能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2012年8月27日月曜日

映画『ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」/Young Goethe in Love 』:可愛いです


 
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Goethe!2010年)/独/カラー
100分/監督; Philipp Stölzl
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オンラインの映画サービスNetflixで鑑賞。

珍しいドイツ映画。文豪ゲーテの若い頃の恋の話。なんと『若きウェルテルの悩み』の話だそうで、英語のタイトル『Young Goethe in Love』でそんな事を全く知らずに見た。話の中で彼の書いた小説が『The Sorrows of Young Werther』とあったのにそれでも全く気付かなかった。原作は読んだと思っていたが気のせいだったらしい。後でネットで『若きウェルテルの悩み』だと知って驚いた。


若いゲーテ君、法律を学んでいるがあまり真面目ではないらしく、小説や脚本を書いてふらふらして不真面目な為、博士号の試験にも落ちてしまう。心配した父親に強制的に田舎町に送られ、そこの裁判所で見習いとして働き始める。そこでまたふらふら遊んでいて、可愛い女の子と出会う。1度目はアクシデント。2度目に再会するのは教会。そこで二人は瞬く間に恋に落ちる。

運命のいたずらで、このカップルにも別れが訪れる。ありえないような偶然。哀しい別れ話。それでも最後は上手くまとまる。ストーリー中の彼の経験が『若きウェルテルの悩み』として出版されるまでの話なので、最後は彼のサクセスストーリになる。めでたしめでたし。

 
久しぶりに見た青春映画。ほんとに可愛い。主役の俳優さんと女優さんがとても瑞々しくて、それはそれはもう可愛らしい。ドイツ語なんて全くわからなくても表情で二人の気持ちが手に取るようにわかる。恋をしてドキドキしたり、嬉しかったり、心配したり、後でにやにやしたり、緊張したり、怖くなったり…。見ていて嬉しくなるようなカップル。二人の表情が豊かでどんどん引き込まれていく。会話も楽しい。ゲーテ君が必死で考えた愛の告白まがいの詩に、ロッテちゃんは照れてしまったのだろうか、咄嗟に出た言葉が…「バカみたい!」(笑) 直後のゲーテ君のガッカリ顔は特筆もの。その後ですぐにロッテちゃんは「自分の才能にも気付けないの?」とフォローする。もちろんゲーテ君は超嬉しい。字幕の翻訳が良かったのかドイツ語の冗談の言い回しも楽しかった。新鮮だった。

途中から話は急展開するが映画として上手くまとまっていると思う。原作を知らなかったので、途中どうなることかと思ったが、結局ゲーテは82歳まで生きた人なのでなるほどと思った。実際には映画化のためにかなりの脚色がしてあって史実どおりではないらしい。それでもいい話にまとまってると思う。なによりも、あのドイツ最大の文豪ゲーテさんの若い頃の話なのだから、それだけでも感慨深い。

 
原作は1774年に初版が刊行されたそうで、映画の中の人物達の服装や街の様子も18世紀のドイツ。18世紀のヨーロッパ好きにはたまらない映画。舗装されていない街の歩道の汚さも、服装も、ノーメイクの女優さんの顔もリアル。そういえば法律家のカツラも(同時代の)フランス映画のように白くふわふわしていない。壁や室内の汚さも興味深い。ドイツ流の歴史リアリズムなのかもしれないと思う。人物達のキャラクター設定はかなり現代風だと思うが、外国語のせいかほとんど気にならなかった。

情景も美しい。ゲーテ君は、風景画のように美しい広大な草原を、森を、田舎の道を馬を走らせてロッテちゃんに会いに行く。ロッテちゃんの家は木々に囲まれた石造りの田舎の家。大きなかまどでひとかかえもあるパンを焼いている。妹や弟がたくさんいて賑やかだ。庭には鶏やヤギがうろついている。絵に描いたような田舎の家が可愛い。

ストーリーも役者さん達の演技も、セットや衣装、風景も全て楽しんだ。いい映画だった。後でネットで調べたら、主役の俳優さんが実際のゲーテの肖像画に似ていた。ヨーロッパ映画は、こういうところもきちんと詰めていたりするから面白い。それにしても原作を読んでいないのは不覚だった。早速読んでみようと思う。

余談だが、フランスのナポレオンが、原作の『若きウェルテルの悩み』の大ファンで生涯で7回も読み直したのだそうだ。彼のような勇ましい軍人が、恋愛小説好きというのも面白い。