能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2025年1月16日木曜日

映画『ビヨンド the シー 夢見るように歌えば/Beyond the Sea』(2004):Kスペイシーの大カラオケ大会…まぁ上手いもんだね






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『Beyond the Sea (2004)/英・独・米/カラー
/1h 58m/監督Kevin Spacey』
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先週の週末に家で見た映画。

先週、このブログの音楽コーナーで取り上げた米国の若い女性ジャズ・シンガーのSamara Joyさん。彼女の歌を聴いて「あ~ジャズっていいよねぇ」などと旦那Aと話していて、まぁ色々とYouTubeを漁って聴いていたわけです。「やっぱシナトラはいいよね。「Just In Time」はシナトラが一番いいね。おっと「Mack the Knife」はどうよ…これ20年ぐらい前に英国に住んでた時に、当時なぜか60年代のイージー・リスニングが流行って…アメリカや英国の「歌謡曲」的なものがロンドンですごく流行っていて、この Bobby Darin の「Mack the Knife」も(元Take Thatのアイドル)ロビー・ウィリアムスが歌ったりしてたよねぇ」…等々と話していた。「あのロビー・ウィリアムスはまぁまぁだったね、やっぱオリジナルがいいな。あ、そうだ、そういえば当時ケビン・スペイシーが Bobby Darin の映画を撮ってたよね。なんかちょこっとどこかで歌ってるの見たけど彼すごく上手いよね。その映画 見たいねぇ」などと話した。

「ちょっとアマゾン・プライムをチェックしてみようか…どれどれ、あ、あったよ。あ、これフリーじゃん。これフリーで見れるよ。見ようこれ。見よう見よう」…ということで先週の週末に見ることにした。その日は昼間、私は黒猫のアニメを見て酔ってしばらく寝ていたので、夜はいい音楽でも聴こうか…ということになった。


いや~…これは…。ケビン・スペイシーの大カラオケ大会やった。まぁ~上手いもんだ。それでOKOK。十分楽しんだ。この映画の評価はもうそれだけでいいのではないか。ケビン・スペイシーは歌が上手い。それです。


早速Rotten Tomatoesに評価を見に行ったら、なんとなんと100点満点中43点だそうだ。ぉお厳しいねぇ。なんで?

その理由はどうやら…まずこの主人公のボビー・ダリンさんが亡くなったのが37歳だそうなのですよ。それで批判の一番の理由は「当時45歳のケビン・スペイシーがジジイ過ぎる」ということらしい。それからボビー・ダリンさんの伝記映画としては…彼の影の部分が描かれていないから…表面をなぞっただけの薄っぺらい話だという意見もあったし、なによりもこの映画はケビン・スペイシーの「俺がボビー・ダリンを歌う姿を見ろ見ろ」という彼の「俺が俺が」のエゴの押しつけで恥ずかしい企画だとかなんとか…そのような厳しい感想/批判が出てきた。

なるほどね。元々ボビー・ダリンさんのことをよく知っている業界の人々には、ただケビン・スペイシーが得意顔で歌を歌うばかりの映画は問題なのかもしれない。

しかし私はボビー・ダリンさんに関する前知識が一切ない。この映画を見る前に彼の曲で知っていた曲は2曲のみ。なんの期待もなかったから、この映画がただケビン・スペイシーの大カラオケ大会でもなんの問題もなかった。すごく楽しかった。「やっぱケビン・スペイシーは歌がうまいよねぇ」と彼の歌に聴き惚れてそれだけで十分満足してしまった。(後半にかかる頃に少しだらけた感じはあったけど)。

確かにボビー・ダリンさんがどういうお方だったのかが解ったかと問われれば…どうだろう?あまり記憶にないかも笑。ただただ「やっぱケビン・スペイシーは歌がうまいよねぇ」だけだった。確かに。

まぁ個人的にはそれでもいいのかな…と思った。旦那Aも楽しんだらしい。

この映画でケビンさんはなんと18曲も歌ったらしい(サントラに18曲入っている)。それにケビン・スペイシーが結構踊る。驚いた。それに奥さん役のケイト・ボズワースはかわいい。歌を聴くためにもう1回見ようかな。


