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2020年10月9日金曜日

2020年米大統領選ウォッチ-その2: ペンス副大統領vsハリス上院議員TV討論バトル



10月7日に行われた副大統領候補のテレビ討論



今回の討論の両候補は、


トランプ大統領側=マイク・ペンス副大統領/Mike Pence
(共和党/The Republican Party) 
 
バイデン候補側=カマラ・ハリス上院議員/Kamala Harris
(民主党/The Democratic Party) 



海亀の点数

ペンス副大統領3.5

ハリス候補6.5

 


今回はおとなの討論会でしたね。討論会らしい討論会。あまり喧嘩にもならずしかし熱も上がらず、前回の大統領の討論会に比べればずっと静か。おとなです。

特に言動や態度にそれぞれ落ち度があるわけでもなく。ペンス副大統領がだらだらだらだら…とあまり中身のないこと延々と喋り出したらやめられないとまらない…それが一番気になったぐらいか。あれはかなりイライラしました。というわけでそれぞれの印象は、


礼儀正しいが
型にはめられたロボット的 
中身のない原稿をだらだら読むばかりの
田舎紳士 
対 
わかりやすい話、
笑顔のコミュニケーター、 
エネルギーに溢れ、若い、
話を聞いてくれそうだ 
経験豊かな野心家、できる強力女性候補

この副大統領候補の討論会の目的は、大統領と大統領候補=主役のサポートをすること。まず主役を褒め称えた上で実務を語る。その実務の中身が重要。さてお二人は何を喋っていたのか?お二人はどういう方々なのか? 

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 ★カマラ・ハリス上院議員


一番の驚きはカマラ・ハリスさん。私は普段はほとんど政治家に興味がないので、今回彼女の喋る姿を見るのは初めてだったのですが(深夜のトークショーで見たけれどあまりよく見ていなかった)…結構驚いた。出来る女。おまけに表情も豊かで親しみやすい。同世代でお友達になれそうな感じ。なによりも彼女はものすごいハイキャリアの女性なのね。すごい肩書き。びっくりした。 


ハリスさんは話が上手い。ペンス副大統領がもごもごだらだら喋っているのに比べると、ハリスさんの言葉ははっきり。聞きやすい。特に彼女の表情が豊かなのは、いつも悲しそうなぺンスさんとは対照的。これがカリスマというものなのだろう。少なくとも印象からは…ハリスさんはエネルギーに溢れ、やる気満々、いろんな事をやってくれそうで期待できる

自己宣伝が何よりも上手いのにも注目。あまりに出来すぎているので「このお方はこれだけのことを本当にやってきたのだろうか?」と逆に疑いたくなってしまうほど。女性で有色人種で、彼女が史上初めて…ということがいくつかあってすごいお方。

話す内容もわかりやすい。ただし彼女も準備した原稿の内容を伝える事が第一で、司会者の質問には答えていないことが多い。それにできるだけ「ゆれる保守層」にアピールする戦略か、人工中絶/女性の権利についてなどはほとんど主張していない。それでもバイデン候補を立て、何よりも大切なのは、

彼女はこれからバイデン大統領に率いられた政府が何をやるつもりなのか、を言葉に出して伝えていた。ということ

彼女が話した順番にこれからの計画についての内容を抜き出してみよう

経済を立て直すには…富裕層に増税し、国民に投資する…インフラ。クリーン+再生エネルギー事業。技術革新。教育。温暖化対策。外交は友人と手を結び敵が誰かを知る。医療保険は補償範囲を拡大し、公的オプションまたは私的補償範囲を選択できるようにし、保険料を引き下げ、メディケアの適格性を60歳に下げる。警察と刑事司法制度の改革。法律に違反した警察官のために国家登録を要求する。刑事司法改革の問題については、私立刑務所と現金保釈を取り除く。マリファナを非犯罪化し、マリファナで有罪判決を受けた人々の記録を抹消する。法執行と地域社会の安全の維持、アメリカの刑事司法制度を改革することに取り組む。

これだけの事を言っている。素晴らしい。実現可能かどうかはともかく、彼女とバイデンが国を良くしようと思っていることは十分伝わってきた(少なくとも私は内容に同意する)。それがまずポジティブに聞こえた。


それ以外は、現トランプ政権への批判。そもそもトランプさんが口先ばかりの人で、おまけに現在の共和党も、改革より古臭い理念にしがみついている党なので、ハリスさんがトランプ政権を批判するのはあまり難しいことではなかっただろう。活き活きと批判してましたね。それがたぶん65%以上を占めた。かなり多い。

しかしハリスさんも、言いたいことが多すぎて、あまり司会者の質問を聞いているようには思えなかった。質問をほとんど避けてロクに答えず、言いたいことばかりを言っているようにも見えた(これは司会者の質問が悪いのもあるのだけれど・後述) しかしそれも彼女のカリスマで「まぁいいか」と許せてしまうのはたいしたもの。まぁ魅力的な女性ですよね。私は好きかも。しかしこのお方はこんなにすごいの?ほんとに?

