能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2019年11月12日火曜日

映画『Edmond/Cyrano, My Love』(2018):映画の魔法・面白い・傑作エンタメ映画


 
 


 
 
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Edmond2018年)/仏/カラー
110分/監督:Alexis Michalik
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面白い。傑作の部類だと思う。監督とプロダクション全体が全力でいい映画を撮ろうとした力技。沢山のユーモア。笑い。映画芸術への愛。舞台芸術への愛。夢。映像の美しさ。過去の時代を美しく描いたファンタジー。本当にいい映画です。映画の魔法も沢山。
 
これはフランス語の映画だからハリウッドには受け入れられにくいのかもしれぬ。だからアカデミー賞ノミネートもないのだろう。しかしこの映画は近年アメリカで作られたどの映画よりもずーっといいと思います。凝ってます。頭がいい。情報量が多い。面白い。
 
Rottn Tomatoesでの(現在の)27人の米のプロの批評家による平均スコアは85点(←悪くはない)。世界各地の映画ファンによるスコアIMDbInternet Movie Databaseでは平均7.4/10点…その内訳はUS Users(64)6.5Non-US Users(701)=7.5…おおぅアメリカ人にはまだこの映画のよさは広まっていないらしい。面白いのになぁ。
 
 
フランス映画さまよくぞやってくれました。これこれ。おフランス映画にはこういうのを期待したい。楽しくて結構。おかしくて結構。ハッピーで結構。映画は所詮娯楽なのだ。何も難しい顔をしてうんうん唸るばかりがいい映画でもないだろう。薄っぺらのコメディも本気でやれば名作です。あ~楽しい楽しい。最初から最後までハッピーな心躍る2時間。映画の魔法。大きな拍手。
 
 
★あらすじ
 
1897年フランスのパリ。売れない脚本家エドモン・ロスタン/Edmond Rostandが『シラノ・ド・ベルジュラック/Cyrano de Bergerac』を書き上げるまでのドタバタを描く。エドモンは名優コンスタン・コクラン/Constant Coquelinに「コミカルな英雄の話」の新作(戯曲)をオファーするのだが、実はまだ全く書いていない。口うるさい女優、製作からの要望、奥さんの嫉妬、下手な役者、友人の恋の手助けなどなど…そして周りにはあまり期待されていないにもかかわらず、エドモンは傑作を書き上げねばならない。
 
 
★ネタバレ注意
 
沢山のサイドストーリーが詰め込まれているにもかかわらず綺麗にまとまっているのは見事。様々なキャラクターがうるさく自己主張をしながらストーリーは進む。台詞も早いし、ストーリーもどんどん進む。ほぼ2時間の映画で中だるみは一切ない。最初から最後までエネルギーに溢れていて、字幕を追いながらついていくのに必死。それなのに映画の魔法が何度も出てきて圧倒される。ちょっと驚き。ものすごく贅沢な映画だと思う。
 
 
私の『シラノ・ド・ベルジュラック/Cyrano de Bergeracの知識は、1990年の同タイトルのフランス映画。主演はジェラール・ドパルデュー。それからアメリカ映画の『愛しのロクサーヌ/Roxanne』も見ていたので、おおまかな筋は知っている。
 
 
まず売れない脚本家エドモンが、俳優コンスタン・コクランに新作のオファーをする場面。新作とは言っても実はまだアイデアさえも無い。そのためエドモンはコクランの前で身の回りの物を見ながらアドリブでアイデアを語り始める。映画『ユージュアル・サスペクツ/The Usual Suspects (1995)』のように。
 
『シラノ・ド・ベルジュラック』は、鼻が大きく醜いシラノが、美しい言葉で美男クリスチャンの恋文を代筆し、美女ロクサーヌとクリスチャンの恋を助ける…というのがストーリーの要。この映画でエドモンが書く「脚本の中のシラノの手紙」の文章は、現実でエドモンが彼の友人レオの恋文を代筆したもの…ああなるほどなるほどと思わされる。
 
それから様々な状況を経て公演日を迎えるのだけれど、色々な事柄が休む間もなく次々と起こり、情報がとても多く全て思い出せない、思い出すのは映画の魔法。沢山の笑、ドタバタ気味のユーモアも楽しい、俳優さんたちのそれぞれの魅力、舞台芸術への愛、溢れる映画への愛、美しい映像、ああ…映画っていいですねぇ…と幸せになる。
 
