能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ 【随時更新】 https://www.nhk.or.jp/shutoken/ne...

2023年9月13日水曜日

Monki - Feel Darker (feel it) [ft. lau.ra] (2023)



女性DJ



Monki - feel darker (feel it) [ft. lau.ra] (2023)
Feels Darker – Single
Monki
Released: March 3, 2023
℗ 2023 &Friends



しばらく前に英国のクラブチャートに入っていたのをメモしていた。

このDJの方は東アジア系ミックスの英国の女性だそうです。今日まで男性かと思っていた。すごいね。元気がいい。

歌詞はおおまかに

  感じて Oh

  どこから来たのかわからない感覚
  感覚 私の知らない
  最後に感じる感覚
  手放す怖さを感じる時


★Monki
Lucy Monkmanさん。英国ロンドンの女性DJ。そしてサッカーの選手 だそうです。Dulwich Hamletでプレーしていたそうだ。今もそうなのかな? 英国のRadio 1で初めての東アジア系女性DJだそう。

★lau.ra
Laura Bettinsonさん。ボーカルかな。英国のシンガーソングライター、producer、DJ。


お猫様H:起きたら



人間の上に乗り
ちょっと休憩
さて起きましょうか
踊り場で待ってる


コロナ禍で緊急隔離仕様にセットした猫部屋のベッド。海亀はすっかり馴染んでしまって週に数日は猫部屋で寝るようになってしまった。猫も海亀と一緒に寝ると喜ぶ。 ベッドの向こう側には冬の布団が干してあるし、扇風機には真っ白に埃が溜まっているし…ちとハズカシー写真ではあるが猫がかわいいのでまぁ ヨシヨシ  🤡




2023年9月12日火曜日

お猫様H:夏の日々



人間の脚にお尻を寄せて
床に伸びる
ツナはうまいか
また床にころがる
ムーミン谷にいそうなキャラ風味

時には人とテレビを見て
積み上げたタオル、君はなぜそこに寝る
落ちないように

7月の写真です。
猫さんは10歳。近頃彼女はますます怠け者になった。セカンドベッドルーム(猫部屋)のベッドの下で1日中寝ていて出てこない。人が猫部屋の外の階段を通れば出てきて踊り場に転がり撫でろと要求する。リビングやキッチンにはほとんど降りてこないがどうしたものか。上の写真は、ある夜久しぶりに降りてきてソファーに座ったので写真を撮った。




2023年8月31日木曜日

Kimié Miner – Bamboo (2017) HI*Session Live



Resilience




Kimié Miner – Bamboo (2017)
Album: Proud as the Sun (Deluxe)
Released: November 3, 2017
℗ 2017 Haku Records


ハワイのアーティストです。私がこの曲を最初に聞いたのは、たぶんこの曲のリリースされた2017年か2018年頃。TVでローカルの銀行か企業のコマーシャルで聴こえてきた。

アーティストはKimié Minerさん。お名前はキミヱさんだそうです。御本人はハワイ系とポルトガル系だそうですが、彼女のお母さまの親友が「君枝」さんだったことから彼女もキミヱさんと名づけられたそう。

その後も彼女の名前は度々見かけていた。ワイキキのBlue Noteでも何度かショーをなさっていた。いつか彼女の歌を生で聴きたい。


★Kimié Miner
Kimié Kauikeolani Minerさん。1985年生まれのハワイ島出身のシンガーソングライター。オアフ島のホノルルとハワイ島のカイルア‐コナの両方で育つ。14歳からギターを弾き作曲を始める。2003年にKamehameha Schoolsを卒業しサンディエゴ大学とハワイ大学で学ぶ。2004年、サンディエゴ大学在学中、レゲエ・アーティストのBarrington Levyに認められ、彼の米国西海岸ツアーの前座に抜擢される。2009年にデビューアルバム『Distant Traveler』をリリース。2015年にアルバム『Kimié Miner』、2017年に『Proud as the Sun』をリリース。ハワイのNa Hoku Hanohano Awardsで数々の賞を受賞。2019年にはアルバム『Hawaiian Lullaby』が第62回 グラミー賞のBest Regional Roots Music Albumにノミネートされた。

