能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20...

2025年10月3日金曜日

MLB★2025 DIVISION SERIES のスケジュールと結果記録



今年2025年のMLB★ワールド・シリーズ
ワイルド・カード試合での進出チームが決まりました。
明日からDIVISION SERIES/リーグ予選がスタート!


今年のチームは…

★ アメリカン・リーグ
 NYY ヤンキーズ × TOR ブルージェイズ
 SEA マリナーズ × DET タイガース

★ ナショナル・リーグ
 MIL ブルワーズ × CHC カブス
 PHI フィリーズ × LAD ドジャース




今年はね、アストロズとブレーブスがいない。それがびっくりよ。あ…今調べたら去年もアストロズとブレーブスがDIVISION SERIES/リーグ予選にいなかったのね。そうか。去年もロイヤルズとかタイガース…馴染みのないチームがいました。

今回ワタクシ的にはヤンキースのフリード様とベリンジャーに期待したい(顔が見れればよい)…ジャッジ様とかジャズ君とかスタントンとか…あのチームもスター揃いだからなぁ。木曜日のワイルドカードのピッチャーのキャム・シュリトラー/Cam Schlittlerさんはとても上手いピッチャーだったそうですよ。注目ですね。マリナーズ(ホームラン王カル・ローリー/Cal Raleighがいる)とブルージェイズタイガースはこれから選手を覚えるわ。

カブスは日本人が楽しみ。鈴木誠也様、今永昇太様。楽しみにしてます。カイル・タッカーも好き。スワンソンはエエ男。しかし今年レギュラーで一番強かったブルーワーズを全く知らない…ソーセージと言ってるし。これから拝見いたします。

ところで一番の大問題はドジャースフィリ―ズがディビジョンシリーズで戦うことになってしまったこと。これは…対戦が早過ぎる。どちらのチームも好きだし、どちらにも残って欲しかった。なんだなんだ…。スター揃いなのでどちらも楽しみなのよ。どちらもガンバレ。




DIVISION SERIES
Best-of-five・先に3回勝ったチーム
時間は東部時間



Saturday, Oct. 4
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MIL Brewers 9-3 CHC Cubs 3 (MIL leads, 1-0)
TOR Blue Jays 10ー1, NYY (TOR leads, 1-0)
たまたま6回だけ見た。 満塁で押し出しで1点。 HRならず。 そこだけ見てた。 NYそれだけだったのね。
LAD Dodgers 5-3 PHI Phillies (LAD leads, 1-0)
録画を全部見た。 オターニさん6回投げた。 100マイル 沢山。 最初はフィリーズが調子よかった。 特にフィリーズのピッチャー クリストファー・サンチェスが素晴らしかった。2回裏にフィリーズ3点。 6回表にドジャース キケ ヒット 2点。 7回表にテオスカ 3ランHRで 5点 勝利!!!! ローキ君がクローザー!
DET Tigers 3ー2 SEA Mariners (DET leads, 1-0) 11回延長


Sunday, Oct. 5
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TOR Blue Jays 13ー7, NYY Yankees (TOR leads, 2-0)
始まりました! 1回表 ヤンキース 攻撃 ベリンちゃんガンバレ。 ア 三振!!  1回裏 ブルージェイズ 攻撃 キャ~キャ~フリード様カコイイカコイイカコイイ💕ステキ 98マイルが多い。ゲレロ! オトシタ オイ~ッ。 Jazz君ヨ~シ。 2回表 スタントンは大きい。 ベリンちゃんの横顔。 人気者なの? トロントのピッチャー上手いね。 2回裏 ジャッジ落とした! あ~HR!!! ブルージェイズ 2点! コレハイケナイ。 3回表 ピッチャー上手い。 トレイ・イェサベージ君なんと22歳!!!!  3回裏 ブルージェイズが打つ打つ あ~4点!  モーダメダ。 また打ったブルージェイズ 5点! 苦悩のフリード様。 4回表 ジャッジ3振。 ベリン様モ。 トレイ君22歳 スゴイネ 無双。 4回で10 K! ストライクアウト (無安打10奪三振)。 すごいよ。 4回裏 フリード様ガンバレ。 ア~歩く。 フリード様 オツカレ~。 ア~ ピッチャー代ってまた歩く満塁0アウト。 モウダメダ。 ア~~~~ゲレロ満塁HR!! ブルージェイズ 9点。ナンダヨコレ。 ヤンキーだめか今年。 あ~~~~またフルージェイズHR 11点5回表このトレイ・イェサベージ君22歳はスターだ 淡々と 11K5回裏 ブルージェイズまたHR 12点 ウワ~。 6回表イェサベージ君オツカレ~ A Star Is Born! 両親にインタビュー 中。 22歳 落ち着いてるヨネ。 この試合の前にメジャーで3試合14イニングしか投げてなかったって。 6回表 あっベリンジャー2ランHR!!!! ヤンキー 2点ッタ💕 6回裏 時々映るフリード様綺麗ネ。 またトロント HR! 13点7回表 ヤンキース満塁。ジャッジ打って3点、ベリンジャー打って4点ライス打って5点! スタントン打って7点! オオオオオ~イイジャーン。 9回表 ジャッジ歩く。 モー ムズカシー カナ。 米君歩く。 あ~終わった。これは トレイ・イェサベージ君22歳ののお披露目会だな。オメデトー ブルージェイズ2回勝ち
SEA Mariners 3-2 DET Tigers (series tied, 1-1)
ヤンキースの応援で燃え尽きた。


Monday, Oct. 6
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LAD Dodgers 4-3 PHI Phillies 3 (LAD leads, 2-0)
5回に見たら点が入っていなかった。 7回表を見たらドジャース3点。 すぐにオータニ様がヒットして4点!!!!!しばらく見たけどフィリーズが静か。 9回裏を見たらフィリーズ3点入ってた!フィリーズが騒ぐ。 ドジャース ピッチャーのベシアからローキ君ヘ。 オオオ大丈夫か。 2回投げて試合終了!!!! ヨシ!
MIL Brewers 7-3 CHC Cubs (MIL leads, 2-0)
そしてTVの同じチャンネルが直ぐにこの試合に切り替わった…と思ったら鈴木さんが3ランHRを打って走ってた!!!!! 1回表 カブス 3点!!! あ、映像が止まったぞ。 TVが点いたら1回裏 ブルーワーズが3ランHR!! 3点。  ギャー! イマナガ様頑張って! 3回裏 あ~ブルーワーズ HR4点! シカゴなんとか頑張れ トウモロコシ畑の酒造ソーセージはイヤヤネン。 アラ~イマナガ様オツカレ~。 スワンソンサン頑張れ。 このブルーワーズ の投手ミジオロウスキも若いな 23歳だって。 このポストシーズンは若い人が沢山。 3回裏 ブルーワーズHR again! 4点!! ヤッパ酒蔵 ツヨイナ。 4回裏 ブルーワーズHR again! 7点! え CMの間にソーセージ・レース?? ポストシーズンなのに?笑  あ、終わった。ブルーワーズ強いね
※追記
ブルーワーズの新人ミジオロウスキ君23歳は、この試合で57球投げたうちの31球が100マイル (161キロ) 越え。一度は104.3マイル (167.8キロ) を記録したそうだ。身長も 201cm だって。どのチームも今年の新人はすごいね。


Tuesday, Oct. 7
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SEA Mariners 8-4 DET Tigers (SEA leads, 2-1)
雨で試合がオクレ あ 今別のチャンネルでやってた。 もう9回。スコアだけ見てるけど9回裏でタイガースが3点を入れたみたい。でもゲーム終わったのね。
NYY Yankees 9-6 TOR Blue Jays (TOR leads, 2-1)
録画して最初から少し遅れながら見てる。 1回表 ブルージェイズ攻撃。 いきなりゲレロ HR ブルージェイズ2点‼ 1回裏 ヤンキース 攻撃。 スタントン打ってヤンキース 1点3回表 Varsho打って ベリンが落とした! 3点、 Clement打って 4点、 ヤダフリード様がイル💕、Santander打って 6点。 オイオイオイオイオイ~。 3回裏 ジャッジ様打ったア~ 2点! ベリン君が打った。 米打って ジャッジを挟み撃ち。 スタントン打って 3点4
回裏 ジャッジ様 3ラン HR!!!!!🫡6点 同点!!!!! オモシロクナッテマイリマシタ。 観客が喜んでいい雰囲気になってますNY。 ジャッジ様キャッチ。 大活躍。 5回表 NYのティム・ヒルの妙ピッチは打ちにくいね。 5回裏 ジャズ君HR!!!!🫡 7点!!!!! ウェルズ打って 8点! なんとかこのままいって欲しいね。 6回裏 ブルージェイズのミスが目立つ。 米君打って9点!! …ヨシッ終った!


