能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2020年3月23日月曜日

映画『ZZ Top: That Little Ol' Band from Texas』(2019):思っていたよりずっといいバンドだった!

 

 

ZZ Top - La Grange Live

 AlbumTres Hombres
Released: Jul 26, 1973
℗ 1973 Warner Records Inc. Marketed
by Warner Strategic Marketing, a Warner Music Group Company.
 
 
 
 
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ZZ Top: That Little Ol' Band from Texas2019年)/英・加・米/カラー
91分/監督:Sam Dunn
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先日アメリカの選挙の事を書いたときに、アメリカの民主党は爺爺トップかよ…オイオイオイオイと書いたのですが、週末にNetflixのタイトルを見ていたらこれが出て来た。あ…見てみる?
 
だってこのところ心配ごとが多いじゃないですか。巷で。旦那Aも同じ。だから複雑なストーリーの映画に落ち着いて集中できない。Netflixのタイトルを50ぐらいチェックしても決められない。それなら音楽のドキュメンタリーにしようか。
 
ZZ Top…うーん「Legs」だっけ?あぁ…80年代に売れてましたよね。普通のアメロック…彼等は当時から結構おじさんでしたね…とかなんとか…よく知らない。…そういえば彼等は、当時80年代半ばに来日してテレビの音楽番組に出てインタビューされていたのを一瞬見たかも。ちょっと無愛想な人達だなと思った記憶。その後全く興味を持つこともなく35年が過ぎた。
 
ちょっと見てみようか。…おっと田舎町。テキサスか。おっ最初からいい音La Grangeお…いいね。最初の曲からすぐに惹きつけられる。ああ気持ちいい音だ。しかしみんな年取ったな…。
 
 
というわけで見始めたZZ Topの歴史。バンドの始まりから83年の大ヒットアルバム『Eliminator』までの話を時間の流れと共に振り返る。メンバー3人が語り、彼らの有名人ファンが語り、音楽関系の業界人がそれぞれのZZ Topのストーリーを語る。構成はわかりやすくシンプル。
 
 
テキサス州ダラス。プレスリーの大ファンで60年代にティーンでバンドを始めたベーシストのDusty Hillさん。15歳からバンドで演奏を始め、Dustyさんのバンドに参加したドラマーのFrank Beardさん。二人は一緒にバンドを暫くやって、ヒューストンに移住。そこで才能に溢れたギタリストのBilly Gibbonsさんに出会う。
 
このギタリストのBillyさんのバンドがヒューストンでは結構有名で、まだティーンだったにもかかわらずThe DoorsThe AnimalsJeff Beck Group…なんと1968年頃にはThe Jimi Hendrix Experienceの前座までやったらしい。Billyさん以外の他のバンドメンバーが脱退した後で、BillyさんのバンドZZ Topに、ダラスからやってきたFrankさんとDustyさんが参加…3人のバンドZZ Topになる。レコーディング開始。
 
 
バンドの歴史を時代と共にめぐる。構成が上手いんでしょう、最初からずーっと画面に釘付け。面白い。音楽好きの普通の男の子達の成功への道…いや最初から非常に才能に溢れた方々だったんですよね。
 
かなり昔の時代からの彼らの映像が残っているのに驚く。だから今の70歳のオジイサン達の20代前半の映像が見られるのは面白い。当たり前の話だけれど、ZZ Top50年前は可愛い男の子達。長い顎鬚で有名なお二人も、若い頃は髭がなくてツルツル。
 
彼等の年齢が意外にお若いことにも驚いた。Muddy WatersとかJimi Hendrixの前座をやったと言うからずーっと年上の方々かと思っていたら、3人とも1949年の生まれ。QueenCheap TrickAerosmithのメンバーと同世代。ZZ Topはデビューが早かったのでバンドの歴史が長いですよね。1983年の『Eliminator』の頃は、まだ30代前半だったということにも驚き。あの頃はまだ若かったんだ。
 
 
そしてストーリーの間に流れる曲、そして近年のスタジオライブの様子が渋い。かっこいい。
 
音楽はブルースの影響を多く受けていて、泥臭いながらグルーヴがよく踊れる音楽。ドラムとベースのグルーヴがいいんだろう。非常に気持ちの良いリズム。ノリのいいドラムにゴリゴリのベース。その上に上手いギターが乗る。3人だけのシンプルな構成。とても気持ちいい。
 
 
ああ…私はZZ Topのことを誤解していたんだな。80年代の『Eliminator』の音は、オーバープロデュースされて綺麗に飾りつけられたつまんない音だったんですよね。(当時のバンドは皆同じような音だったのだけれど)。ZZ Topとはそういうエッジの無い音のバンドだとばかり思っていた。
 
そうじゃなかった。
 
ZZ Topとは、ものすごく泥臭く生でゴリゴリにエッジの効いたかっこいい音楽をやってるバンドだったのね。男前な音楽。びっくりした。大発見。基本のコンセプトを保ちながら実験的なことも度々やってるのにも驚いた。
 
そして彼らの、後の世代への影響は計り知れず。
 
ZZ Topが長年やってきた…いかにも古臭いアメリカの男男した音楽とイメージって、後の80年代に流行ったアメリカのメタルシーンなどに、かなり大きな影響を与えていますね。衣装もスタイルもイメージも、ゴリゴリの大きな音も…80年代のMötley CrüeGuns N' Roses、現代のBlackberry Smokeなどがやっている…あのオトコくさいイメージは、元々ZZ Top(みたいなバンド)がやっていたスタイルだったんだな。なるほど。
 
ブルースから影響を受けた英国のLed ZeppelinCreamとは違う、もっとルーツに近く洗練されていない荒々しいアメリカ・オリジナルのロック。テキサス・ブルーズ・ロック。なるほどな…そういうバンドだとは知らなかった。
 
 
というわけで、ちょっと動画サイトを探って昔の曲を聴いてます。このバンドもライブがいい。即興で延々とやり続ける「Shuffle in C」なんて目の前で見たい。延々と見たい。聴きたい。
 
 
面白かったです。彼らの事が知れてよかった。
 
The Rolling Stonesが初期の彼らの事を気に入ったらしく、1973年の公演には前座でハワイにもやってきたらしい。その時の話がおかしい。
 
 
個人的に25年前からアメリカの人や文化に関わって…経験から私の中にもアメリカというものに対しての偏見がないわけではないんですよ。南部の保守的な白人の聴く音楽なんてなぁ…というのも今はあるわけですが、しかし音楽は音楽。ZZ Topのタフなイメージのせいで、かなり食わず嫌いをしていましたね。
 
いいバンド。彼らのライブが見たいけど、まさかもうこの地にやってくるはずもないだろうな。1997年に一度やってきたらしいけどもう来ないだろう。今もいいライブバンドだろうな。