能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2020年10月20日火曜日

NHK BSプレミアム『すぐ死ぬんだから』全5話・最終話感想



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★第5話

忍ハナ(三田佳子)は亡き夫、岩造(小野武彦)の気持ちを知り始める。見た目にこだわり、老いを遠ざけて生きてきた自分の年齢も思い知る。そんな矢先、街で森薫(余貴美子)と岩太郎(溝端淳平)の親子にばったり会ってしまう。死後離婚を宣言するハナに、岩太郎にも意外な感情が芽生え始めたようで、ある日、岩太郎から思わぬ申し出が…そして79歳を目前にしたハナのこれからが、大きく動き始める。

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感想

最終話。この最終話でこのドラマは傑作だと思った。泣けた。

和解、許し…人と人の関係は様々。確かに夫・岩造はハナさんに酷い事をした。考えられないほど酷い事をした。それは間違いない。しかし人と人の関係は、必ずしも白と黒でくっきり二つに分けられるものではないですよね。人と人の関係は、白と黒よりも曖昧なグレーエリアのほうがずーっと多い。そしてそのグレーの色も時とともに変化していく。その緩いグレーエリアを受け入れることで、人はもっともっと穏やかに優しくなれるかもしれない。いいエンディング。気持ちのいいエンディング。

ハナさんのマンションでの…薫さんとハナさんの二人のシーンはお洒落で、台詞も洒落ていておとなで…フランス映画みたいだと思った。敵対するはずの二人がお互いを受け入れ始める。不思議なのだけれど…もしかしたらこういうこともあるのかもしれないと思わせられた。いい場面。これは予想していなかった。

そして岩太郎君とハナさんの関係。徐々に若い岩太郎君がハナさんを頼り始めて、ハナさんも戸惑いながら彼を受け入れる。そんなハナさんがとても素敵でかっこよかった。

人と人は…酷い理由があるのなら、憎み続ける関係もあるだろう。過去の全てを否定して憎しみを抱えて一生を生きていく人もいるのだろう。 しかしハナさんはそれをやめることにした。憎しみを抱えて同じ場所に立ち止まるよりも、事実を受け入れて前に進もうとしている。 由美さんの絵を見た時の表情で、ハナさんが岩造を許したと思った。そして不思議なことだけれど…きっとハナさんと薫さんと岩太郎君との関係も、これから穏やかに存在していくのかもしれないとも思った。 

ハナさんには素敵な家族がいる。
このドラマは人と人の繋がり…家族の話ですよね。


ここのところ、世間は人の不倫/不貞にとても厳しいのだけれど、そんな今の時代にこのドラマは変化球でした。例えばこのドラマが、夫に浮気された30代や40代の女性の話だとしたら…離婚、慰謝料請求で泥沼の話になったとしても…たぶん理解できる。 しかしハナさんは78歳。現在78歳の彼女が、(4話までの彼女のように)岩造の全てを否定+拒絶するのだとしたら…。 それは同時にハナさん御本人の幸せな思い出/家族の思い出も全て否定することになってしまう。自分の生きてきた人生を否定する…それはとても悲しいこと。ハナさんはそのことに気がついたのではないか。このドラマが最後にこういう穏やかな結末になったのは素晴らしいと思う。 人の生き方はそれぞれ。年齢によって状況によって…曖昧なグレーエリアを受け入れ、沢山の実存した思い出/幸せを抱き締める人生があってもいい。それが描かれているこのドラマは素晴らしかったです。美しい。


以前シャーロット・ランプリングが主演の映画『さざなみ/45 Years』(2015)を見て、夫の過去の秘密を許せない奥さんの話に私は違和感を覚えたのですが、このドラマのハナさんは心から素敵だと思いました。傑作。三田佳子さんがお綺麗でかわいくてかっこよくて…素晴らしかったです。素敵でした。内館牧子さんの原作もいつか読みたい。 

*****


薫さんが岩造と見に行くはずだった映画は『沈丁花』。思い出話。

雪男と和夫が居酒屋で。雪男正直 おやじの二重生活いまだに信じらんないんだけど」 和夫ニヤニヤ「なんなのかなそのエネルギー…二重生活って その生きる醍醐味があるのかな?」←こら。 雪男…おやじが おやじじゃないみたいっていうか。あの人 俺から遠のいたなって…

夜の静かな家。肩のツボ押しツールを使う苺さん。絵を描く由美さん。


ハナさんの家に突然電話をしてきた岩太郎。相談があると言う。断るハナ。


ロクちゃんから電話。明美が肺炎で亡くなった。
お葬式。ハナ人の一生って 儚いね」。嘘をついていた事を謝るロク「ハナは、パッとしない人生を送ってきた俺の ちっぽけな夢だったんだ」 ハナ夫にね 愛人と隠し子がいたんだ」 ロク「…へえ~、しかし 子どもまで こしらえたとは。で いくつ?」 ハナ35なのよ」 ロク若いね~。羨ましいな~愛人がだよね?」 ハナ息子がよ」 ロクえ~」←笑 このお二人も微笑ましい。


ロクちゃんに相談して、岩太郎君に会うことを決めたハナさん。なんと岩太郎は有名建築家の事務所を辞めてカンボジアで人助けをしようと思っていると言う。母薫になにかあったら話を聞いて欲しいと言う。ハナ冗談でしょ」 いつの間にかハナさんは岩太郎君にとって頼れるおばさんになってしまっているのね。ハナカンボジアのこと早くお母さんに言いなさい…子どもが危険な場所に行くなんて嫌に決まってる…でも 息子が決心したことならきっと受け止めてくれるから…あなたが旅立ったあとのことは…」となぜか打ち解けてしまう。


