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『Safety Not Guaranteed(2012年)/米/カラー
/86分/監督; Colin Trevorrow』
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久しぶりにいい映画を見た。アガリます。
お話は、とある雑誌の個人広告から始まる。
「求む:私と一緒に過去に行ってくれる人。これは冗談ではない。報酬は帰ってきてから支払う。必ず自分の武器を持ってくること。安全は保障しない。私は以前1度だけやったことがある。」
現実に、実際のアメリカの雑誌に掲載された個人広告だったそうで(実は冗談だったというオチ)、すぐにインターネットで世間に広まったのだそう。脚本家がこれを元にアイデアを思いつき作品に。というのがこの映画の出来たきっかけ。
ちょっとだけネタバレ注意かも
ストーリーはシアトルの雑誌記者ジェフさんが2人の若い(大学を出たばかりの)見習いを連れて「この広告主が本当のアホなのかどうか」を確かめに出かけるというもの。…とは言ってもこのジェフさんの本当の目的は、偶然同じ町に住む昔の彼女に会いに行くというもの。2人の若い見習いは、無愛想な女の子ダリアスさん。それに真面目すぎるガチガチの優等生で彼女いない歴=年齢のインド人の男の子アーナウ君。この3人が真実を見つけるために小さな町にやってくる。
この映画もまたまたまたまた普通の普通のアメリカの人々を地味に描いた小さな映画系。また旦那Aの選択で見に行ったのだけど、本音は「またこの手の映画?『マダガスカル3
』の方がいいな」などと思っていた。…が、これは久々に当たりました。
泣きました…映画の良さに。
こういうふうな映画の内容を説明しても、ネタバレ以外に何にもならないので、今回のレビューは拍手喝采、大興奮の感想のみにしようと思う。
初恋の元カノを訪ねていく騒がしいオヤジ。社会を知らない若い二人(二人とも明るいタイプではない)。学校を出て初めての仕事。冒険。ちょっと怖いミステリアスな広告主。サスペンス。嘘。友情。信頼。笑い。恋。不安。不信。そして魔法…。とにかくいろいろと詰め込んでよくまとめたものです。お話も緊張の連続。最初からぐいぐい引き込まれていきます。最初からゲラゲラ笑わせてくれるんだけど、インディーズ系の地味な映画なのでゆるい話かと思っていたら、いつの間にか真剣に集中して見てしまうほど面白い。とても丁寧に作られているんだろうなと思う。
何よりも最後に見終わって感じたのは「映画の魔法」。いろんな映画があるけれど、映画の一番の素晴らしさは、きっと夢を見させてくれること。うわーっと思う魔法を見せてくれること。無意識に気持ちがアガルこと。それに見終わった後でちょっと幸せな気分になることじゃないかなと思う。この映画は最高にそんな気分にさせてくれる。地味なインディーズ系の映画でこういうのは大変珍しいと思う。
最初はこんなに地味で大丈夫かと思った登場人物たちも、どんどん魅力的に変わってくる。ミステリアスな広告主のケネスさん。不思議で変でちょっと怖い。だけどたぶんすごくいい人…。とにかくこの人がら目が離せない。いったい何者だろう…?
それから余裕いっぱいに見えて実は不器用なジェフさん、ド真面目なアーナウ君、無愛想なダリアスさんもみんな可愛いくてほほえましい。それぞれの非日常の冒険を追いかけながら、見ている私達も一緒に嬉しくなったり怖くなったり…それも映画の魔法。この魔法というのは、きっと「よくできた映画」ということなのだろうなと思う。
それにしてもやっぱり一見地味な映画なので、派手なハリウッドスタイルをお好みの方には向かないのかもしれない。登場人物も殆ど知らない俳優さん達ばかり。もちろん美男美女はいない。普通の人々。でも普通だからいいんです。
みなさんこの映画はいいですよ。お勧めです。
ちなみに今年のサンダンス映画祭で、ウォルド・ソルト脚本賞を受賞作したそうです。
ところでミステリアスな広告主のケネスさんは、ジミー・ペイジによく似ていると思うぞ。