崖っぷちのエドモン、カリスマに溢れた(コミカルな)コンスタン・コクラン(大親分)、わがままな女優マリア、ハンサムな俳優の友人レオ+美人のジャンヌ、大女優サラ・ベルナール、芝居の下手なコクランの息子ジャン、みんなを盛り上げるアフリカ系カフェのオーナ等等、キャラクターも皆面白い。
 
ああ…感想を書くのがむずかしい。面白い映画は感想が書きにくい。もう一回見たほうがいいんだろうな。時間がとれるかな。また見にいけるか。
 
 
19世紀のムーランルージュの中の様子もいい。今のように大きなステージではなくて、カフェのテーブルのような客席のフロアで、踊り子達が目の前の床で踊る。それからジャンが連れて行かれる売春宿も華やかでいい。チェーホフがいて挨拶をする。ジャン君が大人になって急に堂々といい俳優さんになるシーンにも大きな拍手(笑)映画の魔法。フランスのユーモアはいい。
 
 
最後にこの映画でコンスタン・コクラン=シラノを演じた俳優さんオリヴィエ・グルメ/Olivier Gourmetさんのことを書いておこう。 実はこの映画を見ようと思ったのは、映画のトレイラーにこのお方が出ていたのを見たから。この俳優さんのお顔は見たら二度と忘れない。
 
このお方を最初に見たのは2017年のフランス映画『ルージュの手紙/Sage femmeThe Midwife。主人公の中年女性のもっさりとしたトラック・ドライバーのボーイフレンド…その映画でこの俳優さんの事がとても気になった。その映画の脚本がこのちょっと妙なルックスの俳優さんを魅力的に書いているから気になったのかなと思ったのだけれど…。その後私は、このブログでフランスの俳優の妙なルックスと色気について、大変真面目に考えて文章まで書いてしまった。う~ん。

フランスの俳優の色気について考える

今見ても素敵だとは言えない。変だなぁと思う。それなのにこの俳優さんから目が離せない。面白い。この映画のグルメさんの役は、大柄な大物俳優で声も大きく…堂々として大きいお方なのですけど、面白いんですよ。やっぱり彼は大スターなのかも。
 
…びっくりしたの。前見た映画の穏やかなトラック・ドライバーと全然イメージが違う。役で変わるお方ですね。うまいお方なんだろうな。いやー目が引き付けられるわ~不思議。この映画を見た日の晩ご飯の食卓でも旦那Aに向って「あの俳優さんはなんであんなに妙なのにカリスマがあるのかしら(←大変失礼)」と興奮して延々と喋ったらうんざりされた。なんだかグルメさんを見ると人の魅力/男の魅力について語りたくなる。不思議。これだけ目が惹きつけられるということは、やっぱり大スターなんだろうなと思います。
 
声だな。グルメさんが素敵に見えてしまうのは、声がいいんだろうな。たぶん
 
 
あ~面白かった。ゲラゲラ笑った。ユーモアの質がいい。好き。また見たい。フランス語がわかったらもっと面白いんだろうなと思います。おそらく英語の字幕に入らなかったフランス語での冗談が沢山あるのだろうと思います。フランス語がわかる人が羨ましい。


 

2019年11月7日木曜日

Martin Badder & Lucy Whittaker - I Can't Keep My Hands Off You (Mike Mago Remix)(2019)



 
Martin Badder & Lucy Whittaker -
I Can't Keep My Hands Off You (Mike Mago Remix)(2019)

I Can't Keep My Hands off You - Single
Released: 21 Jun 2019
℗ 2019 Bmkltsch Rcrds



元々英国のプロデューサーMartin Badderさんがロンドンの若いシンガーLucy Whittakerさんと共にリリースした曲を、オランダのDJMike Magoさんがリミックスしたものらしい。元曲も動画サイトにでているけれど、確かにこのリミックスのほうがいい。

この曲もUKダンス週間チャートに夏頃に入っていたのをメモしていた。ちょっと不安になる音。


Martin Badder
英国Bath出身のDJ/Producer2017年頃にデビューかな? ジャンルはTech House, Minimal/Deep Tech & Deep House。レーベルはStrictly Rhythm I DFTD | Armada

