2012年3月21日水曜日

再考-不思議の国ニッポン-1=過去30年でどれだけ状況は変わったのか:東京カワイイTV、ファッション


前々から書こうと思っていたNHKの「東京カワイイTV」。これ、いったいどんな番組なんだろう。海外に長年住んだせいで、日本懐かしさから、ついつい「西洋かぶれ」ならぬ「日本かぶれ」になってしまっているのだけれど、この番組はまさに面白不思議ニッポンの情報だらけで面白い。もちろんいまさら渋谷系だのギャルだのが気になる年齢ではないのだけれど、この番組を見ていると、日本(東京)もここまで変わったか…と考え深いものがあるのだ。


私が美大生だった頃の20云年前、雑誌an.anは当時のトンガリ学生のおしゃれのバイブルだった。たぶん同じ時代だったと思うのだが、世間ではニュートラとかハマトラとかいうものが流行っていたと思う(よく知らない)。そんないいとこのお嬢さん風ファッションに逆らって、美大生や専門学校生は妙な格好をしていた。当然、大変少数派だった。

当時、覚えてるのは生成りのガーゼ生地で出来たよれよれの服、東南アジアだかアフリカあたりのテーマの皮のベルト。ガーゼの靴下にヌメ革サンダル。布の切れ端をただ頭に巻きつけたヘア(幾重にも巻いたの布すき間から髪の束を四方に出す)。または蛍光色の小物。派手な靴下にドクターマーチン。裾を切り落としたTシャツ。膝下カットのパンツ。クラスメイトの女の子には頭の後ろの下半分を刈り上げにして、長めに伸ばした上の髪をオレンジに染めた逆ちょん髷みたいなヘアをした子もいた。

こういうの、みんなロンドン発の若い子達のストリートファッションを真似していたのだ。70年代後期のパンクが下火になって、ロンドンにはニューウェイブ、ニューロマンティックあたり前後から派生したお洒落なバンドがいっぱいいた。バウワウワウ、トンプソンツインズ、カルチャークラブ、バナナラマ、ハワード・ジョーンズ、等々…妙な格好が面白かった。

それからすぐにニューヨークでマドンナやシンディ・ローパーが、ターバン頭に蛍光口紅、ゴム輪の腕輪、下着に鎖じゃらじゃらの手作りネックレスでMTVに登場し始めた。もちろん、そんな格好もすぐにコピーした。髪に赤や青や銀のスプレーをして、学校のあった郊外から友達と電車に乗って都心に出かけた。

当時、日本でああいう妙な格好をしていた子達は、物を創る分野やファッション関係の学生が多かった。ロンドンファッションにすぐ飛びついていたようなトンガッた子達が、学校を卒業すると、ヘアメイク、ファッション関係、広告業界、製作プロダクションなどに職を見つけた。物を創ったり、デザインしたり、雑誌のページのレイアウトをしながら「何がカッコイイのか、何がお洒落なのか」を作り出す側になった。

あれから、30年近く経つ。(おっと…)


話が長くなったが、言いたかったのは、この「東京カワイイTV」を見ていて思うこと=「今の東京は30年前のロンドンやニューヨークと同じ位置にいる」ということなのだ。東京の若い子達が世界に向かって「最先端のおしゃれ」を発信し(というよりも勝手に楽しみ)、それに(少数ではあっても)世界中のトンガリっ子たちが飛びついているという図式、30年前のロンドン発信のものと全く同じなのだ。デザイナーブランドが創ったものではない流行。どちらかといえば世間や親はあまりいい顔をしないファッション。自由な創造力。渋谷や原宿のおしゃれな子達がここ15年ほど(だろうか)で徐々に作り上げた独自のファッション。そんなものが、世界のオシャレっ子にうけているらしい。

録画していた番組は、東京に、世界中から選ばれた「カワイイファッション」の女の子達が集まって、TOKYO GIRLS COLLECTION  の舞台に立つべくオーディションを受けるというもの。日本代表の2人がセンスの良さだけで選ばれたように見えるのに対して(日本人は自分の意見を話す訓練を受けていない)、ニューヨークやマレーシア、中国、フランスから来た子達は意志も主張も思想もしっかりとしていて、まるでアートスクールの授業で発言しているように見えるのも対照的で面白い。がんばれ日本ガールズ!


以前の「Perfumeを海外へ」のエントリーでもいろいろと書いたのだけれど、こういう状況はほんとに面白い。こういう海外で日本のファッションに入れ込んでくれてる世界中のトンガリっ子達が、もしかしたら将来、世界で未来の流行を作ってくれるかもしれない。このオーディション参加者の中でニューヨークから来てる子は、今アートスクールで映像を学んでいたと思う。ほら、昔ロンドンのストリートファッションを追いかけてた日本の美大生と同じじゃないか。これはかなり嬉しい。日本=東京が世界のクリエイティブ系の若い人達の憧れになってきていることに、改めて時代の変化を感じるのだ。もう今の日本は西洋を追いかける必要が無い

余談だが、もっと面白いのは、そんなフランスのトンガリっ子のあいだで、日本のビジュアル系のバンドが人気らしいのだけど、ちょっとまて…。そもそも日本のビジュアル系は、大昔のロンドンのバンドJAPAN DURAN DURAN、BAUHAUSあたりを真似していたんじゃないのか(おっと、タイプが違うのか…?)。それに一部に人気のロリータファッションだって、もともと日本人の女の子がフランス人形の格好を真似したものではないのか?? それをフランス人の女の子が「『ベルサイユのはら』を読んでマリーアントワネットが好きだからこういう格好をするのよ。日本にはあこがれるわ。」などと、もうね…なんだかよく解らないけど、いろんなことがいろんなところをぐるぐる回っているみたいでシュールです。