この歌「Bamboo/竹」は、人生のパートナーと(様々なことがあるけれど)共に生きていこうという歌。温かい歌。今回初めて詩を訳してみたが、この歌のBamboo/竹の意味とは、強い風が吹いて曲がってもしなやかに元に戻る強さや、光に向かって高く伸びていく強さ…を歌っていると知った。嵐が来ても「竹のように強く」と励ましの歌でもあると思います。いい歌です。大好きな歌。



Kimié Miner – Bamboo (HI*Session Live)


このライブの様子はマウイの火事のために2週間前に行われたHI*Sessionsから。様々なローカルのアーティスト達が出演した9時間に及ぶライブで、収益はMaui Food Bank、Red Cross Hawaii Wildfires、Hawaii Community Foundation Maui Strongへ寄付されたそう。ライブの様子はYouTubeにあがっています。私はこのライブのことは昨日まで知らなかったのだけれど、これから聴いてみようと思う。

冒頭の彼女の言葉の訳

「今私達にできることは皆共に団結し、私達のコミュニティーが立ち上がり皆が一丸となって…ちょうどロナーTさんが彼の娘さんと共に始めたように、私達も…自らが立ち上がることで他の人を引き上げることができるのです。今日私達は、神から与えられた贈り物の音楽で皆さんを元気づけるためにここにいます。Hi Sessionとここにいる全ての関わった人々に感謝します。皆素晴らしい。

そして本当に、どんなにクレイジーなほどすごかったか…私達がニュースを最初に聞いてからコミュニティーの誰もがどれほど素早く反応したのか。皆さんもご存じの通り様々な募金活動が行わていて、もちろん大きなCNHA(Council for Native Hawaiian Advancement)やHawaii Community Foundation 、Food Drives、Foodbank、Maui Foodbank、それらの全てが一丸となって活動しています。皆さんありがとうございます。なぜなら1ドルでも救いになるからです。そして他の人達もそれに匹敵する寄付を行っています。あなたが与える全てのものには意味があり、救いになっているのです。

思えばご存じの通り過去3年間、パンデミックとその他様々なことを経験した後で私達はすでに燃え尽きたと感じていました。この曲は回復力とは筋力であることを私達に思い出させてくれます。私達は毎日回復することに取り組むことが必要…ただ目を覚ましたら回復力があるというのではなく、私達は毎日回復することを意識してそれに取り組まなければならないことを。だからこの歌は、愛は水であること、そして愛はあなたの回復力を助けるものであることを思い出させてくれます。だからあなたの家族と共に愛を見つけてください、そしてKEA KUA神様に、誰であっても、そしてあなた自身にも、この歌はマウイの全ての方々に、そして遠くの家族のために、彼らの OHANA家族の捜索へ、私の祈りと、歌と、私のOLI祈り、それらの全てをあなたのために…、あなたに捧げます。この歌は「Bamboo/竹」」


Bamboo
Kimie Miner
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Bamboo, hmm-mm, oh yeah

愛することは簡単だと思ってた それを信じ続けてた
昔ながらのファンタジー そんなフェアリーテイルの夢を
現実の生活は教えてくれた まるでローラーコースターのよう, and oh
私達は学ばなければならなかった どこで進む道を決めるのかを

Oh, 嵐がくるのは本当だけれど でも私達はきっと乗り越える
私達は一緒に成長し 根を張って
私達は 竹よりも もっと強く (bamboo)

あなたと一緒なら 私達にできることを止めるものはない
私達は 鳥のように高い場所から世界を見るだろう
Yeah, 私達は竹よりも もっと高くなる (bamboo)

Oh-oh-oh, oh-oh-oh, oh-oh-oh


Oh, クレイジーだと思わない?どんなふうに私達が道をみつけたのか
そして常に若々しく あなたと私の色合い
共に横に並んで 私達は光に身を乗り出す
そしてそよ風に身をしならせ お互いを自由に解き放つ

