フランスのワインを学ぶシリーズ。 
今回は白ワインと魚。ブルゴーニュ地方の白ワイン・シャルドネ/ Albert Bichot Bourgogne Vieilles Vignes de Chardonnay, 2021 
--------------------------------------------------
● アルザス地方/Alsace
🍇 ロワール地方/Loire 
●●● シャンパーニュ地方/Champagne
★ブルゴーニュ地方/Bourgogne 
●● ←今回はこれ● ボジョレー/Beaujolais
● ジュラ地方/Jura
🍇ボルドー地方/Bordeaux 
●●🍇シュッド・ウェスト地方/Sud Ouest 南西地方 
●🍇 ラングドック=ルシヨン地方/Languedoc & Loussillon 
●●🍇ローヌ地方/Rhône 
●●●● プロヴァンス地方/Provence
● コルス島(コルシカ島)/Corce
-------------------------------------------------- 
シャルドネと言えば…
「私シャルドネならよく知ってるわ」と思っていた…けれど全然違いましたネ。なぜ知っていると思っていたのか…それは昔ロンドンでよく外食をしていた時に
シャルドネばかり飲んでいたからです。葡萄やブランドやワイナリーが解っているからではなくて、ただ量を飲んだ…それだけです。 
20年以上前に私がロンドンにいた頃(1990年代半ば~2000年初期)、シャルドネは英国で流行っていた…それともシャルドネは今でも英国の国民的な飲み物なのか? 当時ロンドンでは皆白ワインと言えばシャルドネシャルドネばかり。当時の私はそもそもワインのことなど解ろうともせず、ただただ「ロンドンに住む女はシーフードを食べてシャルドネを飲む」のが社交のルールのように思い込んでいた。 
有名ローストビーフの高級店に連れていかれて、わざわざロブスター・テルミドールを頼んでしまう愚行…。なぜならシーフードを頼めば、その女性は「健康に気を使っていて」「ヘルシーで」「美容も考えていて」だから「ちょっと賢くて洗練されてて都会的でお洒落」……当時はそれが
ロンドンの意識高い系のかしこい女性の食事スタイルだとばかり思っていたのよ…つまり自分の味覚より、自分が人にどう見られるかで食事をしワインを飲んでいた…バカバカバカバカ。だって
周りのアメリカ人の奥様方がそうしていたのです。私は彼女達を真似していたノヨ。 
そんな風に
魚/シーフードばかり(時々チキン)
を食べる外食時に頼むのがシャルドネ。それ以外にも画廊のショーのオープニングとか、立食の集い、季節のパーティー、踊りに行ってちょっと飲む、友人宅の食事会、観劇前にちょっと飲む、そして日常の外食時に頼むテーブル・ワインも
何から何までシャルドネ。ワインを知らない(知ろうともしない)者には、とりあえず「シャルドネシャルドネ…」とマントラのように繰り返していれば場が納まる。小難しいことを知らなくてもよい。シャルドネとはそのようなドリンクでございました。シャルドネに関してはあまり感想もない。好きだったわけでもない。ただ量は飲んだ。(ジン&トニックもよく飲んだ) 
ちなみに英国はフランスの隣の国なので、出回っていたシャルドネは全てフランス産…ブルゴーニュ産だと思われる。安いシャルドネも多く出回っていたのだろうと思う。米国カリフォルニア産はあまりなかったのではないかと思う。
※追記  
少し調べたら、シャルドネは確かに1990年代当時にロンドンでよく飲まれていたとの記事が出てきた。しかしフランス産ではなくオーストラリア産が多かったとのこと。その後英国では、シャルドネはあまりによく飲まれすぎて飽和状態になり反発が起こり「anything but Chardonnay/シャルドネ以外なら何でも」の言葉さえ聞かれるようになったそう。現在英国で一番飲まれている白ワインはピノ・グリジオ/ピノ・グリだそうだ。
そういえば当時流行った小説『ブリジット・ジョーンズの日記』でも、ブリジットさんが「今日はシャルドネを3杯飲んだ」などと毎日書いていた。それくらいロンドンでは女性がシャルドネシャルドネばかり言っていた印象。午後に軽食をとりながらシャルドネのボトルを2人で1本開ける…そんな若い女の子達もよく見かけた(英国人はよく酒を飲む)。話が長くなってしまったけれど、そんなわけでシャルドネはロンドンの生活でよく飲んでいた…よく理解することもなく。 
今回、あらためて
シャルドネを理解しようと思い立った。今までうちの棚に何本かストックしたのだけれどなかなか思い切れずにいた。
シャルドネはあまりにも有名なので少し尻込みしていた。私には深すぎるのではないか…? 
