今回の「Sweet Refrain」MVの衣装で一番変化が少なかったのはあ~様。端的に言えば一番普通。いつものPerfumeミニ衣装とそれほど変わらない。かしゆかさんとのっちさんが今回大変身したのに比べると、あ~様の変身度は少なめ。
MVを撮影するにあたって、おそらく3人が内容に口を出すことは無いだろうと思われるので、3人の衣装もデザイナーのアイデアだと思うのだけど、今回の衣装はPerfumeの3人の立ち位置をよく表現しているのではないか…。
一見、理路整然としていながら実は趣味や音楽では(3人の中で)一番冒険を好むと思われるかしゆかさん。一人っ子の自由さでどこか地に足の着いていないような不思議な浮遊感のあるのっちさん。この二人が今回Perfumeらしくない衣装でかなり冒険をさせられているのは、彼女達の人となりを考えてもなんとなく納得できる気がする。
そんな二人にくらべるとあ~ちゃんはいつもどおりのワンピースミニ。形も二人ほど妙なデザイン性がなくて(前面だけなら)そのまま普通にお出かけできそうな服。この保守的な衣装、実はあ~ちゃんのPerfume内での立ち位置そのまんまなんじゃないか。
彼女は変わらないんですよ。ご本人も実はあまり変わりたく無いんじゃないか。変わるときには時間をかけてじっくり石橋を叩いて変わって行く…。黒髪、白い肌、ピアスをしない、歌ものへのこだわり、音ものへの長い間の抵抗、ライブでのPTAコーナーのこだわり、Perfumeがアイドルでいることへのこだわり…。急進的なファンからすれば、時にちょっとだけイライラさせられるような彼女の保守性もまたPerfumeがPerfumeであればこそ。
アートと絡んだり、世界に行って観客を沸かせたり、「LEVEL 3」みたいなアルバムを出しながらも、決してPerfume=アイドルの立ち位置がブレないのはたぶんこの人の頑固さのおかげ。その信念を貫く芯の強さ、頑固さが実はPerfumeのコアだったりもする。
想像ではあるけれど、かしゆかさんやのっちさんだけだったら今頃Perfumeは知る人ぞ知るアートダンスグループになっていたんじゃないか…。それはそれで面白いだろうけど、たぶんそれはもうPerfumeではない…。もしかしたら今のようなドームクラスの人気アイドルグループにもならなかったかもしれない。
中田さんがどんなに妙な曲を作っても、MIKIKO先生がどんなに複雑なダンスを課しても、真鍋さんや関さんがどんなにPerfumeをアートなパッケージで飾ってもPerfumeがPerfumeらしさを失わないのはきっとあ~様のとてつもない保守的な頑固さによるもの。実はそれが今のPerfumeの絶対的な強みでもある。いろいろと変わる時期だからこそ、グループとして焦点を失わずブレないことは大切なんです。
Perfumeがどこへ飛び立とうと、どんな冒険をしようと、いつも帰ってくるのはあ~ちゃんが舵を取るPerfumeのMothership(母船)。この人が頑固に舵を取り続ける限りPerfumeはPerfumeらしくPerfumeであり続けるのだろうと思う。
余談だが、一般的な星座の占いで言えば、一番革新的・理論型と言われる風グループ・水瓶座のあ~ちゃんが一番保守的に見えて、地に足の付いた現実型だと言われる土グループ・乙女座ののっち、山羊座のかしゆかが自由で行動的に見えるPerfumeも面白いもんだなと思う。