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『Life of Pi(2012年)/米/カラー
/127分/監督;Ang
Lee』
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映画の魔法。こういう映画こそ、この言葉を使いたい。2時間の間うわーっわー………キレイダナー……ほぉー……と感嘆につぐ感嘆(心の中で)。美しいの…例えようもないほど。
英国BBCで10年ほど前に『「Blue Planet/ブループラネット(映画「ディープ・ブルー」)』という海洋生物のドキュメンタリーがあったのだけど、それに人工的な(『アバター』みたいな)キラキラ感を添えたような絵。もうね…うそでもなんでもいいわ。あんなに綺麗なら。これぞ映画の魔法。
★インド人の男の子が、ボートでトラと一緒に太平洋を旅する…というお話。
原作は2002年に(英国の)世界的に権威のあるブッカー賞を取った本『Life of Pi/パイの物語』。ものすごく売れてました。当時よく宣伝もされてたし、本屋にも山積みになってた。友人も読んでいた。長い間ベストセラーだったそうです。
当時私は読まなかったのだけど、今年、数ヶ月前にこの映画の予告編を映画館で見て「こりゃ読まなくちゃ」とさっそく原作を買い込んだ。…が、前書きだけ読んで未だに積読。映画が始まっちゃったので先に見ることにした。
内容が哲学的だというのは聞いていた。宗教に人生に冒険に動物?…大好きなテーマだし、内容への興味も大いにあったのだけど、映画を見たらそんな理屈は吹っ飛んでしまった。いや私が映画から読み取れなかっただけなのだろうと思う。
だから内容の解説も感想も一切書かない。正直よく分からなかった。それでもこんなに興奮しているのは、絵があまりにも綺麗だったから。この映画の映像をもとに、積読しといた本を開こうと思う。きっといろんなことが見えてくるんだろう。こんな壮大なテーマを、半分だけ分かったような分からないような状態で書くことは出来ない。原作もいろんな解釈の仕方がありそうだ。
元々原作のイメージが凄いのだろうと思うけれど、それをビジュアル化した監督さん=アン・リーさんの手腕もとてつもないと思う。CGはまた進歩したんですね。もう動物が、どれがCGでどれが本物なのか全く分からなかった。だから話の展開も仰天もの。この映画は今の技術で作られたからこそ可能だったんだろうと思う。本物なのか作り物がリアルなのかもう無茶苦茶で分からなくなる。だから心を掴まれるし、ハラハラドキドキするし、怖いし、和むし、感動するし…それに言葉に出来ないほど綺麗…これを映画の魔法と言わずに何と言おう。
あまり全体の話には関係ないのだけど、主人公のお父さんが非常に古典的な昔の強い父親でいいなと思った。ああいう強い父親像は最近あまり見かけない。
アクション映画を見ながら極上の美を鑑賞し哲学するような映画。素晴らしい。魔法です。実はトラがとても可愛い。