というわけで開けました。 
Albert Bichot Bourgogne Vieilles Vignes de Chardonnay, 2021 お手頃ワインです。ワイナリーは
アルベール・ビショー/Albert Bichot。2023年の年末にこの会社のピノ・ノワールを最初に飲んで、このブログの
「飲んでめぐる仏ワイン学びの旅」を始めたので、私には少し思い入れがある会社。最初に飲んだのはピノ・ノワール…そしてまたこの会社は映画『ワインは期待と現実の味/Uncorked』(2020) にも出てきた。アルベール・ビショーのワイナリーの名前を覚えていたら「シャルドネ」がお店にあったので、ワインを学び始めた初期に買ったのが 2021年産のこのワイン。VIVINO.comでの点数が3.8点だということは後から知った。 
合わせたご飯はまたまたローカル産のカジキのフライパン焼き。前回の白ワイン、ローヌ地方のサンセールの時とほぼ同じメニュー。今回魚に乗せたのはトマトとパセリのドレッシング。スーパーで買い物をしていて急に「あのワインを開けよう、飲まないと古くなってダメになるかも」などと思いついて開けたのでペアリングのご飯にも思い入れはなし。急に飲むことになったので簡単な料理になった。 
さてワインのお味は… 
まずあまり空気を通さずに少し飲む………ん? もう少し飲む……これは…。苦い。 アレ……どうなの。旦那Aも「うん、苦いね」眉間に皺を寄せる。あれ…「ご飯と食べたら美味しいかもよ」 
「空気を通した方がいいよね」と、一旦グラスに注いだワインをコップに空けて、それをまたワイングラスに戻して飲んでみた。グラスをぐるぐる回す。ああ、少し香りが出てきた?丸くなったかな。ともかく食事を進めていけば、なんとか風味が出てくるかも。 
しばらく飲んで思った印象は、単調。一面的。深みがない味。時間が過ぎてもあまり香りが複雑にならない。アルコールが前に出るというほどではないけれど、以前飲んだソーヴィニヨン・ブランのような華やかな花やフルーツの香りの広がりもない。ん…、これはもしかしたら賞味期限を過ぎたのか?と思った。 
その後ネットで検索してみた…「old, Chardonnay, bitter」と調べると、確かに古くなったシャルドネは苦みが出ると書いてある。しかしまたシャルドネは古くなると酸味が強くなるとも書いてあった。このワインはそれほど酸味が強いわけではない。だから古くなったわけではないかもしれぬ。 
それから「Chardonnay, bitter」と検索すると、そもそもシャルドネは
オーク樽で熟成された影響で渋みやシャープさ、また「焦げたポップコーン」のような風味が出ることもある。テレビン油のような香りと書いてあるものさえある(←酷い表現やな~)。それから発酵時の化学反応で苦みが出ることもあるとのこと。要するに、ワインが古くなくても
シャルドネはワインのクオリティーによって苦みが出ることもあるらしいことがわかった。
ちなみに
このワインはオーク樽で熟成されたシャルドネそうだ。  
確かに苦い。なんだか質感も固いし、テレピン油…油絵で使われるターペンタイン/植物性の画溶液と言われるのもなんだかわかる気がする。さ~どうなんですかね、これは。これがまさかシャルドネを代表するとも思えず。 
これは飲み時を過ぎていたのか?それもわからない。このワインは2021年産。4年前のワイン。それが理由だろうか? …というのも少し前にネット上で
「白ワインの賞味期限はアルコール分が高くなければ3年まで」などという情報を見付けたから。「白ワインでもアルコール分が高く高級であれば5年くらいまでなら大丈夫」という情報も見た。しかしこのシャルドネは値段を考えても高級であるはずがない。それよりもそもそも値段が20ドルぐらいのお手頃ワインだから…まずはそこが単調な味の原因なのか? 
