能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2025年7月28日月曜日

米ドラマ Netflix『フォー・シーズンズ/The Four Seasons』(2025) シーズン 1:リアルで身につまされる





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『The Four Seasons』(2025) TV Series-Season 1/米/カラー
/1話 約30分・全8話/制作:Tina Fey, Lang Fisher, Tracey Wigfield』
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週末にNetflixのオススメに出てきて見始めたドラマ。週末の2日で「春夏秋」を見て翌週に「冬」を見終わった。面白かった。面白かったけど色々と考えさせられたドラマ。

最近は世の中の政治関連が忙しいので、なかなか2時間の映画を見る気持ちになれないのだけれど、このドラマは1エピソード30分。気楽に見られるのでよかった。  


元々大学時代の友人だった5人(+1人)=6人のグループの30年後…現在50代半ばの彼らがシーズン毎に集まってホリデーを過ごすフォーマット。シーズンが進む毎に進んでいく物語。ストーリーの要は主人公ニックの中年の危機/Midlife crisis。ニックの想定外の行動により、友人関係のバランスが崩れていく様子をかなりリアルに描いている。


メインのキャストはスティーヴ・カレルとティナ・フェイ。お二人ともよく知られたコメディアンなので、当然作品はコメディ目当ての視聴者を想定したものだろうと思われる。しかし内容は結構シリアス。軽い気分で見始めるとびっくりさせられる。「いったい…これは笑っていい話なのか?」

例えば視聴者が20代~30代であれば「中年がまたおかしなことをやっているははははは」と単純にコメディとして笑えるのだろう。しかし(主人公達の年齢も超えた)実の中年~高年齢の視聴者が見れば印象は違ってくる。このドラマはあまりにリアルで居心地が悪い。リアルな台詞にいちいち「これ、私だわ。これ私達だわ」と笑えなかったりする。ドキドキハラハラしたりゾッとしたり…。なんだか自分の(そして見覚えのある周りの人々の)行動や言動を思い出して恥ずかしくなる。赤くなったり青くなったりする。それは脚本が(シーンの描写が)上手いということなのだろう。

いや~これはどうかな。可笑しくはない。あまり素直に笑えない。ただ身に覚えのある台詞や行動のリアルさに思わず身をよじって苦笑いする。そのようなドラマだ。見てよかったと思う。色々と考えさせられた。旦那Aとも感想をよく喋り合った。

制作はティナ・フェイを含む女性3人。なんと…女性が書いた話なんだ。だから身につまされるのか。なるほど…納得したわ。


全体に楽しめたドラマだが、少し無理があるかと思った部分をまず先に書いておこう。

Con 1
まずスティーヴ・カレルはニックを演じるのには年寄りすぎるだろう。制作はこの作品をコメディとして売りたかったのだろうから、カレルとティナ・フェイの2大コメディ・スターを配役したのだろうが、スティーブ・カレルだけ他の俳優達より年齢が上。彼は現在62歳。彼以外の俳優たちは全員55歳。

カレル演じるニックが、6人の中で一番「若さを諦められない」キャラであるのに、カレル御本人が一番高齢というのは無理がある。私が見るスティーヴ・カレルの印象は「面白おかしいユーモラスなお父さん(←だからいい)という感じなので、「まだまだ遊び足りないギラギラした中年の危機の男」のニックのキャラには納得できない。

ニックのキャラには『Mad Men』のジョン・ハムのほうが合っているだろう。彼は54歳で他の俳優達と同じ世代だし、ハンサムでいかにも「まだまだ諦められずにトライアスロンに挑戦して若い女の子と遊びそうな男」に見える。彼も実は面白い人なのですけどね。しかしコメディ枠では売りにくいのだろうな。ハンサム過ぎる。

● Con 2
ドラマのコンセプトが、1981年の同名の映画を元にしていて…四季の移り変わりを通してストーリーの流れを追う話…になっているからしょうがないのだけれど、あまりにも事件を詰め込み過ぎではないか。「春」が終わって「夏」以降は全員がニックの行動に振り回される話になってしまっている。そして「冬」。…なかなか急ぎ足だなと思ったが、これはしょうがないのかな。あまりいい結末ではないと思う。




★ネタバレ注意


さてここからは私が個人的に血圧の上がったシーンを書いていこう。誰が誰がと説明はせずに、ただキャラの名前だけを書いていく。だからドラマを見ていなければ全くわからない感想だと思います。

私も中年の女…なので、なによりもこのドラマの二人の中年女性の描写に度々青くなった。あまりにも「ワタシだわこれ」の場面が多い。それを書いておこう。


アン/Anne
ニックが男友達に言う「アンは全て諦めてしまったんだ。彼女は本も読まない。新しいことにも挑戦しない。(釜を作ったのに)陶芸もやらない。iPadで農業ゲームばかりやってる」

ぅわああああああああこれワタシ、ワタシやでこれ。挑戦しなくなった。諦めてしまった。人生イージーモードでいいよね。もう頑張りたくないの。もういいじゃない。楽にいこうよ。それです。それそれ。…そしてニックにあきれられている。