この映画、元々の企画は1994年頃に立ち上がったらしいのだけれど、実際にプロダクションが始まって撮影が行われたのは2003年の11月から。撮影は英国とドイツ。丁度その頃、当時の英国では前述の50年代後期~60年代初期のイージー・リスニング/歌謡曲がとても流行っていた。そして2004年からケビン・スペイシーはロンドンの劇場 Old Vic の芸術監督を始めていてロンドンを拠点にしていた。…なんだか様々なものが重なって出来上がった映画という感じがしますね。丁度いいタイミングだったのだろう。


丁度いいタイミングと言えば…
現在ニューヨークのブロードウェイで、このボビー・ダリンさんの新しいミュージカル『Just In Time』の公演の準備が進められているらしいです。初演は今年の3月28 日。劇場はCircle In The Square Theatre。もうチケットが発売されている。いいなぁ。楽しいだろうな。これヒットしたらツアーで来てくれないかなぁ。


Jonathan Groff as Bobby Darin on Broadway - 
First Teaser for Just in Time




2025年1月15日水曜日

Eden Prince - Temptation (2024)



佳作



Eden Prince – Temptation (2024)
Temptation – Single
Eden Prince
Released: November 1. 2024
℗ 2024 D4 D4NCE



ここ数週間UK upfront club chart か commercial pop club chart に入っている曲。いい曲だけれど印象は地味なのですぐチャートから落ちるかと思っていたけれど、結構長い間留まっている。歌としていい曲はやっぱり残りますね。アーティストはまだお若い方らしいです。
 

★Eden Prince
Eden Andersonさん。英国のStoke-On-TrentのDJ/音楽プロデューサー。伝統的なハウスにモダンな味付けが特徴。ロンドン育ち。友人のパソコンのソフトでビートに興味を持ち、高校では学校のスタジオに忍び込んでヒップホップの曲作りをしていた彼の様子を見た先生の勧めでLeeds College of Musicに進学。ハウス・ミュージックにはまる。今までにSpotifyでリリースした数々の曲は2臆回ヒットをカウント。欧州各地のクラブでライブを行っている。オリジナル曲も多く、様々なレーベルから曲をリリースも予定されている。彼のキャリアはまだ始まったばかり。


You're my temptation
直訳すれば「あなたは私の誘惑」だけれど日本語としておかしい。temptation とは…誘惑物、誘惑の魔手、心を引きつけるもの…の意。日本語は訳しにくい。



Temptation
Eden Prince
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[Verse 1]
あなたの全ては私のものだった
一生涯
私は有頂天だった
言ってよ 
どうして嘘をついたの?
思ってもみなかったわ
私がさよならを言うなんて

[Pre-Chorus]
私は今でもあなたのシルエットを追っている
頭の中をぐるぐる回ってる
破られた約束 
忘れられない
Oh, とりつかれたように

[Chorus]
あなたの何かが
私を一晩中眠らせない
どうすればいい?
あなたが私の心から離れないから
You're my temptation 
You're my temptation
You're my temptation
You're my temptation


[Verse 2]
私達はとても親密だった
手離さなければならなかった 
今の私 とても寒い
息をするのも苦しい 
だって打ちのめされて 
コントロールを失っているから

[Pre-Chorus]

私は今でもあなたのシルエットを追っている
頭の中をぐるぐる回ってる
破られた約束 
忘れられない
Oh, とりつかれたように

[Chorus]
あなたの何かが
私を一晩中眠らせない
どうすればいい?
あなたが私の心から離れないから
You're my temptation
You're my temptation
You're my temptation
You're my temptation


[Bridge]
Oh, oh-oh
Temptation
Temptation


[Chorus]
あなたの何かが
私を一晩中眠らせない
どうすればいい?
あなたが私の心から離れないから
You're my temptation
You're my temptation
You're my temptation
You're my

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Songwriters:  Eden Anderson, Iman Orths



2025年1月14日火曜日

Tile Match 3D, 3000面クリア!



