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『Robin Robin』(2021)
/英・米/カラー
/32 m/監督:Daniel Ojari, Michael Please
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やっと書こうと思い立った映画の感想。去年のクリスマス休暇中に見た映画です(ずいぶんのんびり)。
今まで何度か去年のクリスマスの時期に見た「家族」をテーマににした映画の感想を書いてきたけれど、「家族」関連の映画は前回の映画『みんな元気/Everybody's Fine』(2009) でおしまい。クリスマス休暇中に見た映画は残るところあと2作品。その一つは英国のショート・アニメーション!
制作はAardman Animations/アードマン。好き好き💕
英国の宝
ストップ・モーション・アニメーションの作品。フェルトの人形が活き活きと動きます!このクラフト感というのか…手作りの人形が動く様子がたまらない。一秒一秒が全て職人の技。本当に素晴らしい。驚くほど沢山のアイデアが散りばめられていて、たった32分なのにこの「美術」の情報の多さに驚く。ぼ~っと夢でも見ているように見惚れてしまった。
マイルドにミュージカル笑。少しおとぼけ風。静かにユーモラスで可愛い。ほのぼの。作りこんだ大変複雑なセットに、小さな生き物が動いている様子に痺れる。ワクワクドキドキした。子供になったように嬉しくなった。いくつになってもこういう世界が好きだ。
Magpie(カササギ)の家の凝った様子(彼はコレクターですね)にワクワクする。虫(シラミかな?)がいて一緒に歌う笑。
絵として描かれるユーモア…とぼけたMagpie(カササギ)がロビンの真似をする様子にニヤニヤする。可愛い。そして穏やかで優しいねずみのお父さんと子供達。皆がロビンを心配する様子に心温まる。
クリスマスの季節の話です。だからクリスマスの時期にNetflixでオススメされていたのだな。見てよかったです。宝石箱を見つけたようにワクワクした。
Aardman Animations/アードマンは英国の宝。
この会社のストップ・モーション・アニメーションは『ウォレスとグルミット/Wallace and Gromit』のテレビ・シーリーズから見た。英国に住んでいた1996年頃にテレビで『A Grand Day Out (1989)』や『The Wrong Trousers (1993)』を見たのが最初。おとぼけウォレスと素面なグルミットが微笑ましい作品。そして2003年にはテレビ・シリーズ化された『Creature Comforts (2003)』…この作品の日本のタイトルは『快適な生活〜ぼくらはみんないきている〜』。
アードマン社の作るアニメーションのキャラクター達は…なんだろう…古き良き時代の英国の市井の人々のイメージだろうか?
『Creature Comforts (2003)』がテレビで放送されていた頃、ロンドンは元気が良かった時代で、メディアにはやたらと気が強いイメージの…声の大きい、肩で風を切る、若く美しい、モダンで都会的な人々がかっこいいと…そのようなイメージが巷に溢れていたと思うのだけれど、
このアードマンに出てくるキャラクターは、そのような当時のクール・ブリテンとは全く正反対のイメージだった。
…素朴、普通の、親しみやすく、繊細、穏やか、細やか、優しい、誠実で、思いやりのある、センチメンタル、少しアークワードでぎこちなく、内気でシャイで、小声で…、それでも日々の小さな幸せを抱きしめて淡々と生活をしているような…そのような古き良き時代の英国の市井の人々のイメージかな。春の温かくなってきた日に、孫がお婆ちゃんと柔らかなお日様の射す窓際のテーブルで、お茶を飲みながらビスケットを食べるような。そんな優しい世界。
アードマンのアニメーションはそのような(私が心の中で思うイメージの)穏やかな英国の市井の人々を描いていた(もしかしたら彼らはもう存在しないのかもしれないけれど)。私はそのような穏やかな英国のイメージが好きで、アードマンの描く優しい世界に癒されていた。
この作品も同じく穏やかな英国のイメージ。ほのぼの、素朴、優しい世界。そして驚くほど美しい…宝石箱のような世界。アナログの腕時計の裏側の蓋をそっと開けて小さな歯車が小刻みに動いているのを息を止めて見るような…そんな世界。
実は4か月以上も前に見たものだから細かいことを覚えていなかったので、先ほどNetflixで見直してきた。やっぱり素晴らしかった。
短いけれど素晴らしい世界。こういう作品が本物の芸術だと思います。制作の方々が一コマ一コマ人形を動かしながら作っていることを考えると本当にすごいと思う。大昔に美大を出た人間にはたまらん世界です。アイデアとクリエイティビティが一秒一秒にキラキラと輝く。
アードマンは20年ぐらい前からきちんと追っていないのだけれど、今までどのような作品を作ってきたのだろう。2003年にハリウッドと組んで撮った映画『チキンラン/CHICKEN RUN (2003)』は、いかにもハリウッド的、アメリカ的で騒がしくて…私は「これはアードマンじゃねーよ、やっぱアメリカはアードマンをダメにする」などと文句を言っていた。アードマンはあれからも沢山映画作品を作っているのですね。チェックしようかな。
ところで今『Creature Comforts (2003)』ってYouTubeに公式で上がっているのですね。びっくりした。私は英国を出る時にDVDを買ったのだけど、今はYouTubeでフリーで見れるぞ💕