能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ 【随時更新】 https://www.nhk.or.jp/shutoken/ne...

2023年1月11日水曜日

★「鎌倉殿の13人」好きだった人々2

北条政子 源頼朝 北条時政 りく 実衣 阿野全成 


北条政子 
最初に頼朝に会ったばかりの頃は元気いっぱいでユーモラスなかわいい女性。それなのに頼朝が亡くなった後、息子や娘たちが命を落とす頃から、彼女はあまり感情を表さなくなってしまった。大姫が病で命を落とし、頼家、一幡がいなくなり(彼女は彼らが弟・義時に討たれたことを知らなかった)、次男の実朝も孫の公暁に討たれる。そして公暁も討たれる。子や孫を亡くした母親として耐えられないほどの悲しみと苦しみだろうに、彼女は全てを静かに受け入れているように見えた。泣き叫ぶことも、憤ることも、病むこともなく、彼女は尼御台の座に座って全てを見守っていた。もしかしたら、あまりの悲しみに感情が麻痺してしまったのではないかと思うほど。心を閉じてしまったのかもしれませんね。三谷さんの描く新しい政子さんは静かな女性。静かにしていてもものすごいカリスマなのに印象は穏やか。ちょっと不思議なキャラだった。


源頼朝 
前半の主役。女好きで(たぶん)人たらし。ひょうきんでユーモアに溢れているのに、権力の階段を上りつめたとたんに人間不信になって全方向を警戒し始める。そして自分に一番近い存在の弟二人を殺害。ひょうきんさとユーモア、威厳とカリスマ、しかし心は空虚で人を信じられずにいる。自ら弟・義経を拒絶し殺害しておきながら、討ち取った後には首桶を抱えて泣きくずれる。一人の中に様々な相反する感情が存在する複雑な人物。しかし大泉さんの多面的な演技でその全てが信じられた。


北条時政 
陽気な下町のお父ちゃん。喧嘩が強い。短気。表裏のないわかりやすい人。実は子煩悩の家族思いの優しいお父さん。憎めない人。しかし途中から美人妻のりくさんの言いなりになって周りの御家人たちを攻撃し始め、それが北条家の進む方向を決めた。後に息子・義時が苦しむのも元はと言えば時政とりくの野心のせい。最後はのんびりとリタイアできてよかったですね。お父さんキャラは好きでした。


りく 
宮沢りえさんの力技。魅力的な悪女。生々しく野心に溢れる悪い女なのに憎めない。りくさんは悪くなればなるほど艶々イキイキと光輝く。色香で夫を操り…出会う全ての男を惑わせ自分の思い通りに操ろうとする。悪い女なのに見ていると楽しくなってくる。そんなりくさんが好きでした。宮沢さんの華がキラキラ艶々して輝いていて楽しかった。うまい女優さん。


実衣 
実衣さんはムーミンのミイだそうだ。最初の頃は何か情報を仕入れるとそれを人に言わずにはいられない。「黙っていろ」と言われたら必ず誰かに話して物事を大きくする。コミカルなキャラクターだった。夫・阿野全成の前では小さな女の子のよう。かわいかった。ところが全成が討たれる。その泣きの演技の力技に思わずもらい泣き。あの場面は「鎌倉殿」全体の中でも記憶に残る名演技だと思う。その後は仏を信じられないと出家せず、実朝を育てたことから政治にも野心を持ち始める。次第にエゴと政子への嫉妬が顔を出す。徐々に性格が変わっていく様子が見事。
 

阿野全成 
ちょっといいかげんで頼りにならないが、とことん優しい人。実衣さんには優しい旦那様。優しい表情に優しい声。こういう人と結婚したらきっと幸せ。人が良すぎて頼まれればNOを言えず、それが自らの命を縮める理由となった。彼が討たれて悲しかった。



Fujii Kaze – Matsuri (2022)



年の初めは明るくいこう




Fujii Kaze - "Matsuri" Live at Panasonic Stadium Suita
まずはライブが良し バンドがうまい
そしてスタジオ ver.
Album: LOVE ALL SERVE ALL
Released: March 23, 2022
A UNIVERSAL SIGMA / HEHN RECORDS release; ℗ 2022 UNIVERSAL MUSIC LLC



実は2日前の9日に藤井さんの「Shinunoga E-Wa」はここに取り上げた。あの曲がいかに素晴らしいのか(←特にメロディ)と1日かけて文章を書いた。音楽的にすごくいい曲なのですよ。そしてその曲が、海外でウケていること、そしてその分析をして「あの曲が海外でウケたのはYouTubeに先に上げられたライブビデオが良かったからではないか(ピアノ最高、サビの転調最高)」などとも書いた。藤井さんは才能に溢れていて、これからどんどん外に向かっていくお方でこれから楽しみだと書いていた。絶賛していた。