記録します。去年の年末、以前からiPadでプレイしているTile Match 3D: Triple Matchの3000面をクリアした。11月のバスルーム改装工事の時には2999面まで終わっていたのだけれど、忙しいせいか3000面をプレイする気になれず暫くそのままにしていた。工事が終わって暫く経った12月9日、思い立って3000面をクリア! フフフフフ 😄 ワタクシハ ウレシイ。

2999 面
そして3000 面到達!ヨクヤッタ
3000 面台プレイ開始です

今日は 3077 面をプレイ中。

お猫様H:おじさんと戯れる猫



人間は今年もまた年明けから熱を出したので、猫さんの写真を出していなかった。これは1月前半の分のお写真。年末の写真ですが珍しく階下に降りてきた猫さん。バスルームの改装工事も終わってリラックスしてます。おじさんとダイニングの床で戯れています。


足でおじさんの膝をホールド
嬉しい時は手をニギニギする
ひっくり返った
戯れ
拡大 かわいい
手がグー
拡大 これもかわいい



2025年1月13日月曜日

映画『Flow/Flow/Straume』(2024):黒猫の冒険…しかし酔う





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『Flow (2024)/Latvia・Belgium・France/カラー・アニメーション
/1h 25m/監督:Gints Zilbalodis』
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久しぶりに映画館に映画を見に行った。そういえば去年2024年は結局一度も映画館にいかなかった。前回映画館に行ったのは『ゴジラ-1.0』で2023年の年末だ。

見ようと思ったのはもちろん黒猫が出てくるから。ラトビア製のアニメーション。言葉がなくて動物は動物の鳴き声を出す。トレイラーで見たら画面がとても綺麗だし、私は動物が好きだし、黒猫が主人公なら見に行こうと思い立った。


面白かったです。綺麗。なかなか映像はダイナミックで動きもすごいし、世界観もいい。セッティングや地理が不思議で、これはいったい何処の話だろう…とか、人間はどうしたのだろう…?とか、柴犬もずいぶんインターナショナルになったものだ…とか、様々な疑問を抱きながらも十分に楽しめた。


それにしてもあの設定はどうなっているのだろうね。不思議。言葉が全く出てこないので何の説明もなし。水が増える様子はまず自然界ではありえないレベルだと思うし、最後に急に水が引く意味もわからない。土地も…ワオキツネザルならマダガスカルか。ヘビクイワシならアフリカか? カピバラは南米だろう…それともこれはただおとぎ話として見ればいいのか。

そういえばジブリの『ポニョ』を思い出した。それ以外にもクジラのような魚のような巨大生物は…あれはジブリ風の怪物にも見える。山の様子や水の様子も…何度もジブリを思った。

アニメーションはそれほど精密ではないのかとも思った。少し粗い。日本のアニメならもう少し細かいところを詰めそうな気もする。しかし猫の動きはうまい。この監督さんは猫を飼っているのだろう。とてもかわいい。猫の声もかわいい。


内容は不思議だが、とにかくスクリーンの中の世界の展開を楽しめばいいと思う。特にメッセージがあるようにも思えないし(不思議な場面はいくつかあるが)、ただ不思議でダイナミックな世界感を楽しめばいいと思う。ストーリー的になにか驚かされるわけでもなかった。ただ黒猫と仲間の冒険を眺める映画。

擬人化の場面が少しあるのは少し疑問かな。動物たちは言葉を喋らないから頭の中身も動物かと思ったのだが、明らかに「船」や「物のコレクション」などの「人間的な知識」があって行動している場面もあるので、中途半端な擬人化にも見えた。特に気になるわけではないけれど。

そんなわけでただ不思議な世界の映像を楽しんだ映画。よかったです。ネット上では映画を見た人々が様々な解釈に思いを巡らせているようで、それを読むのも面白い。



ただ最後に言っておきたいことがある。この映画は

乗り物酔いします


ほぼ1時間半の長さ。映画館の前の席に座ってがっつり画面の近くで見た。最初は全く大丈夫だったのに、画面の動きの激しさを見ているうち、気付かない間に少しずつ酔ったらしく、最後の15分ほどは見ているのが辛い…はやく席を立ちたいと思うほど乗り物酔いをして気持ち悪くなった。映画でこうなることはめったになかったので驚いた。映画館を出た後も暫く気持ち悪かったので酔い止めの薬を飲んだ。