Wednesday, Oct. 8
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SEA vs. DET, Game 4 -- 3:08 p.m. ET (FS1)
MIL vs. CHC, Game 3 -- 5:08 p.m. ET (TBS, truTV, HBO Max)
TOR vs. NYY, Game 4 -- 7:08 p.m. ET (FS1)
PHI vs. LAD, Game 3 -- 9:08 p.m. ET (TBS, truTV, HBO Max)


Thursday, Oct. 9
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CHC vs. MIL, Game 4^ (TBS, truTV, HBO Max)
LAD vs. PHI, Game 4^ (TBS, truTV, HBO Max)


Friday, Oct. 10
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NYY vs. TOR, Game 5^ (FOX/FS1/FOX Deportes)
DET vs. SEA, Game 5^ (FOX/FS1/FOX Deportes)


Saturday, Oct. 11
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CHC vs. MIL, Game 5^ (TBS, truTV, HBO Max)
LAD vs. PHI, Game 5^ (TBS, truTV, HBO Max)

^(if necessary)






2025年10月2日木曜日

DHT Musical★『カム フロム アウェイ/Come from Away』





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Come from Away
Music & Lyrics by Irene Sankoff, David Hein
Book by Irene Sankoff, David Hein
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ホノルルのコミュニティー・シアター Diamond Head Theater(DHT)でミュージカル『カム フロム アウェイ/Come from Away』を見た。全く知らなかったミュージカルなのでYouTubeで少し予習。


2001年のニューヨークの同時多発テロの起こった日の朝、アメリカの領空が閉鎖されたことにより、世界各国から米国行きの飛行機がカナダ、ニューファンドランドのガンダー国際空港に緊急着陸することになった。その飛行機の数は38機。乗客は7000人…ガンダーの人口のほぼ倍増し。その乗客達がガンダーの人々と共に過ごした5日間を描く。実話を元にしたストーリー。


まず一番驚いたのは、ものすごい密度の芝居。台詞も多い。スピードも速い。語られる内容の情報量が多くて一言も聞き逃すことが出来ない。緊張感が続きっぱなしの芝居だった。そして途中の幕間もなし。一旦始まったら最後まで一気に突っ走る…ものすごい芝居/ミュージカルだった。このような芝居は初めて見た。

俳優さん達がそれぞれ一人で(衣装もほとんど変えずに)何役もこなすので驚いたが、一旦流れに馴染めば大丈夫。なんとか話にもついていける。感動した。素晴らしかった。私はミュージカルを見て泣くことはほとんどないけれど、この芝居は泣いた。大きな拍手。

9月に起こった事件であることからここの劇場の9月の演目として選ばれたのだろうと思う。内容は人種や宗教を超えて様々な人々が一か所に集まることで起こる人間模様。芝居中の様々な場面がリアルでショッキングで、またそれぞれの人物達の気持ちが身に染みて泣きそうになった。そしてあの2001年のあの時のことも思い出して何度か涙が出た。

全体のパワーに圧倒された。

役者さん達の頑張りがすごかった。このような芝居は見たことがない。圧倒されて最後は言葉もないほどだった。


ご存じの通りDHTはホノルルの(ほぼ)素人のコミュニティー・シアター。しかし質が高い。本当にすごかった。このことは前回の『スポンジボブ』でも書いたのだけど、とにかくこのコミュニティー・シアターは質が高い。プロ。もしかしたら時にプロ以上ではないかとさえ思う。


これは特殊な芝居だと思います。2001年の事件は皆がそれぞれに思い入れがある。あの事件で(私は)世の中が変わったと今も思ってます。その記憶の重みと、このミュージカルの素晴らしさが重なって様々なことが頭をめぐり、言葉にできないほど感動した。

会場の観客も最後のカーテンコールには全員が立ち上がってスタンディング・オベーション。今までDHTで何十回と芝居を見てきたけれど、劇場の観客全員が立ち上がったスタンディング・オベーションは初めてだと思う。皆が感動していた。私も手を叩きながら涙ぐんだ。すごい芝居だった。



それにしてもよくあれだけの内容が織り込めたものだと感心する。

一番の特徴は、場面が変わるごとに役者さんが何人もの役に入れ替わること。衣装も変えずに帽子を被るだけ、ジャケットを羽織るだけで一瞬で別の人物になりきる。本当に驚きます。

Bob:アフリカ系のニューヨーカー…同時にアフリカ人の乗客、飛行機の機長他
● Claude:ガンダーの市長…同時に隠れユダヤ教信者のお年寄り他
● Bonnie:動物保護施設勤務の女性ー…同時にイスラム系かアフリカ系の女性他
● Oz:警察官…同時に税関職員、バスのドライバー、ユダヤ教の指導者
● Kevin T:LAのビジネスオーナーでゲイの恋人と旅行中…同時に労働組合。ブッシュ大統領他
● Kevin J:上のケビンの恋人で秘書…同時にイスラム教徒のアリ、Dwight
● Nick:英国人のエンジニア…同時にMuhumuza and Captain Bristol
● Hannah:NYの消防士の母親…同時にMargie and Mickey
● Beverley:米国初の女性機長…同時にAnnette and Reporter
● Beulah:学校の先生…同時にDelores
● Janice:ニュースリポーター…同時にBritney and Flight Attendant
● Diane:テキサスの女性…同時にCrystal and Brenda

キャラクターが誰を演じているのか調べ、記憶に残るキャラクターを重ねてリストアップしてみた。ここに揚げたのは12人で、彼らがそれぞれまた別の人物達を演じているので、登場人物は全部で30人以上。(名前の無いエキストラも含めれば登場人物は100人いるという話も出てきた)。芝居を見ていて全ての30人以上のキャラクターがそれぞれ誰だかわかるのは奇跡だと思った。混乱が起きなかったのは脚本が素晴らしく、役者さん達の芝居が上手いからだろうと思う。本当にこのような芝居は見たことがない。


一番泣いたのはイスラム教徒のアリのストーリー。あの事件の後で、当時イスラム教徒や中近東出身の方々が大変辛い思いをなさっていたことは私にも記憶に残っている。私は彼らを見て恐れた側。あの時期の私は(ロンドンから米国東海岸へ、ロンドンから東京への)飛行機に乗るたびにそれらしい人々を見かけると反射的に怖いと思っていた。そう思う自分を止められなかった。彼らがあの時期にどれほど辛い思いをしたのかを思い出し、それが芝居として演じられている様子…アリの苦悩に涙が出た。それから様々な宗教の乗客達がそれぞれの場所で神に祈る場面でも涙が出た。これは多様な文化の人々のアイデンティティを尊重する話で、今不安定な時代だからこそ私の胸にも響いて涙が出た。

旦那Aも隣で何度か泣いていた。アメリカの国民が黙とうを捧げていた時、同じ時間にガンダーの人々が黙とうを捧げている場面で泣いていた。彼は同じ日にロンドンのオフィスで黙とうを捧げたことを思い出していた。様々な当時の記憶が頭に浮かんで涙が出たそうだ。