Lucy Whittaker (singer)
英国ロンドンの若い女の子。このお方は今年の9月に、以前ここで取り上げたAlice Chaterさんの前座をやったそうです。

Mike Mago (remix)
本名Michiel Thomassen。オランダ人のDJ/Producer40歳。2009年から活躍。2014年には英国のシングルチャートに「Outlines」で8位。ジャンルはDeep houseelectro house




2019年11月5日火曜日

映画『マリリン 7日間の恋/My Week with Marilyn』(2011):スターに恋したかわいい男の子







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My Week with Marilyn2011年)/英・米/カラー
99分/監督:Simon Curtis
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ちょっと前に見終わった米国・FXのドラマFosse/Verdonが大変素晴らしく、特にBob Fosse の奥さんGwen Verdonを演じたミシェル・ウィリアムス/Michelle Williamsさんはエミー賞を取ったり…などなどやっぱり世間も素晴らしいと思ったらしい…早くドラマの感想をかかなければと思いながら、うまいことを書こうと思うものだからなかなか書き始められない。

特に興味を持ったのはミシェル・ウィリアムスさん。彼女について書きたいのだけれど、彼女はどうもつかみどころがない。売れている女優さんなのに、その演技からは彼女のプライベートやお人柄がほとんど見えてこない。ちょっと不思議。女優さんとしてうまいのはよくわかる。しかし彼女ってどんな人? というわけでFosse/Verdonの感想を書く前にちょっとミシェルさんのことを知りたくなった。そこでNetflixにあった『マリリン 7日間の恋/My Week with Marilynを見てみた。以前から見ようと思っていたから丁度いい機会。


この映画で、ミシェルさんがマリリンちゃんに造形的に似ているかどうかは、あまり重要ではない。あまり似ていないのだろうと思う。マリリンちゃんはもっと左右の目が離れていて顔の真ん中が空いているのに比べて、ミシェルさんは左右の目が詰まっている。お二人とも女性的な可愛いお顔なのだけれど質が違う。ミシェルさんはちょっとキツイお顔。しかし重要なのはそこではない。

この映画のミシェルさんは、最高レベルの物真似と演技の技でマリリンちゃんを演じている。この女優さんはこのマリリンちゃんを演じる為にどれだけのマリリンちゃんの映像を研究したのだろうかと思う。うまいですよ。本当にうまい。技術がうまい。流石やわ。やっぱりすごいねミシェルさん。


一般にマリリン・モンローの印象は
(雑ですけど)こういう感じ。
曲がった眉毛に半開きの目と口。眠そうな表情がセクシーだと言われる。マリリンさん御本人もこのセクシーな表情の効果をよーくわかっていたらしく、googleの画像検索で「Marilyn Monroe」とタイプすれば、出てくるのはこういう表情の写真ばかり。御本人がカメラを向けられるたびにこういう顔でポーズしていたのだろうと思います。
 
しかしながら、マリリンちゃんのファンの方ならおわかりだろう…彼女が実際に映画で見せる表情はこちらのほうがずーっと多い。
私が彼女の映画から受ける彼女の印象はこちらの方。綺麗な輪郭に丸くすぼめた唇。曲がった眉毛でちょっと困ったような表情。しかし目はいつもキラキラ笑っている。時々目をまんまるにするびっくり顔も可愛い。映画で動くマリリンちゃんはセクシーというよりも、とにかく可愛いカワイイかわいい…。砂糖菓子のように本当に可愛い。おでこが出ていてちょっとキューピーちゃんに似ている。攻撃的な肉食系のセクシーさはなくて、とにかくひょうきんでちょっとおバカでいつもけらけら笑っているかわいい女の子という感じ。(私は彼女の全ての映画を見ていないから間違っているかもしれないけれど)
 
おそらく御本人のお人柄もそっちのほうだったのではないかと思う。お人柄に攻撃的なところなど全然なくて、いつも不安で落ち込みやすく自信がなくて傷つきやすい優しい女の子…そんな印象。
 
 
そんなイメージのマリリンちゃんを、この映画のミシェルさんは大変うまく演じているんですよ。本当にうまいと思う。その演技力に特に驚く理由は…私ミシェルさん御本人はかなりキツイタイプのお方ではないかと思うから。インタビューの動画を見る限り、ミシェルさんはご自分をしっかり持った非常に頭のいい方…という感じがする。まさにマリリンちゃんとは正反対。
 