その数日後、薫さんがハナさんを訪ねてくる。不思議な状況。ハナ「うちの敷居またぐなって言いたいとこですけど、古くさいから やめた」←笑 薫は岩太郎がカンボジアのことをハナに先に相談したので訪ねてきたと言う。

岩太郎は 私の計画妊娠です」 うわーっ…。…沈黙。お…おんな…おんなの戦いだ…。「息子が忍様と会って、私のことを話してると思うと居ても立ってもいられなくなります」 ハナ夫を奪ったくせに、息子を奪われるのは嫌ってわけ?」 「…子供がいれば、1人でも生きる力になると思ったんです」
ハナ岩太郎さんとは別に何も。私は背中を押しただけ。自分で決めたことはちゃんと 実の母に伝えなさいって。私のとこに来たのは 結局あなたが大事だからよ」 「私 、岩太郎は ハナさんのぬくもりにじかに触れたんじゃないかと思ったんです…あの子にとっては思いも寄らなくて…その ぬくもりが心地よくて浸りたかった。そんな気がして…それは 私では作れないものでしたから。私 ハナさんが奥様で…岩兄が選んだ方で よかったと思ってます」 ハナあんた ずるくて 計算もできて、覚悟があって、 堂々としてて、かわいいのよ。悔しいけど」 ほんの少し笑顔。なんだか和んでますね、

ねえ あの掛け軸 どうした?どうせ持ってんでしょ。
ええ。
燃やしちゃいなさいよ。
はい。 帰ったら燃やしちゃいます。
さよなら。
見送らないよ。

二人とも少し笑顔。この二人の場面が本当に素晴らしかった。醜い対決のはずなのに、岩太郎君のことで結局打ち解けてる。すごいなぁ。この場面はフランス映画みたい。お二人ともお綺麗でね。


忍酒店。店の改装をすることに。ハナさんのアイデアで角打ち/立ち飲みコーナーを店内に作ると言う。ハナさんがそこのマダムになるそうだ「もう79よ。 今から新しいことやるなんて」


ハナのモノローグ「全く 冗談じゃないわよね。私なんて 人生の冬もいいとこ。これから新しいこと始めるなんて。でも 決めちゃったのよね。だから もう 実年齢なんて忘れて、人生の冬をせめて まだ 秋だって思いながら過ごしてみようかなあってさ。人生の終わりが いつ来るかなんて誰にも分からない」「だったら 最後まで、この人生を駆け抜けてやる。私らしく 思い切り。どうせ すぐ死ぬんだから」(岩造へ)「あんた どう思う?

お店に家族が集まる。泪割りがメニューに追加。お店の壁に由美さんの絵

岩造の肖像画。

それを見る花さんの表情。 穏やかに折り紙を見つめる岩造の絵。
ハナいい…
由美「私の 初めての人物画です」
ハナめちゃくちゃいい
ハナさん泣きそうな微笑
ハナ由美さん よく描けたね…
このシーンでちょっと泣いた。ハナさんの表情でうわーっと思う。いい絵。あああこれは予想できなかった。すごくいい話だ。

突然岩太郎が訪ねてくる。もうハナさんは頼りになるおば様になってます。わさびたっぷりの泪割を作って岩太郎君に。このシーンがまたいい。お二人とも自然。楽しそう。すごくいい。和んでます。お二人でほのぼの仲良く。

岩造のらくだの折り紙を取り出して
ハナあげる。ねえ…思いっきり やんなよ
岩太郎「はい」

最後岩太郎「ハナさん ありがとうございました」
ハナうん 元気でね
岩太郎「はい」
店の外で岩太郎を送り、店内に入っていくハナさん。エンドロールは越路吹雪さんの「ラストダンスは私に」。お洒落~すてき。余韻もいい。

これはいいドラマですよぉ。こういう展開になるとは予想していなかったです。しみじみといいドラマ。



NHK BSプレミアム『すぐ死ぬんだから』全5話・第4話感想



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★第4話

ハナ(三田佳子)の前に現れた夫の隠17年前、ハナが配達中に自転車から転んで入院した時、夫の岩造(小野武彦)は岩太郎の大学の入学式に行っていたことを知る。認知も望まず生きてきた愛人親子の姿を知って、ハナは自分でも思いもよらない衝動にかられ、夫の愛人で医師の森薫(余貴美子)に会う決心をする。勝負服のハナの前で薫は…

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感想

さてお話も佳境に入ってまいりました。ハナさんの戦いは続く。しかし今回の見所は…まず忍家餃子パーティーの日、会社のパーティーから帰ってきたほろ酔いの和夫さん(田中哲司)のコメディアンぶり。もぉー面白い。田中さん本当におもしろいわ。なんだか目立つお方ですよね。皆深刻な場面なのになぁ。
そしてその後、静かにラー油を小皿に注ぐ和夫さんもおかしい。

それからもう一つの見所は…もちろんハナさんが敵陣に乗り込んで敵を爆撃する場面。いやー胆がすわってますねぇ三田さん。「あんたぁ」の言い方がゴクドーのツマかと思いました。それで終わったのかと思ったら、今度はお正月の寄席で敵と再度ばったり出くわす。。それでまた敵の親子を撃沈。すごいな攻撃する女。この回までのハナさんは戦うオンナなのですね。強いわ。 