その文章をあげてから数時間後、なんだか違和感を感じ始めた。…ちょっと待て。あのリピートされるサビの歌詞。あれはいかん。あれはやっぱり年の始めに繰り返す言葉じゃないだろうと思い始める。私は普段音楽を聴くときは、あまり歌詞を聴かずコード進行やメロディから入るのですけど、人によっては歌詞から曲に入る人もいるだろう…などなどと考えていたら少し苦しくなってきた。というわけでその文を一旦削除しました。

…それからどうしようかと考えていた。藤井さんは好きだし、期待しているし、その事も書きたいし、ちょこちょこ動画サイトで曲もチェックしているし、…いや~「Shinunoga E-Wa」は音楽的には今でもすごく好きなのですけどね(特にあのライブ ver. 最高)。どうしょうかな…と思ってた。

そうしたら今朝、キチンに立っていたらこの「まつり」を無意識に口ずさんで踊っているのに気付いた。…あ、そうだ。この曲があるじゃん。これを取り上げよう。どれどれ歌詞は何を歌っているのかな?おぉ前向きじゃないですか。すごくポジティブな曲。よし、じゃぁこれにしよう。というわけで今この文章を書いている。


藤井さんはいいですよ。いい曲。この曲も「Shinunoga E-Wa」と同じで踊れる曲。思わず身体も揺れる。いい調子。いい気持ち。特にこのPre-Chorusというのかな…「花祭り 夏祭り…」のあたりが気持ちいい。しかしいい歌だ。

  あれもこれもが有り難し
  苦しむことは何もない
  肩落とすこた一切ない


よくあることですが、うまいバンドはスタジオ ver. よりもライブの方がいいですね。グルーブがいい。この曲のライブ ver. もスタジオ ver. よりずっといい。バンドかっこいいな。


そうだ色々と考えたので「Shinunoga E-Wa」の文で書いていたものを、ここにコピーしよう。

「全体に踊れるリズムなのがいい。横ノリでまったりいける。今の世界でウケる音のスタンダードは踊れる系。どんなリズムでもいいけれど最低ノレるリズムはあった方がいい。ダンスは今世界での音楽の共通言語になってます。この歌が受けたのも踊れるリズムだったからでしょう。

とにかく藤井さんはすごいわ。まだ25歳ですからね。本当に才能に溢れた若い人。別次元の若い才能。世界に行く人。このお方は単にポップスターやロックフェス参戦などと言うよりも、これだけピアノができる方なので(ポップス有りの)ジャズ・フェスとかでいけそう。

今世界の音楽って、EDM、ソフトで作曲するダンス系ばかりなのですよ。でもその中で、やっぱり楽器を捨てられない人々がいる。今楽器を弾くバンドには、本当に上手い人達がちらほらいる。例えば大学でクラシックを学んでた…チェロやバイオリンを弾いてた人たちが、バンドを組んで品のいいポップスをやっていたりする。私は深くは調べていないのですけど、ここに以前取り上げたフランスのL'Impératrice とか、米ニューヨークのLake Street Diveはこなれていて上手い。それから売れてるポップスターのCharlie Puthさんも同じタイプかな。

藤井さんはこういう上手いミュージシャンのジャンルでいけるでしょう。日本のうまいバンドを引き連れて世界ツアーをやってほしい。あのピアノならいける。楽器ができるのは宝物。

面白いですね。昔は日本人の音楽で海外に受けるのって現代音楽系とかシンセ系とかバカテク系とかだったと思うのですが、今はポップス系でいけるのね。だんだんいい感じになってきてる。」


↑大絶賛。藤井さんを応援する。と言っても歌を聴いて鼻歌を歌うぐらいだけれど。この才能のある若者がどこまでいけるのか。楽しみです。

「Shinunoga E-Wa」の歌詞ですが自分で歌う時には「犬のがいいわ~」にしよう。私は「猫のがいいわ~」だな。   サムー





2023年1月10日火曜日

★「鎌倉殿の13人」好きだった人々1

北条義時 今どきの悪人の描き方


今回はとにかくドラマが濃いので、ただトップ10を並べるだけでは物足らない。もう少し踏み込んで書きたい。特に義時についてはいろいろと考えた。分析した。


北条義時/小栗旬

複雑なキャラでした。純粋な若者が恐ろしい独裁者に変わっていく。そして鎌倉に北条家の独裁国家を作る。このドラマはそれが主題。史実の北条義時は間違いなく傲慢な野心家で悪人…身内も仲間も殺しつくして権力を手に入れた人物。しかしそんな人物がドラマの主役になったらどうする? これが一番の難問。

