録画しておいた「平清盛」の初回を見た。いい感じですね。最初の人間の登場が砂にまみれたふんどし姿のお尻群ですもの。笑
最近の大河は、女性向けのドラマと、映像リアリズムドラマと交互にやっているのだろうか。去年は甘すぎて好みに合わなくて頭を抱えたが、今年はまた適度な歴史リアリズムでやってくれるらしい。
白塗り眉なしの宮廷の人々、汚れだらけ血だらけしみだらけの武士に盗賊、煙ったような光、暗い室内…。2年前の「龍馬伝」の時も、映像のリアリズムが話題だったが、今回も同じようなカメラを使っているのかなかなかいい感じだ。
(あくまでも個人的な好みなのだが)歴史ドラマや歴史映画は出来るだけリアルにやってほしい。というのも以前から歴史物の映画でのリアルな表現を見て、昔の時代に思いを馳せるのが好きだからだ。映画やドラマを見て、もっとその時代のことが知りたくなり、小説を読み、資料を読み、いろいろと想像するのが楽しい。西洋の歴史映画は、「クレオパトラ」など60年代のいかにもハリウッド風な映像の時代を経て、ここ20年ぐらいは(?もっと前からかな)視覚的にリアルなものが多いように思う。「グラディエーター」「エリザベス」「キングダムオブヘブン」「王妃マルゴ」「ダントン」…等々例をあげればきりがない。その時代の空気感や匂いまで感じられそうな映像は、見ていて非常に楽しい。
詳しくはないが歴史が好きだ。政治云々などよりも、その時代時代の生活の様子を想像するのが楽しい。衣服はどんな感じだったのか、化粧は、髪型は、街の様子は、農民は…。何を食べていたのか、お風呂に入ってないのよね、夜の室内はどれぐらい暗いのか、十二単は重いのか、長い髪もやっぱり重いのか、刀はどんな音がするのか…。それからその時代の空気感。生き難さ、苦しさ、悲しみ、つつましさ、宗教の重み、男女間の位置、階級、習慣等々、言い始めたらきりが無いが、そういうものが(現代の私達が想像できる範囲内でいいから)納得できるリアルさで作りこまれていればいいなと思う。たかがドラマ、たかが映画、結局は娯楽でしかないのだが、歴史好きにとってはリアリズムこそが最高の娯楽になる。もちろん内容も正確であればもっといいが、ドラマ仕立てであることが前提でドキュメンタリーではないので、ストーリー上の多少の妥協はやむをえないと思う。いや仮説レベルの事柄を取り入れるのなら、それこそが歴史娯楽の醍醐味だとも思う。ともかく歴史物は面白い。
学生の頃は、西洋史が好きだったが、今は日本史も好きだ。日本の歴史物は大河ドラマが一番だ(そうあってほしい)と思うので、まず映像を含めたリアリズムに気合が入っているととても嬉しい。「風林火山」や「龍馬伝」の男男したうす汚い感じや、歴史上の場面場面の崖っぷちな緊張感はとても良かった。どうやら今年の「清盛」もそちら系らしい。このドラマの時代、平安末期のリアルな映像化はあまり見た事が無いのでとても嬉しい。
それにしても、血糊は飛ぶし、上皇はまず見た目が怖い上に孫の嫁とはいけない関係だし、清盛のお母さんはいきなり殺されるし…今年の大河はなかなか毒があっていい。中井貴一さんは男おとこしてるし、子供は松山ケンイチさんに似ているし、女優の化粧も薄いし、なかなか楽しみだ。
吹石一恵さんを初回で消してしまうのはもったいない気もする。綺麗ないい女優さんだ。出来れば三上博史さんにも、藤原忠実の國村隼さんのように眉を剃って麻呂眉を描いてもらいたい。
ひとつ気になったことを。これもリアリズムの解釈なのだろうが、人が斬られるときに「ブシュゥゥゥゥゥゥ」とか「ギュゥゥゥゥ」など、カタカナで書けるような大きな音がするのはいかがなものか。それから、舞子が矢で射られた瞬間に着物の厚みを通して血が吹き出てくるのもどうかと思う。血のしみが少し間を置いて静かに布地に広がるだけでいいのではないだろうか。これに限らず最近の日本の時代劇映画も血が不自然に飛び散るものが多くてどうもいけない。リアルじゃないと思う。残酷さを娯楽にする必要はない。
ところで、オープニンングのクレジットに「タルカス」と「キース・エマーソン」の文字を見た。????実際の音楽は良く知らないが、プログレ関係の人というのとアルマジロ戦車のアルバムジャケットぐらいは知っている。いったいどうしたんだろう。面白いな。