ネタバレ注意
1週間前に『秀吉』完全版第弐集が日本から届いた。やっと昨日から見始めたが、あまりに素晴らしくて止められず、一晩で第28回「高松城水攻め」から第33回「光秀の首」まで一気に見てしまった。本能寺直前から光秀が死ぬまでの回だ。
今まで、いくつかのドラマの「本能寺の変」を見てきたが、この『秀吉』、おそらく史上最強ではないか思う。ここまで本能寺の変を真正面からとらえ、長い時間をかけて全ての出来事を緻密に再現したものは他にないだろうと思う。登場人物の善悪を安易に決めつけるのではなく、それぞれの人物の心理、行動の理由を描写し、信じられないほどの丁寧さで話を積み重ね、全て非の打ち所無くまとめあげた脚本家の手腕には言葉が無い。
ありえないほどの緊張感、信じられないほどの俳優陣の熱演(明智光秀の村上弘明さんにいたっては憑かれているとしか思えない)、緻密に丁寧でありながら、息をつかせる暇も無い話の展開はただのドラマのレベルを超えている。傑作とはこういうもののことを言うのだろうと思う。
本能寺の変をめぐる回は以下の通り
第28回「高松城水攻め」追い詰められる光秀、高松城攻め中の秀吉
第29回「敵は本能寺」光秀の決意、信長を待つ高松城の秀吉
第30回「信長死す」本能寺の変(6月2日)、秀吉の家族の長浜城脱出、
秀吉への知らせ(6月3日)
第31回「天下への道 」毛利との和議(6月4日)秀吉への知らせ(6月3日)
第32回「夢を継ぐもの」秀吉中国からの撤退、光秀の孤立、
秀吉姫路城での決意
第33回「光秀の首」山崎の戦い(6月13日)、光秀敗走
本能寺直前から光秀の死までなんと全6回も使って話を紡ぐ。本能寺の変当日から山崎の戦いまで史実で11日。そのたった11日間に番組4回も使っている。光秀、秀吉それぞれの時間ごとの行動の推移を克明に追う描写。そこに利休、おねを始めとする秀吉の家族の描写を絡める。6月2日早朝、信長が光秀軍に囲まれているその時、秀吉は秀長達と談笑しているのだ。この構成は緊張させられる。見ていて止められない。