最初の頃の義時はかわいかった。なんの違和感もなく見れた。小栗さんの演技も自然。小栗さんはうまいお方。純粋な若者だから応援したくなる愛される主役。…ところがこの人物が途中から変わり始める。


…ドラマが面白いからこそ真剣に見る。だから普段なら気にならないことも気になってくる。つまりはドラマにのめりこんでいるからこそ色々と考え始める。多少重箱の隅をつつくようだが、何度も考えたことなのでメモしておこうと思う。
 


ドラマの最後の頃の感想で私は何度も「義時が煮え切らない、いつまでも迷っている」と書いた。

この人物は、親しい友人を最悪の方法で殺しているのに、いちいち泣いたり悲しんだり苦しんだり反省して、殺した相手に向かって「ごめんね」と言っているように振舞う。しかし私はそれにリアリティがあるとは思えなかった。というのも、己の欲のために人を殺し続けるような人物はどこかで普通の常識や感情を切り捨てるだろうと思うから。人を何十人何百人と殺している人がいちいち罪悪感を感じていたら自分がメンタルをやられる。人は何度も罪を重ねれば、いつか「俺は間違っていない」「俺は正しい」と開き直る。いやむしろ目的に向かって前しか見ていないから、人を何人殺そうと自分が正義だと言い切るだろう。独裁者とはそのようなものではないか。


しかし義時は人を殺しながら毎回反省して苦しむ。彼はいつまでも「いい人」であろうとする。最後に悪行を反省しなくなった頃でも「泰時のために、北条家のために」と自分自身には野心がないかのように言い訳をしている。まるで人(視聴者)から「いい人」に見られたいと思っているかのように。本当は善人の義時…しかし権力のために人を殺し続ける義時…にリアリティはあるのかと私は首を捻り続けた。


それにしても今どきの大河ドラマは主人公を100%悪人には描けないのですよね。主人公がとことん悪人になれば視聴者がひく。視聴者が主人公にそっぽを向いたらドラマそのものの人気が落ちる。だから主人公を悪人に描くのは大変危険。

主人公はどんなに悪事を重ねても善人でなければならぬ。



この義時は難しい役だったのではないかと思います。義時はあくまでも主役。どんなに悪行を重ねても、どこかで必ず視聴者に愛され受け入れられなければならない。そんな人物を(おそらく御本人がいい人の)小栗さんが見事に演じられた。複雑な義時。大河ドラマを1年間背負って極悪人になり切れなかった北条義時。最後までかっこよかった義時。すごく見ごたえがあったし色々な意味で考えさせられ、惹きつけられました。


ドラマの最後、義時は罰を受けることで許されましたね。そこまでしなければ今どきの視聴者は彼を許さないのかもしれない。今どきのドラマは真の悪人を描くのが難しいのだろうと思う。三谷さんの脚本は特にそうかもしれません。時政も最後は善人でした。

似顔絵を何枚か描いているのですが、似顔絵でもお顔がどんどん変わっています。最初の頃の義時は無邪気で可愛かった。最後のパワハラおやじとは別人。小栗さん素晴らしかったです。



2023年1月8日日曜日

★「鎌倉殿の13人」を褒めつくす



恒例「好きだった人物達」のことを書く前に、まずドラマのことを書こうと思う。このドラマは本当に面白かった。記録されている史実(とされるもの)をひとつひとつ細かに拾い上げて大きな流れを描いた歴史ドラマ。傑作かもしれませんよ。近年でこんなに面白かった大河ドラマはない。素晴らしかった。皆様に感謝感謝でございます。


ドラマ+脚本

最後まで中だるみせず
面白かった。こんなに夢中になった大河ドラマは初めて。今まで見てきた近年の大河ドラマは、最初は面白くても途中から勢いがなくなるものが多かったように思うが(それが当たり前だと思っていた)、このドラマは最初から最後までみっちり面白かった。最終話まで勢いが失われなかったのは本当に凄いと思う。

歴史の学び
(私が鎌倉時代の歴史をよく知らないことから)このドラマは毎回鎌倉の歴史を新しく学ぶレッスンのようだった。そして事実はフィクションより奇なり。三谷さんの創作だろうと思った内容も、後で調べたら歴史の記録に残るものだったりする。そういう話ばかりで驚いた。史実/記録とフィクションがスムースに繋ぎ合わされて自然な物語になっている。本当にすごいと思う。毎回毎回唸りました。