そんなわけでスクリーンに近い席で見る時は、酔いやすい人は注意です。最初から酔い止めの薬を飲んだ方がいいかも。


しかし思った。もしかしたらこの「酔い」は、私の年齢によるものではないかと。年を取ってこういうものも上手く処理できなくなってきたのではないかとも思った。もう画面の動きの激しいアクション映画は見れないのではないかと少し心配になった。ますます映画館から足が遠のく。



2025年1月9日木曜日

Samara Joy - Can't Get Out Of This Mood (2022)



天才の歌うポップなジャズ



Samara Joy - Can't Get Out Of This Mood (2022)
Album: Linger Awhile
Released: September 16, 2022
A Verve Records release.; 
℗ 2022 Dear Beverly Music, LLC, 
under exclusive license to Verve Label Group, 
a division of UMG Recordings, Inc.



今年の音楽始めはジャズです。サマラ・ジョイさんは、年末に撮り溜めていた番組・CBS「60 Minutes」でインタビューをされていたのを見て初めて知った。彼女は才能あふれる若い女性ジャズ・シンガーで、既にグラミー賞の受賞者。すごいです。

テレビで見て興味を持ったので早速YouTubeに映像を見にいった。それで見つけたのがこの曲。一番聴きやすくポップ。彼女の本当の凄さを見るなら他の映像のほうがいいのだけれど、ここでは私の好きな曲を取り上げよう。


昔ながらのジャズのポップスです。シナトラとかエラ・フィッツジェラルドとか、リズムが軽快でステップを踏みながら鼻歌で歌えるような曲。すごく気持ちいい。

この映像はライブですが、このバンドの音も綺麗ですね。クリアで本当にいい気持ち。  このピアノはたまらんな。

彼女は声がとにかくスムースで心地よい。他の映像でもっと複雑なリズムの曲を即興で歌っているのを聴くと、彼女の声はまさに楽器。複雑なニュアンスをさらさらっと歌ってます。本当にすごい。

彼女は1999年生まれの現在25歳。米国NYブロンクス生まれで、祖父はフィラデルフィアのゴスペル・グループの創設者。父親はプロのゴスペル・シンガー。家族が皆ミュージシャンの音楽一家で育った。サラブレッドですね。そして元々才能に溢れた彼女は更にニューヨーク州立大学のPurchase Collegeで歌を学んだそう。

大学に在学中から、2019年にはSarah Vaughan International Jazz Vocal Competitionで優勝、2021年にはアルバムのレコーディングを行う。大学を優秀な成績で卒業(Magna Cum Laude)し、2021年7月にはデビューアルバム『Samara Joy』をリリース。

それからの彼女の活躍はとどまるところを知らず…。2022年には『Linger Awhile』、2024年には『Portrait』をリリース。

日本でもすでに話題になっているみたいですね。今年の2月には来日ですね。いいなぁ。


But I'm saying it, and I'm playing it dumb
この言い回しplaying it dumbは普通は「知らないふり/とぼける」などの意味ですが、ここでは単純に「私バカみたいなのよ」のような意味。


Can’t Get Out of This Mood
Samara Joy
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このムードから抜けられない
このフィーリングが忘れられない
このムードからどうしても抜け出せないのよ
昨日の夜 あなたの唇は魅惑的すぎたわ