私達は2001年の当時ロンドンに住んでいた。旦那Aは元々はニューヨーク勤務の会社員で、ロンドンへは海外駐在員として仕事をしていた。ワールド・トレード・センターが攻撃された時、そのすぐ隣に彼の会社のオフィスがあった。テレビでニューヨークのツインタワーの様子を見て、ロンドンからニューヨークの同僚に電話し「早く逃げろ、会社から出て避難しろ」と叫んで伝えたそうだ。タワーのすぐ隣の建物の中のオフィスの同僚達は、すぐにはその状況を掴めていなかったらしい。タワーが崩れる前に同僚達はなんとか建物から無事避難できて全員無事だったそうだ。その時の街の…同僚が経験したタワーの直ぐ下の恐ろしい様子は旦那Aから少しだけ聞いた。またツインタワーにあった取引先の会社のNYのオフィスは飛行機の突っ込んだ場所の上にあって社員の方々が全員亡くなったことも聞いた。

たぶんあの時に人生観が変わったのだと思う。今もそう思っている。ロンドンで遠くにはいたけれど、(旦那Aから伝え聞いて)あまりにも身近なストーリーに心から震えあがった。

当時の事件があまりにも衝撃的だったから、このミュージカルにも言葉がないほど心揺さぶられるのだろうと思う。カナダの静かな町が、7000人を受け入れることになった非常事態。様々な角度からのリアルな描写に胸が詰まった。



セットは驚くほどシンプル。小道具は椅子やテーブルのみ。テーブルと椅子で管制塔と受け入れの避難所の場面を表現すれば、そのすぐ後には椅子を列に並べて飛行機の中の座席が並ぶ様子を描く。横に伸ばした板を縦に重ねたステージの後ろの壁は、避難所の壁でもあり、隙間に光を通すことで朝日を表現したり。シンプルなのにすぐに状況がわかる演出の創造性に驚かされる。

何役も演じる役者さん達は、全篇衣装が同じ。帽子を被ったり布を纏ったりジャケットを着るだけで別の人物になり変わる…芝居でアクセントや身振りを変えることで別の人物になる。そのアクセントの変化も見事だった。Kevinとアリを演じた役者さんのゲイの男性の優しい喋りと中近東のアクセントの違い、Nickは英国と米国のアクセントを使い分けているし、Bobはニューヨークとアフリカの方のアクセントや身振りを演じ分けている。素人と思えないほどの力技。あれだけの台詞を覚えるだけでも大変だろうに…本当に本当に凄い芝居でした。歌も上手い。全員がすごかった。

前面のオーケストラピットは閉じられていてステージを拡大。ミュージシャンたちはバンド形式でステージの後ろで演奏。このミュージカルは曲も素晴らしい。どの曲もとても聞きやすく馴染みやすい曲。曲がシンプルなおかげで歌の歌詞(台詞)がよく聞こえるのもいい。最後はバンドが前に出てきて演奏。観客も手を叩きながらバンドの演奏を楽しんだ。


このミュージカルの監督をなさったのは、女性機長の Beverleyを演じたChelsea LeValleyさん。彼女は本物のプロです。彼女はこの『Come Far Away』のワシントン州シアトルでのオリジナルの公演で、キャストのスタンドバイ(代役)を務め、また彼女はその後の(このミュージカルの)北米+カナダのツアーでBeverleyを演じたお方。彼女はこのミュージカルの経験豊かなプロ。DHTからオファーしてこの作品の監督指揮と主演をしてもらうことになったらしい。その彼女がこの「DHTの役者さん達の芝居を見て泣いた」との言葉がプログラムに書いてあった。

本当にすばらしいステージでした。見ることが出来てよかったです。素晴らしい作品に出会えてよかった。心から感謝してます。


2025年10月1日水曜日

MLB★2025 WILD CARD SERIESのスケジュールと結果記録



なんと…もうポストシーズンか…。もう10月じゃないか。ポストシーズンは始まってますよ。昨日は第1戦目でドジャースがすごかったみたい。今2試合目見てるけどいけそう。昨日は忙しくてうっかり見逃したのだけれど、なんとなんと…ヤンキースはマックス・フリード様が投げたのだそうだ。ぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええぇ!!!ショック…フリード様、今年はあなた様が見れるのでしょうか…。

だってねだってね、今年の最初のヤンキースVSドジャースの試合なんてフリード様が投げたのに、AppleTVのサブスクメンバーじゃないと見れないとかなんとか…で見ることができなかった。後で大谷さんがフリード様からHRを打った映像だけは見たわ。フリード様が膝に手をついてがっくりしてた笑。

去年もそうでしたけど今年はもっと集中できない。理由は政治ですね。政治のせいで不安で心が落ち着かない。じっくり腰を下ろして野球が見れるかな~どうかな。でも結果は知りたいのでいつものようにスケジュールと点だけは追っていこうと思います。


まず今年勝ち残ったチームは…


★アメリカン・リーグ

地区リーダー

東:ブルージェイズ/Toronto Blue Jays
 勝94– 68敗 ①

今年はトロントか ホ~
西:マリナーズ/Seattle Mariners
 勝90 – 72敗 ②

おおイチローさんのマリナーズ。ヨシヨシ
中:ガーディアンズ/Cleveland Guardians
 勝88 – 74敗 ③

クワンちゃんがいる💕

ワイルド・カード

東:ヤンキーズ/New York Yankees
 勝94 – 68敗 ④

なんとスコアはブルージェイズと同じよ ガンバレ
東:レッドソックス/Boston Red Sox
 勝89 – 73敗 ⑤
吉田っちがいる
中:タイガース/Detroit Tigers
 勝87 – 75 敗 ⑥
真ん中のチームはよく知らないのね

え、今年はアストロズがいないの?ぅわ~そうかー


★ナショナル・リーグ

地区リーダー

中:ブルーワーズ/Milwaukee Brewers
 勝97 – 65 敗 ①

今年は一番強かったぞソーセージ。
東:フィリーズ/Philadelphia Phillies
 勝96 – 66 敗 ②

フィリーズ今年も強いね。マーシュ君💕
西:ドジャース/Los Angeles Dodgers
 勝93 – 69 敗 ③

なんと今年はリーグ中3番目だったのね

ワイルド・カード

中:カブス/Chicago Cubs
 勝92 – 70 敗 ④
スズキ様。イマナガ様。タッカーも
西:パドレス/San Diego Padres
 勝90 – 72 敗 ⑤
ダル様。ここが勝つと面白い
中:レッズ/Cincinnati Reds
 勝83 – 79 敗 ⑥
デラクルス君がいる

今年はブレーブスがいないのね。真ん中のリーグが結構強かった。


さてもう今年も始まってます。サラッと結果を記録

赤 - アメリカン・リーグ
青 - ナショナル・リーグ

先に2回勝って勝ち抜き



WILD CARD SERIES
All times ET

Tuesday, Sept. 30
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DET Tigers 2-1 CLE Guardians (DET leads, 1-0)
CHC Cubs 3-1 SD Padres (CHC leads, 1-0)
BOS Red Sox 3-1 NY Yankees (BOS leads, 1-0)
吉田ッチがヒットを打ったって💕 YankeesはMaxフリード様💕ギャー
LAD Dodgers 10-5 CIN Reds 5 (LAD leads, 1-0)
大谷さんがHR2本!ヨシ!


