2013年6月26日水曜日

NHK大河ドラマ「八重の桜」第25回「白虎隊出陣」

 
 
これはいいドラマです。

今回は嵐の前の静けさがテーマでしょう。先週が二本松少年隊の悲しい話だったからか、今回はちょっと抑えた演出になってました。来週から数回にわたって本格的に会津戦争を描いていくらしいので、今回はストーリーが山場を迎える前の一息、戦乱の前のプロローグというところでしょう。

タイトルが「白虎隊出陣」なので内容はちょっと拍子抜けした感じもありますね。タイトルは大切。視聴率が落ちたそうですがNHKさんにはどうかそのようなことを気にすることなく、描く予定の話をこのままの調子で続けていただきたい。ここにこのドラマの大ファンがしっかりと応援しております。いい回は録画をして後でじっくりと見る視聴者も多いのではないか…という話もあるらしいです。今の時代はそうなのかもしれません。そういう私も録画して何度も見てます。

先週は二本松少年隊で大泣きしましたが、今回は戦を目前にした会津の人々の心構えを描いた回。そのため静かな場面が多いです。だからいい。歴史の大きな流れを追う大河ドラマというのは、回によって押したり引いたりのリズムがあったほうがいい。

単発のTVドラマとして見るには、ドンパチやったりワンワン泣いたりするほうが受けるのでしょうが、毎回それでは話として不自然。今回のような静かな回は、話の流れに変化をつけるために必要。将来このドラマが終わって、全体で一作品として評価する時に、今回のような静かな回はもっと生きてくるはずです。来週からは全面戦争ですからね。これからは息をつく暇もないもの。嵐の前の静けさはあったほうがいい。

それにしても、このドラマは本当に一つ一つ史実を追ってくれているので、歴史を学ぶ者には大変有難いです。地図で官軍の進路を見せながら、日一日と会津の人々の日々を追う。実際にあんな感じだったのかなと思う。「~が落城。~が落ちた。~が敗走。あそこを超えられては城はもうすぐ。橋は落ちたか…」と敵の迫り来る様子を追いながら、全編に渡ってそれぞれの人物達の戦への準備を描いてます。その場にいて見ているような気持ちになります。
 
相変わらず演出も淡々としてます。大昔の大河などでは、例えば徳造とお吉と山本家の別れの場面など、大げさな演技や大げさな演出になりかねなかったところも、このドラマでは淡々と静かな演出。悲しいから泣いて喚いて騒ぐのではなく、温かく思いやりに溢れた別れの場面はとてもよかった。あまりストーリーに絡まない二人だったのに、山本家と二人のいい関係がこの別れの場面で理解できました。

このドラマは、以前からこういう静かな場面こそが素晴らしい。ドラマの全体のトーンが非常に真面目な歴史ドラマなので、自然な抑えた感情の表現がかえってぐっとくるんです。淡々とした家族の日常の中に、人物達の緊張や不安、それぞれの思いやり、優しさ、強さ、信念…そんなものが自然に見えてきてすごくいい。先週も言いましたが、淡々としているからこそリアル。当時も本当にこんな感じだったのだろうと思う。

それではあらすじを。
 
●1968819
・山本家:権八さん(松重豊)が家族へ「戦が始まる。見苦しい真似はけっしてするな」。権八さんと尚之助さん(長谷川博己)は角場の片付け。権八さんは八重ちゃん(綾瀬はるか)の絵を懐にしまう。
・竹子さん(黒木メイサ)と女性達は照姫様を守る為、薙刀隊を結成。竹子さんが凛々しく美しい。八重ちゃんが不安そうにつぶやく「薙刀では薩長は倒せねえ」
・京都では覚馬(西島秀俊)が牢を出される。
 
●820
・会津城内では軍議。ほぼ負け戦の報告のみ。佐川官兵衛(中村獅童)と山川大蔵(玉山鉄二)が家老に。
 
●822日
山本家:権八さんと尚之助さんの出陣の儀式。そこで八重ちゃんが「私も連れて行ってくなんしょ」と願い出るがもちろん却下される。権八さん「三郎の仇はわしが討つ」。徳造(戸田昌宏)・お吉(山野海)と家族の別れのあいさつ。二人とも最後まで家族を手伝うことになる。夜、八重ちゃんは空になった角場で昔を思い出し、過去に別れを告げる。
山川家:健二郎(勝地涼)が出陣。母・艶(秋吉久美子)は「命を惜しんで遅れをとるな」と息子を励ます。
西郷家:頼母(西田敏行)と妻・千恵(宮崎美子)が無言で戦の準備。夫を送り出した千恵は一人泣く。
・猪苗代城落城。新撰組の斎藤(降谷建志)は会津へ、土方(村上淳)は仙台へ。
容保公(綾野剛)が白虎隊を率いて出陣。城内には精鋭部隊が残っていない。白虎隊は戸ノ口原へ。夜の雨は寒い。
 


●823
早朝、白虎隊が銃声に目をさます。
山本家:朝、八重ちゃんが三郎の軍服を着る。「三郎と一緒にお城に上がりやす…逆賊呼ばわりして会津を滅ぼしに来る者達を私は許さねえ。私は戦う。」


細かいことは書きませんが、それぞれの人物達が、迫り来る戦乱に向けて身の回りの整理と、心の準備をしています。一つ一つの場面が人物達のそれぞれのドラマ。緊迫した山本家のシーン。息子の仇をとると城に上がる権八さん。空になった角場で一礼をする八重ちゃん(涙)。無言で夫を送り出す頼母の妻千恵。山川家親子の別れ。容保公の出陣を見送る照姫(稲森いずみ)。登城の日、弟の軍服を着る八重ちゃん…。
 
それぞれが静かにいい場面です。まさに嵐の前の静けさ。それぞれが礼儀を尽くし、感謝の言葉を述べ、過去に別れを告げ、戦いに赴く者、送り出す者、それぞれの別れの場面が非常に美しいです。実はこういう静かな回こそが、このドラマの一番上手いところなんじゃないかとも思う。政治や戦のシーンだけでなく、こういった普通の人々の日常の描写があるからこそ、話に深みが出てくるんだと思う。本当に素晴らしいです。
 
綾瀬さんはいい女優さんですね。若いときの愛らしい様子から、結婚して一人の女性として成長。少年達には優しい姉であり、また頼りになる先生でもあり。気は優しくて力持ち…しっかりとした強い女性。奥に秘めた激しい気性が戦争を前にして覚醒。今回の最後、覚悟を決めた目が素晴らしかったです。
 
追記:公式サイト上の特報動画「戦いは頂点へ」で大泣き。
http://www9.nhk.or.jp/yaenosakura/special/mov/#mov10