そのスリルは今日までには消えてるはずなのに 
いつものように
でもあなたの腕だけよ 私が抜け出せたのは


このドリームから抜けられない
なんて馬鹿なんだろう あなたを夢見るなんて 
計画してなかったわ 
溜息と共にあなたに「愛してる」と伝えることなんて

でも私そう言ってる お馬鹿やってるのよ ●
このムードから抜け出せない
ハートブレイクね ほらまた私…


このムードから抜けられない
このフィーリングが忘れられない
このムードからどうしても抜け出せないのよ
昨日の夜 あなたの唇は魅惑的すぎたわ

そのスリルは今日までには消えてるはずなのに 
いつものように
でもあなたの腕だけよ 私が抜け出せたのは


このドリームから抜けられない
なんて馬鹿なんだろう あなたを夢見るなんて 
計画してなかったわ 
溜息と共にあなたに「愛してる」と伝えるなんて

でも私言ってる 馬鹿みたいなのよ
このムードから抜け出せない
ハートブレイクね ほらまた私…


このドリームから抜けられない
なんて馬鹿なんだろう あなたを夢見るなんて 
計画してなかったわ 
溜息と共にあなたに「愛してる」と伝えるなんて

でも私言ってる 馬鹿やってるのよ
このムードから抜け出せない
Can't get out of this mood
Can't get out of this mood
ハートブレイクね ほらまた私…

このムードから抜け出せない, ooh


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Songwriters: Frank Loesser / Jimmy Mchugh


2025年1月7日火曜日

仕事に徹する最悪の年末年始



最悪の…ってどういうタイトルよ。もちろん年明けから使う言葉ではない。わかってる。だから明るい話ではないので読みたくない方はここでストップしていただきたい。


去年の12月25日まで毎日掃除掃除掃除掃除の日々。壁と天井に掃除機をかけ、家中の窓を水で洗い、絵の額縁の上にも溜まった埃をいちいち拭き取り…とにかく25日クリスマス当日まで家中の掃除をしていたうちの夫婦。

なぜなら26日にインロー様がやってくるから。


インローSは口うるさい人。取り扱い注意の女。ビゴティッド。アロガント。いつも自分本位。本音は白人至上主義者。極端で病的な程の自己中。自分の周りが全く見えない人。傲慢なプリンセス。子供じみた自分勝手さ。まるで7歳の子供がそのまま75歳になったような人間的に未熟な人。常に自分の不満を隠さない。いつも文句の種を探して周り中を嗅ぎまわるような人。

彼女は やってくれば家中を見まわし、つつきまわし、なにか問題がないかと探し回り、家でも人でも…なにかが気に障れば口に出して文句を言う人。直ぐに機嫌が悪くなりそれがすぐに顔に出る。少しでも嫌な思いをすればそれをスルーすることが出来ない人。嫌な思いをしたことを忘れないように心に刻み、その後、親戚中のみならず、友人、仲間、会う人会う人全てに「自分がいかに辛い思いをしたのか」を大げさに触れまわる人。

彼女はモンスター。たぶんなにかの病気なのだろうと思う。でなきゃ説明がつかない。あのような人には今まで他に会ったことがない。不運なことにそんな彼女との親戚関係はもう30年も続いている。

彼女はギフの置き土産。ステップの関係なので旦那Aとの血の繋がりはない。赤の他人。ただ今でも私達も皆も彼女と親戚のフリをし続けなければならない。

米国・東海岸から中西部の中流の白人ばかりの旦那Aの親戚の中で存在そのものがブラック・シープの私は、これ以上自分の評判を下げないためにも彼女を喜ばせ続けなければならない。彼女が機嫌を損ねれば、親戚中に私への批判がばらまかれる。気を抜く訳にはいかない


旦那Aがクリスマスの前に「彼女は26日に着いて1月3日に帰るから」と言ったとき私は怒った。「ええ9日?なんで?どういうことかわかってんの?あの人がどういう人かわかってんの?今年のあなたの冬休み全部潰れるじゃん。今年の冬休み無いじゃん。私達今までどれだけ働きづめだったのよ?私どれだけこの家の掃除をし続けてんのよ?あの人がくるからよ。あの人がへそを曲げたらもっとめんどうじゃないの。だからせっかく改装工事も終わったのに落ち着く暇もない。クリスマスの日も掃除して…そして年明けのあの人が帰る日まで私達働き続けなきゃならないわけ? 9日間?うわああああっ」 
旦那A「だっていまさら変えられないじゃん」 
私「わかった。今年は仕事だと思って頑張るわ。ぅわ~…」