登場人物が異様に多い
人物たちの似顔絵を描いていたら、回が進んでもいつまでも新しい人物達が登場し続ける。最初からドラマに出てくる人物達の似顔絵はできるだけ沢山描きたいと思っていたのだけれど、途中から「このドラマは普通ではないのだな」と覚悟を決めた。 今までの他の大河では、1話ごとに1人や2人の似顔絵を描いていたのだけれど、このドラマでは最低でも4人5人は描かなければ追いつけない(しかし描かなきゃ話がわからなくなる)。しかし一旦覚悟を決めたら、それらの登場人物たち…歴史のサイドストーリーの実在の人物たちを知ることがとても楽しくなった。例えば、初期には以仁王と源頼政が一瞬だけ出てくる。木曽義仲の回では今井兼平。木曽義高の側近・海野幸氏。そして義高を討った藤内光澄。奥州藤原氏では秀衡だけではなく息子の国衡、泰衡、頼衡まで描かれる。畠山重忠の息子・重保。三浦義村の弟の胤義。頼家の室・せつとつつじ(←フィクションだけど)。全成の息子の阿野時元。和田義盛の息子達三人…。いちいちWikipediaを開いてその人物を調べる。それぞれの人物にそれぞれの人生。ドラマがますます面白くなる。私が「鎌倉殿の13人」にとことんはまったのは、これら大勢のサイドキャラクター達の存在も大きいと思う。皆様お疲れさまでした。

ちなみにこの「鎌倉殿の13人」で描いた似顔絵+シーン絵は全部で228点(たぶん)似顔絵に描いた登場人物は全部で104人(たぶん)。そして228点も描いても(次も出るだろうと思っていたら出なかったなど)描いてない人も何人もいる。この数がいかに多いのか…比べてみれば、三谷さんの前回の大河「真田丸」で描いた絵は全部で86点。「麒麟がくる」が113点。 とにかく「鎌倉殿」は登場人物の数がすごかった。絵を描いていて毎回へとへとになった。面白かった。

死を描く
決しておだやかではない時代のドラマ。今回の三谷さんの歴史ドラマは、苦しみや荒々しさから逃げていない。死をしっかりと描いている。暗く厳しい場面がきちんと描かれている。ぎりぎりグロくならない絶妙な演出は見事。不快になることなく時代の厳しさと恐ろしさをしっかりと描く。何度も息を呑む場面があった。それらの死の場面で善児はドラマの影のスターになった。 上総広常、 阿野全成、 和田義盛、 源仲章、源実朝、公暁は死の場面をドラマの華として正面から描き、源義経、源義高、梶原景時、畠山重忠の死は首桶でその死をあらわす。そしてその後にそれぞれの人々の死が意味するところを描いているから、悲しく恐ろしく、苦しく哀れであり…、過去に実際に起こった歴史上の事実に心を揺さぶられてますますドラマにはまり込む。

人物描写に深み
三谷さんが死を正面から描く。そしてそんな風に「死が日常」の時代に生きる人物たちのそれぞれの人となりも細やかに描かれる。人物達一人一人にそれぞれの人生があるのだと気付かされる。…軽薄な問題児のように描かれた北条朝時は実は「周りから期待されないこと」に悩んでいた。義時の成功を密かに妬み、ことあるごとに義時を裏切ろうとする三浦義村。成功の階段を上った頼朝が人間不信に陥る様子。梶原景時の天才になれない苦悩。目的を達成して燃え尽き症候群になる源義経。「大人はわかってくれない」症候群の頼家。最後まで揺れ続ける義時。…それぞれの苦悩が描かれて人物たちがぐっと身近になる。だからますます面白くなる。


俳優さん達が素晴らしい
脚本がいい。台詞が素晴らしいから俳優さん達が輝く。最初から最後までドラマのペースが落ちない。だから初回から最終回まで俳優さんたちの芝居が輝いていた。このようなドラマはなかなかない。48回ほぼ全部の回でいい演技が見られる。経験豊かな俳優さん達も若い方々も皆いい。芝居がいい。上手い人、自然な演技の人、繊細な演技、豪快な演技、皆個性はそれぞれだが、その全てはストーリーを効果的に語るため。脚本でキャラクターの人となりが作られて、俳優さんのうまい芝居で人物像が出来上がる。いい脚本が俳優さん達のいい芝居を引き出している。

配役も素晴らしい
これ最高。配役が素晴らしかった。どの役もいい。主要人物からたった1回だけの出演の俳優さんまで全員が素晴らしい。脚本がいいから俳優さん達が輝く。配役に違和感のある人がいないのは不思議なほど。脚本がいいから全員が輝いていたのか、それとも配役がいいから台詞と芝居が輝くのか…どちらが先なのかがわからなくなるほど。俳優の皆さんが素晴らしかった。

