能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2012年9月24日月曜日

映画『スイミング・プール/Swimming Pool』:してやられました

 
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Swimming Pool2003年)/仏英/カラー
102分/監督;François Ozon
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週末にオンラインの映画サービスNetflixにて鑑賞。
 
★超ネタバレ注意:こういう映画は前情報が全く無いほうが楽しめると思う。昔の映画だけどオチがあるのでまだ映画を見ていない人は読まないで下さい

 
あはははは…これはやられましたね…やれやれ。さすがフランスはエロの国。
 
もうあの若い女優さんのおっぱいに圧倒されてしまって最後まで気付かなかった。最後まで分かんなかったよー。いや途中で「あれ?」とか「どうして?」などという場面もあったの。だけど、なんとなくおしゃれな雰囲気とエロな勢いに押されてしまって、冷静な判断が出来なくなっていたような感じ(苦笑)。
前情報全く無しで見たので、もっと真面目な中年女性の心理劇だとばかり思ってた。そう思って途中まで見ていたのでビックリした。人を食ったような話。でも楽しい。

 
殺人が起こったところから創作だろうと思っていたけれど、最後の最後で別荘での話はぜ~んぶぜ~んぶそうだったというオチ。な~んだ…おっぱいに惑わされていただけじゃないの…(苦笑)これはしたり。アガサ・クリスティか。イギリス人だしな。
こういうミステリーものをおっぱい映像で惑わせるとは新しい手法なのか…(と言っても10年前の映画だけど)上手いな。これは見破れない。頭いいな。参りました(笑)。
シャーロット・ランプリングさんは相変わらずステキです。いつもかっこいい。
オゾン監督が、おっぱいにほぉーと見とれる観客の間抜けな顔を想像しながら脚本を書いたような映画。上手い。おしゃれです。騙されましたね。大いに結構。大きな拍手。

 
追記:ネットで感想を読んでたら色んな解釈があるみたい。そういう映画なんでしょうか。上でちょっとあやふやな書き方をしたのではっきりさせましょう。私はあれはぜーんぶ作家の作り話だと思う。版元社長の娘の名前がジュリアというだけで別荘にも来ていない。もちろんジュリーも存在しない。作家の女性は別荘でひと夏をたった一人、著作「スイミング・プール」を書いて過ごしたんだと思った。色んな解釈があることでそれぞれに楽しめる映画なのかも。面白いですね。

 
 

アジア人はスーパースターになれるのか:PSY - GANGNAM STYLE


 
これを無視するわけにはいくまい。

ちょっと前のエントリー「日本人は(アジア人は)スーパースターになれるのか」で、さんざんアジア人はアメリカの白人社会には受け入れられないから難しいと書いたのだが、またまたきましたね。今回はなんとアジア国籍のアジア人。外国人です。韓国のPSYさん。ビルボード・チャートでなんと11位。これはすごい。とにかく今よく売れてるらしい。

動画サイトにも行って聴いてみた、見てみた。


PSY - GANGNAM STYLE (2012)
 
 


あ、これはノリがいいな。こういうのはほんとに何がウケるのか分からないですね。でもなんで人気なのかも分かる気がする。音楽が超キャッチー。それにPSYさんが普通のオヤジっぽいから面白い。漫画のキャラみたい。誰が見てもユーモラス。それにこのダンスだけでも売れそうだ。厩舎で彼が踊ってるらしいイラストも面白い。曲もビデオのノリもLMFAOに似てますね。ウケた層が同じなんでしょう。
韓国のK-POPが頑張っていると過去に何度も書いたのだけど、そんな頑張りがここにきて実を結んだという感じでしょうか。とにかく国を挙げて押せ押せでマーケティングをやっているらしい。その辺りの事を詳しく書いたレポートを見つけた。


以前の少女時代や2NE1もそうだと思うんだけど、とにかく彼らはターゲットを決めて狙って売り込んでるんですね。あらかじめ市場を調査してとにかく狙って努力をしてくる。以前からK-POPがいずれ米国にも上陸するだろうとは思っていたけど、まさかこういう方が大売れするとは思わなかった。面白いです。