*****


突然訪ねてきた森岩太郎が帰ろうとしたところ、ほろ酔いの和夫(田中哲司)が帰ってくる笑。頭には赤い三角帽子。会社のクリスマスパーティーか。ここで和夫の一人芝居
岩太郎を紹介されて…和夫が急に満面の笑顔「…あ~っ…あ~っ…そういうこと!実に急展開だなぁ。岩太郎さんが餃子の会に招かれるなんて」 苺が困ってる。 和夫、ハナさんへ「さすがおかあさーん、度量と言うか…どんだけ心広いんか…っていうか…」 和夫、岩太郎へ「ここのクリスマス行事なんですよ。お父さんが餃子が好きで。おいしかったでしょ。あの…感じられました?お母さんの懐の深さ…」 止めるいずみに「いやいずみちゃん!おりゃ嬉しくってね!こういう平和的な方向に傾いた事がねぇ…普通はないよぉ。できないよぉ」 苺「できるわけないだろ!」ぎゃはは…このシーンの田中さん最高。おかしいおかしい爆笑ものです。上手いなぁ酔っ払い。もー空気よめないよめない。すんごいおかしいシーン。寅さんかと思ったわ笑 

皆を追い払ってハナさんが岩太郎と二人、店内で会話。岩造が持っていた彼の写真を見せる。岩太郎「僕の大学の入学式です。父が撮ってくれました。初めて入学式に来てくれたんです」…2003年のその日、ハナさんは骨折で入院していた…岩造「ごめんなおそくなって」。岩造はその日、ホテルで折り紙サークルの全国大会だったと嘘をついていた。その日のことをハナは覚えていた。岩造は背広を着ていた。岩太郎がその日の事を話す「(父の)ネクタイ姿始めて見ました。あの日両親が揃って笑ってたんです。それが恥ずかしくて…でも嬉しくて。…ではこれで失礼します。もうお会いすることはないと思います」 


居間。餃子パーティの続き…こまごまと働く和夫(ばつが悪いのね)。餃子を運び、小皿にお醤油やお酢を入れたりラー油を入れたり(垂れたネクタイを胸ポケットにしまって)、いずみちゃんにジュースをついだりしてる。この和夫/田中哲司さんの仕草のおかしさで、他の人の台詞が頭にはいってこない。田中さんすんごくおかしい。

結局パパが悪い
いづみイケメンが喋ると腹立たしさが半減するよね
雪男しない
その会話の間も和夫が控えめにラー油を小皿に入れようとしている笑。


ハナさんは掛け軸を相手につき返すと言う。返しに行くと言う。

ハナ…なんで私だけがこういう思いしなきゃなんないの?私の方が後ろめたいような。自分が来なさいよ、息子よこしてさぁ。卑怯者。顔見てやんなきゃおさまんないよ」それを受けて雪男わかった…俺も行く。なに…長男にまかしとけ
ハナ行くわよ。こっちは何にも恥ずかしくないんだから。正々堂々生きてんだから」 
いいぞ。ハナさんの赤いシャツがとても綺麗だ。


ハナ独白「ここは女の正念場だ。本妻の意地にかけて妾を粉砕してやらねば。妾がたとえ10歳若かろうが、岩造から何を聞いていようが、生の本妻は、妾の薄っぺらい想像を凌駕しなくてはならない」そしてハナさんはエステに行く。ネイルは赤。アクセサリーを選び。ドレスアップ。颯爽とコートを纏い…。←素晴らしい。綺麗。笑。ハナさん元気一杯。すごーい。ハナさん頑張れ! 

そして敵陣に雪男とともにのり込む


妾/森薫のクリニック。なんと薫さんと岩造が出会ったのは彼女が9歳、岩造が20歳の時。薫さんの兄が岩造の同級生だった。二人は親友だった。彼女は兄に呼ばれて東京に遊びに行き、それで岩造に出会った。岩造は小学生の薫さんを可愛がった。それから暫く疎遠になったのだが… 

再会は薫さんが24歳の時。薫さんの兄が病死。薫さんは医師になろうと上京。その時岩造が薫さんに電話をしてきた。徐々に深い関係に。彼女が妊娠してから岩造は経済的にも彼女を支援した。医師として仕事を始めてから岩造に借りたお金は返した。子供の認知を拒んだ理由は、医師として自立できると思ったから。

雪男せめて名前だけは自分でつけたいと言ったのですか?父は。岩造が岩太郎と名づけた。…二号のくせに父の申し出を受け入れたあなたはやはり母を馬鹿にしている」←雪男はまだ名前にこだわってる

掛け軸を返すハナ。思わず広げた掛け軸にコーヒーをぶちまけるハナさん。ふわーっすごいー 。ハナあんた、ずるいわ。さも日陰の身ですみたいなふりして本当は違うわよね。…あんた、認知よりもあたしに隠し通して、岩造との関係を続けるほうを選んだ。違う?息子の将来よりも自分がかわいいの。その健気なふりも全部岩造をつなぎとめるため。その きれいなお胸で岩造を抱くために」ひゃ~ハナさん…ゴクドーのツマみたい…。こわー。雪男さんもひいてますよお母さん。ハナさんは相当強いお方ですよ。 


帰ってきた家で。9歳の時に出会った!? 何それ。長っ!…映画? パパが映画の話 したことなんて ないよね?
ハナ私は 岩造が大学生の頃なんて知らないし、夏休みどうしてたかも知らない。一緒に映画なんて行ったこともないし、岩兄なんて呼んだことない。
苺、憤って苺を頬張る。
ハナ
本妻なんて言ったってね、岩造があの女の方が好きだって言ったらもう負けなんだよ。何を言ったって どう攻めたって、最初から勝負になってなかったんだよ。行ってみて それが分かった。ずっと秘密にしてて、それで逃げきった時点であの女 勝ってるんだから。今更 頭下げたって、痛くもかゆくもないよ」「あの女 二度と会わないと思ったら、聞きたかったこと 全然聞けてなかったな、…あなたは本妻の私のこと どう思ってた?…今も夫が好き?…夫は 私について何か言ってた?」 ちょっと負けたか…心がね。ハナさん落ち込むかも。