最初からこんな調子。私最低の女に聞こえると思う。わかってる。


そんなわけで12月26日から1月3日まで働いて働いて働き尽くした。私は彼女を喜ばせるために従順で便利な召使いをやりとおした。やってやってやりつくした。本当に大変で大変で不愉快な年末年始。まるで最悪の苦行のようだった。「大丈夫、私は大人なのだから」とポーカーファイスで自分を抑えこんだ。不幸なことにその間、私の節目の誕生日もあったのだけれど、あらかじめ旦那Aに「私の今回の誕生日のことは絶対に喋るな」と口止めをした。自分の誕生日さえも犠牲にした。なぜなら彼女は自分以外の人間にスポットライトが当たれば必ず機嫌が悪くなるから。そんなあの人の不機嫌な顔を見るぐらいなら自分の誕生日のことを忘れてもいいと思ったから。

あの人は病気なのだと思う。モンスター。あの人と一緒にいるとこちらが病む。しかしなんで9日間も許したのよ…。


彼女は心もモンスターなら肉体もそうなのだろう。75歳でもとにかく健康。エネルギーのレベルが尋常ではない。 その人は26日にやってきて「風邪気味だ」と言いながら直ぐに就寝し、2、3日後には回復した。

ウィルスを持ってきてまき散らしてるのは彼女に間違いないのだから(混雑したクリスマスに移動しているのだからこうなる予想はしていた)喋ってる間はマスクをしてくれればいいのに、彼女という人はコロナ禍の間でさえ「私はあんなスチューピッドなマスクなんて着けないわ。馬鹿みたい」とマスク拒否派なのでマスクをお願いすることも叶わず。

まず4日目に旦那Aが微熱を出した。私も3日目に風邪っぽいと思ったが、ここで倒れたら最悪だからとなんとか抑え込んだ。旦那Aはその後今に至るまですーっと風邪をひきっぱなし。


その人は、到着した翌日の27日から元気一杯。ギフを亡くして長い間寂しかったのだろうと思う。早速待ってましたとばかりに喋り始めた。その喋りが止まらない、止まらない、止まらない。朝9時に階下に降りていった旦那Aを捉まえて語り始める。

その内容は、自分がいかにこの旅行で辛い思いをしたのか。どれほど苦労をしてここにやってきたのか。どんなに大変だったのか。…そしてその後は(もうわからなくなっているし思い出したくもないけれど)なにからなにまで人々のゴシップ…気に入らない近所の人々。変な友人。愚かな知り合い。おかしな人々(旦那Aの親戚の人々も)。不愉快な人々。面白くないこと。気に入らない人。あの人が、この人が、こんなことがあったあったあったあった…とその話題の人物をこき下ろし、嘲笑い、(こちらの反応などおかまいなく)ただ一方的に留まることなく話し続ける。溜まっていたものをただただリリースし続ける…吐き出し続けるバケモノのようだ。

初日、朝の9時から昼食中も継続して喋り続け、5時間後の午後2時くらいに「疲れたから休憩するわ」とベッドルームにひっこみ、1時間後の午後3時には起き出してまた喋り始め、それから夜8時までの5時間、また延々と留まることなく喋り続けた。どうやら5時間喋るとエネルギーが切れるらしい笑。初日から10時間も喋り続けていた。

そのような調子で、彼女は毎日壊れたおもちゃのように最低9時間は喋り続ける。それが8日間続いた。あの人は本当にモンスターだと思う。今回心底あの人は怪物だと思った。


彼女との会話がなによりも変なのは、普通の人と人の会話のような情報のキャッチボールがほぼ不可能なこと。 彼女は自分の言葉を一方的に相手に投げつけるだけ。それがあまりにも異常。今回も彼女は長時間自分のことばかりをマシンガンのように喋り続けても、私達に「今年(2024年)はどうだった?」とか「先日の改装工事はどうだったの?」などとこちらのことをたずねることは一切ない。自分の話を吐き出すだけが彼女の「会話」。もちろんそのようなものは会話ではない。彼女はただ自分の中にあるゴミを吐き出せる「ゴミ箱」が欲しいだけ。