Oh, 嵐がくるのは本当だけれど でも私達はきっと乗り越える
私達は一緒に成長し 根を張って
私達は竹よりも 竹よりも もっと強くなる

あなたと一緒なら 私達にできることを止めるものはない
私達は 鳥のように高い場所から世界を見るだろう
Yeah, 私達は竹よりも もっと高くなる (bamboo)


私達は生き残る方法を知っている (on our own)
解き放てば 愛が生き返る (no we won't)
No, 私達は決して壊れない 一緒ならもっと強くなるから (oh)
横に並んで 私達はもっと高くなる


Oh, 嵐がくるのは本当だけれど でも私達はきっと乗り越える
私達は一緒に成長し 根を張って
私達は 竹よりも もっと強くなる

あなたと一緒なら 私達にできることを止めるものはない
私達は 鳥のように高い場所から世界を見るだろう
Yeah, 私達は竹よりも もっと高く、もっと強く,  yeah

Oh-oh-oh, oh-oh-oh, oh-oh-oh
私達は竹よりも もっと高く
Oh-oh-oh, oh-oh-oh, oh-oh-oh

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Songwriters: Kimie Miner / Epstein Jesse Marc


2023年8月23日水曜日

マウイ島ラハイナ山火事/Maui Lāhainā wildfires・2週間後



文章を書けずにいた。ニュースを見て何も書けなくなった。
自分の心を落ち着けるために記録しておこうと思った。


マウイ島ラハイナの火事は8月8日から始まった。当時ハワイ諸島は、南の海上を通り過ぎつつあったハリケーン・ドラによる強風が吹き荒れ、また諸島の北に起こった高気圧により空気は乾燥していた。

ハワイ諸島には普段からTrade Winds/貿易風が北東から南西に向かって吹いている。湿気を含んだ貿易風は島々の中央にある山に当たって雨を降らせ、その後乾燥した風は島の西に抜ける。ハワイ諸島では、どの島も西側は乾燥していることが多いと聞いている。

ラハイナは島の西側に位置し、普段から乾燥しているところへ今回北の高気圧による極度の乾燥と南のハリケーンによる強風が重なった。乾いた強風がラハイナの町に向かって吹き下ろしていた。突風が電柱を倒し、切れた電線が発火要因だとして現在調査が続いている。


8日から9日にかけて、私は映画の感想文を書いていた。窓の外は強風で、庭のシダの植木鉢が何度も何度も倒れ、その度に鉢を起こしに外に出た。なぜこんなに風が強いのだろうと不思議に思った。その日は文章に没頭していてローカルのTVのニュース番組も見ていなかった。

10日になってニュースを知った。言葉を無くした。ローカルのニュース番組のサイトが救済のための寄付の情報を載せていたのでいくつかに寄付をし、そのページのリンクをここに貼った。それから2週間が過ぎた。


何度か何かを書こうと思ったが言葉が出てこなかった。今もラハイナの状況を考えるだけで苦しくなる。

高気圧で乾燥した空気、たまたま通り過ぎたハリケーンによる強風。空気が極度に乾燥していれば、火事はどこで起きても不思議ではない。私の住む山にも火事が広がる可能性はある。他人事だとは思えない。


ネット上を見ていると様々な情報が飛び交っている。誰でも不安になれば、問題の原因と犯人を捜そうとするのは自然なことなのかもしれない。しかしネットに飛び交う情報は必ずしも正しいものではない。
「レーザービーム」「実験」「不動産開発業者の企て」などの陰謀論。そして様々なチャリティーに対して疑いの目を向ける人々…。 しかしそれらの情報は、実際に現地で苦しんでいる人々の救いにはなっているのか?被災者に更なる不安を与えてはいないだろうか。

犯人捜しと陰謀論。遠方の人々がネット上でそれを追い求めたところで被災者は救われない。今は何よりも苦しんでいる人々の救済を考え、何らかの行動(寄付、ボランティア)をし、また救済活動の現状を知った方がいい。