ロクちゃんから電話。ハナねえ ロクちゃん…今でも私のことが好き?」 ロク「当たり前だよ。 ハナは俺の初恋で俺にとって ハナはいつだって あのころのままだよ」 ハナロクちゃん 優しいね」これもさ…ハナさん、激しく敵と戦った後で自分も傷ついたのね。心細くなっちゃったんですよね。


雅彦とカフェで会話。雅彦「じいちゃんは本当に ひどいことしたと思う。だけど 俺…じいちゃんのことも嫌いになれないんだ。だからさ ばあちゃんが じいちゃんのこと怒ったままでいる姿、見るの つらいんだよね」そこで雅彦は死後離婚の話をもちかける。二人で市役所にいくのだけれど職員もコミカル。


ハナさんロクちゃんを訪ねる、独白「誰かに伝えたかった。ロクちゃん私も独り身になるよ」…なんとロクちゃんには家族があった!ひゃ~っ!


2020年1月。岩太郎「なぜあんな遺言残したんだろう?」母薫さんと寄席。そこでハナと孫二人とばったり出くわす。全員でお茶。

ハナ私… 岩造と 死後離婚いたします…岩造は 私にとっては人生を共に歩いた男です。いろいろ思い出がありました。でも あなたのことを知って思い出も色あせました…。…まともな人間ならもっと早くに身を引いてたはず。それを最後まで ずうずうしく居座って私の人生 破壊したんですから…。…私 あなたから学んだんですよ。死んだ相手に関わってる方が人生を無駄にするんだってね。

ハナさん、結構真剣に文句言ってます。かなりキツイ。いくら浮気をされた側でもこれだけ言えるのは本当に強いと思う。人が人と対峙して真正面から喧嘩するのは相当なストレスなのですよ。78歳でこれだけ言えるとは…ハナさんはすごくお元気で強い女性なのね。怒り爆発ですね。すごいわ。ゴクドーのツマ…みたい…。苺さんの喧嘩っ早さはハナさんゆずりですね。それにしても三田佳子さんはお美しい。


NHK BSプレミアム『すぐ死ぬんだから』全5話・第3話感想



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★第3話

ハナ(三田佳子)に残された夫、岩造(小野武彦)の遺言に書かれていたのは見知らぬ女性と岩造の間に出来た子供の存在。そしてこの二人への相続品はただ一つ。岩造が毎日眺めて励みにしていた掛け軸だった。見知らぬ息子は35歳、通夜に来ていたイケメンらしい。35年にも渡る夫のもうひとつの生活に胸を掻きむしられるハナ。掛け軸を先方へ送り付け、そして夫に関する何もかも捨ててしまおうとするハナだが、そこに…

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感想

この回のメインは家庭裁判所から帰って来てからの親子3人の会話。名前にこだわる長男・雪男。いきり立つ娘・。このしっかりものの娘苺/松下由樹さんがとてもおもしろい。 このシーンの会話は全体がやたらおかしいです。深刻な場面なはずなのに台詞がいちいちおかしい。


*****


家庭裁判所から、ハナは息子雪男と娘と共に自宅に帰って来るが落ち着かない。 遺言により、夫の相手の女性・森薫には掛け軸だけを送るように…とのこと。それで3人でいろいろと話し合う。

雪男:森薫は女だった。イケメンは女の息子かな? そいつが岩太郎? 俺の腹違いの弟? 
苺:似てもにつかない。
ハナ:それ…ママの遺伝子がいけなかったって言いたいの? 
ちがーうママは最高。この岩太郎って…本当にパパの子なのかな?パパが騙されてるってことも。 
ありえるよなー。オヤジ人はよかったし。
でしょー?
……燃え上がる苺(松下由樹)さんが面白い。
岩太郎35か…おやじが44の時の子。
森薫…ママの10歳若い…。ほんっと腹立つわ…36年前から私達を裏切ってたってことでしょ。
いや…一度だけ魔が差したのかも。出来心。 
なら…わざわざもう一つの家庭なんて言い方しないよ。家庭って言うんだからさー 
折り紙だの…そうやってアリバイつくってたのか…。 
つかさー俺なんてどうすりゃいい。俺長男だよ。雪男って書くんだよ。なのにオヤジ愛人の息子に岩の字つけてる。岩造の息子で岩太郎…。
……岩の名前にこだわる長男雪男が拗ねてます。それでハナさんが言う。
ねえ雪男、これだけは信じてね。パパは雪男が自慢だったよ…雪男が間違いなく忍家の跡取りだよ。
……さすがママ。しかしそれもコミカル。

腰の低い苺の夫・和夫(田中哲司)が帰ってくる。アイスを間違って買ってきて苺さんに叱られる。家の中の家族の様子が妙にリアルなドラマ。和夫さんは苺に頼まれて、弁護士に相談して…相手の女性を訴えることも出来ると言う。それで森薫の正体判明。森薫は医者。和夫さん「ちなみにお母さんより10歳年下です」…それ言わなくていいぞ。ハナさん憮然。 立派な人ねー。本当にこの人? 