Wednesday, Oct. 1
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✌️LAD Dodgers 8-4 CIN Reds (LAD wins, 2-0)
今8回。 6回から見てますよ。 山モーロがピッチャー。 6回から Dodgers にどかどかっと点が入った。 勝ちそうだね。 おっと9回ローキ君が出てきた!23歳で大舞台。 そうかクローザーか。 いいね。 あっ三振!2人目!あ終わった!よし、ヨシヨシヨシ、 勝ち進み 当然 次はフィリーズ
CLE Guardians 6-1 DET Tigers (Series tied, 1-1)
SD Padres 3-0 CHC Cubs (Series tied, 1-1)
今永さんが投げたって!💕
NYY Yankees 4-3 BOS Red Sox(Series tied, 1-1)


Thursday, Oct. 2
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✌️DET Tigers 6-3 CLE Guardians (DET wins, 2-1)
クワンちゃんをちょっと見た。タイガース勝利 次はマリナーズ
✌️CHC Cubs 3-1 SD Padres (CHC wins, 2-1) 
2回表から見る。ダル様よ💕タッカーと鈴木サン💕 ア、Cubs 点が入った。 ダル様交代、ア押し出し。 ダル様の方がよかったと思う。あ~ パドレス 残念。 鈴木サン今永サン ガンバレ!! 次はソーセージ
✌️NYY  Yankees 4-0 BOS Red Sox (NYY wins, 2-1) 
4回裏。 今TV点けた。 ベリンジャーが帰って来て1点!ヨシ、 ベリンちゃんがオジサンになってる。ワタシが見ると点が入る笑。 またドカドカ点が入り始めた NY4点!…あら あの後点が入らなかったのね。 いいところだけ見た。ヤンキース勝利!!! 次はブルージェイズ。



お猫様H:頑固な猫



今日のお写真。
猫さんが世界で一番好きなのはワタクシの膝。毎日この写真のような風景を1日に数回見ている。階段の踊り場(猫部屋のすぐ外)で人間が床に寝転れば、猫さんはお尻をぽんぽんをされながら顎を人間の膝にこすり付けナメナメ。
「あなたのお尻ばかりを見てもねぇ」と彼女を抱えてぐるりと方向を変え、彼女の顔を覗き込むように抱きしめるが、彼女は「あ~」と文句を言う。手を離せば彼女はまた向こうを向いて人間の膝に頬をすりすり。そんなわけでワタクシは毎日猫のお尻ばかり見ることになる。
彼女が向こうを向いてどのような顔をしているのか、腕を伸ばしてカメラを向けてみた。
カメラが嫌いなのだね。
人間は移動して彼女と向き合いながら顔マッサージをすることにした。
まんざらでもないらしい。
それにしても彼女の顔には白髪が増えた。人間と同じだ。口周りや目の周りに白髪が目立つ。
彼女は今年の9月ぐらいで12歳。先日病院に行ってきた。何の問題もないらしい。
お礼を受け取る。

そもそも猫というのは気まぐれで勝手な生き物なのだろうけれど、うちの娘は本当に頑固です。そして神経質。小さなことでもすぐに気分を変え、嫌だと言ったら絶対に嫌だ…ばかり言っている。

健康のためにお腹にいい缶フード、サイエンスダイエットの「BIOME」の箱を月々サブスクで購入しているのだけれど、彼女は製造ロットによって「これは臭いから食べない」と文句を言う。確かにとある賞味期限のロットだけほんの少し他と匂いが違う。与えると彼女は匂いを嗅いだだけで「臭い」と言って食べない。

7月と9月に送られてきた分が同じロットでそれが臭いらしい。2か月分の2箱で缶48個分、今のところ彼女はそれらを「臭い」と言って食べない。一旦嫌だとなったら頑固な彼女は絶対に食べない。そしてそれがまた彼女のストレスになる。

今まで食べていたロットのフードに、その「臭い新フード」を少量だけ混ぜ込んでなんとか食べさせているけれどこれからどうなるか。賞味期限が2027年8月なので、まだしばらく余裕はあるけれど…さてどうしよう。困った。

ところで半月前の前回、涼しい風が吹き始めたと書いたのだけれどここのところまた暑いです。




2025年9月28日日曜日

映画『エイジ・オブ・イノセンス/The Age of Innocence』(1993) :3回目…エレンは誘う女だったのか?そして不器用な男の普通の一生



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『The Age of Innocence』(1993)/米/カラー
/2h 19m/監督:Martin Scorsese』
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まだまだ続く『エイジ・オブ・イノセンス』祭り。その3回目。

この映画は一旦はまってしまうと色々なことが気になって、また見直せば新しく気付くことが出てきて、なかなか止められない。旦那Aが原作を読み始めたので、それでまた食事中によくこの映画のことを話しているのだけれど、気になったことが出てきたので早速購入したBlu-rayを見てみることにした。

人物達について、また新たに付け加えたいことが出てきたので書いておこう。1回目と2回目の感想で気付かなかった(文に書けなかった)人物の印象を改めて書き加えておきたい。自分用のメモで映画のストーリーを追っているので文章が長いです。年寄りは文章が長い。


この映画(小説)の面白さは心理描写の巧みさ。男女二人がゆっくりとゆっくりと近づいたり離れたりする…その様子をまったりと見る話なので退屈だと言えば退屈。しかし鑑賞する者が年齢を重ねていれば(物事を時間をかけてじっくりと見ることができれば)その心理描写の巧みさには心の底から驚かされる…そのような映画。100年以上前に書かれた小説なのにその心理描写のリアルさに本当に驚かされた。

この感想3回目は、主人公のニューランドとエレンの心の変化を追う。同じ時間の経過でそれぞれがどのように考え、お互いに反応し合っているのか、(ニューランドの結婚までの)彼らの行動を個別に追ってみようと思った。。

長いです。



★全篇ネタバレ注意



◆ エレン/マダム・オレンスカは誘う女だったのか?

ここに以前書いた感想で私は1回目は「エレンに色気が足りない」、そして2回目は「いや彼女はただただ孤独な悲しい女なのだ、傷ついた小鳥のようだ」と書いた。…しかしやはり彼女はそれだけでもなかったですね。

Blu-rayを見直したら彼女はかなり大胆な女性でもあった。そこがこのエレンの複雑なところ。


実際にエレンの内面は(ここで2回目の感想で書いた通り)ボロボロに傷ついている…欧州の生活に馴染めず、救いを求めてNYに帰ってきたらNYの社交界にも拒絶されてしまった。彼女はどこにも行き場所がない。ニューランドを「明日5時にうちに来てね」と突然家に招いて会話をしていたら、すぐに本音が出てエレンは彼の前で泣いてしまう。彼女は驚くほど弱ってます。


しかし表面では…社交の場での彼女は、お堅いNYの人々が眉をひそめるほど大胆で型破り。オペラのドレスも相応しくない。(まだ再会したばかりの)ニューランドにも突然「子供の頃あなた私にキスしたのよ」と茶目っ気たっぷりに笑いかける。

街の有力者が彼女をパーティーに招けば、派手なドレスを着て悠々と遅刻してやってくる。そしてあちらで男性と会話をしていたかと思えば、部屋の向こう側に顔見知りのニューランドを見付けて自ら部屋を横切りニューランドと二人きりになって話し始める(ルール違反の行動)。そしてニューランドと話し始めれば「メイとは本気なの?」などと失礼でストレートな質問をする(NYではありえない質問)。彼女は本音しか言わない。そしてニューランドにたしなめられるとエレンは一瞬で傷ついた顔になる。

彼女はあまりにもストレート。正直で感情もすぐ顔に出る。その正直でストレートな性格は、お堅い保守的なニューヨークの社交界には受け入れられない。そのことを彼女もわかっていて苦しんでいる。


パーティで彼女はまた大胆にも突然「明日5時に待ってるわ」とニューランドを家に招き、翌日は二人きりで腹を割って会話をする(これもルール違反だろう)。そして自分は「ニューヨークに受け入れられていない」こと、ニューヨークは「道路が真っ直ぐなように人ももっと正直だと思ってた。誰も本音を言わないの?」ニューランドが「皆あなたを助けようとしている」と言えば「私がめんどうを起こさなければね、本当に寂しいのは優しい人達も私にいい人のふりをするよう要求してくること…(意訳)」と突然涙をこぼす。