 
外国語で売れるために曲がキャッチーなのはまず必須。その上でPSYさんのような面白キャラ枠というのは昔から存在するのかもしれません。大昔にオーストリアのFalcoさんという人がいました。

Falco - Rock Me Amadeus (1985)
(25秒から曲の開始)

PSYさんのPVをみてこの人を思い出した。1985年の曲。全部ドイツ語で歌ってアメリカを含む世界中で爆発的に売れたの。この人をカッコイイと思うかどうかは人によると思うけど、所謂ロックスター風ではないし、ちょっと妙なオジサン? でも面白いしとにかく売れたの。そういえばスペイン人の「恋のマカレナ」というのもあったな…。なんだかこのあたりの枠な気もする。
 



ただK-POPの方々がすごいなと思うのは、彼らは言葉を完全にマスターしてくるんですね。言葉の壁を極力排除してやってくる。日本に来たK-POPの方々もそう。PSYさんがいかに英語慣れ=西洋慣れしているのかは、上記のリンク先でも紹介されているこのビデオを見るとよく判ると思う。

Surprise! Britney Learns 'Gangnam Style' from Psy! 
  From The Ellen DeGeneres Show (人気の昼のトークショー)

アメリカ訛り、アメリカ人のノリで普通に喋ってます。司会者や出演者(ブリトニーですよ)の頬に挨拶のキスをするのも自然。先に進めようとする司会者を遮ってオーディエンスに自己紹介をするのもすごく自然。アメリカの人達に「言葉が出来る」というのを見せるのはすごく大切なんです。外国人だから…という括りに決して思わせないぐらい言葉を習得してやってくる。隙を決して見せない。それぐらい努力をしているんだろうと思う。そういうところがほんとにすごいと思う。あ、今ちょっと調べたらPSYさんはアメリカで大学に行ったらしいです。高学歴ですね。なるほど。

とにかくアジア人として快挙。たいしたもんです。アチラでウケるのを静かに待っているのではなく、積極的に掴みにいく姿勢は日本人にも必要なのかもしれません…。

 

追記:ひゃービルボードで現在2位だそうです。すごいなー。(927日)




2012年9月22日土曜日

Perfume;3人それぞれのダンス-JPN Tour DVDから

 
ちょっと前に『JPN Tour DVD』の感想で書いていたんだけど忘れてました。
 
ライブ全体で彼女達のダンスを時間をかけてみると、それぞれのダンスの感じが違うことも分かって面白い。
 
あ~ちゃんはとにかくよく跳ねるPerfume一番のFunky娘。筋肉を完全にコントロール出来てるんでしょう。「時の針」の人形ダンスは素晴らしい。あまりにきっちり決まってるんで、歌い始めて人間に戻ったときの違和感がすごい。あの首をぐるっと回してその直後に背中を一瞬反らせる動きがちょっと気持ち悪いぐらい上手い。見てて面白い。ダンスはリズムに乗ってしっかり跳ねてるんで体重も感じる。身体能力が高いんでしょう。身体の軸がしっかりしてる。ボールをぶつけて跳ね返ってくるようなパワーを感じる。かっこいい。
 
かしゆかさんは軽やかで可憐。あ~ちゃんと反対。体重も軽いんでしょうけど動きがすごく軽い。まさに「軽やか」という言葉がぴったり。若干リズムの取り方が早いのもそう見える理由でしょうか。体重を全く感じない動き。軽やか。華奢な身体が美しい脚に乗っかってる。とにかく綺麗なバランス。それに長い髪。やっぱりお人形みたい。同じダンスを踊ってるのに印象が違うのも面白いなと思う。彼女の軽やかさは独特だと思う。きっと30歳になっても40歳になってもずーっと可憐なんだろうな。
 
のっちさんは、誤解を恐れずに言うならどこかクネクネしてるような感じ。一見手足が長いのが大変なのかなと思うような印象なんだけど身体のバランスは一番華やか。光るような白い肌に長い手足。動きが柔かで女らしい印象。ノリノリの曲だとよく跳ねていてすごく華やか。ちょっとグラグラするような感じが実は一番セクシーだったりもする。脚が長いです。全身のバランスが一番大人。綺麗。
 