国分寺の整形外科と、森薫のクリニックは同じビルに入っていた。岩造の8月の整形外科の診察券は…岩造が国分寺で森薫に会っていて転んだときのもの。

ハナさん ギブアップ。訴えなくていい。このこと全部忘れたい。死んだ人、憎みたくないし生きてる人と争いたくない。いい夫でいいパパだった岩造はもういなくなった。

急に食欲のわいたハナさん。ピザを頬張る。こんなに悲しい話なのになぜコミカルなのだ?でも確かに忘れたいですよね。もういろいろとめんどくさいわな。


折り紙の個展ももちろんキャンセル。絵を頼んだ息子の嫁・由美が泣く。ハナ「追悼個展なんか誰がやるか。抹殺だよ抹殺」落ち込む嫁。このお嫁さんは大変だわね。

落ち込む由美を見て娘・いづみ「あのさーわかるけどさー。おじいちゃんを全否定するのはやだよ。おばあちゃんがおじいちゃんを許せないのはしょうがないよ。だけど私にとっておじいちゃんはやっぱり優しかったしママだっておじいちゃんのこと結構好きだったでしょ」それも本当ですよね。


商店街の友人達の「やさしい」言葉もつらい。彼女達は何も知らない。気丈に振舞うハナさん。家に帰って来てから岩造の折り紙を抹殺。全部ゴミ袋…バスタブに入れて水をかけて踏みつける。けっこうシビア。ああ…でもそれわかるわ。流れたインクが顔についた状態で宅配便を受け取る。変なおばちゃんになってるぞ。

宅配で受け取ったのは雑誌。なんとハナさん、お洒落だから街スナップでファッション誌に載ってたのね。そして岩造に文句「あんた…びくびくして暮らしてたのかね。寿命も縮むわけだよ。これから(折り紙も)順番に捨てていくからねハナさんすごく元気がいいんですよ。すごく怒ってるけどお元気なの。それもコミカル。それに三田佳子さんが怒ってるのにやっぱり魅力的なのですよ。声かな~やっぱり女性らしくてお綺麗


友人・明美(日色ともゑ)から電話。雅江(高田敏江)が認知症を発症したらしい。明美とロクちゃん(小松政夫)と3人で雅江を訪ねる。彼等は15歳の頃からの友人だそうだ。同級生で皆78歳。雅江さんの息子さんの最後の暗い表情が細かい演出。
明美はフラダンスを始めたそうだ「もう思い残す事が無いようにしようと思って」。ロクちゃん「人生を80年とすると…睡眠が27年、食事が10年、トイレが5年、差し引いて38年。結構短い」明美「だからあたしやりたことは全部やるの。お金も全部使う。人生最後まで満喫した方が得でしょ」ハナ「すごいじゃない明美。私達恵まれてるほうかもね」 明美「ハナ、同期会のときいじわる言ってごめんね」



マンションに送ってくれたロクちゃんは家にあがらない。告白?
ハナ:ありがと
ロク:立ち直ったらいつでも連絡してよ。俺は一人だから。最近考えてる。墓じまいしようかと思って 
ハナ:あたしもしたい、墓じまい
ロク:旦那さん待ってるだろ
ハナ:あのお墓入りたくない。無縁墓でいい。今まで十分尽くしたんだし。同じ墓だと死んだ後も尽くすみたいでしょ
ロク:もし…ハナが無縁墓に入るなら俺、一緒でもいいよ。じゃ帰るわ
ハナ:送ってくれてありがとう


雪男の忍酒店。訪ねてきたハナに孫の忍雅彦俺もう、爺ちゃんの孫だとは思ってないから。ばあちゃん一人の孫だから」 ハナ「後でおこづかいあげるね」ハナさんうれしいよね。


女性達…ハナ、苺、由美、いづみが皆で餃子づくり。すごく楽しそう。家族みんなでの食事風景。

苺:けどよかった…密かに心配してたからさ。ママがセルフネグレクトになったらどうしようかって。…人は生きていく意欲がなくなるとそこに向かっちゃうんだって…
ハナ:そんなの…なんないよ。ママはもうパパのことなんかどうだっていいんだもん 
苺:なんだか皮肉だけどさ…ママを地獄のふちから救ったのは愛人と息子かもね 
雪男:それは考え方だろ。地獄の煮え湯を飲ませたのは向こうなんだ 
ハナ:とにかくあんな人達のせいで落ち込んでる時間がもったいないしね、どうせすぐ死ぬんだから。くいなんか絶対残したくない
餃子がおいしそう。わきあいあい。ピンポン!イケメンが来た!

店先にイケメン森岩太郎(溝端淳平)。掛け軸を返しに訪ねてきた。しんみり。岩太郎はお線香をあげて…。岩太郎「母と私のことでは皆様に大変ご心労をおかけいたしました。申し訳なく思っております」
じゃあ掛け軸を返すってどういうこと?
雪男忍岩造の長男、雪男です。私達家族は森様親子と親しくさせていく気はございませんし…」おっと雪男、立派ですよ。

森さんはあまり掛け軸に思い入れがなかったらしい。それで返しに来たらしい。

あの…ちょっといいですか?あなた本当にうちの父の子供ですか?」笑 苺さんはっきりしてますね。結局森岩太郎さんは大変立派な若者だったのね。ほぼ非の打ち所がない。立派な青年。現在は有名な建築家の働いているそうだ。結局ハナさんは掛け軸を預かることにした。



NHK BSプレミアム『すぐ死ぬんだから』全5話・第2話感想



前回書いた第2話の感想(というよりも期待を込めた助走)から、残りの3話分を拝見しました。最後ちょっと泣いた。これ傑作ドラマじゃないですか。素晴らしかったです。大好きなドラマ。三田佳子さん素晴らしかったです。

全体のまとめの感想文を書こうとして、また2話から見直していたのだけれど、あまりにもそれぞれの台詞が素晴らしいので1話ずつ感想を書こうと思った。気になる台詞も記録したい。