彼女は感情がふらふらと揺れていて予測不可能。精神的に崖っぷちに立っているのだろう。


欧州帰りのエレンは、当時のNYの上流階級の…本音と建前を使い分けるのが当り前の社会…全てがよそよそしく、会話も社交辞令ばかりで誰も本音を言わない。そしてその裏側では皆がひそひそと噂話をして、決してよそ者を受け入れない…そのような社交界に馴染めず苦しんでいるのだ。

ここでの2回目の感想で私は「彼女はもともと太陽のように明るい女の子だったのだろう」と書いた。子供の頃から大胆でよく笑う明るい女の子だったのだろう。子供の頃なら彼女もその陽気さでNYの大人達にも可愛がられたのだろうと思う。

しかし大人になった今、彼女はただただマナーを知らない、外国帰りの、異質の、問題を起こしそうな、ふしだらな、そして離婚しそうでスキャンダラスなアウトサイダーになってしまった。NYの狭い社交界は彼女の帰郷を歓迎していない。彼女は社会の平和を乱す問題のある女だと受け止められている。


彼女がニューランドを大胆に家に誘ったり、突然彼の前で涙を流す姿を見て、「エレンは婚約者のいるニューランドを誘う悪い女なのか」と受け取る人もいるかもしれない。しかし私はそう思わない。彼女のあの…男性に戯れかけるような誘うような笑顔は、長年の欧州での寂しさからいつの間にか身についた習慣、癖のようなものだろうと思った。

彼女は美しい。彼女が笑いかければ優しくしてくれる男性はいくらでもいる。欧州の生活でとても孤独で友人もいなかった彼女は、いつしか優しそうな男性を見かければ花のような笑顔で笑いかけ、その場限りの浮ついた会話をすることが癖になってしまったのだろう。

…私には見えるのだ。彼女が欧州の貴族ばかりの集まるパーティーで、誰にも相手にされずにぽつんと一人ソファーに座っている姿が。そんな時にたまたま声をかけてくれた親切な優しい男性に最高の笑顔で笑いかければ、とりあえずはその場の会話の相手を確保することも出来たのだろう。

だから、彼女のニューランドに対する大胆なアプローチは、彼女にとって最初はそれほどの意味はなかったのだろうと思われる。彼女はただ正直に本音が言える友人が欲しかっただけ。幼馴染のニューランドなら彼女も心を開いて正直になれる…友人として話ができると思ったのだろう。


最初に彼女がニューランドを意識したのは「黄色い薔薇」だろうか。ニューランドの最初の訪問時に、彼女は涙を流した。その後ニューランドは親切心で薔薇を贈ったのだが、エレンはその薔薇のことをメイに話していない。


そして今度は弁護士のニューランドがエレンの離婚に関するアドバイスをすることになった。ニューランドはまたエレンの家を訪ねる。そこでエレンは厳しい現実(NYで離婚をするのは世間体が悪くエレンは社会的立場を失うこと)をニューランドから告げられる。エレンはまた傷ついた顔をする。しかしまた同時に、ニューランドが(弁護士として)彼女の欧州での問題の全てを知ったことは、彼女がニューランドにますます心を開くきっかけにもなった…「ニューランドには何も隠すことはない」。

その後のある夜に皆で芝居を見ている。その日、メイは冬の寒さを避けてフロリダのSt. Augustineに滞在中で不在。ここでエレンは初めてニューランドを意図的に誘う。「あの芝居の恋人は彼女に黄色い薔薇を贈るのかしらね?」ニューランドも「そう考えてました」と戸惑いながら告げる。「メイがいない時は何してるの?」(←完全に誘ってます)。「仕事してます」と戸惑いながら答えるニューランド。そしてエレンは「あなたには感謝してるのよ」とニューランドを見つめながらすがるように告げる。エレンはこの場面でニューランドを誘ってます。誘惑してる。


ニューランドはその夜、黄色の薔薇を彼女に贈ろうとするがあいにく花屋に黄色の薔薇はなかった。直ぐに連絡をするがエレンからは返事が来ない(←彼女は相手を押して、引いて、焦らして…)。そして3日後にカントリー・ハウスにいるエレンから手紙が届いた「あなたがここにいればいいのに」。直ぐにニューランドはいそいそとエレンに会いに行く。

この家の中で、エレンはニューランドの後ろから近づいて手を繋ぐ。ここで彼女もニューランドに情が移ったのだと思った。

その後突然、ニューランドはフロリダで休暇中のメイを訪ね結婚を急ごうと話をしている。真面目な堅物の彼も自分の心の動きに大変迷っているのだろう(後述)。

その後、祖母のミンゴット夫人の家でエレンとニューランドは一瞬すれ違い、すぐにまたエレンの家での密会。ここで二人はしっかりと抱き合う。エレンは「欧州の夫から離婚をすれば、メイとニューランドの家族の家名に傷をつける。自由になれない。しかしそれは辛い。でもニューランドは私を助けてくれた」と泣く。

そしてニューランドとメイの結婚が決まる。



◆ 真面目な普通の人ニューランドは戸惑い迷い優柔不断(リアル)

まずこのキャラクターの特徴は真面目なこと。とにかく真面目で堅物。彼は(何事も変わることのない安定した、しかし窮屈な)NYの上流階級で育った真面目な男、職業もお堅い弁護士。きちんとした家で育ち成績も優秀。良家の娘メイとの結婚も決まっていて、最初は自分の安定した人生になんの疑問も抱いていなかったと思われる。冒頭のオペラの後の舞踏会でも婚約者のメイをとても愛している様子が描かれている。彼はまさになんの濁りも無いまっとうな人生を歩き始めようとしていた。


そこにエレンが現れる。エレン/マダム・オレンスカは彼の婚約者メイの従妹。欧州帰りの型破りでルール破りな彼女は彼の幼馴染だった。オペラ座でエレンに久しぶりに再会した時、エレンは突然「あなた子供の頃私にキスしたのよ」とニューランドに笑いかける。ニューランドはただ戸惑っている。ちょっとドキッとしたかもしれない。しかしその場面はそこまで。


次に街の有力者のパーティー。エレンは(NYにあまり友人がいないからだろう)ニューランドを遠くに見つけると、それまで話していた男性から離れて部屋を横切ってニューランドに会いに来る。ニューランドはドキドキしている。そこで二人は昔からの友人のように親しく話し始める。彼女の言葉はストレート。上品とも言い難い内容。欧州からのゲストの悪口を言って笑い、そしてニューランドに「婚約者のメイとは本気なの?」と失礼なほど直接的な質問を投げかける「メイとの結婚はアレンジされたわけじゃないの?(意訳)」。その言葉にニューランドはびっくりして言葉を返す「ここではアレンジなんてことはないんですよ」。その言葉を「拒絶」だと受け取ったエレンは一瞬で傷ついたような顔をする。それを見てエレンに謝るニューランド。彼はあくまでも紳士なのだ。

この時のニューランドの表情が秀逸。まるで綺麗なお姉さんと嬉し恥ずかし…初めてお話しをする中学生のような顔をする笑。エレンの隣で照れて照れてにやにやと薄笑いを続けている。上手い役者さん。エレンの振舞いのひとつひとつに驚きながらもやっぱり彼は綺麗でエキサイティングなエレンとの会話がとても嬉しいのだろうね。

パーティーの最後でエレンは彼に「じゃあ明日の5時に待ってるわ」と急に告げる。あまりにも急な申し出にびっくりするがニューランドは断れない。なぜなら彼は紳士だから。彼は軽く会釈をする。エレンには驚かされることばかり。


