2013年6月4日火曜日

NHK大河ドラマ「八重の桜」第22回「弟のかたき」



嗚呼…権八さん(松重豊)…、今回は貴方様に泣かされました。そんなにかしこまって尚之助さん(長谷川博己)にお礼を言わないで。一人隠れてかまどの前で嗚咽しないで…。もう貴方様を見ているだけで涙腺崩壊でございます。貴方様の大きな目からツーっと涙が流れたとたんにこちらも急に涙が出ました。今回のMVP決定。嗚呼…権八さん(泣)。

覚馬の消息を聞いたうらさん(長谷川京子)も、廊下の向こう側まで走っていって一人泣く。そこに佐久ママ(風吹ジュン)が駆け寄る様子を遠くから捉えた構図も素晴らしい。ほんとに山本家の女中になってその場面を見ているような気分になった。悲しいですよ、ほんとに。

今回も神回だと思います。こんなに気持ちを入れて大河ドラマを見るのは初めてかも(そもそも今まであまり見ていない)。こんなに気持ちを入れてしまうと、コレがいいアレが悪いと批評・批判をするよりも、登場人物達といっしょになって泣いたり怒ったりしてしまう。

八重ちゃん(綾瀬はるか)が銃の練習をしていた男の子に「おれは三郎様ではねえがし」と言われ、はっとして鉄砲をもったまま外に飛び出し、尚之助さんに抱えられながら絶叫する場面でもまた涙。本当に「ぎゃーっ」と叫んでいるんです。そこにある感情は「悲しい悲しい悔しい悔しい悔しい…三郎を返せ、なんで三郎を殺したんだ、私が仇を討つ。私が敵を殺す!絶対にゆるさねえ!ゆるさねえぞ…」という激しい感情。震えがくるほど心を揺さぶられます。それを悲しそうに見つめる大蔵さん(玉山鉄二)は三郎君の最後を看取った人。もうたまらんね。見てるこちらもやりきれない(泣)。

ドラマの楽しみってこういうもんだと思う。登場人物の喜怒哀楽に気持ちを揺さぶられること。登場人物達と一緒になって話にどっぷりつかって一緒に泣いたり怒ったりすること。今年はこれを大河ドラマでやれるのが本当に嬉しい。感謝してます。

前回にひきつづき、今回も人物達全員がそれぞれ崖っぷちの状態で必死に生きています。それにぐいぐい惹きつけられていくんです。本当に目が離せません。

江戸をひっそりと去る容保公(綾野剛)。帰ってきた会津での家臣達との会話で、基本は官軍に恭順すると言いながらも攻められたら徹底抗戦を宣言。あ…分かっているけどこれが悲劇の始まり。息子が犠牲になった神保内蔵助(津嘉山正種)も黙っていられない。「敗れたままで武士の一分が立つのか。言われなき朝敵の汚名を蒙り、恭順したままで会津の面目が立つのか…」そうなんですよ。悔しいんです。会津にとってはあまりにも理不尽。たとえ頼母さん(西田敏行)が反対を唱えても神保さんの苦しみは決して否定できない。でも後の歴史が分かっているからこそ悲しい。そういえば雪さんはどうしているんだろうか…。

そして戦に備えて会津は年齢別の戦闘部隊を編成。ここで初めて「白虎隊」の名前が出るとリアクションのように涙が出る。それに玄武隊には権八さんの姿も…嗚呼。

そして会津の次の場面では尚之助さんが部隊の軍事訓練を指揮しています。この俳優さんはこの大河で飛躍しましたね。号令をかける声もいい。あまりの悲しみに我を忘れて絶叫する八重ちゃんをだまって抱きかかえる大きな夫の姿もいい。三郎君の死を家族に伝えるシーンもいい。この俳優さんの育ちの良さそうな上品さのおかげでほぼ無名の川崎尚之助という人物が、非常に魅力的な人物になってます。以前家政婦さんのドラマでちらっと見た時はなんとも思わなかったのに、この尚之助さんは10倍ぐらいいい。はまり役でしょう。

さて今回のもう一つの目玉は、西郷どん(吉川晃司)と勝さん(生瀬勝久)の会合。びっくりするぐらい短い場面だったのは意図的な演出だったそう。短くても台詞が素晴らしくて緊迫感溢れる素晴らしいシーンでした。江戸城総攻めは目前。勝さんは決死の覚悟で薩摩藩邸に一人乗り込み西郷どんに掛け合います。「あんたが作ろうとしている新国家は、そんな(市井の)人達から家や命を奪うのか。それがあんたの目指す国づくりか…」」勝さん無茶苦茶かっこいい。そして男・勝先生の熱意が西郷どんを動かします「明日の江戸城総攻めはとりやめる…。」=江戸城無血開城ところがその後に続く言葉が怖い。「さてそげんなれば、振り上げたこぶしをどげん降ろすかじゃな…」

一方、京では捉えられた覚馬君(西島秀俊)の声が変わってしまっています。今までの牢内での厳しい環境から身体をいため、また要求を叫び続けたために声を潰したんだろうと思います。細かい演出。短い場面ながらも心に残ります。この人も崖っぷちで一人戦ってます。

薩摩長州軍の侵攻の様子。西郷どんを中心とした官軍の余裕。それに対する会津側の焦り。八重ちゃん家族の哀しみ。それらが非常に上手く組み合わされた回でした。

これからだんだん辛くなりますね。