。おそらくストーリー上の時代は間違っているんだろうけど。それでもあのカツラと膨らませたスカートを見ると興奮する。演出によって、近年は古典のオペラもモダンな演出や衣装だったりするものだが、今回の衣装は素直に 18 、 19 世紀の衣装だったので違和感なく楽しめた。クラシックにはクラシックな設定が好き。
舞台のデザインも豪華。 シンプルに組まれたセットの後ろに巨大な幕を張り、それぞれの場面に沿った画像、また映像をプロジェクト投影して背景を変化させている。映像も含めて豪華な印象の舞台デザイン。舞台のデザインも演出も奇を衒わずクラシックな印象で馴染みやすかった。
今回このオペラを心から楽しめた一番の理由は、演出、衣装の素晴らしさのみならず、歌手の方々がとにかく素晴らしかった こと。ソプラノが 5 人も出てきたので、それぞれの違いを楽しめたのもとても贅沢だった。中堅以上のソプラノ 5 人。テナー 2 人。バリトン 2 人をニューヨークなどの都市から呼んできているので、プロダクションは大変コストの高いものだったのではないかと思う。とにかく出演した歌手の数が多い。メインの女性の数だけで 5 人もいる。 3 時間もかけて 5 幕もあるのに、違うソプラノが入れ替わり立ち替わり出てくるので全く飽きない。普段女性の主人公が一人だけの演目では、例えば『椿姫』で主役のソプラノの声が好みじゃない場合、全体も楽しめなかったりするのだけれど、この話はソプラノだけで 5 人も出るので全く飽きない。本当に贅沢です。
最後は会場全体でスタンディングオベーション。最初は脇役からの紹介で会場もぱらぱらと立ち上がり始めたが、オランピアのレイチェルさんが出てきたら大きな歓声が上がり観客全員がどどっと音を立てて立ち上がる。拍手が長い間止まなかった。 彼女はとにかく素晴らしかった。私はバリトンの悪役、丸顔のウェインさんも好き。少しコミカルなカリスマ悪役は見ていて楽しかった。金曜は今回の公演全 3 日間の中での初日だったのに満場拍手喝采がすごかった。今まで見てきたオペラの中で一番ウケていたように思う。曲の素晴らしさ、歌手の方々の素晴らしさ、演出の素晴らしさで、長い時間の演目でもみんな心から楽しめたのだろうと思う。素晴らしかったです。
今までオペラのことを書いたことはなかったのだけれど、これは本当によかったので記録しておこうと思う。これからもあまり気負わずに学びながら少しずつ馴染んで感想が書けるようになればいいと思う。