ワインの評価がほぼ値段と並行して上がっていくのは、ワインを調べて徐々にわかってきた。安いワインは評価が低いし、高ければ美味しいワインの割合が増える。それは当り前のことなのだろう。しかしこのブログでは「そこそこ無理せず買える値段で 4.0点以上のワイン」を目指しているので、美味しいワインを見付けるのには少し調べる必要がある(それが楽しかったりもするのだけれど)。 
ともかくまたまた 
3.8点のこのワインを飲んでみたら微妙だと思ってしまったが、これはしょうがないのかな。以前飲んだローヌ地方の 3.8点の赤ワインも微妙だったもんね。やっぱりワインは 4.0点以上でなければ良さがわからぬ。これも学び。この3.8点のシャルドネを基準にして、これから4.0点以上の他のシャルドネを飲み比べてみよう。 
そして開けた日の翌日。早くこのワインを消費しなければと思い、シャルドネを多く使ったチキンの白ワイン煮をつくることを思い立った。 
どのようなお肉もワインで煮る農民風煮込み料理はほぼ失敗することがない。材料も簡単なチキンのワイン煮を最後は鍋ごとオーブンで仕上げたら、とても美味しいチキンが出来た。 
|  | 
| ストロベリー/サンライズ・パパイヤ 今もまだ売ってます
 今年20個ぐらい食べた
 | 
少し残った2日目のワインも飲む。これで十分ですね。あいかわらずあまり香り高くはないけれど、昨日よりは飲みやすくなったかと思う。苦みもそれほど感じない。前にソーヴィニヨン・ブランを飲んだ時は、「1日目が一番香り高く、2日目から香りが落ちた」と思ったけれど、このシャルドネはそれほど変わらない。むしろ丸くなって飲みやすくなったと思った。 
それではワインの情報。シャルドネはこれからも色々と試すと思うので解説は簡単に。 
Albert Bichot Bourgogne Vieilles Vignes de Chardonnay, 2021 ● ワイナリー Albert Bichot
 ビショー家が最初にブルゴーニュの歴史に登場するのは1214年。その後ビショー家は1350年にブルゴーニュに落ち着いた。それ以来この一族の紋章…そのシンボルである雌鹿は今も変わらずに使用されている。1831年にはバーナード・ビショーがワイン・トレーディング会社を設立。それがこのブルゴーニュの名門アルベール・ビショー社の始まり。同社は今まで6世代に渡ってビショー家により経営されている。 
 現在のオーナーはアルベリック・ビショー/Albéric Bichot氏。コート・ド・ボーヌ地区ボーヌ市が本拠地で、近隣の6つのドメーヌを所有している。アルベリック氏は自らを「オーケストラの指揮者であり、共通のプロジェクトを通して人々とその才能を結集することに誇りを持っている」と表現。 
 Le Journal de Paris (2004)と、International Wine Challenge (IWC) Awards (2025)の、ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー、そして Decanter World Wine Awards (DWWA)でも様々な賞を受賞している。 
● 産地
 (ブルゴーニュを説明すると大変なのでこのワインの土地のみを記録)
 ブルゴーニュのコート・ド・ボーヌとオート=コート・ド・ボーヌに広がる土地で生産されている。多様な日照と標高のおかげで、モザイク状の区画でワインを醸造することが可能。 
● 葡萄=シャルドネ
 フランスの東部ブルゴーニュが原産の緑色の皮をもつ葡萄。現在は世界中の様々な土地で栽培されている。葡萄そのもののキャラクターはニュートラル。しかし育つ土地や、熟成時の樽により味や風味が様々に変わるのが特徴。フランスのシャブリのすっきりとしたミネラル感の多いワインから、オークとトロピカルフルーツの風味を持つ「新世界」ワインまで、さまざまなスタイルで醸造される。 
 例えば涼しい地方で出来るワインは軽くて酸味が強く、緑のプラム、リンゴ、梨などの香り、また穏やか気候の土地のワインは柑橘類、桃、メロンの香り、そしてもっと暖かい土地ではイチジクや、バナナ、マンゴーなどのトロピカル・フルーツの風味になると言われる。またマロラクティック発酵を経たワインは、より柔らかい酸味と、バターのような口当たりとヘーゼルナッツの香りを持つフルーツの風味を持つ傾向がある。またシャルドネはシャンパンを始めとするスパークリング・ワインの原料でもある。 