そして翌日の午後5時、ニューランドはエレンに会いに行く。家でエレンの帰宅を待っている間、ニューランドは彼女の部屋の様子を眺めている。彼女の部屋は彼が今までに見たことのない興味深い物で溢れている。初期の印象派とも呼べる絵(イタリアの画家Giovanni Fattori)や、ブロンズ製のお面などが部屋を飾る。ソファーの上にはエキゾチックな布。彼女はそれらを欧州から持ち帰ったものだと言う。異国趣味に溢れる部屋にニューランドはとても興味を引かれる。そしてミステリアスなエレンにも興味を持ち始めているのだろう。

前日のパーティではニューランドは中学生のようににやにやしていたけれど、この場面のニューランドの話し方はかなりお堅い…よそよそしいほどの真面目な口調で話しているように聞こえる。エレンと二人だけになって緊張しているのだろうか。しかしその堅苦しさもエレンの涙を見て変わっていく。彼はエレンに近づき「マダム・オレンスカ」と話しかけ、直ぐに「エレン」と呼びかけて手を握る。彼は真面目で優しい男なのだ。泣く女性を目の前にして少し彼の心が動いたと思う。いやこの場面こそが、ニューランドの心が大きく動いた時なのだろうと私は思った。そしてその帰り道でニューランドはエレンに黄色い薔薇を贈る。あくまでも思いやりから。


その後彼の弁護士事務所がエレンの離婚に関わるケースを扱うことになった。事務所とエレンの家族からは「エレンが離婚をしないように」アドバイスするように言われている…なぜなら、メイの従妹のエレンが離婚をすれば家族にとって世間体が悪いから…それはメイの家族、そして夫になるニューランドの家族も傷つけることになる。

ニューランドはエレンを再訪。玄関に入ると、エレンの(親しすぎる)友人のボーフォートの声が聞こえてきてがっかりする。立ち去るボーフォートが「今度アーティストを招いて食事でもしようか」などとエレンに言うのを聞いて、ニューランドは「私も画家なら知ってる…」と会話に割り込んでいる。ここでニューランドは、明らかにボーフォートに嫉妬しているし、多少ライバル心も芽生えている。それにピンときたボーフォートが彼を笑う。

そして二人はエレンの離婚について話をする。ニューランドは真面目な男なので、離婚をしたいと言うエレンに「離婚は勧められない」と伝える。離婚をすれば彼女自身が傷つくことになると諭そうとする。しかしそれはエレンには通じない。離婚をすればエレンは自由になれるが、NYの社交界では生きていけなくなる、そしてエレンは欧州には戻りたくない。ニューランドは弁護士として、友人として、彼女に離婚は勧められないと言うものの問題は簡単ではない。ニューランドはエレンを救いたいが、家族のしがらみ、それからエレンのためにも離婚は進められない。そのことで彼は悩む。なぜならニューランドはあくまでも真面目で親切な男だからだ。最後にエレンは「おやすみ従兄弟さん」と言葉をかける。


その後また皆で演劇を見に行く。そこでニューランドはボックス席にエレンを訪ねる。エレンは「あの(劇中の)恋人はあの後黄色い薔薇を送るのかしらね?」とニューランドに話しかける。戸惑いながらニューランドは「私もそれを考えてました」と言う。ああ、ここでとうとうエレンが一歩踏み出していて、ニューランドもそれに答えてますね。そしてエレンは(メイがフロリダで休暇中であることから)「メイがいない間、何してるの?」と聞く。戸惑いながらニューランド「仕事してます」と言う。このぎこちないやり取りのまぁリアルなこと。

ニューランドはあくまでも真面目な男。だから「メイがいない間、何してるの?」と聞かれても「じゃあ今度二人だけで会おうか」とは決して言えない。言わない。彼は堅物だから。遊び人のボーフォートなら間違いなく言っていただろう。

そしてその夜、ニューランドはすぐに黄色の薔薇を探すが見つからず、エレンに連絡をするが返事はない。やきもきしていたら3日後にエレンから「カントリーハウスにいるの。あなたがここにいればいいのに」などと手紙がきた。

もうこの時点でニューランドは自分を抑えられなくなっている。いそいそとエレンに会いに出かけるニューランド。そして二人とも恋人同士のように親しく話をする。ニューランドはなんと…エレンが彼を後ろからハグしてくれないかと妄想までしている笑。彼はとうとうエレンを好きになってしまったらしい。窓に立つニューランドに後ろから近付いたエレンは、そっとニューランドの手を握る。ああ。

ところがすぐ後にボーフォートがやって来て二人の時間は台無しになってしまう。ボーフォートもすでにニューランドの気持ちに気付いているのだろう。


その夜、ニューランドは家に帰って来てからもイライラし続ける。ボーフォートに嫉妬しているのだ。ニューランドの揺れる心。ボーフォートと親しく付き合うエレンにもまた腹を立てている。しかし彼はこのまま運命に流されてしまうことも危惧してもいる。「自分の未来に生き埋めにされそうな気がする」とさえ思う。エレンがメッセージを書いて「会いたい」と言ってくるが、ニューランドはそれを握りつぶす。


そしてニューランドはフロリダで休暇中のメイを訪ねる。そして「結婚の予定日を早めよう」などと言っている。ところがメイは勘が鋭い「誰かいるの?」などと聞いてくるのでニューランドはドキッとする。薄笑いをしながら「誰もいない」と言ってメイを落ち着かせるが、どう見ても彼は結婚を進めて問題(あいまいなエレンとの仲)を終わらせ過去のものにしたいと思っているように見える。

直ぐにメイの祖母のミンゴット夫人を訪ねて結婚を進める相談をするニューランド。ここでミンゴット夫人はニューランドの複雑な気持ちに気付いているらしい。「エレンはまだ結婚しているのよ」とニューランドに釘を刺す。困ったような顔をするニューランド。そこへエレンが訪ねてくる。別れ際にニューランドはエレンに「会いたい」と囁く。


この辺りの矛盾した彼の行動で、ニューランドがいかにも迷っているのだろうと思わされる。ニューランドは、エレンに明らかに惹かれているのに深入りすることを恐れ、また遊び人のボーフォートとつき合うエレンに腹を立て、わざわざフロリダのメイを訪ねて「早く結婚しよう」などと伝えている。彼が自分を迷わすトラブル(エレン)から逃げてさっさとメイと結婚して落ち着きたいと思っているのは事実でもあるのだろう。あくまでもニューランドは真面目で保守の男なのだ。道を踏み外すこをと何よりも恐れているのだ。

しかしエレンを見かけるとまた反対の行動をしてしまう。「会いたい」と彼女に囁き、エレンの家を訪ね、二人だけの親密な時間を過ごす。ここでニューランドは初めて(メイが言うところの)「誰か」がエレンであることをエレン本人に告げる(とうとう告白する)。二人は涙ながらに抱き合う。

そこへメイから「結婚を早く進める」ことを告げるメッセージが届いた。ニューランドは予定通りメイと結婚する。これでニューランドの人生は決定してしまった。


ニューランドとメイが結婚して、エレンはワシントンDCに移住している。その後ニューランドは結婚してしばらく落ち着いたように見えたが、次第にメイとの結婚生活に退屈してくる。メイは何事にも用心深く新しいことを好まないのだ。

記憶の中のエレンは、欧州帰りでエキゾチック、言葉もストレートで正直でエキサイティング。エレンの家には興味深いアートが溢れ、彼女は文化の教養にも優れ、なによりも彼女との会話のキャッチボールは刺激的で楽しい。キラキラと聡明で刺激的なエレンと退屈なメイを比べてニューランドは絶望している。


その後エレンとニューランドは2度ほど会うのだが物事は進まない。NYに帰ってきたエレンとの馬車の中での密会もその時だけで何も進まない。ニューランドはますますエレンを熱望する。