最終日、彼女は8日間も喋り続けてさすがにネタが切れたらしく「喋ることがなくなったわ…他になにかなかったかしら…」とつぶやいた笑。

そして彼女はとにかく声が大きすぎる。いつも大声で怒鳴るように喋る。そして彼女にユーモアのセンスはゼロ。これが一番きつい。


彼女の口から出る言葉は常に侮辱的。彼女は傲慢。偏屈。異常なほどに失礼で無神経な言葉の数々。驚くほど凝り固まった考え。…自分は上級国民。いつも上から目線。言葉にはしないけれど有色人種は皆格が下。マイノリティの優遇政策も全て反対。白人こそが優遇されるべきだと大きな声を出す。もちろんLGBTQの権利も拒否。その偏見はほとんどは無知からくるもの。驚くほど心が狭い。
青色の州と呼ばれるほどリベラルな(民主党支持者が多い)ハワイ州に住む私達に向かって「LGBTQなんて認めないわ。虹色のパターンにアジェンダがくっついたから私もう趣味のソーイングに虹色のパターンが使えなくなったわ」と文句を言う。
ひとりで主張を繰り返す彼女をなんとかなだめながら、様々な分野でのマイノリティを擁護する意見を私は彼女に話した。でも彼女がそのことを覚えているなどとはみじんも思わない。無駄な会話である。

彼女は中流階級出身のお嬢さん。元々は優秀な学生だった人。フランスに留学し、その後世界中を旅して各地に長期滞在し、若い頃は(彼女の同世代の人らしく)新しい世界にも目を向けていた人だったと聞いている。何が彼女をこれほどまで偏見に満ちた心の狭い人物に変えたのだろう。


彼女はbigoted:
obstinately or unreasonably attached to a belief, opinion, or faction, in particular prejudiced against or antagonistic toward a person or people on the basis of their membership of a particular group.
ある信念、意見、派閥に頑固に、あるいは不合理に執着する人。特に、特定の集団に属していることを理由に、ある人や人々に対して偏見を持ったり、敵対したりする人。


彼女にとっては白人こそが優遇されるべきで、アメリカの白人が立場をなくすことは決して許されないこと。その頑固な考え方に「全ての民にチャンスを与えよう」などという「平等」の言葉はほぼ存在していない。75歳でそういう人は、もう何を言っても人の意見を聞かない。何を言っても無駄。


そんな彼女はここハワイにいる間、このアジア人の作った欧州レシピのご飯を食べて、アジア人の用意したベッドに寝て、アジア人が整えたバスルームを使い、そしてこのアジア人が穏やかな口調で「人の平等」の話や「LGBTQ運動」の始まりの理由などを説明するのを聞いて時には頷き、そしてこのアジア人から「ほめ殺し」に近い温かな称賛を浴びて、滞在の最終日には満面の笑顔で楽しかったわと言い、空港ではまるで泣きそうになりながら別れを惜しみ私達に二度のハグを求めた。この人はただ寂しかっただけなのだろうか。


これからも彼女とのつきあいは続いていく。時間の無駄。なにも得るものはない。

彼女が去ったその日、私が旦那Aに「正直に感想を言いなさいよ」と問えば、Aは「まるでシェルショックのようだ。言葉も出ない。すごかった。こんなにすごいとは思わなかった。9日間は長過ぎた。悪かった」と酷い咳をしながら謝った。

今回あらためて彼女と私達の今までの関係には、ギフの存在が大きかったのだとも思い知らされた。穏やかで優しかったギフは彼女の夫として日々彼女の棘を受け止めるクッションになっていたのだろうと思う。


私は彼女が帰っていった翌日、1月4日から熱を出した。張りつめていた糸が切れた。やっぱり風邪をひいた。5日に37.8度まで熱が上がった。昨日も熱が続いていたが、あらためてこの数日間の理不尽さに抑えていた怒りが爆発した。

今日は37度を前後しているので文章は書ける。はやく治ればいい。