2026年4月8日水曜日

DHT Musical★『ウエスト・サイド物語/West Side Story』





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West Side Story
Music by Leonard Bernstein
Lyrics by Stephen Sondheim
Book by Arthur Laurents
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ホノルルのコミュニティー・シアター Diamond Head Theater(DHT)でミュージカル『ウエスト・サイド物語/West Side Story』を見た。有名な作品です。私の世代では1961年版の映画が頭に浮かぶけれど、2021年にはスティーブン・スピルバーグが『ウエスト・サイド・ストーリー』のタイトルで再度映画化。これも評判だったそうです。

私は実はこの映画は両方とも見ていない。ワタクシは昔から映画好きで自称映画オタクなのに『West Side Story』を見ていなかったらそりゃ~モグリ(みせかけ)ですね。名作だから思い入れが大きすぎて有名作品なのに見ていない映画は結構多い。『オズの魔法使い』『ダンス・ウィズ・ウルブズ』『バック・トゥー・ザ・フューチャー』等々…『アラビアのロレンス』も挑戦したけれど途中で寝てしまった。また挑戦しなくちゃ。『サウンド・オブ・ミュージック』は見ていないと言ったら旦那Aに呆れられてやっと見た…あまりよくなかった笑笑笑笑。

そんなわけで1961年版の有名な映画を見ていないので少し下調べ。YouTubeを見に行ったら映画から有名な歌だけを集めたものが出てきたので拝見。そして驚いた。多くの歌を知っている…

「Maria」
「Tonight」
「America」
「Somewhere」
「I Feel Pretty」

…等々。おそらく過去にTVの「この名作ミュージカル映画を見ろ」的な番組で歌だけは聴いたのだろうと思います。映画を見ていないのに歌えるくらい歌を知ってるってすごいよね。だから名作ミュージカルなのだろうな。

歌だけを聴いてワクワク劇場に向かう。

それにしても近年のDiamond Head Theater(DHT)はずいぶんアンビシャス(意欲的/野心的)な演目が多い。コミュニティー・シアターの小さめの劇場なのに、コロナ禍に劇場を新しく建ててから随分大きな作品に挑戦していると思う。前の劇場は小さかったのですよ…たしか1950年代に建てられた映画館を劇場に改装したものだったと思う。今は立派なシアター…前面にオーケストラ・ピットまであってすごいな~と思う。


さて前置きが長くなった。今回も

素晴らしかったです


ありがとうありがとう


実は劇場に出かける前は毎回ちょっとめんどくさいな~などと思うのに、演目が始まるとやっぱり嬉しい。ひとつも聞き逃さないように必死に集中して見る。それでも言葉がわかるのは70%ぐらいかな~…。それでも楽しい。

今回のステージの目玉は、主役トニーを演じるDamian Chambersさん。このお方はプロです。ブロードウェイのステージに立ち、またナショナル・ツアーでも全米を回ったそう。現在は軍のU.S. Navy Pacific Fleet Bandに在籍していらっしゃるそう。

まず第一声から彼の「声」を聴いて「あれ、彼はなにもの?」と直ぐに思った。彼の「声」だけで彼がただモノではないことが直ぐわかる。

なんて滑らかな心地よい声!

舞台を何十と見ているとわかるようになることがある。人の歌声は…生まれ持ったものが大きいですね。声は音。音は骨格や筋肉、口内や鼻腔の大きさや構造から発生する音。歌声の心地よい人の出す音は、生まれ持ったギフトなのだと思います。

このDamian Chambersさんも本当に心地いい声。滑らかで温かく、ほんの少し空気の入ったようなふんわりとした音。気持ちのいい音。テクニックが上手いのは当たり前。しかし彼のような声は、ただ訓練だけで出来るようになるものではないと思います。

彼の声は最初からちょっとレベルが違った。他の演者からぽーんと突き抜けていい声。ただただ感嘆。


DHTは地方のコミュニティー・シアターだからこそ、このような「違い」がわかるのも面白いです。ステージ上の演者の方々は、素人とはいえ皆学校で音楽を学んだり、現役の学生だったり、バレエを習っている若い人々だったり、また大学で音楽や演劇を教えている先生だったりするのだけれど(皆それなりに経験はある人々)、時々ブロードウェイから全米レベルの演者がやってくると、そのレベルの高さに驚かされたりするのです。それもまた楽しい。