メイとの結婚生活に退屈し、ニューランドは自らが「死んでいる」などと思っている。(異国の文化の)浮世絵の本を眺めながらメイの笑顔にもうんざりしている。


映画の後半で、ニューランドがメイに本音を告げようとする場面の緊張感は秀逸。妻に本音を告げようとするニューランドの勇気は、毎回メイの言葉に潰されてしまう。次第にメイが恐ろしい怪物のように見えてくる。ニューランドがなんとかエレンに近づこうとするたびに、妻のメイもNYの狭い社会もそれを阻む。そしてとうとうエレンはNYを離れ欧州に帰ることになった。そうなるようにメイが全ての流れを作っていたのが最後に明らかになる。

メイは戦いに勝った。地に足をつけて夫を縛り付けた。見事。


そしてニューランドはとうとう普通の男の人生を受け入れ、まっとうな男として、夫として、父親として模範的な一生を送ることになる。



しかし映画を見終わった後で私は考えた…ニューランドにはそもそもエレンと共に道をはずれる勇気がなかったのではないかと。

人とはそういうもの。ほとんどの普通の人々とはそういうものだと私は思う。ニューランドは真面目で親切で紳士的で優しくて…しかしそんな真面目な人だからこそ彼は冒険をすることができなかった。細やかな心理描写で驚くほどリアルな、普通の…不器用な人々の悲恋もののストーリー。自分を抑えたり勇気を出せなかったり…大抵の普通の人とはそういうものだろう。

だからこの話は色褪せない。



Blu-rayで見てみたら、Netflixより映像も音もクリアで驚いた。とても綺麗。セットや衣装に凝った映画なのでこれからも何度も見直すだろう。手に入れてよかったと思う。エクストラも沢山…スコセッシ監督や共同脚本家、舞台監督、衣装デザイナーのインタビュー、そしてメイキング・オブの映像もあってとてもいいパッケージだった。


映画『エイジ・オブ・イノセンス/The Age of Innocence』(1993) :3回目…エレンは誘う女だったのか?そして不器用な男の普通の一生
映画『エイジ・オブ・イノセンス/The Age of Innocence』(1993) :2回目の鑑賞で本質を知る…傑作でしょう


 

2025年9月25日木曜日

映画『エイジ・オブ・イノセンス/The Age of Innocence』(1993) :2回目鑑賞で本質を知る…傑作でしょう





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『The Age of Innocence』(1993)/米/カラー
/2h 19m/監督:Martin Scorsese』
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2回目に見た感想です。

というわけで1回目に見たときは、映画のゆっくりなペースに慣れず、内容も「あまり動きがない」「退屈」などと思ってしまい(正直に)途中で寝そうになったりして…スコセッシ監督には大変失礼な鑑賞の仕方をしてしまった。

それでもこの映画が丁寧に作られているのはよくわかったので「セットが凝っていて素晴らしい」「ダニエル・デイ・ルイス」の堅物ぶりが大変上手い!」などと書き、また「ミシェル・ファイファーはセクシーじゃないから役に合わないかも」などと私はここに書いた。

1回目にはそのような…作品に対して大変失礼な鑑賞態度でいい加減な感想を書いたのだけれど…実はそのことが気になっていた。旦那Aともその後数日間。毎晩食事の時にこの映画のことについて会話を続けた。そしてスコセッシ監督のインタビューもYouTubeでいくつか見てみたら、ますます映画のことが気になり始めた。

「もう一回見たほうがいいと思う」

それでNetflixでもう一度見てみることにした。最初は「ちょっと豪邸の内装を見直したい」ぐらいの軽い気持ちだったのに、結局一気に最後まで見てしまった。

感想が変わりました。そのことを書きたい。




★全篇ネタバレ注意



まず反省。私は内容を全く理解していなかった。これは恥ずかしい。

まず主人公のとらえ方が間違っていた。1回目に見た時、私はこの話は「お堅い弁護士ニューランド・アーチャー(ダニエル・デイ・ルイス)の話だと思った。彼が欧州帰りの美女に心惑わされるのだが、お堅い奥さんメイ・ウェランド(ウィノナ・ライダー)にがっつり抑え込まれる話」だと思っていた。

そうではない。
この話の主人公は二人です。

もう一人の主人公はもちろん「欧州帰りの美女エレン・オレンスカ伯爵夫人(ミシェル・ファイファー)」。1回目の鑑賞では、私はミシェル・ファイファーの演じるこの「欧州帰りの美女エレン」のことが全くわかっていなかった。大反省。

この映画は、惹かれあっても一緒になれなかった男女の悲恋モノです。
あ~全然わかっていなかった。反省反省。



まず欧州帰りの美女エレン・オレンスカ伯爵夫人(ファイファー)の(私の想像も含めた)ストーリーを書いておこう。

エレンは裕福なニューヨークの上流階級の出身だが、両親の都合でNYと欧州を行き来きして育った。(映画での)彼女は金色の髪で青い目で大変美しい。子供の頃の彼女は性格も明るくコロコロとよく笑う太陽のような女の子だったのだろう(たぶん)。彼女は子供の頃にNYに一時的に帰ってきていた時、同世代のニューランド(デイ・ルイス)に出会った。ニューランドはキラキラと綺麗なエレンに惹かれて思わず彼女にキスをしたらしい(二人にはそんな思い出がある)。

その後エレンは若くしてポーランドの伯爵に嫁いだ。しかし結婚は上手くいかなかった。異国に嫁いだエレンの生活はとても辛いものだった。…「欧州人とのモラルの違い」「エレンは米国の成金の娘だと笑われて欧州の貴族に受け入れられない」「夫はエレンに退屈してよその女性と浮気をする」などなど…エレンは欧州の貴族の社交界の中で友人もできないまま、たったひとり孤独で、苦しみ、傷ついた。とてつもなく寂しかった。寂しさから道ならぬ恋にも落ちた(スキャンダラス)。

元々はお堅いニューヨークの上流階級の出身だった真面目なエレンは異国での結婚で不幸になった。明るかった彼女の笑顔には大きな影が射すようになった。きらきらと輝いていたサファイアのような目は哀しみを湛えるようになった。

欧州での暮らしに耐えられず、エレンは一人ニューヨークに帰ってきた。彼女はボロボロに傷ついていた。故郷に帰ってくれば皆に温かく迎えてもらえると思っていた。しかしニューヨークの社交界は彼女を冷たく拒絶する。


当時19世紀末のニューヨークの上流社会は大変狭く堅苦しい世界。当時の上流階級の人々は狭い世界の中で自由の無い窮屈な生活を送っていた。どのような事情でもスキャンダルは決して許されない。そして彼らは異質のものや異分子を嫌う。彼らは驚くほど排他的。彼らは自分達の富と平和な日常を守るために、顔見知りばかりの狭い社交界の中で家柄や富で格付けをし合いながら(ゴシップを噂しながら)、その狭いサークルの中だけで生活をしている。

彼らがよそ者を受け入れることはない。

そんなニューヨークに帰ってきたエレン。彼女が「温かい故郷」だと思っていたNYは彼女に冷たかった。初めて従妹の家族と劇場にオペラを見に行けば、社交界の皆がひそひそと囁きながらオペラグラスで彼女を観察する「オレンスカ伯爵夫人て…あの人どんな人なの?伯爵夫人とはいっても上手くいかなかったらしいわよ。離婚するって噂よ。スキャンダラスね。見てよあの変なドレス。皆の集まるオペラによくやってこれるものだわ。恥知らずね。嫌ね…」。

また彼女の名前で人々にパーティーの招待状を送れば、皆が「残念ながら予定があって…」などと丁寧な断りの手紙を送り返してきて誰も来ることはない。彼女はパーティーを催すことさえできない。エレンは故郷のニューヨークが「欧州よりもっと孤独」だと思い知ることになった。