例えば Red Cross/赤十字。ローカルの支社・American Red Cross of Hawaii のページのリンクからその Facebook を見れば、数時間ごとに現地の救済活動が報告されているのを見ることが出来る。

https://www.facebook.com/HawaiiRedCross/

米国本土から駆けつけた医師の紹介、被災者への医療と精神的サポート、行方不明の家族を見つけるサポート、被災者がシェルターからホテルへ移動したことの報告、今後の救済サポートの情報、各地のシェルターの情報、World Central Kitchen と Common Ground Collective +ローカルのシェフの方々が共同で食事を提供している報告、The Salvation Army との提携でシェルターに食事を届けている報告。様々な物資の供給の報告…等々、沢山の救済活動の様子を見ることが出来る。大勢の方々が日々懸命に救済活動をなさっていることを知ることは大切だと思う。


そして同じ Red Cross の Facebook には、動物の救済活動を行っている Maui Humane Society /マウイ動物愛護協会の情報も報告されている。大量のペットフードが寄付されているとの報告。またそこからのリンクで Maui Humane Society の Facebook を見れば更に沢山の救済活動の様子も読むことができる…ボランティア急募の情報。救い出された火傷を負った子猫のストーリー。

https://www.facebook.com/MauiHumaneSociety

8月18日の午前3時半、マウイ島のシェルターからオレゴン州のシェルターへ 136 匹のペットが送り出された。被災し、発見され、救助されて今も連れ込まれるペットのために現地のシェルターのスペースを空けるためだそう。多くの動物達が他シェルターとの提携により救済されている。


沢山の人々が救済活動をなさっていることを私達は知る必要がある。それを知った上で寄付をするなら納得できる人も多いはずだ。私も一時はネット上でRed Crossに関する疑いの情報を見て不安になったのだが、しかし今は何よりも現地 Red Cross の具体的な救済活動の報告を信じようと思った。


また同じ Red Cross のFacebookには、人々に注意を促す内容も報告されている。
Red Crossの名を使い寄付を募る偽のサイトの存在。
それから
● FEMA/Federal Emergency Management Agency/アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁からの救済を受け取らない被災者達の報告…救済を受ければ「自分の土地を奪われる」との懸念から彼らは救済を受け取らないと言う。…この状況は、まさに巷の「懸念や疑いの噂/陰謀論」が被災者へのスムースな救済を妨げている例。政府は「説明のページ 」を作成してまで人々の不安を取り除こうとしている。その尽力とエネルギーは本来人々の救済のみに使われるべきなのは明らか。



気になっていたことを書いた。まず今はどのような形であれ犯人捜しのための「懸念や疑いの噂/陰謀論」を広めるのはやめたほうがいい。今必要なのは人々の救済。現場の救済活動の情報を集めて判断し、少しでも救いの助けになりたい。

それから救済は長期に渡って必要。緊急の救済活動が終われば Red Cross が現場を離れる時も来る。しかし復興の為には現地への長期のサポートが必要で、そのための寄付も長い間必要になってくる。今だけではなくこれからも継続して現地の情報を集めできることをしていきたいと思う。


2023年8月10日木曜日

マウイ島の火災/Hawaii Wildfires ─ 寄付・支援情報リンク





 寄付・支援情報へのリンクです。


Hawaii News Now ハワイの放送局による様々な支援情報

KITV 4 Island News ハワイの放送局による様々な支援情報

寄付・支援のリスト・記事の中に情報とリンクがあります


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MONETARY DONATIONS

フェイスブックによる最新のレポート


 Hawaii Salvation Army - シェルターでの食料/炊き出し
The Salvation Army - Hawaiian & Pacific Islands
フェイスブックによる最新のレポート


ネイティブ・ハワイアンのサポート
マウイ火災の救済活動のレポート


 Maui Strong Fund (Hawaii Community Foundation)
ハワイ・コミュニティー・ファンデーションによる
マウイ・ストロング基金


 Donate to verified GoFundMe pages
Maui Wildlife Relief Fundraisers


 Aloha United Way (Maui Relief Fund) - 被災者へ直接の援助
アロハ・ユナイテッド・ウェイ

マウイ・ユナイテッド・ウェイ
レポート 


 Maui Food Bank - 食料と日用品
マウイ・フードバンク
レポート


被災者への直接サポート
LĀHAINĀ MAUI FIRE RECOVERY EFFORTS


カトリック信者によるチャリティー救済活動


 Send baby supplies for mothers in need, Baby 2 Baby
赤ちゃんと母親へ


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マウイ・ヒューメイン・ソサイエティ(動物シェルター
 - ペットの捜索、捕獲、救済、一時預かり