演出が素晴らしい
俳優さん達を輝かせる演出もいい。それぞれの場面の画面の絵の構成が巧み。カメラのアングル、画面の中の人物の大きさ、俳優の顔に迫るカメラ、光の演出、全てしっかりと考えられて効果的に演出されていると思った。ほんの一瞬だけ映る場面にも全てに意味がある。俳優の顔に迫るカメラと引くカメラ。絵そのものがドラマを語る。何度も何度もうまいと思いながら画面を見入った。そして効果的な音の演出。 全体に奇を衒うことなく、演出が饒舌過ぎて邪魔になることもなく、全てがストーリーに自然に馴染んでおさまっている。演出は全て「脚本に描かれたストーリーを語るため」にあるのだとあらためて思わされた。素晴らしかった。


このドラマへの愛は語っても語っても語りつくせない。もうはまりましたよ。大好きだわ。素晴らしいと思ったことをここに集めましたが、たぶんもっとあると思います。三谷さんの脚本も、効果的な演出も、俳優さん達の巧みな演技も、様々なシーンの全てが素晴らしかったです。皆様に大きな拍手。拍手喝采。皆さまお疲れさまでした。

1年間最高に楽しみました。感謝しております。面白かったです!



2023年1月4日水曜日

お猫様H:冬の猫 2023



ここのところ猫さんが寝てばかりいる。寝てばかりいるからいい写真も撮れぬ。そろそろこの猫シリーズもできなくなるかもしれぬ。 
猫さんは去年の九月ごろに9歳になった。人の年齢で言えば52歳。今は9月から3か月が過ぎたので、人でいえば53歳ぐらいだろうか。今でも毎日ブラッシングを要求するし人と一緒にいたがるのは以前と変わらない。しかしずいぶん怠け者になったように感じる。定期健診では十分健康だそうだ。ただ中年になってだらだらしたいだけなのか。それは人間も同じですね。




2023年1月3日火曜日

ホリデイ・シーズン:クリスマスの憂鬱とお正月の儀式



明けましておめでとうございます。

もう1月3日。いつものように旦那Aがクリスマスホリデーで休んでいるので、海亀ものんびりしてます。


クリスマスの時期はブルーになる。今年は特にそう感じた。

西洋人にとってのクリスマスは家族が集まる日。うちの夫婦も、結婚したばかりの20数年前は義理の家族と一緒に過ごすことが多かった。当時私達はロンドンに住んでいて、米国東海岸に住む旦那Aの家族を訪ねたり迎えたりして共に時間を過ごしていた。クリスマスツリーの下には沢山のプレゼント。一緒に七面鳥や芽キャベツを食べて過ごした。同じ週にバレエの『くるみ割り人形』を皆で見に行ったり、25日になった深夜には近所の教会を訪ねたりもした。外は寒かったけれど、家の中には人が沢山いて和気あいあいと楽しかった。

それから20数年が過ぎて、そんなクリスマスもなくなってしまった。親戚の子供達は成長した。家族のメンバーも老いて移動が難しくなり、また近年いなくなった家族もいる。ましてやコロナが始まってからは健康でもお互い会うことができず。クリスマスを皆バラバラで過ごすことが当たり前になって数年が過ぎた。

ブルーになる一番の理由は私達に子供がいないことだ。時が流れて、私達が子供として両親を訪ねる時期はとうに終わってしまった。一方子供のいる旦那Aの弟は、2人の子供が成人し、今年は家にいて帰ってくる子供達を迎えたと言う。そう。そうなのだ。家族を持つ人達は、いつの間にか家族の伝統を次の世代に伝える役割に自然に移動している。彼らのそんな話を聞きながら、そういえばそんなクリスマスは私達にはないと気付く。これから何年経っても私達は二人だけ。「こんな風になっちゃったね」と二人でため息をつく。

それでも祝日は祝日。伝統は伝統。だから25日にはチキンをローストして、芽キャベツとマッシュポテトとスタッフィングを料理し、赤ワインを明けて二人で夜を過ごす。それでもなんとなく漂う寂しさ。ワインを飲みながらとりとめもなくだらだらと長時間話し続ける。

遠方の親戚とカードを送りあい、クリスマスの当日には電話で皆と話す。旦那Aと従兄弟はテキストで冗談を言い合い写真を送りあう。今年のクリスマスの日の米国は中西部から東海岸にかけて記録的な大雪。従兄弟2人が家も車も雪に埋もれた写真を送ってくれた。旦那Aはこちらからヤシの木の写真を送る。


