どうしようかと思ったんだけど、あまりにも誤解と勘違いが溢れているようなんで書きます。どうでもいいと思う方は飛ばして下さい。
国民的アイドルAKB48のメンバーの方がボーイフレンド宅でのお泊り写真を撮られたとかでそれを反省し、自ら丸坊主になって泣きながら謝罪してる映像が動画サイトにアップされ、それがまず国内で話題になり、ここ数日で海外のメディアにも取り上げられて世界中で話題になっているという話です。動画そのものはもう削除されているらしい。
まず日本では、多くの方が坊主頭にびっくりした様子。世界の注目を集めたことに関しては、罰に坊主なんてかっこわるい…とか、女の子の罰に坊主なんて酷いと思われるぞとか、そもそも坊主の人に失礼じゃないか、尼さんに失礼だとか、日本は体罰の国だと思われるぞ…等々いろいろ。
一方、擁護派の方々もいて「罪を償うために犠牲を払うのは当然。世界でも潔い行為だと理解されるはずだ。」「これで反省してまた頑張ってほしい。応援したい」という意見もあった。
さてここでは、どうしてこんな日本国内のアイドルの反省話がわざわざ世界で大々的に取り上げられたのか、これが実際に海外ではどう受け取られているか、どう見えるのか…という話をします。上記のような日本国内の皆さんの論点はちょっとずれてるみたいなので、まずなぜ世界がこのニュースを取り上げたのかを説明します。それは…、
1.
成人した女性の罰が坊主であること。
2.
おまけに彼女は痛々しい姿で謝罪をしながら大泣きをしている。
3.
彼女が辛く苦しんでる様子を公にして晒し者にしている。
4.
それが成人した女性の罪の償いだとされていること。
まずこれが海外にとってはショックなんです。女の子が罰として坊主になって公開懺悔をしているということがまず驚き。坊主になったのはご本人の意思らしいですが、そんな細かい内容までは伝わらず、強制されているように見える。
そしてそれ以上にショッキングなのは公開懺悔の理由=罪の内容が…、
5.
成人(20歳)した女性が彼女個人のプライベートの時間に、ボーイフレンド宅に泊ったこと=そもそも「彼女にボーイフレンドがいた」ということが罪であるとされていること。
6.
そして、それに対する罰を受けることが日本ではあたりまえのことだとされているらしいこと。
…要するに、世界がこれを取り上げたまず第一の理由は、成人して仕事をしている大人の女性が、恋人がいたからというだけで(まるで重大事件でも犯したかのように)公の場で丸坊主になって泣きながら謝罪をしている=肉体的、精神的な苦痛、屈辱を受けながら晒し者になっている。そしてそれを多くの日本人もあたりまえのこととして受け取っているらしいことが驚愕に値することだからです。そのようなことが21世紀の現代、世界的にも裕福な先進国の日本で起こっていることがあまりにも大きな驚きだからです。
このイメージは(日本のアイドルビジネスの事情を知らない海外には)非常に強烈。女性の人権だとかなんだとかって話が出てくるようなレベルの不快なもの。いつも笑って楽しく振舞う日本のポップスター達が「実は舞台裏ではとんでもない犠牲を払わされているのではないか」という懸念さえ思い起こさせる。結果、印象は「(どうでもいいけど)また変で理解不可解で妙な日本」。
そもそも西洋には、日本のアイドルビジネスのようなものは存在しません。若い女の子達を男性ファンの理想に沿うように、偽りの処女性を纏わせて「穢れの無い女の子」の商品として売るというようなビジネスは西洋にはまずありえません。そもそも「穢れの無い女の子」というコンセプトそのものが、あまり喜ばれない。(西洋では)女性の幼さは=未熟さ=世間知らず=つまらない人間、というふうに決して良くは思われないからです。
それに芸能人だろうと誰だろうと、仕事をしている成人女性であれば、個人としてプライベートの時間を持つのはあたりまえ。若い女性のスターが誰とデートをしていても、海外ではそのこと自体に眉をひそめることはまずありません。どんな有名人でもプライベートの時間には(犯罪でなければ)何をやっていても個人の自由というのが普通です。
そのような常識の海外(特に長年男女平等を培ってきた西洋)から見ると、今回の事件がいかに珍奇で理解不可能、不思議という以上に不快、むしろ強烈な嫌悪感さえ感じさせるものであるかということは、日本人も分かっておいたほうがいいかもしれません。西洋は女性の人権だとか、こういうものに本当に敏感です。
個人的な意見だけど…こういものはね、(海外風に味付けをするのなら)AKBのメンバー全員が、ボーイフレンドとデートやお泊りしてる内容のミュージックビデオを洒落で作ってですね、「デートして何が悪いんだよケケケ」と笑い飛ばして冗談にしちゃったほうがいいと思う(笑)。もう開き直っちゃえ。女の子の賛同を得るかもしれません。
日本の国内の若者文化の話なので、海外がどうこう言うのをいちいち気にする必要もないかと思うけど、海外でこのことが取り上げられている理由が、日本国内の認識と微妙にずれているように感じたので書いておくことにしました。