私は第1話を見逃しているのだけれど、どうやら第1話は、とても仲の良いご夫婦・忍岩造(小野武彦)とハナ(三田佳子)の様子を描いた話だったらしいです。

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★第1話 NHK公式サイトのあらすじから

78歳のハナ(三田佳子)は夫、岩造(小野武彦)と営んでいた酒店を息子に譲り、近所のマンションで隠居生活をしている。人間60以上になったら実年齢に見られない努力をするべきだ、という信条を持つハナは美しさと若さを保ち、10年ぶりの同期会でもひとり鼻高々だ。折り紙だけが趣味の岩造は「ハナと結婚してよかった」が口癖。優しい夫や子供や孫にも囲まれ、まあまあ幸せな老後だと思っていた矢先、岩造が突然…

…旦那さんの忍岩造が1話の最後で急にお亡くなりになる。それからのお話…

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★第2話

78歳の忍(おし)ハナ(三田佳子)は夫、岩造(小野武彦)を突然亡くし、葬儀を終えた後は呆然自失で自慢の外見を気にする気力もない。だが、折り紙だけが趣味だった夫のために個展を開こうと奮起。遺品となった折り紙を整理すると、自宅から遠く離れた外科の診察券と一枚の写真を見つける。日付の書かれた写真は若い男のもので、そのイケメンはお通夜に来ていたと、孫のいずみが覚えていた。ハナにはなんの手掛かりもなく…

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感想

リアルです。リアルな家族の姿。慌しいお葬式。気丈に振舞うハナさん。細々と世話を焼く娘婿・黒井和夫(田中哲司)…あ、田中さんがいる。

お葬式が終わってからハナさんは暫く息子の家族の家に暮らした。そして自宅のマンションに帰ってくる。ドアの前に立って直ぐに中に入らない。まるで夫がいない家に帰りたくないかのように。寂しいね。そしてベランダに出て、鉢植えの中に夫の残したらくだの折り紙を見つけて泣く。ああ…ほんとうにこういう感じだと思う。すごく悲しい。

1ヵ月後に友人のロクちゃん(小松政夫)から電話。ロクちゃんが優しい。「一人でいて喋らないから言葉が出てこない、生きてるのも億劫」 夫の折り紙グループ展を思い出し、翌日ロクちゃんと会う約束をする。

翌日夫のグループ展に出かける。実は夫が創立した折り紙グループのメンバーは夫のことを慕っていなかったと知る。また悲しい。ロクちゃんに会って、夫は「要らない人だった」と告げる。「折り紙だけが趣味の人」 ロクちゃんが優しい。彼のアイデアで夫の折り紙の個展をやることを思いつく。ハナさん、すぐに元気になる。やる気。ロクちゃんいい人です。

息子・雪男の家へ。個展の計画。落ち込みやすい嫁・由美(安藤玉恵)に絵を依頼。肖像画は?折り紙の絵? 嫁もやる気。

家で遺品整理。娘・苺(松下由樹)と孫・いづみ(中田青渚)。 葬儀の名簿に連絡先のない「森薫」の名前。いづみが葬儀で会った「森薫」はイケメン青年。その「森薫」の写真を岩造の財布から発見。写真の日付は2003年のハナが骨折した日。皆で岩造の折り紙の生徒さんだろうかと話す。また国分寺の整形外科の診察カードも出てくる。夫はそこで8月に診察されていた。その日夫は新橋に行っていたはず。秘密? 気になる。

ハナが国分寺の整形外科を訪ねる。ハナさんはずいぶん元気がいい。おしゃれなのね。医師に夫の事を尋ねる。夫は転んで頭を打ったとのこと。

息子・雪男が岩造の遺言書を発見。驚き。雪男と苺と共に家庭裁判所に出向く。
遺言で遺言執行人と指定された雪男が一瞬うろたえるが、「まかされた」と言われ嬉しそう
そして…
「第5条 森岩太郎は遺言者忍岩造と森薫との子である
弁護士が一旦咳をして「えーと…」と言いにくそうだ。3人とも無言。
森薫?
淡々と遺言書を読み上げる弁護士。

ここから急にコミカルに…

しっかり者の苺「森薫さんはイケメンですか?
弁護士「え…と…女性ですね…。忍岩造さんとの間に息子さんをもうけて…認知はされていませんが…」
3人の表情がバラバラ。口をOに開けたまま驚くハナ。思わず自分の手を見る苺。目が泳ぐ。女性二人をすがるように見る雪男。
ハナ「その女性は掛け軸を?」驚くハナ
そこに被さる岩造の映像「俺、ハナと結婚して本当よかった」←秀逸編集

苺「付言?…感謝?…」 画面の左、画面で半分切られたハナさんの驚く表情。

付言には「自分にもう一つの家庭があったこと、本当に申し訳なく、どれほど驚かせ悲しませているかと思います。心から謝ると同時に、どうかみんな手を携えて仲良く暮らしてくれる事を願っています。…自分は許されない事をしました。しかしハナとの人生は嘘偽りなく楽しく幸せなものでした」 

裁判所の廊下でハナさん「うそつきめ~!」


すごいな~。すごい話ですよこれ。こんな話普通はないと思う。しかしずいぶんドラマチックな…。優しい夫にもう成人した子供がいた。びっくりびっくりびっくりですよ~。それなのに、演出が…台詞が…コミカルなのがいい。もうしっかり心つかまれた。

最初のハナさんの寂しさがリアル。ロクちゃんの優しさもいい。家族がいて…これ家族の話なんですよね。個展のアイデアでハナさんの気持ちが上がる。そして森薫…遺言書…と気持ちが休まらないですね。