 このワイン、ブルゴーニュ・シャルドネ(ヴィエイユ・ヴィーニュ)(古樹)は、コート・ド・ボーヌとオート=コート・ド・ボーヌに広がる樹齢25~35年のブドウから造られている。多様な日照と標高のおかげで、モザイク状の区画で醸造することが可能。その結果、複雑で華やかなアロマを実現している。ブドウの樹齢が長いため、このワインは特に凝縮したアロマと、素朴で個性的な風味を併せ持っている。前述のようにこのワインはオーク樽で熟成されている。  
● 組み合わせ
 シーフード、鶏肉、クリーミーなパスタ、アスパラガスを添えたマスや白ワインソースのチキン、白身肉を使った料理とよく合う。その他、焼き魚、クリームマッシュルームのパスタ、ブリーチーズやマウンテンチーズなどのウォッシュドチーズやクリーミーチーズとも相性抜群。 
★ 開けたばかりの最初は苦いと思った。空気を十分に入れると白ワインらしい味が出てくる。慣れてくれば苦みは気にならなくなる。しかし風味は単調、一面的であまり広がりを感じない。テーブル・ワインとして飲むならいい程度の日常ワイン。あまり特徴がない。2021年産はVIVINO.comでの個別の評価が出ていない。平均点は3.8点。今回飲んだワインは生産されてから4年も過ぎているので、もしかしたら賞味期限を過ぎていた可能性もあると思う。シャルドネは様々な顔があるワインらしいので、これからも色々な種類を飲んで経験を積みたい。以前よく飲んで知ったつもりだったシャルドネ。全然理解していなかった。 
 白ワインを楽しむために
● 白ワインは(一般的に)長期ストックが出来ないので数か月以内に飲むつもりで買う。温度調整をしていない自宅の保存環境(棚に横にして置いているだけ)もワインにいいわけはないので多くを保管することはやめる。まず今ストックしている白ワインを消費しようと思う。
● ワインを正当に評価するのならVIVINO.comで4.0点以上のものを飲む。それならワイナリーや葡萄種に対してフェアな評価ができる。あくまでも学びとして。
●  少し飲みながら料理に使うのであればVIVINOで 3.8点ぐらいでも問題なし…いい使い方ができる。 
シャルドネに関して
● シャルドネは産地によって味が違うらしいのでそのことを覚えておく。産地ごとに特徴を学ぶつもりでボトルを購入する。
● シャルドネは世界中で様々な味が開発されている。北で育った葡萄からはドライなワイン、南に育てばフルーツ味が濃くなる。フランスのシャルドネに比べて、米カリフォルニア産はフルーツ味が強い=美味しいらしい。
● またシャルドネは熟成方法により…オークの樽、またはオークを通さない方法でも味が変わってくる。オーク樽では味が深くなり、オークを通さなければ明るいワインになる。
● 調べてみて驚いたのは、ワイン愛好家の中にも
シャルドネをあまり好まない人もかなりいるらしいこと。シャルドネはよく見かける白ワインなのにもかかわらず実は難しいワインなのかもしれぬと思った。 
 結局このワインを使い切るするつもりで料理に使ったらチキンのワイン煮はとても美味しかったし、残りのワインも少し飲んで終われたのでよかった。こういう使い方をするのに丁度いい。 
 ワインメモ
🍷Albert Bichot Bourgogne Vieilles Vignes de Chardonnay, 2021Vivino.com Score: 平均 3.8 Winery: Albert Bichot
 Grapes: Chardonnay
 Region: France / Bourgogne
 Wine style: Burgundy White
 Alcohol content: 12.5%
Wine descriptiong The predominant white flower and citrus nose leads to notes of honey and dried fruit. The palate is very well balanced, skillfully blending vivacity and roundness.