能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2017年11月26日日曜日

映画『レディ・バード/Lady Bird』(2017):ペースが速すぎ





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Lady Bird2017年)/米/カラー
94分/監督:Greta Gerwig
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これは…合わなかった…としか言いようがない。それともこういうティーンの話に共感するには年を取りすぎたのかもしれん。
 
時々見るティーン映画。嫌いじゃないんですよ。思春期の若者の悩みや戸惑いや弱さ、イノセンスというのはいつの時代にも普遍。なんだろう…子供を持たなかったからこそ思春期の子供の気持ちは今でも自分の中にある…たぶん今でも理解できる…と勝手に思うところがあって…。
 
いやーでもちょっと違うのかもしれないなぁ。もう年を取りすぎたのかも。
 
この映画、プロの批評家の間(Rotten Tomatoes)では現時点で最高得点100点満点!!!え~??? Rotten Tomatoes何かがおかしい…。
 
 
というのもこの映画、主人公の女の子に全く共感できなかったのだ。ぶっちゃけなんだか寒い子供だなと思ってしまった。なんだろう…自己中ぶりが目に付いて、彼女の事をあまり優しい目で見ることが出来なかった。主人公の女の子LADY BIRDさんを見て「そうだよねうんうんわかるわ…」と全く思えなかった。
 
もうすぐ高校を卒業する女の子の話。反抗期です。いろんなところにぶつかってる。すぐにキレるお母さんともよくぶつかって喧嘩するけれど決して負けていない。前向きに「こうしたいああしたい」と様々な意欲もある。「わたしわたしわたし…」な、元気がありあまっている女の子。
 
反抗期の子供なんて、誰でも色んなところにぶつかって不満も多くて文句ばっかり言っているもの。それが普通。それは決して悪いことではないんですよ。反抗、反発、不満ぶーぶー上等上等。
 
それなのにこの映画のキャラには何かが欠けている。どうもこの女の子は魅力的じゃない。このキャラには、私が共感できるための大切な何かが欠けている…なんだろう。

たぶんイノセンス

 彼女は単純に可愛げがない
 
ティーンの子供なんて、どんなに自信満々で大口を叩いていても、みーんな内面に不安で不確かな部分を隠し持っているもの。それが時々見え隠れするのがかわいい…その不確かな部分=イノセンスこそが彼らを魅力的に見せているものだと思う。ところがこの映画の女の子にはそれが見えない。
 
 
問題はこのキャラクターの人となりというよりも、この映画の脚本や編集、演出、構成の問題なんだろうと思います。
 
ペースがとても速い。場面場面が一瞬一瞬で過ぎていく。一つの出来事に時間を割いて踏み込んで描かず、表面だけをなぞるようにどんどん時間が飛ぶように過ぎていくから、女の子の行動の意図が摑めない。
 
…どの行動も思いついたように…これがあって、これをやって、この人に出会って、仲良くなって、でも事件があって、気持ちを変えて、友達も変えて、この人と知り合って、好きになって、でも問題があって、無理したけれどやっぱりだめで、だから元に戻った。その間にあれもしたいし、これもしたいし、ここに行きたい、こんなところから出たい、変えたい…。
 
なんだかバタバタバタバタしていて全く落ち着かない編集と構成で、ストーリーが全く心に沁みてこない。主人公の女の子があっちにぶつかり、こっちにぶつかりしているのを見て「もう勝手にやってね…」と思ってしまった。全く共感できなかった。
 
本当は女の子に共感して「うんうんそうだよねぇ」と思うべきところを、ガミガミ怒鳴る厳しいお母さんの方に共感して「そう、そのとおり。お母さんが正しいですね」と思ってしまったのよ。私は普段は子供の味方なんだけどな。お母さんの側になるのは珍しい。
 
なんだかジタバタめんどくせぇ自分勝手な子供。

…その印象が消えないまま、ほぼ共感できないまま、映画を見終わってしまった。


なんかだね…全体に散りばめられた冗談にも笑えなかったんですよね。これはもうこの映画の監督さんと相性が悪いということだろうと思います。全体にノリが合わなかった。なんだかすごく寒い映画。女優さんのニキビ跡の残る頬を見ながら「もうちっと可愛げがあればなぁ」と思いながら途方に暮れた。

ティーンの話は(いやこの映画も)傑作になる可能性のある素材だと思うんですけどね。