友人との別れもあった。ハワイに来てから10年以上親しくしていた友人の夫婦が、私達が知らない間に米国の西海岸に引っ越してしまっていた(彼らとはコロナ禍で長い間連絡が取れずにいた)。最初彼らは「事業を拡大するために本土の都市にオフィスを構え、ハワイとその都市でそれぞれ半年ずつ過ごすつもりでいる」と言っていた。そしてハワイに持家を残したまま本土にも拠点を持った。ところがその直後に起こったコロナ禍。移動も難しくなり2つの拠点で仕事をするのは無理だと判断。たまたま西海岸に住む娘さんに今年赤ちゃんが生まれた。初孫だ「孫の近くに住みたい」。 ヨーロッパと米国東海岸出身の二人は30年以上暮らしたハワイを離れることに決めた。ハワイの持家を売り払い、本土の都市に家を買って移り住んだ。彼らは人生の次の段階に進んだのだ。もう2度と帰ってこない。そのことを私達はクリスマスの日の3日前に知った。ショックだった。

これほどブルーなクリスマスもなかった。もう会えない家族。もう2度と20年前のような家族団らんのクリスマスはない。親しい友人も去った…何度も招き招かれたディナー、共に見たショー、大勢が集まった恒例の年末のパーティー、一緒に山を歩いたハイキング…楽しかった日々を思い出して泣いた。


クリスマスから年末にブルーになりながらも、それでもやるべきことは沢山ある。年末年始の食料の買出しにスーパーへ。31日の午後はお節用の料理をして台所に立ち続ける。そして6時過ぎに年越しそば。かき揚げの天ぷらがおいしかった。夜の8時ぐらいから録画していた紅白歌合戦を長々と4時間かけて見る。旦那Aとうだうだ喋りながら見る。そして年が明けた。近所のストリートでは爆竹がバチバチバチバチと大きな音を立てている。
 

旦那Aに「重箱の空きに何か詰めてよ」と言ったら
前日のポテトと海苔あられが入れてあった笑

元旦はのんびりと起きて、早速なんちゃってお節の準備。半分以上は買ってきたものを小さなお重に詰めるだけ。それでもテーブルの上に料理を並べていくと、それらしい気分になってくる。今年はお店で屠蘇散も手に入った(嬉しい)。31日に作った焼豚もかなり上手くできた。それから煮物も意外においしくできた。田作りときんぴらも作った。お雑煮は鶏のお吸い物にカリカリに焼いた丸いお餅を入れる。溶けてふにゃふにゃになるのがいい。そんな風にお正月の食卓を、見かけだけでも整えてセットするとお正月らしい気分が出てくる。

なんとか新年が迎えられた。やっと新しい年が始まった。

新年の最初の食卓を整える。それでやっと、やっと明るい気分になってくる。お正月の食卓、それは前年を過去に送って後ろに流し、前を向いて新しい年を迎えてリフレッシュするための儀式。新年のスイッチを入れるための儀式。

旦那Aとお屠蘇を呑んで、お餅を食べて、大好きな黒豆と栗きんとんを食べれば、もうそれでOK。今年もOK。もう大丈夫。前を向いて今年も何とかなりそうだ。今年もそんな風に新年を迎えた。


これからこの先、きっとこのルーティンは変わらないだろうと思う。毎年クリスマス辺りでペシミスティックになって暗く沈みもんもんとして、31日の夜にお蕎麦を食べ紅白を見て、翌朝新年最初の食卓に着いたら、雪が解けるように気持ちが晴れてくる。


お正月の食事は気分をリセットするための大切な儀式。懐かしい味とテーブルの上の風景にたぶん私の魂は救われている。そんな伝統を教えてくれた両親に感謝。それに付き合ってくれる旦那Aにも感謝。奴はお屠蘇が大好き(Japan's version of mulled wineだと言う)。お雑煮も黒豆も田作りもきんとんもきんぴらも全部おいしいおいしいと食べる。東海岸生まれの青い目の人がよく田作りなんて食べられるものだと思う。たぶん前世は日本人だろう。

そんな風に正月三が日の朝は純和風。しかし二人とも飽きっぽいので夜は必ず他の物を食べる。元旦はシンプルな水菜と生ハム+ガーリックオイルのパスタ、2日はナス入りキーマカレーを食べた。3日の今日も昨日のキーマカレーとサラダ。

さて明日からトーストにオムレツの朝食の日常に戻る。


2022年12月29日木曜日

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第48回「報いの時」12月18日放送



とうとう「鎌倉殿の13人」が終わってしまった。

ドラマは北条義時の死で終了。彼の死を見守る政子のすすり泣きと暗転でドラマは終わる。


エンディングの感想を書こう。
これは…なかなか考えがまとまらなかった。いいエンディングのような、物足りないような…。この最終回を今まで3回見たが、1回目は「あれ、これで終わり?」と正直思った。

