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『American Hustle(2013年)/米/カラー
/138分/監督:David O. Russell 』
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以下、世界一辛辣な
これはいかん。
だまされた。本当に面白くなかったです。
またまたこの映画、アメリカのプロの批評家の間で大変な高評価です。Rotten Tomatoesの評価は何と93点!とんでもない高評価。おまけに今年のアカデミー賞では10部門のノミネート。去るゴールデングローブ賞では7部門ノミネート中3部門で受賞。なんだかすごいぞ。
この映画の監督・David O. Russell(デヴィッド・O・ラッセル)さんは、去年『世界にひとつのプレイブック /Silver Linings Playbook』を撮った人。あの映画も世間の評判に比べて、私にはあまり面白くなかったので今回もイヤな予感はしたのですが、世間のこの映画への高い評価についつい負けて鑑賞。
いやーまいったな…
全然面白くないじゃん。
これ…なんでこんなに評価高いの? 変ですよね。何かがあやしい…。いや駄作とは言いません。しかしだな…こんな程度でアカデミー賞10部門ノミネートはないやろ…。こんなの佳作程度ですよね。あんなに世間の評判がいいのに、見てみたらなんだこんなものかとだんだん腹が立ってきて、見終わった後は「金返せ」状態。…う…まぁ…自分の目で見て作品を評価できるのはいいことですけど。
そんなわけで、なぜこの映画がワタクシの心に響かなかったか…の理由を書きます。世界中の人々がこの映画を素晴らしい素晴らしいと言っているのなら、個人ブログで一個人が駄目出しをしても何の問題もあるまい。なのでまた正直に辛辣辛口レビュー。
よって、この映画をまだ見ていない人、この映画を見て楽しかった人はこのエントリーを読まないで下さい。
…とその前に、素晴らしかったのはロバート・デ・ニーロ爺とジェニファー・ローレンスさん。このお二人は安定してますね。デニーロさんは出ればやっぱり迫力が違う。怖いわー。この人が出てからやっと話が回り始めた。それからジェニファーさんの胆の据わったビッチキャラも最高。彼女は何をやっても上手い。この映画の彼女はすごくおかしい。彼女で一番笑った。
さてそれでは文句。
★ネタバレ注意
1. エイミー・アダムスは大根
あれでゴールデングローブ賞のベストアクトレスはないやろ…(怒)。この女優さんは、いつも優等生風の可愛い子、いい子の役の印象が強くて、ご本人もそういう役がしっくりくるんじゃないかと思うんだけど、この映画では趣を変えて悪い女に挑戦。ところが…、
似合わない。
正直下手。全然ダメです。悪女になりきれてないんですよ。いつもの優等生風のイメージを差し引いても役になりきってるように見えないです。一生懸命無理して悪ぶってるのも痛々しい。特にジェニファー・ローレンス嬢の胆の据わったビッチ振りに比べると、まーこのエイミーさんのキャラはつまんないわね。いつも同じ表情で「…, all right?」ばっかり言うのを見ててだんだんイライラした。あそこまで半乳を出してるのなら思い切っておっぱい全部出しなさいよ!と何度も叫びたくなった。
2. ブラドリー・クーパーも大根
去年の『世界にひとつのプレイブック /Silver
Linings Playbook』の演技と全く同じなんですよ。ガミガミ怒鳴ってるだけ。去年は精神を病んだ人で今年はFBIのエージェントなのに、両方とも怒鳴ってる顔が全く同じ。去年は初めて見たんで気にならなかったけど、今回また同じ顔で怒鳴ってるのを見て、あまりいい役者さんじゃないんだろうなと思った。
3. 誰得の巨漢ハゲ・クリスチャン・ベール
髪はカツラでの演出でしょうけど、体重は実際に増やしたんだそうです。…しかしこの増えた体重も必然性を全く感じない。そもそもこのキャラクター、殆ど記憶に残らないです。あのハンサムなクリスチャン“バットマン”ベールさんがデブになって頑張っているのに、それを生かせない監督や脚本もどうしたものかと思う。心優しいうちの旦那Aは、この俳優さんは悪くないと言っている。
4. 監督は狙いすぎ
あまりにも狙いすぎた冗談が滑る滑る滑る滑る滑る。クリスチャン・ベールの体重もハゲ設定も全部滑ってるんですわ。エイミー・アダムスのビッチもいかにも「彼女の配役意外でしょー…どや?」。ブラドリー・クーパーにホーム・パーマをさせれば「はははははおかしいやろ…どや…?」…なんというか…監督さんが一人でうひうひ笑って「俺って天才じゃね…?」などと言いながら脚本を書いたんだろうなぁ…と見えてしまって興ざめ。
でも思いっきり滑ってます。本当なのよ。私が映画館で見たときも、冒頭のクリスチャン・ベールの整髪の場面でほんの少しリアクションがあった以外、映画が始まって最初の40分ぐらいは客席から全く笑い声が聞こえませんでしたもん。シーンと静まり返ってました。私もデニーロ爺が出てくるまで何度か寝そうになった。滑ってますぜ…監督さん。
5. スコセッシ監督と競争したら勝ち目は無い
この映画全体が、70年代の大御所マーティン・スコセッシ大先生へのオマージュみたいな話なんですよ。そもそも設定も70年代。なぜか理由は分からないけど、衣装も髪型もその当時を再現しているというより全て狙ったパロディに見えてしまう。いやたぶんパロディなんでしょうね。だけど…中途半端だから面白くないんだよな…。
それにこの映画、今期、その大御所マーティン大先生ご本人とデカプリオ君のぶっちぎり映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート/Wolf
of Wall Street』とほぼ同時期にリリースされたのも運が悪い。比べてはいかんのだろうけど、ついつい比べてしまうのはしょうがない。この映画がパロディならマーティン先生の映画は本物。少なくとも比べるとそう見えてしまう。だって『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のキレ具合、思い切り具合、役者の胆の据わり具合、脚本の上手さと可笑しさ、スケール、スピード感、カメラ、演出、脚本…全て比べても50倍ぐらいマーティン先生が上ですもん。デカプリオは爆笑ものにおかしいですあの映画。あちらはおっぱいもバンバン出るしね。あんなイカレタぶっちぎれ映画を見ると、こんな中途半端…エイミー・アダムスの半乳ぐらいでは満足できません!
6. バランスの悪い構成
6. バランスの悪い構成
ワタシはこの映画、あまりにつまらなくて内容もあまり覚えてなかったんですが、旦那Aによると話の構成のバランスもとても悪いらしい。…あ…そういえばそうかも。前半はダラダラとくだらないエピソードでうだうだやってるのに、最後のオチはあまりにも早くササッと後片付けをするような終わり方。最後は説明も余韻もなくパパパっと終わってしまう。アレ?もう終わり?…みたいな感じ。あ…確かにそうだな。
この映画を見てからもう数週間経つんだけど、未だにこれがパロディなのか、70年代へのリスペクト映画なのかよく分からないです。コメディのつもりなのかも真面目なドラマなのかもよくわかんない。全て中途半端。うちの旦那Aの言葉を借りると「子供が大人の服を着て背伸びしている」ように見える。全くそのとおり。ともかく全然面白くなかった。
この映画、おそらくアカデミー賞でいろいろと賞を取るのは間違いないと思うんですけど、どうしてこれがそんなにいいんですかね…よく分からない。せめて最優秀女優賞は『あなたを抱きしめる日まで/Philomena』の ジュディ・デンチさんにしてほしい。