役を技術的に作っているのだろうと思います。うまい。しかしたぶんご本人から滲み出てくるものは違う。その違いがちょっと見える…。でもうまい。なんの問題もない。大変うまい。これは女優さんの力技。それが面白いなと思った。
 
時々不安そうに上を見る青い目、白い肌は、あ~…マリリンちゃんがいるようだ。すごいと思います。全然似てないはずなのに似ている。
 
 
 
…とミシェル・ウィリアムさんのことばかり書きましたが、この映画の主人公は、マリリンちゃんに恋をするコリン・クラーク/Colin Clarkさんです。これは彼の映画。マリリンちゃんの映画だと思って見たら、
彼女に憧れる男の子の話だった。見所は彼のほうです。
 
確かにミシェルさんはうまい。しかしこの映画のマリリンちゃんは、コリン君があこがれて恋して本気で好きになってしまう…ハリウッドのスーパースター/偶像。この映画ならマリリンちゃんはイメージだけでもOK。彼女の人となりを掘り下げる映画ではなかったのですね。
 
ミシェルさんはとてもうまいけれど、必ずしも似ている必要もないのかもしれぬ。映画の主題はコリン君の心模様だから。

 
この話は、手の届かない雲の上にいると思っていた憧れのスターが、現実の人になってファンの前に現れた…というおとぎ話のようなもの。それはそれは幸せな映画なのです。この映画のマリリンちゃんは、コリン君のあこがれる完璧な女性。彼女が実際にはどんなにわがままで気難しく、回りに迷惑をかけていても、そんなことは彼にとってはどうでもいい。マリリンちゃんが好きで好きで一緒にいられて幸せ…。あの…あの…マリリンが僕の目の前にいて、僕に話しかけて、僕に…、僕に…わあああああ…というお話。なんと微笑ましい。かわいいです。
 
育ちのいいぼんぼんのウブなコリン君を演じたのは、エディ・レッドメイン/Eddie Redmayneさんという俳優さんだそうだ。本当に彼はかわいい。キラキラ光るマリリンちゃんを目の前にして、いつもまぶしそうな表情が何とも言えない。本当に心を奪われたようにぽーっとしてる。彼もうまい。
 
誰かに恋焦がれる若者の姿というのはいいものです。いや…若者だけじゃないですよね。誰かが誰かを好きになる様子というのは素敵なもの。恋する人の夢がかなう様子というのはいいものだ。見ていてこちらも幸せになれる。
 
コリン君は育ちのいいボンボンらしく、憧れの女性の前で、理性で色んなものを抑えて最後まで可愛らしい若い紳士を貫くんですよ。それがまたかわいい。若いっていいな。瑞々しくて素晴らしい。
 
 
最初はマリリンちゃんの話だと思ったのに、スターに恋する純粋な青年の話だった。すごくかわいかった。本当にいい映画。本当の話なんでしょうかね。おとぎ話のようだ。なんと幸せな。コリン君よかったねぇ…こちらも幸せになりました。
 
怒ってばかりいるローレンス・オリビエを演じるケネス・ブラナーさんもおかしい。彼が怒るたびに笑わされる。
 
全体にかわいい微笑ましい映画。かわいらしいエンタメFeel Good映画なのに、大物の役者さん達が多く出ていて、役者さん達はそれぞれかなりうまいのも見所。いい映画です。
 
 
 
 

2019年11月4日月曜日

映画『ピータールー マンチェスターの悲劇/Peterloo』(2018):史実な歴史の再現映画






 


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Peterloo2018年)/英/カラー
154分/監督:Mike Leigh
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米国でのリリース日は今年45日とあるので、おそらく私が劇場でこの映画を見たのも今年の春~初夏の頃なのだろうと思う。感想を書くのをすっかり忘れていた。
 
 
さて映画Peterlooは、1819年の英国マンチェスターで発生した民衆弾圧事件「ピータールーの虐殺/The Peterloo Massacreを描いた作品。事件から今年で200年になるそうだ。
 
 
歴史を題材にした映画やドラマを批評する観点は2

1.       史実を正確に再現しているか? 過去に実際に起こった事柄を(歴史上の)実在の人物達へのリスペクトを込めて真摯に描いているか?製作者の歴史に対する姿勢が問われる。歴史ファン、歴史好きの視点。
2.       (歴史であれフィクションであれ)どのような映画でも、まず映画作品として…脚本や俳優の演技、ストーリーの流れ、主題の見せ方…等等が優れたものであるのか?映画ファンの視点。

さてこの映画は、
 
1の観点から見れは
最高。

2の観点から見れば、
65点ぐらいかな…?どうかな?