2020年10月18日日曜日

Stevie Ray Vaughan & Double Trouble - Voodoo Chile (Live From Austin, TX)(1983)



このギターはかっこいいわ




Stevie Ray Vaughan & Double Trouble - Voodoo Chile 
(Live From Austin, TX)(1983)
Album:  Texas Flood (Legacy Edition)
Released:  June 13, 1983
1983 ℗ 1983, 1999 sony music entertainment/
(p) 2013 sony music entertainment and 
bill graham archives llc d/b/a wolfgang's vault.
このアルバムの2013年に出たLegacy Editionに
彼の「Voodoo Child」が収録されているのですが、
このライブの映像の音源ではありません。


なぜ今突然スティービー・レイ・ボーンなのか?
昨日土曜日にTVで『サタデーナイトライブ』を見ていて、チャンネルをPBSに変えたらたまたま彼が演奏していた。すぐに始まったジミ・ヘンドリックスの「Voodoo Child」

これ傑作。ギターがすんごい。かっこいい。たまたま偶然映像を見せられてすぐに画面に惹きつけられた。画面に釘付け。ずーっと黙って見てしまった。いいライブ。彼はギターのお方でお歌の方ではないのだろうけれど、とにかくギターがかっこいいかっこいい…。饒舌なギター。かっこいいわー。 


今年はスティービーさんが亡くなって30年。それでPBS「Austin City Limits」シリーズで過去に放送されたものを編集したものが昨日放送されたのだそう。ライブは1983年と1989年のもの。その中からこの「Voodoo Child」は1983年のライブから。 

音がクリアで気持ちがいい。ギターもすごいがバックのドラムもベースもいい。音が気持ちいい。3:20からと5:25あたりからのソロはたまらんね。かっこいいわ。ギターのリズムで踊らされる。ノンストップで全編ギターギターギター…ギターがかっこよすぎ。よく喋る。なんと自由な。バンドのライブの化学反応が最高。


スティービー・レイ・ボーンさんと言えば、1983年にDavid Bowie『Let’s Dance』で彼がギターを弾いていたことで最初にお名前を知った。当時彼の名前をメディアでもよく見かけていた。 

そもそも彼はなぜDavid Bowieの『Let’s Dance』でギターを弾いたのか?

今知ったんですけど…、スティービーさんとバンド Double Trouble が、1982年7月にMontreux Jazz Festivalのブルースナイトに出演。それを見たDavid Bowie氏が半年後に彼に電話をかけてきて「今度出すアルバムで弾いてくれないか」とオファー。それを彼が受けて、翌年1983年の1月にレコーディングが行われ、『Let’s Dance』のアルバム8曲中の6曲でスティービーさんがギターを弾いたのだそう。そして『Let’s Dance』は世界中で大ヒット。 

どうやらスティービーさんはその1982年にモントルージャズフェスティバルに出るまで、テキサス以外ではあまり知られていなかったらしく、その時の演奏で一気に世界に知られるようになったのだそうな。ほー。 

私も当時からその『Let’s Dance』がらみでStevie Ray Vaughanさんの名前を聞いていたのだけれど、それ以降の彼のご活躍はほとんど知らなかったです。だってティーンの小娘にはブルースギターの良さはわからなかった。いやーすごいお方なのね。びっくりした。 

ちょっと前にZZ Topの事も書きましたけど、テキサスのブルースギターはかっこいいね。 

彼の「Voodoo Child」はライブごとに全部違う。他の時代のライブも動画サイトにあがってます。これは1983年の29歳の時のライブ。素晴らしいギターを記録します。 



お猫様H:愛の毛づくろい



午後の毛づくろいコーナー
彼女の肩に手を乗せ 
かわいくない肖像、口がベタベタデスネ 
この表情が宝  
またお返し ザリザリ
至福 
しらふな横顔 
本日のパッションフラワー


猫さんと毛づくろいをし合ってます。和み。猫さんの頬を掻けば、必ずザリザリと舐め返してくれる。そして無言でまた頬を突き出すので掻いてあげる。そしたらまた手を舐め返してくれる。そしてまた彼女の頬を掻く。よく猫同士で顔を交互に舐めあってますが、それをやってくれます。かわいい。



2020年10月13日火曜日

米ドラマSHOWTIME『The Comey Rule』(2020) 全2話:大統領はワンマン社長






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『The Comey Rule』(2020-) TV Mini-Series/米 
/カラー/全2話・210 min 
Based on: A Higher Loyalty by James Comey 
Written and Directed by: Billy Ray 
Original release: September 27, 28, 2020 
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米国発TVのミニシリーズ。放送はケーブルSHOWTIMEにて9月27日、28日の二日間。


実在の人物による回顧録をベースにしたドラマ。著者は元FBI(アメリカ連邦捜査局)長官ジェームズ・コミー/James Comey氏。彼がFBIの長官だった任期は、オバマ政権時2013年9月4日から、トランプ政権に変わって5ヶ月間が過ぎた2017年5月9日まで。 

本来FBI長官の任期は10年にもかかわらず、彼はトランプ大統領に解任された。そして彼が書いた回顧録が『A HIGHER LOYALTY/より高き忠誠・真実と嘘とリーダーシップ』。この本をベースに彼が長官時代にかかわった2つの案件をドラマ化。


普段から政治の細々とした事柄を追っていない私のような者にとってこのドラマは「近年アメリカの政界で何があったのか」の復習/おさらいのようなドラマ。しかしながらこのドラマが、今年2020年の大統領選挙の直前にリリースされるということは、制作の側からの政治的バイアスがあることも知っておくべきだろう。制作の意図に一方的に惑わされないためには、まずこのドラマが