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 ★ペンス副大統領


彼も困ってますよね。トランプ大統領が討論をほぼ出来ない人なので、彼が実務を話す役割になっているわけなのだけれど…。実際ペンスさんが今回喋ったことは、今までトランプ政権がやったことに尾ひれをつけてなんとか説明し、後は相手候補とそのチームをこき下ろすことばかり。そして彼がこの討論で直接訴えかけたのも、保守的な国民に対してだけ。政治的に中間にいる「まだ決めていない投票者」達をひきつけることにも、彼はそれほど興味がないのではないか?

もともと彼には原稿があって、その原稿に書いてある中身を何度も何度も繰り返しているようにも聞こえた。だから司会者の質問にもほとんど答えない。そして時間制限を守らない。何度も何度も制限時間を超えてだらだらだらだら喋り続ける。いらいらさせられる。


彼が準備してきた原稿の第一のお題はバイデン側のこき下ろし。バイデン側の温暖化対策について、グリーンニューディールで税金が上がると話題を変え、やつらはフラッキング(新しい天然ガスと石油の採掘法)を廃止するからと嘘の証言をする。増税をするから注意しろ。彼等は規制ばかりして私達から自由を奪う。バイデンは中国の味方。やつらは最高裁判所判事の数も変える。 

そしてもう一つの原稿のお題はトランプ政権の過去4年間の誇大広告。コロナ対策もうまくやった。減税減税減税。環境もよくなった。科学は化石燃料産業をそのままで改善する。雇用も増えた。アメリカはより安全。 しかしながらメディアのファクトチェックを見たら、彼は結構不正確な内容を言っている。


彼の一番の問題は、現政府のこれからの4年間のプランや計画や目標をほぼ何も言わなかった…ということだろう。具体的な希望を聞かせてもらえない。だから余計に彼の喋りはだらだらメリハリがなく聞こえてしまう。トランプ大統領との過去4年間をハリスさんに攻められて言い訳ばかりしている印象。負けている。彼が新しく投票者を増やしたようには思えなかった。ペンスさん御本人もあまり勝てると思っていないのではないか。もう諦めているのではないか?

ペンス副大統領がこの討論で唯一よかったのは、最後に子供の質問に対して「党派を超えても友達になれる」ときちんと答えていたこと。ハリス上院議員が、子供の質問を無視してバイデン候補の宣伝ばかりを言っていたのに比べて、ペンスさんは誠実だと思った。 

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この討論会の本当の意味とは

大統領/候補がお二人とも高齢で、そのためこの副大統領/候補のお二人がスライド式に大統領になるのではないか…というのは誰にでもわかること。


ペンスさんが大統領になったら、アメリカはギチギチの堅苦しい神様の国になってしまう。私はそれに全面的に賛成はそもそも出来ないと思う。 

私はハリスさんのことは全く知らなかったので期待していなかったのだけれど、意外にこのお方ならやれるのかもしれないと思ったのは自分でも驚き。本当にこのお方はこんなにすごいのか? 政治の経験も豊富、ご本人にカリスマがあって、きちんと人とコミュニケーションが出来る人。カマラさんのご両親はジャマイカ系の経済学者とインド系の科学者。ああご両親が共に学者なのね。なるほど頭がいい。まさか今のアメリカで女性の有色人種の大統領が可能だとは思わなかったけれど、彼女ならやれるのかもしれない。すごいな。

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最後に司会者の点数 

2点/10

時間は貴重。彼女はどうやらこの討論の質問を御本人で考えたらしいのだけれど…全体の時間が90分しかない中で、彼女の質問は 長すぎるだらだらしてる。実際に候補者に質問をするまでに、質問のバックグラウンドになる助走/説明を延々と30秒以上やっている。質問にいたるまでの助走があまりにも長いので、肝心の質問に集中できない。また同じ内容の質問をしているはずなの候補者それぞれに対して質問の言葉を変えているのも問題。質問の意図が非常にわかりづらい。 

要は、質問が冗長で、まとまりに欠け、意図が不明で、質問のやり方が下手なせいで本来興味深いはずの項目でさえ愚問に聞こえる。質問が驚くほど下手糞だから結果候補者からわかりやすい答えを引き出せていない候補者たちも質問がわかりづらければ、答えをはぐらかして質問に答えずに主張ばかりしてしまう。それも司会者のせい。非常にいらいらさせられた。

こういう討論会の質問はもっと短く、明快に、ぱっぱっぱっぱっとやってほしいわ。最後の子供の質問が一番よかった。

一応今回の質問の項目を書いておこう

① 新型コロナ 対策
② もし大統領が倒れたらどうする
③ 国民は大統領の健康について知るべきか?
④ 経済
⑤ 気候変動の問題
⑥ 中国
⑦ 最高裁 人工中絶
⑧ 人種問題
⑨ どちらかが負けて権力の移行をする時
○子供の質問「政府が右左で戦っているのに国民はどうやって仲良くなれるの?」