みんな綺麗ですね。ほんとに見ていて楽しい。それにしても、ハイヒールで長時間よく踊れるなと思う。ものすごい体力。ほんとにツアーは大変だろうなと思う。すごいです。あの黒いハイヒールの靴はいいな。形が繊細ですごく綺麗な靴。元々綺麗な彼女達の脚がもっと綺麗に見える靴。歩くだけでもすごく綺麗。




 

2012年9月20日木曜日

脚本について考える:『平清盛』と『薄桜記』


 
NHK大河ドラマ『平清盛』が相変わらず苦戦しているそうだ。たまたまなのだがNHK BSでの時代劇『薄桜記』にすっかりはまっている。面白いのだ。何が違うのだろうと脚本について考えてみることにした。

 
まず一番に思うのは『平清盛』に比べて『薄桜記』の人物達が圧倒的に魅力的であること。たった10回しか見ていないのに人物達が人として理解できる。堅物で真面目、律儀で友情に厚く男らしい丹下典膳。その典膳を一途に慕う健気な千春。言葉は荒くても非常に知的、昭和の頑固親父風吉良の殿様、熱い堀部安兵衛。控えめに典膳を慕うお三。計算高いがいざと言う時には力になってくれそうな白竿屋…etc. 話の本筋とは関係の無い小さな場面の積み重ねで、人物の描写に深みが出るということは『薄桜記』第9回の感想にも書いた。

一方『平清盛』。回数を重ねて既に36回も見ているのに、主役の清盛はもちろん、○盛○盛の家族、時子さんさえどういう人物なのか未だ正直よく分からない。俳優さん達は皆大変よく頑張っていると思う。それなのに未だそれぞれの人物像がはっきりと見えてこない。理解が出来ないから魅力的に見えない。当然話は進んでいる。だけど人となりの見えない人物達が、歴史上のぶつ切りにされた時の中で個々の場面だけを表面的に泳いで話が進んでいくような印象。このことは以前、同番組の感想にも書いた。

 
この二つのドラマを見て考えたのは、『平清盛』は『薄桜記』に比べて人物描写のための細かい場面の積み重ねが足りないんじゃないかということ。要は、事件の積み重ねはあっても、人物を知るための場面の積み重ねが少ないのではないか。もっと酷い事を言うのなら、この大河ドラマは脚本で人物を構築する事をせず、俳優の方々の魅力(顔がいいとか、可愛いとか、背が高いとか)と演技だけに頼って人物を作ろうとしていないか…。そうだとしたら、ドラマ作りとしてはとんでもないぞ…。

 


そんな事を考えていてあらためて思ったのは、もしかしたら近年のドラマや映画の脚本は漫画っぽくなってきているのではないかということ。一般的に漫画は限られたページ数で話を進めるため、一見無駄に見えるような場面は好まれない。話が間延びしないように事件に事件を重ねて話を紡ぐものが多いのではないかと思う。結果、そのような表現の方法では、話は劇的に回っていっても、細やかな人物像を構築することは難しいのではないか。もしそうだとしたら大変なことだ。

私達が普段から実生活で出会う人々を知っていくのは、その個人のふとした仕草だったり、色んな場面での細やかな表情、普段は見せない意外な一面だったりする。人を表現するのはそれぐらい繊細なものなのだろう。だからこそ人物の人となりを表現するための場面は、むしろ本筋とは関係ないもののほうがよかったりする。近年の脚本にはそのような一見無駄な場面が少なくなってきているのではないか。

古典的に丁寧な人物描写をする『薄桜記』の人物達を理解できて、漫画の筋のように事件を箇条書きで追い続ける『平清盛』の人物達につかみどころが無いと感じるのもそのような理由によるものではないか…。

 

私は古いタイプの人間なのだろうと思うが、映画やドラマは人物に惹かれて話に引き込まれる。人物描写が十分に出来ていなければ話にも興味が持てない。『平清盛』の問題は脚本のスタイル。近年余りにも世間に広がりつくしてしまった漫画スタイルの脚本のせいではないのか。もしかしたら若い世代の脚本家の方々は『薄桜記』のような丁寧な人物描写が出来なくなってきているのではないか。