だってね、ロンドンのウェスト・エンドで全英レベルの人々も見たけれど、ステージ上の全員が超人レベルだとそれに慣れてしまって有難みが無くなるのよ笑。全てに圧倒されて歌声も耳の右から入って左から抜けてしまう。ただただステージに圧倒された体験だけで「何を見たっけ?」などと、あまり記憶に残らなかったりもするのですよ。そして大都市はチケットが高い!だからそれほど頻繁には見に行けない。

それから大都市のシアターは有名人が出ることも多くてそれが宣伝になっていたりもする。昔コール・ポーターの歌で綴るミュージカルを見たけれど有名人枠に元ミック・ジャガーの奥さんジェリー・ホールが主役で出ていて…でも彼女は歌のプロではないのですよね。それでも有名人が出ているからチケットは高い!

え…文句を言ってる?いや違うのです…地方のコミュニティー・シアターにはそれなりの「手作り舞台の楽しさ」があるということが言いたい。歌うこと、踊ることが大好きな演者の皆さんが舞台へのピュアな愛と情熱で、短い期間のショーをやっているのを見るは本当に楽しいものです。観光としてなら本場のニューヨークやロンドンに行った方がいいと思うけれど、地方には地方の舞台の良さもあるのです。演劇の楽しさの本質が見えるかもしれません。


Highlights of "West Side Story" on Broadway (2009)
ニューヨーク・ブロードウェイの舞台


楽しかったです。イノセントなマリア。お顔がいつも微笑んでいるようなかわいい女の子。そして兄のベルナルドはパンチの効いたワルな男の子。いかにもエッジのある表情がリアル。そして彼の恋人のアニータを演じたセクシーな女の子はダンスにも演技にもパンチが効いていて目が釘付け。彼女は以前もDHTの『グリース/Grease (musical)』でダニーのダンス・パートナーを演じていた…覚えてます。小柄な彼女はステージ映えするかっこいい女の子。 脇を固めるダンサー達も絶世の美男美女というよりも普通のルックスの女の子や男の子達なのだけれど、それがまたストリート的でリアルなのもいい。

下調べで映画の場面を少し見て…この作品は振りつけ/Choreography が全てだと思った(振りでストーリーを描く場面も多い)のだけれど、このステージでも印象的な見覚えのある振りが再現されていて楽しかった。

男性の攻撃的なダンスはずいぶんマイケル・ジャクソンに影響を与えていると思った。台詞でも「Beat it!」と言ったり、ダンスの最後に「パウッ!」などと言うのもそのまま。シングル「Beat It」のMVでギャングが争う設定も似ていますね…赤と黒の衣装もイメージが近い。今回初めて知った。

このミュージカルは登場人物の数が多く大きな作品だと思う。全体の尺は2時間半。途中で15分の休憩が入るのだけれど、1幕だけでもかなり長いと感じた。実は少し長過ぎて最後は見ているこちらのエネルギーが切れそうになるほど。

ストーリーはシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』が元。場所はニューヨークのウェスト・サイド。敵対する2つのグループは…(ポーランド系やアイルランド系イタリア系などカトリックの設定らしい)白人系「ジェッツ」と、新参のプエルトリコ系「シャークス」。ジェッツのトニーと、シャークスのベルナルドの妹マリアが恋に落ちる。

白人系のジェッツは白とグレーにからし色の衣装、プエルトリコ系のシャークスの衣装は赤と黒の衣装で目で見てもわかりやすい演出。

このミュージカルは元々は舞台の作品。舞台公演は1957年のブロードウェイ公演が最初。1961年の映画は舞台の後に制作されたもの。なかなか見れる機会の少ない舞台が見れてよかったです。

これをきっかけに1961年版の映画、それからスピルバーグの2021年版の映画も見てみようと思った。