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『
The Last Samurai (2003年)/米/カラー/154分/
監督・脚本・製作;
Edward Zwick』
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この映画の封切られた2003年当時、私はイギリスのロンドンに住んでいた。95年からの移住だったので、その年で8年目になる。最初の5年間の(右も左も)楽しい日々が終わり、西洋での生活の厳しい現実が見えてきた頃で、当時大変なホームシックにかかっていた。
その頃まで、歴史といえば西洋史にしか興味が無かった。子供の頃には西洋の童話が身近にあったもので、そんな西洋の王様やお姫様に対する憧れはいつしか西洋史への興味へと繋がった。イギリスに移り住んだときも、ここぞとばかりに英国史、西洋史の本を買いあさり、ロンドンでは日々博物館や美術館に通っては悦に入っていた。
ところが、外国に住んでしばらく時間がたつと、いろいろなことが見えてくるようになる。自分のその国での立ち位置も少しずつ分かってくる。馬鹿みたいな話だが「私は日本人であり、アジア人であり、決して西洋人ではない」ことにもやっと気づくようになる。それくらい平和な島国日本で育った西洋かぶれな私は無知だった。「人類皆兄弟」なんて理想に燃えてはいても、そんな自分のアイデンティティは他人に決められてしまう。私はどんなに英語を学んでもアジア人の外国人でしかない。彼ら(他人)にとっては、私が「日本人」かどうかさえどうでもいいことだ。そんなことに気づくのに5年近くもかかってしまった。いろんなことに自信も無くしかけていた。ちょっと悲しかった頃だ。
映画「ラストサムライ」を見たのもそんな頃だった。内容は後から書こうと思うが、とにかく頭をガーンと殴られたように痺れた。わっかっこいい。もう一回。うぁカッコイイ。またもう一回。そんなふうに映画館に5回も通ってしまった。ツッコミどころ満載というのも十分に分かっていたが、それでも若い中村七之助明治天皇の「We
should not forget who we are or where we come from. 我々が何者でどこから来たのか決して忘れてはいけない」には、馬鹿みたいに毎回はらはらと涙した。これには参った。
当然日本での評判も気になる。ネットで調べてみると驚いたことに、当時日本でもこの映画は大変話題になっていた。殆どが大変な高評価。それに低評価な人々でさえやたらとムキになってこの映画をこき下ろすための理由を並べ立てたりしている。ともかく、日本人全体にいろんな意味でショックを与えたのは間違いないのだろう。
・いまさらの『ラストサムライ』論 - 1
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・いまさらの『ラストサムライ』論 - 4
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