おそらく漫画のように事件を重ねるスタイルの脚本は、単発のドラマや映画には向いている。しかし50回も回を重ねるような連続ドラマではかなり辛い。登場人物に惹かれ、自分の家族のように応援したくなってこそ毎週連続で見続けようと思うからだ。まず人に惹かれてこその連続ドラマ。『薄桜記』を見ているとづくづくそう思う。

日本では漫画は限りなくポピュラーな大衆文化だ。誰でも読む。絵と台詞で構築された漫画は、一見ドラマや映画の脚本と同じだと思われることも多いのだろう。しかし実は全く違うものかもしれないのだ。個人的な極論だろうと思うが、『平清盛』と『薄桜記』の二つのドラマを見ていてちょっとそんなことを考えた。
 
 
 
 
 

そうだ…今日は…

 
そうだ…今日はのち様の誕生日。
Happy Birthdayのっち様。
あなたの大人のち声と、大きなのち目と、ステキなのちももと、大きな会場のライブでののち度胸、おおらかなのち笑顔が好きです。あなたの24歳がますます幸せな1年でありますよう。
ちょっとファンブログっぽい…。
 
 
 

2012年9月19日水曜日

NHK BS時代劇『薄桜記』第10回 遠い春



今週のありがたいお言葉:肝胆相照らす仲/くわばらくわばら/合点承知之助…

今回は、Xデーに向かって話がぐんぐん進みます。何時なのか、どうなのか…もう討ち入りがあるのは決まっているかのようです。もちろん視聴者には分かっているけど、劇中の人物達も全員ドキドキで身構えてます。

そこで困るのが、典膳と安兵衛。お互いに斬り合いはしたくない。なんとか避けたい。しかし江戸の男というもの、どちらも一度関わった事をやめるわけにもいかない。安兵衛が典膳に聞く「何のために?」確かにそのとおり…。江戸の時代、刀を持ってはいても実際には滅多に抜かないような時代なのに、なんとも大変なことに巻き込まれたものです。典膳さんはそもそもお旗本…。

吉良の元殿様は覚悟をなさったらしい。遺言状も書かれたそうだ。みっともない真似をして逃げ回るより潔く…とおっしゃるのですが、それは哀しい。殿、あきらめないでくださいよ。

ところで今年の大河『平清盛』で上品な藤原教長をなさっていた矢島健一さんは、このドラマで吉良家家老小林平八郎をなさっているのだけど、今回はビシビシ強い口調で部下をまとめていてちょっとステキだった。

浅野の側も密かに準備を整えてます。安兵衛もたまたま婿養子になったばかりでこんな事が起こるなんてなんと運の悪い。しかし本人は乗り気らしい。彼も何のために?ついこの間まで浪人だったじゃないの…。誉れ高きことは何よりも大切。昔とはそういう時代…。ともかく討ち入りは決まっている。そんななかで情に厚い安兵衛は必死になって典膳を止めようとする。

皆守るべきものを守ろうとしている。お家だったり名誉だったり自分の責任だったり。現代から見れば非常に理不尽であったりすることも、理屈ではない。そのような時代。そんな空気感が感じられる。脚本に書かれた会話の内容だけで緊張感が伝わる。

ところで出る人出る人が皆びしっと背筋を伸ばして、動作もぴしっとして時代劇言葉を話すせいか、みんなイイ男…男性の着物姿はいいですね。

千春さんはほんとに綺麗。着物姿がとても綺麗です。

来週はいよいよ最終回。早いな…。このドラマが終わるのはすごく寂しい。
 

2012年9月18日火曜日

映画『素敵な相棒~フランクじいさんとロボットヘルパー/Robot and Frank』:人は機械を信じられるのか

 
 
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Robot and Frank2012年)/米/カラー
89分/監督; Jake Schreier
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ちょっと物忘れの激しくなった一人暮らしのおじいさん。そこに、別の街に住む息子がロボットを連れてやってくる。老人の世話をするためのコンパニオンロボットらしい。そうこの映画、お年寄りとコンパニオンロボットのお話。高齢化の進む日本でも近い将来介護ロボットなどというものが考えられているのだろうか。非常にリアルな近未来設定かな?ちょっと面白そうだ。予告編の映像で大まかな内容は分かっていたのだが、とりあえずテーマに興味を持って見に行った。