もしあなたが歴史映画を歴史の忠実な再現として見るのなら間違いなくいい映画。無骨に、何の飾り気もなくただただ淡々と、200年前の英国に生きた普通の人々の日常と、その人々に起こった悲惨な事件描き出す。もしあなたが映画ファンであるよりもまず歴史ファンであるのなら、この映画は最高の贈り物。

有名な俳優はほとんど出ていない。英国の中堅の実力派の俳優の方々なのだろうと思う。俳優のスター性がないから全体の印象は地味。エンタメとしての華やかさは殆どない。しかし、だからいい。これはあくまでも史実の再現

この映画の主旨は、あくまでも「ピータールーの虐殺/The Peterloo Massacre」を再現するためのもの。事件に至るまでの経過も詳しく見せてくれる。しかしその史実を描くことが目的であるため映画としての華は少ない。男女が出会って恋に落ちるとか…そういう飾りは一切ない。「史実はこうであったのだろう」という観点から、出来るだけ史実に正確に事件に至るまでの人々の日々が淡々と描かれるのみ。


そんな風に市井の人々の日常を描いた後で、最後に圧巻の「ピータールーの虐殺/The Peterloo Massacre」の再現。この映画は、この最後のシーンを見せるためだけに2時間以上を費やしたのだろうと思わせられる。ものすごい迫力。

それまでの映画のトーンが静かだからこそ、事件の暴力性には少なからずショックを受ける。騎馬隊が馬を並べ壁をつくり迫ってくる様子は恐ろしい。カメラは民衆の中に入り、軍隊による民衆への攻撃を、民衆の側から撮る。銃の音が鳴り響き、剣は振り下ろされる。人々はなぎ倒され、幼い子供も投げ出される。その上を騎馬隊が容赦なく襲ってくる。その様子を民衆の目線で目撃する。

恐ろしい。圧巻です。ものすごい迫力。その弾圧のシーンの迫力で、息が浅くなり心臓が大きく鳴り始める。どうしよう、怖い、もうやめてくれ。怖い。怖い…。

歴史的な事件を経験する…と言った方がいい。そういう映画。監督と製作側が、弾圧の恐怖の再現をこの映画の目的としていたのなら、成功している。


これが…エンタメ映画も好きだが歴史の再現もそれ以上に好きな私のこの映画の感想。機会があったらまた見たい。歴史が好きだから、歴史の再現を見たいと思うから…200年前の人々の生活を覗き、彼らに起こった悲劇を目撃し、経験させてもらえるのを有り難いと思うから…この映画はいい映画だと思う。大きなスクリーンで見て本当によかった。

しかしながら、あなたがもし歴史に興味がないのであれば退屈な映画だろうと思う。事件に至るまでの2時間は、歴史の再現を楽しむ目的がなければ地味過ぎる。顔の知られた俳優もいないのだから退屈だろう。


歴史好き/歴史オタクにはたまらない映画。タイムマシンで200年前のマンチェスターに降り立って、人々の声を聞き、会話をし、その時代の空気を感じて、彼等と共に過ごす時間を楽しめるのなら、この映画は本当に最高。しかし、映画としてそれなりにワクワクドキドキさせられて、誰かの恋話も盛り込んで、ああ…彼は彼女に会えないまま死んでしまうのねぇ…かなしーシクシク…というようなものを望むのなら、そんなものは一切ない。それはそれはもうとんでもなく退屈…見始めて30分で熟睡できるような映画だろうと思う。

両方喜ばせるのは難しいですね。


2019年11月3日日曜日

お猫様H:順番に撮る



動かない猫さんを回って順番に撮ってみました。
これで3Dができるかな。あ…頭が動きましたね。