私が予想していたのは、今までの鎌倉の歴史を振り返りながら泰時の時代の未来を想像できる余韻を残すような終わり方。義時の死後、この人はこうなって、これはこうなって…というようなものが描かれるのかと思っていた。それを期待していた。

(義時の死でドラマが終わってしまったことで)1年間続いたドラマの締めとしては少しテーマが小さくなったとも感じた。このドラマは源頼朝が立ったことで起こった鎌倉幕府が、長い時間をかけて京の朝廷を押さえつけるほど強力な武家政権に成りあがる話。締めのエンディングとしてもそれらしいものを期待していた。だからこの唐突なエンディングに少しびっくりして最初はうまく飲み込めなかった。もちろん良い悪いではなくて、私の個人的な好き嫌い。…だって鎌倉は義時だけのものだけではなかろう。

1年続くドラマの最後のシーンを、このように政子と義時の二人だけのシーンにするのなら、ドラマの初めの頃の回で、例えば政子と義時の幼い頃…お姉ちゃんと弟が無邪気に遊ぶ様子なんかを描いていれば、幼かった二人がいかに遠い道のりを旅して来たか…と感慨に浸って泣いたかもしれぬ(クサいけれど年寄はそういうもので泣く)。最初からそういうテーマなら納得する。

(色々と文句を言ってますが)…というのもこの姉と弟は今までそんなに仲が良さそうには見えなかったのですよ。だから最後だけ姉と弟の話になって全体の締めとするのは多少唐突な感じもした。


巷では最終回が絶賛されている。ちょっと予想外だがスタイリッシュでかっこよく、なによりもインパクトがある。どうしようか、どう受け取ろうかと考えさせられる。見て心地よく納得するというよりも、びっくりしてうまく考えがまとまらない…そんな予想を裏切るエンディングはたぶんいいことなのなのだろうとも思う。


最後の締め方には文句を言っていますが、このシーンの小栗旬さんと小池栄子さんは大変素晴らしかった。ショッキングな終わり方も良い演技があってこそ。頼家の名前を口にする政子さんの表情が凍りつく。あ…そうか、政子さんて頼家の最後を知らなかったんだっけ?…とまたびっくりする。そうかそうなるのか…とドキドキしながら二人を見守った。

最後の義時と政子の様子は、政子と頼朝の最後の場面と同じですね。倒れた頼朝と政子、倒れた義時と政子の様子が対になる。前半の頼朝の時代が終わり、これで義時の時代も終わったということだろう。

しかし政子さんの人生も辛いな。彼女の人生は本当に辛い。あまりにも辛いことが起こり過ぎる。


それにしても今まで、他の有力御家人達…並みいる強面の武将達を粛清し続けて最高の権力を手に入れた男が、最後は二人の女性に殺されてしまうという。う~ん…考えさせられますね。女性は怖いのか。


『吾妻鏡』をはじめとする過去の記録では、義時は病死/自然死とされているそうだ。しかし妻の伊賀の方が毒殺したという説もあるらしい。


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承久の乱
承久3年(1221年)

5月19日 京から義時追悼の令が出ている。軍議により鎌倉の出撃が決まる。
しかし御家人たちは皆戦いたくない。
北条泰時(坂口健太郎)が総大将になって出発。義時(小栗旬)は鎌倉に残る。
三浦義村(山本耕史)と長沼宗政(清水伸)も参戦するが、どちらにつこうかと周りの様子を伺っている。

5月22日 泰時が率いる鎌倉軍が出発。
泰時の軍には各地で御家人達が加わり19万人に膨れ上がる。
まず木曽川で官軍を打ち破り京へ進軍。
6月13日 宇治川を筏で渡ってまた進軍。

働き者 平盛綱(きづき) キューン💕としました 助かってよかった

焦る京方。藤原秀康(星智也)、三浦胤義(岸田タツヤ)が御所に駆けつけるが、後鳥羽上皇は門を固く閉じて彼らを追い返してしまう。

6月15日 後鳥羽上皇(尾上松也)は義時の追討の院宣を取り消し、藤原秀康、三浦胤義らの逮捕を命じる院宣を下す。後鳥羽上皇に見捨てられた三浦胤義は東寺に立て篭もって抵抗し、兄の三浦義村の軍勢に決戦を挑んで奮戦し自害した。藤原秀康は逃亡し、10月に河内国において幕府軍の捕虜となった。

乱後、北条時房(瀬戸康史)が京御所に入る。泰時と共に京の六波羅に滞在。朝廷の監視や西国武士の統率を行う。

承久の乱後、朝廷は幕府に完全に従属した。幕府は朝廷を監視して皇位継承も管理するようになり、朝廷は幕府をはばかって細大漏らさず幕府に伺いを立てるようになる。承久の乱には鎌倉と京都の二元政治を終わらせて武家政権を確立する意義があった。