ロボットと人間は永遠にSFのテーマだ。中学生の頃、星新一さんのショートショートを貪るように読んだ。面白かった。特に生死や善悪の判断が出来ない一見イノセントなロボット(機械)のちょっと怖い話が大好きだった。

そんな影響もあってだろうか、私は機械に自分の身体の面倒を見てもらうのは真っ平御免である。私は医療や介護などでは機械を信頼できない。ロボットなんかに介護を頼んだら何かのエラーでとんでもない目にあうのではないかと怖いのである。機械には人の痛みが分からないのだ。マッサージチェアにさえ脚をぎゅーっと挟まれると恐怖を感じる。大変怖い。

一方、ロボットには妙な親しみもある。少なくともSFファンタジーの世界では、ロボットの一途にコマンドに従う様子が、無垢でイノセントなものとして非常に魅力的に描かれていたりもする。そのあたりをうまく料理したアメリカのアニメーション映画『アイアン・ジャイアント(1999年)』には大泣きした。現実にも単純にコマンドに従うロボット=アイボやアシモ君を一途で可愛い(ちょっと可哀相)とも思ったりもする。

老人と介護ロボット。そんな心理劇としても、情緒的、詩的な話としても、哲学の話としても、近未来のリアリズムとしても非常に興味深いテーマ。いくらでもいい話が料理できそうだ。すごくいい話が書けそう。ところがそんな素晴らしいテーマを、この映画は単なるハリウッド娯楽映画に料理してしまった。何のひねりも無い普通の映画。可もなく不可もなく。ロボットは可愛いですけど…。

 
ネタバレ注意

まず第一の問題は、このおじいさんを泥棒などという普通はあり得ない設定にしてしまったこと。物忘れのひどい主人公のお年寄りが、若い頃は凄腕の泥棒だったという設定が話の中心になっているのだが、これでリアルな「老人と介護ロボット」のテーマが台無し。コメディ仕立てなので、老人が泥棒だから悪いと言っているわけではないのだが、まずこのような奇をてらった設定にするだけで、話にリアルさも深みもなくなってしまう。こんなにリアルな近未来をテーマにした大変興味深い設定でありながら、妙な設定を持ってこなければ映画も作れない近年のハリウッドは幼稚。

まずはそこ。その問題が余りにも大きいので、他の小さな問題はどうでもいい。ともかくいろいろと詰めが甘くて、辻褄が合わない話もいくつかあったりして、ちょっと興ざめになってしまった。映画が悪いというよりも、過剰な期待をした私が悪いのだろうと思う。しかし最後に家族全員が美しい環境でにこにこ微笑んでそれで終わりなんてかなりひどい(笑)。観客を馬鹿にしとるのか…。おじいさんが可哀相だ…。


とにかく、素晴らしいテーマだけに非常に残念。こういうテーマの映画は、哲学的なフランス人か、頭でっかちのイギリス人、物にも魂を見ようとする日本人に撮って欲しい。想像できるリアルな近未来は、設定をリアルにすればするほど面白いし考えさせられる。

あ、そういえば、キューブリック&スピルバーグの「A.I (2001年)」などという映画もありましたね。

こういうテーマはもっともっと出てきてもいいと思う。ロボットが人間と戦うような本格SFではなく、近い未来の介護ロボットなどのリアルなテーマ。人間は機械を信じることができるのか。コマンドに従っているだけの可愛いデザインのロボットに本気で感情移入ができるのか。信頼できるのか。感謝出来るのか。友人と呼べるのか。それとも人間は機械に対して、永遠に消えない恐怖感、不信感、不安を持ち続けるのか。もともとあらかじめインプットされたそれらしい言葉だけで、そもそも感情を持たない機械と、人間は(一方通行の)擬似的な信頼関係を「本物」だと信じることが出来るようになるのか…。

またこういうテーマのリアルな映画が見たい。