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 Red Cross 寄付のページ

Red Cross によるレポート



2023年8月9日水曜日

映画『幼な子われらに生まれ/Dear Etranger』(2017):繊細な心の動き、家族を考える





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『 幼な子われらに生まれ(2017)/日/カラー
/2h 7m/監督:三島有紀子』
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TV Japanでしばらく前に放送されたものを録画していた。やっと鑑賞。
原作は重松清「幼な子われらに生まれ」。脚本は荒井晴彦。監督は三島有紀子。


家族がテーマの映画。ここのところ家族をテーマにしたドラマをいくつか見て感想を書いたのだけれど、また家族がテーマのいい映画に出会った。

脚本が素晴らしい。…冒頭の遊園地で待ち合わせをする父と娘のさりげない会話から状況が明かされる。父と娘…なのに「元気だった?」の言葉。ということはこの二人は一緒に暮らしていない。

そんな風に、主人公の男と彼の家族の状況が少しずつ玉ねぎの皮を剥くように明らかになっていく。「この映画の家族は一般的なパパ、ママ、子供達の構成の家族ではないらしい」…その種明かしが自然で巧み。状況説明の為の不自然な台詞もない。全てが自然。そしてリアル。

構成がうまいのだろう。内容も非常にわかりやすく1度見るだけでほぼ理解できた。家族のメンバー。家族に関わってくる外の人々との関わり。家族の過去と現在…。ストーリーの巧みな構成。印象的な映像の使い方。驚くほどリアルな台詞。そしてあまりにも自然過ぎて、この人物達は現実にいると思わされるような役者さん達の演技とその撮り方。全てが自然だからストーリーに集中し、登場人物それぞれの「心」を考えさせられる。自分だったらどう感じるだろう?自分だったらなんて言うだろう?この人は悪い人じゃない。この人は寂しいんだろう…様々な思いが心に湧き上がる。

多分この家族のストーリーもまた「いろいろあるけれど、それでも家族は進んでいく。彼らはきっと大丈夫」…そのような話だろうと思った。私は家族に希望を見ようとする。色々とあっても家族はきっと「大丈夫」だと信じたい。



★ネタバレ注意


感想を書くよりも、ここにはメインのキャラクター達について思ったことを書こうと思う。この映画のすごいところは、人物の描写が様々な角度からなされていること。 …夫・信のプライドと気落ち、家族のためによかれと努力しながらも家族に怒りを爆発させる様子。妻・奈苗の明るさと子供っぽさが夫をイライラさせる。娘・薫はなぜ父を嫌うのか?信の元妻・友佳の心。奈苗の元夫・沢田の寂しさ…。 人間とは複雑で、人の心の複雑さのすれ違いが人と人の軋轢を生む。また人と人の関係は継続して同じではなく時間と共に変わっていく。その様子がたった2時間の間にリアルに表現されていてすごいと思った。


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あらすじ
バツイチで再婚した家族と幸せに暮らす男。
妻が妊娠したことで家族がギクシャクし始める。
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 田中信(浅野忠信)

主人公。40歳ぐらいか。研究者の前妻と別れ年下の女性と再婚した。彼は元々エリート・サラリーマンだったのだろう。大手企業の本社に勤めていたが左遷され郊外の倉庫に送られた。プライドが傷つけられた。仕事にやる気が出ない。妻が妊娠したがまだ受け入れられずにいる。妻には二人の連れ子。長女は12歳ぐらいか。思春期に入った娘は、妻の妊娠を知ってから反抗し始めた。全力で自分を嫌ってくる。どうすればいいのかわからない。