7月13日の期限で、後鳥羽上皇は出家して隠岐島へ送られることになる(7月9日)。罪人の扱いであった。

共に隠岐へ 文覚と後鳥羽上皇

時房と泰時は京でりく(宮沢りえ)に会った。やっぱり宮沢りえさんは綺麗。この場面も短いのに輝いている。艶々のいい女。いきいきとした表情。それに艶のある声がいい。時政の死を聞いて、一瞬顔を曇らせる。やっぱりうまい。


その後の鎌倉

北条政子(小池栄子)がトウ(山本千尋)を呼び、孤児たちに武芸を教えるように指示。トウは子供たちのお姉さんになった。よかったですね。

鎌倉御所の会議
義時 泰時 時房 大江広元(栗原英雄)
京では廃位された先帝(後鳥羽上皇の孫)を復権させようという動きがある。それを許せば上皇も復権するだろう。
義時と大江は災いの芽を摘む考え。
泰時はそれに反対する。武家の決まり事を作るという。

雨の中に座る運慶 強い

運慶(相島一之) 義時
義時の命で作成した像は歪な面相。
運慶さん勇気がありますね。権力者に屈しない芸術家。かっこいいです。雨の中縛られて庭に座らされて、画面上で小さく見えていても運慶は強い。とても印象に残った場面。

義時が怒る…倒れる。

病床の義時。医者は「アサの毒」が原因だと言う。

薬だと言って義時に毒を盛っていたのは妻ののえ(菊地凛子)だった。のえを問い詰める義時。あっさりと白状するのえ「私のことを少しも見ていなかったから。だからこんなのことになった」と言う。毒の手配をしたのは三浦義村だと告げてのえは去る。のえさんは寂しかったのか。

三浦義村 義時
三浦を問い詰める義時。義時が「俺が死んで執権になろうとしたか?」と問えば「そんなところだ」と答える。
「お前にできたことが俺にできないわけがない。俺は全てにおいてお前に勝ってるんだ。子供のころから。頭もキレる。見栄えもいい。剣の腕前も俺の方が上だ。お前は何をやっても不器用だ。のろまで。そんなお前が今じゃ天下の執権。俺はと言えば、結局一介の御家人に過ぎぬ。世の中不公平だ。いつかお前を超えてやる…」
←なるほどな~義村さんの度重なる北条裏切りの理由はそこなんだ。確かに。義時は煮え切らなく見えますもんね。よくわかるわ。こういう義村のような人、沢山いると思います。リアル。
結局三浦義村は北条義時と和解「これから先も北条は三浦が支える」

泰時
泰時「もはや朝廷を頼る世ではない。これから武士を中心とした政の形を長く続くようにする。その中心にいるのが北条」「御家人たちの中には学のない者もいる。彼らにも読めるような優しい言葉で武士が守るべき定めを書き記した」
やがて泰時は江戸時代まで影響を及ぼす方を制定する。御成敗式目を制定(貞永元年(1232年)8月)。これにより泰時が政治を行う間は鎌倉で御家人の粛清は一切起こらない。


元仁元年(1224年)6月13日

政子 義時
「私たちは頼朝様から鎌倉を受け継ぎ次へ繋いだ」
頼朝様が亡くなってから何人が死んでいったか。
梶原景時 全成 比企能員 仁田忠常 源頼家 畠山重忠 平賀朝雅 
和田義盛 源仲章 源実朝 公暁 阿野時元
これだけで13人!…鎌倉の13人って、これのことだったのですか?

おやすみ 義時

そして政子が、なぜその13人に頼家の名前が入っているのか問う。なんと政子さんは頼家の暗殺を知らなかったらしい。義時「頼家様は上皇様と手を結び鎌倉を攻め滅ぼすおつもりだった。私が善児に命じて討ち取りました」

義時「この世の怒りと呪いを全て抱えて私は地獄へ持っていく。太郎のためです。私の名が汚れる分だけ、北条泰時の名前が輝く」←やっぱりこれは私利私欲だ。

苦しみ始める義時。政子に薬をとってくれと頼むが、政子はそれを床へこぼす。
←この場面の政子さんは、義時を苦しみから解放しようとしてますね。もうあなたは休んでいいから、太郎がうまくやってくれるから…と義時の命を救わない…が、これは救済でしょう。もう苦しまなくていいよと言っている。それも愛。

義時を見送る政子。




本当に面白い大河だった。はまった。
毎回1エピソードを2回も3回も見て何度も楽しんだ。
毎回しっかり見た。
人物たちが皆素晴らしかった
また別に感想を書こうと思う。
皆さまお疲れさまでした。大きな拍手。感涙。
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