思わず旦那Aを振りむいて「ねえ、あなたもこんな風に思うの?」と聞いてしまった「これワタシだよね笑」 なんか…ぞっとした。居心地が悪い。リアル過ぎてこわい。脚本うまいね。でもドラマになってるということは…よその中年女性も皆こんな感じなのかしら。皆アルアルなのかな。だといいな。だって更年期も終わったんだからもういいじゃない。あまり頑張りたくないよね。…いや私の場合は40歳を過ぎてからずっとこういう感じだったけれど。更年期とコロナで怠けゴコロが加速しましたね。笑えない。でもこれから頑張るつもりもない。

iPadで農業ゲームにも…ぅぁ…苦しいな。しかしまだ農業ゲームには手を出してない。あれははまりそうだから意図的に避けている。面白そうだと思ったのよ。『Hay Day』だっけ?かわいい広告を見て何度かココロ惹かれた。 さすがにベッドルームにiPadを持ち込むことは無いけれど、旦那Aが寝てしまった後もリビングで『Tile Match 3D』や積み木崩しゲームをやってる。そうそう、ちょっと前に3000面クリアしたとここで報告したやつです。

いろいろと…こわいねこのドラマ。「夏」でアンとサーフィンのインストラクターとの逸話は…もう身もだえするほど恥ずかしい。私はやらない。けど、彼女の気持ちもわからないではない。ぁああ辛い、つらいね。

そして「秋」はニックにとにかく腹を立てる。あのやろう、なんて無神経な。男の傲慢ですね。あれはゆるせない。あいつは自分の理想を皆に押し付けて、皆が無理して彼に合わせてあげているのに「皆打ち解けてるからいいことだねえ」などとニヤニヤしている。もう却下。あいつはいなくなればよろしい。他のメンバー全員が困ってるし、アンには残酷。マジで。そして娘の父親への憎しみにも激しく同意。そしてなによりもジニーに対して酷いと思う。ニックは最悪。 実はあれに近い場面を見たことがある。世の中には馬鹿な男がいる。

そして、そのように感じる私は「もう100%、人の嫁の中年女なのだな」とも自覚した。もう完全に「人の嫁」としての考え方になってしまっている…もう独身の自由な若い女の考え方は出来なくなっているのだろう。ジニーは可哀そうだと思うけれど、なによりもアンの気持ちに寄り添って無茶苦茶腹が立った。ニックはバカです。本当にどうしようもない。

ニックはあのように自分の傲慢を押し通すのならまずグループから抜けるべきでしょう。静かにグループから離れて、彼は「彼の新しい楽しい時間」を勝手に大切にすればいいと思う。変わってしまった今の自分を周りに押し付けるのは傲慢。誰もいい思いはしない。迷惑。

そして「冬」でニックの苦労を知る。ざまぁみろだ。これも私が「もう100%、人の嫁の中年女」である証拠。本当にニックはバカだと思う。バカバカ。可哀そうだなんて一ミリも思わない。しかし展開が急すぎる。あまりうまく消化できなかった。だからプロットに無理があると思った(上記Con 2参照)。

● ケイト/Kate
ワタシと旦那Aの関係がケイトとジャックにとても似ている。「私がいなきゃあなたやっていけないでしょ」と夫にガミガミ言う。あ、ワタシだ。これもワタシ。ゾッとして青くなる。いや「ワタシ達だ。ね、これワタシ達だよね」と旦那Aを振り返る。ニヤニヤ笑いをする旦那A。かわいそうに。  外から見ると、私も/うちもこんな感じなのだろうね。なかなか外に見せることもないですけどね。似てるわ。本当に身につまされて居心地が悪くなった。

でも「冬」にジャックのヒーロー場面が出てきてよかった。

● ダニーとクロード
彼らはゲイのカップルのせいか、あまりうんうんと頷く場面もなく、ただ微笑ましいと思った。そういえばニックとアン、ジャックとケイトの場面は、苦しくなるほど恥ずかしい場面も沢山あるのに、このゲイの二人の場面はあまり恥ずかしい場面もない。ダニーは最初から最後まで一番かっこいいクールな人だし、クロードはかわいい。

おかしかったのは、「春」に激怒したクロードが一人で宙に向かってイタリア語で文句を言い始めた時。イタリア語はわからないが、おそらく「もうやってられないわ。いつもこうなんだから」とかなんとか叫んでいたのだろう。これもワタシ、やるやる。旦那Aに猛烈に怒った時は日本語で宙に向かって悪態をつきまくる「冗談じゃないわ、やってられないわこのおとこ!」などとと私も言う。日本語のわからない旦那Aは困って立ち尽くす。クロードの怒り方を見て一人ゲラゲラ笑った。


というわけで、こんな感じです。また自分語りをしましたね。だってあまりにもリアルだもの。だから面白かった。痛いね。やれやれ。


アンのことで「…挑戦しなくなった。頑張らなくなった」とあったけれど、人は「挑戦をしなくなる、自ら戦いの場に上がらなくなる」ことで、やっと人生を俯瞰して見ることができるようになるのも事実なのです。(いい意味で)リラックスして物事に距離を置く姿勢は、年を取ったからこそできるようになることでもある。それは悪いことばかりだとも思えない。


今度、このドラマの元ネタの1981年の映画を見てみようと思います。時代が違うので設定がかなり違う。今の私は主人公達の年齢を超えているけれど、1981年はまだ高校生だった。当時は男女や夫婦の関係も今とは全く違うので、今と比べると面白いだろうと思う。また感想を書こうと思います。


どうやら次のシーズンがあるらしいけれど、あまり期待していない。あれで終わっていいと思う。続きの話を作るには複雑すぎ。どうするつもりだろう。