…まさに彼は Midlife crisis 。仕事は上手くいかない。これから自分の子供が生まれることにも戸惑っている。何よりも妻の連れ子が酷く反抗する。正直なところ(前妻が連れて行った)実の娘の方がかわいいが、しかしそれでも彼はなんとか新しい家族を幸せにしようと頑張ってきた。いい夫、いいパパをやって家族の幸せを願っている。しかしなぜうまくいかない?妻の妊娠が家族に起こした起こしたさざ波。彼はほころび始めた家族をなんとか繋ぎとめようとする。

この人物がリアル。会社で左遷されてプライドが傷つく様子も、40歳を過ぎての妻の妊娠と思春期の娘の反抗に戸惑い思わず声を荒げる様子も。妻の甘える様子に思わずイライラし暴言を吐く様子もあまりにもリアル。主人公・田中信は追い詰められている。彼は真面目な男で、日々必死に頑張っているのに。


 田中奈苗(田中麗奈)
彼女は決して悪くない。かわいい女性。子供がそのまま大人になったような人。多少軽率ではあるけれど素直で明るく無邪気な子供のよう。ところで夫・信の前妻はキャリアを優先した聡明な女性だった。信はなぜ前妻とは正反対の奈苗に惹かれたのか?おそらく信は頭のいい前妻との離婚で疲れていた。信にとって奈苗の笑顔は癒しだったのだろう。奈苗はデートに幼い娘2人を連れてきた。シングルマザーの彼女は苦労している。「結婚しよう」と信が言えば、泣きそうな顔で「ありがとうございます」と言う奈苗はかわいい。信も彼女と幸せになろうと思ったのだろう。 

…それなのに信はそんな奈苗に次第にイライラを募らせる。そして信が奈苗の元夫に会えば、彼も過去に奈苗にイライラさせられたと言う「アパートの窓の灯りを見て帰りたくなくなる。彼女はいつも俺を待っている」…それが嫌になると言う。奈苗はなぜ男達をイライラさせるのか。なぜかわいいだけの女ではいけないのか?彼女にイライラしない男性はきっといるはずなのに。

自分が心を決めて結婚したのに後から妻の人柄に文句を言う信は勝手だと思う。しかしそのあたりもすごくリアル。夫婦あるある。よくある話だと思う。


 田中薫/奈苗の連れ子(南沙良)
長女の薫。小学6年生。彼女は母親の妊娠を知って突然信に反抗しはじめる。母の奈苗が「寂しかったのね」などと言っていたがそうではないと私は思った。

薫は思春期に入ったばかり。ホルモンが急に増えて心も不安定。初めて性を意識し戸惑っている時期。思春期の女の子は(この時期に)父親を嫌うことがある。おそらく一番身近にいる父親の「男性性・男らしさ」に初めて気付いて嫌悪感を感じるからだろう。「パパも男である…汚い、ああ嫌だ」みたいな感覚。それが薫の信に対する反抗の一番の理由だと思った。 

この時期の娘は実の父親にさえ嫌悪感を感じるぐらいなのに、薫の場合はもっと複雑だ。薫にとって家庭にいる父親・信は、①血が繋がっていない他人の男。②その他人の男が母親を妊娠させた…もうそれだけで最悪レベルで耐え難いのだろう。薫は信に説明できないほど猛烈な嫌悪感を感じているのだと思う。そしてその他人の男が家庭で同居しているのは「危険」だから部屋のドアに鍵をかけたいとさえ言う。なるほど。かなりリアルな話ではないかと思った。

薫が実の父・沢田に会いたいと言うのは単なる言い訳。特に実の父に会いたいわけではないのかもしれぬ。本音は他人の男・信が同居しているのが嫌なだけ。気持ちをうまく説明できないから実の父親を持ち出してきたようにも見える。


 友佳・信の元妻・沙織の実母(寺島しのぶ)
彼女は自分勝手に見えた。そして一番興味深い人物。短い時間だが、寺島しのぶさんのすごい芝居。

車の中の二人のこの場面のすごさは、彼女と信のいかにも慣れ合った元夫婦の様子、二人の会話の自然さ。そしてその心地よい雰囲気が、車を止めた後で深刻なものに変わっていく流れ。