公正なジャーナリストによる事実の再現ドキュメンタリーではなく
既にバイアスのかかっている個人の回顧録を元に作られたものであること
また選挙戦に向けて制作の意図が視聴者の心を一方向に動かそうとするものであること。
そのため制作側の意図で多少事実の歪曲/脚色がされているだろうこと

を知っておく必要がある。最初から人の心を動かす意図で作られたドラマを見て、100%事実だと信じ込むことは避けねばならぬ。あくまでもエンタメとして見るほうがいいのだろう。事実を知りたければ検索して自分で調べればいい。


…というわけで、事実をよく知らない私には批評するのも難しい「実話ベース」の話なのだが、エンタメとして見ればかなりいいドラマ。面白い。脚本も演出も俳優さん達も巧み。素晴らしい。

まずこのドラマの主役、ジェームズ・コミー氏は、本のタイトルが示すように国と任務に「より高き忠誠」を誓った=大統領に従わなかった…善人。FBIのトップとして任務に忠実で、また大勢の部下にとって理想的な上司。皆に尊敬され愛された英雄だ。


彼がかかわった2つの案件とは。 

1. 2016年の大統領選前、クリントン候補の私用メール・アカウント疑惑。
2. トランプ氏が大統領に選出されてから、コミー氏が解任されるまでのやりとり


1話は、クリントン候補のメール疑惑に関して:
まずコミー氏の人となり。彼がFBI長官に任命される前、オバマ大統領がコミー氏と短く会話する。大統領はコミー氏に「あなたが任命されたら、このような会話は不可能になる。(FBIと権力は距離をとるべきだ)」と告げる。コミー氏も同意。彼のFBI長官としての立ち位置を示す。そしてFBIスタッフとの関係の紹介。 
1話の本題は、2016年の選挙直前。一旦7月に閉じたクリントン氏のメール疑惑のケースが、選挙日11日前になって再開されるドタバタ。

2話は、トランプ氏が大統領に選出されてからコミー氏の解任まで:
この2話目がこのドラマの主題。トランプ氏が国の大統領としていかに倫理的に相応しくないのか…をコミー氏とトランプ氏の関係から描く。トランプ氏は大統領になってすぐコミー氏を個人的に呼び出し、(自分にとって都合の悪い)ロシアに関する案件でコミー氏に個人的に「君に私への忠誠を期待する」と指図…大統領によるFBI長官の懐柔の現場を再現。

もちろんコミー氏はトランプ大統領に従わない。その後コミー氏はトランプ氏が大統領になってから5ヶ月で職を解任されることになる。


トランプ氏はどのような人物なのか? 

このドラマで描かれるトランプ氏はまるでマフィアのボス…いやワンマン社長そのまんま。彼は彼のトランプ帝国でのワンマン社長のやり方をそのままホワイトハウスにも持ち込んでいるらしい

能力に関係なく誰でも気に入ればかわいがる。気に入らなければクビ。このお方は、自社内でもそんなやり方を長年ずーっとやってきたのだろう。彼は同じやり方で大統領になってからも自分に都合のいいようにFBIの長官まで自分の意のままに操ろうとする。…きっとそれはコミー氏に対してだけではない。今まで4年間、様々な人々がトランプ大統領から任命され、そしてどんどん辞めていったことはニュースでもよく知られたこと。

トランプ氏がご自分の会社でワンマン社長であることは何の問題もない。しかしもし大統領が同じように振舞えばそれは独裁者と同じ。  

それがこのコミー氏の回顧録の再現で制作者側が伝えたかったことなのだろう。大統領選の直前に「現在の大統領とは基本的な倫理さえ持ち合わせていない人物」なのだとあらためて視聴者に知らしめる。その意図は成功している。役者さんの上手さとともに非常に面白いドラマだった。


分別のあるメディア/批評家は、この「事実を元にした」ドラマがいくつかの不正確さを含んでいる事を見逃さず、そのためプロの批評家によるこのドラマの採点は(ドラマとしての質の高さにもかかわらず)それほど高くはない。Rotten Tomatoesで68/100点。問題はコミー氏が良い人物に描かれすぎているということらしい。

しかしドラマとしてはかなり面白い。コミー氏のJeff Daniels氏、それからトランプ大統領を演じたBrendan Gleeson氏も素晴らしい。特に脚本のトランプ氏の言動がよく再現できているのが面白い。そして大変恐ろしい。


…最後に告げられる事実。クリントン氏メール疑惑の1話で描かれたFBIの捜査官たちは、トランプ氏が大統領になってから4年後の現在、誰一人も残ってない。アメリカ国民はそれがどういう意味なのかを考えるべきだろう。


私はアメリカの政治に関して一定の距離を置いて見ようとしているのだけれど、今のトランプ政権の謎を知るには、まずトランプ氏御本人の事を知るのが一番。

変わり者…あれほどの珍しいタイプの人物がどういうわけで大統領になっているのか? どういうわけで彼を支持したい人々がいるのか…を知ることは、今のアメリカの現状を知る上でのキーとなる。あるべき理想と個人の私利私欲が入り乱れたアメリカの政界。事実は小説よりも奇なり。これからも観察していく。

さて今回の大統領選はどうなるか?私には未だにどちらが勝つのかわからない。トランプさんはもう辞めたほうがいいよなぁ。トランプ氏は変人なのでどうにもならないのだけれど、彼を支持する人々が現実的にとても恐ろしいです。なんとかまともなリーダーが選ばれてほしい。