(もう女として惹かれるわけではないだろうが)信は友佳とは今でも気さくにいい友人として打ち解けて会話をしている。彼は現妻の奈苗といるよりもリラックスして居心地が良さそうだ。信にとって友佳は年齢も同じ、同レベルの知性、そして二人は若い頃の楽しかった思い出も共有している。離婚はしたけれど顔を見ればすぐに打ち解ける昔の戦友のような前妻。前妻といる時の信のリラックスした様子は見逃せない。

友佳が信に打ち明ける。現在の彼女の夫が癌を患い余命いくばくもないと。信と結婚していた頃、キャリアを優先し家族を持ちたがらなかった友佳。それでも妊娠して娘を生んだが信との夫婦の仲が元に戻ることはなかった。信とは2年間の結婚生活ののち離婚。娘・沙織は友佳が引き取った。その後彼女は同僚と結婚して6年。その夫が病に倒れた。

車を止めて、友佳は信に言う「理由は聞くけど、気持ちを聞かないのね」…この言葉が刺さった。正直私はすぐにその意味が理解できなかった。過去にも「あなたは私の気持ちを聞かなかった」と信を非難するということは、つまり彼女が信に自分の気持ちを伝えてこなかったということだ。

なぜ彼女は自分の気持ちを言わなかったのだろう?過去を振り返り「~をしたときの私の気持ちを考えたことある?」と友佳は言うが、自分の気持ちを言わなかったのは友佳個人の選択だ。信を逆恨みしても信は困る。それとも「私の気持ちを察して欲しい」とは「私のことをもっと構って欲しい」ということか?

なぜ私にこの言葉が刺さったのか?なぜなら私は外国人と結婚しているからだ。私は旦那Aに「気持ちを察してよ」などとは思わない。違う文化圏の外国人で生まれも育ちも違う男の人にわかるわけがないからだ。旦那Aには全部言葉で伝える。文句があったら言う。そしてその理由も必ず言う。議論をする。即物的で色気も素っ気もあったものではない笑。

…長い間そんな風にやってきたから私には友佳の信への「私の気持ちを聞かないのね」は意味がわからなかった。自分の気持ちは自分から正直に言えばいいのに。しかし日本の夫婦は「相手の気持ちを推し量る」ことが「思いやり」でそれが普通なのだ…とあらためて夫婦の関係性の違いを考えさせられた。

そして友佳は信に彼女の人生の「後悔」を語り始める。しかしそれを言われても信は困る。「後悔」を自己の中で大きく認識するかどうかはその人の「ものの考え方」による。自分の選択を肯定して「後悔」をしない人もいる。

友佳は弱っている。信にすがりたい気持ちもわかる。もしこれから信の現妻の妊娠を知ったら彼女はかなり辛いだろうと思う。


 沢田/奈苗の元夫/薫・恵理子の実父(宮藤官九郎)
酷い男。女性や子供に暴力を振るう男はまず論外。しかし彼は自分のことはわかっているらしい。人は一つ崩れてそれをよしとすると、二つ、三つと崩れていく。崩れることに甘んじてどんどん崩れ続ける。この人も奈苗と結婚して子供が出来た頃は幸せで、前向きに生きようとしていたのだろうと思う。しかし彼はあまりにも感情的で衝動的で自分勝手だった。その結果が今の状況。もう生き方を変えようとも思っていないのだろう。しかし彼に関して一場面だけほろりとさせられた。沢田が娘・薫にプレゼントした白いゴリラのぬいぐるみ。その白いゴリラの表情を見てなぜか泣けた。あの少し悲しそうな表情に沢田の寂しさが見えたようで少しだけ悲しくなった。


最後のシーンは幸せなシーン。どうやら薫は千葉の祖母の家に住むことを考えているらしいが、これからそれも変わるかもしれないと思う。薫は家に帰ってくるかもしれない。赤ちゃんが生まれて家庭に幸せな空気が広がる。薫も赤ちゃんがかわいくて抱っこしたりするうちに、今までの不満や怒りも消えるのではないか。この赤ちゃんが家族に幸せを運んでくるのだろう。そして家族はこれからも皆一緒に歩いていくのだと思う。

人の心の表現のリアルな描写に画面にくぎ付けになった。そして色々と考えさせられた。素晴らしい映画でした。