彼女は寂しい。孤独なのだ。

ニューヨークに帰ってきた彼女には欧州人の夫との離婚話も出ている(あいまいだが)。そのサポートに選ばれたのが堅物の弁護士ニューランド・アーチャーだった。それがこの二人の話のはじまり。


まずなによりもこの話は、女性作家のイーディス・ウォートンが書いた作品であることを忘れてはいけない。男性のニューランドが主人公だというよりも、むしろ作家は同じ女性…不幸なエレンの悲しい状況に心を寄せていたのだろうとも思われる。もしかしたらウォートンは実際にエレンのような不運な女性に当時のNYの社交界で出会ったのかもしれない。


その後のストーリーは、真面目な堅物のニューランドが次第にエレンに惹かれていく話。

恋の始まりは、ニューランドが弁護士としてエレンの家を最初に訪ねた場面。前日のパーティーでエレンに「明日5時にね」と誘われてのこのこ彼女の家に訪ねてきたニューランド。会話をしていたら突然エレンが泣く。 このエレンの突然の涙で、堅物のニューランドはほろっとしてしまったのだろう。わかるわ。(内容が間違っていたので修正しました)


まず…私が何を反省しているのかと言えば、ミシェル・ファイファーのエレンはセクシーむんむんな誘う女である必要はなかったのよ大笑 照れ笑。


エレンは羽の折れた鳥のように弱っていて、悲しくて、孤独で…欧州でも孤独だったが、ニューヨークではもっと孤独で…どこにも救いのない傷ついた女性なのですね。子供の頃からよく笑う明るい少女だったエレンは今も社交界では笑顔で明るく振舞っているけれど、心の中には深い闇がある。実はとてつもなく孤独な女性だった。

ニューランドは真面目で優しい人なのだろう。真面目にこの傷ついた女性を救おうと彼はエレンに手を差し伸べる。彼も最初は親切心からエレンを救おうとしていただけなのに、次第に自分から求めてエレンに会いたくなってしまう。エレンを見かけるだけで嬉しくなってしまう。少しづつ(ニューランド本人も気付かないうちに)彼はエレンにぞっこんになってしまう。(大人だから)フィジカルに惹かれ始めてしまうのも止められない。もう止められない。

そのあたりの描写が上手い。とてもゆっくりと二人の気持ちが変化していく。「あれ、いつからあの人が気になったんだっけ?」というようなおだやかな恋の始まりは今でもよくある話。まさにニューランドの恋は、じわじわと始まっていたのですね。きっかけはエレンが最初に泣いた時だと私は思う。



そんなわけでこの映画(話し)は全篇ず~っとこの二人が近づきそうで近づけず、上手くいきそうでも誰かが邪魔をしたりと、二人が近づいたり離れたりを繰り返してゆるゆるとまったり2時間、彼らの恋の行方を見る…そのような映画。



その邪魔をする人物の一人が、ニューランドの婚約者で後の奥さんのメイ(ウィノナ・ライダー)。彼女の台詞をよく聞いていると、それはそれは見事にかなり初期の頃から「女の感」を研ぎ澄ませて「ニューランドの迷う心」に気付いているのがわかる。女の感は鋭い。

例えば…
ニューランドが(思いやりで)「エレンに花を送ったんだ」とメイに告げる場面。メイが「エレンは私に言わなかったわよ」 …それでエレンはピーンとくるわけだ。正直に事実を告げたニューランドはともかく、(ニューランドから花を贈られたことを隠した)エレンの下心をすぐに感知したのだろう。メイはその場ですぐにニューランドの目を見つめながら「I love you」と何度も訴えかける。…メイはエレンが手ごわい敵だと思ったのだろう。気付くのが早いのですよね。すごいな。そしてその後も…ストーリーの最後まで場の流れを操るメイの強さには…正直イライラさせられるほど。

もう一人、二人の邪魔をする人物はエレンとメイの祖母のミセス・ミンゴット(ミリアム・マーゴリーズ)。彼女は、エレンとニューランドの仲に気付いたのか、彼らを牽制するような言葉を言ったり、また反対に妙なタイミングでエレンとニューランドを二人だけにしたりする。彼女はただ若い人たちを操って様子を見て楽しんでいるだけなのか。不思議でもあり(こういう人もいるかもしれぬと)リアルでもあり。

そして最後に、エレンとニューランドの仲を知った狭いNYの社交界が二人の関係を引き裂こうとすることにも恐ろしくなる。まるで小さな村のように人の悪口とゴシップをひそひそと噂話ししながらこの社交界の人々は「個人」が決して問題を起こさないようにに監視し「正しい生き方」を強制する…その様子を見ていて心が苦しくなった。

もしかしたら作家のイーディス・ウォートンも、当時の上流社会の空気を息苦しいと感じていたのかもしれぬとも思った。


そんなわけで…私が1回目に見て気付いていなかったのがミシェル・ファイファーのエレンのあまりにも悲しい状況。しかし彼女の孤独を理解しなければ、ニューランドがなぜ彼女に惹かれたのかも理解していなかったことになる。ニューランドは決してむちむちのセクシー美女に惹かれたのではない。ニューランドは傷ついた小鳥のようなか細く弱々しい女性を守ってあげたいと思って惹かれたのですね。細いミシェル・ファイファーにぴったりの役だった。

2回目に全てのことがわかった上で細かいところに注意をしながら再度鑑賞したら、この作品は本当によくできた映画だということがよくわかった。あらためて反省。

…言い訳をするなら、この映画全体が重厚で情報が多く、あまりにも多くのことに気が散ってしまって、1回見ただけでは(ただでさえゆっくりのペースの話で)人物達の人となりまでは掘り下げて見ることが出来なかったのも理由。それほどこの映画は様々な見どころが沢山。本当に沢山。さらっと1回だけ見てそれで全部がわかる映画ではないと思う。

この映画は本を読むように2回以上じっくりと見ることをお勧めします。

1回目に見えなかった色んな事が見えてきます。時代考証も丁寧にされていて大変素晴らしい。衣装も家の内装も、テーブル上のロイヤル・クラウン・ダービーの食器も大変美しい。役者さん達の演技も最高。脚本も(ナレーションも含め原作からそのままの台詞も多く)100年も前に書かれた小説の再現として最高の傑作だと思います。スコセッシ監督の本気が見える。すごい監督さんだと思う。


印象に残っている場面…
1時間30分を過ぎた頃からニューランドがエレンに本気になる。メイと部屋で二人きりになった時の空気の重さが秀逸。ニューランドの心は完全にエレンに向いていてメイに嫌悪感さえ感じている。日本の浮世絵の本を見ながら(異国のものに夢を見ている)、目の前のメイを見てイライラするニューランド。この結婚で「私は死んでいる」…自分はメイとの結婚に囚われている…あのエレンと共に自由になりたいと熱望するニューランドを思わず応援したくもなる。

しかしその後もニューランドがしがらみから抜け出そうとするたびにメイが彼に絡みつく。何度もメイが巧みに流れを作ってニューランドは決して逃れられない。見ているこちらまでメイにイライラさせられるのは役者さん達が上手いから。メイの最後の告白でニューランドは死刑宣告を受けたような顔をする。ダニエル・デイ・ルイスもすごいがウィノナ・ライダーも素晴らしい。

そしてストーリーは進み…最後にメイのその後がナレーションで語られる。可愛らしいメイは実は非常に意志の強い女性で、晩年は子供達でさえ彼女に口答えするのはやめた(だったかな)…などとあって、彼女は頑固で変化を好まない…真面目過ぎて堅苦しい人物だったとのこと。それを聞いてまた「彼女と過ごしたニューランドの一生はどのようなものだったのだろう」と考えずにはいられない。なんとも言えない気持ちになる。

映画の最後の印象は、旦那Aも私も暫く無言で…「悲しいね」と一言。いかにも昔の時代の話ですね。じんわりと悲しく深く心に響く映画。一言では語れないです。


しばらくこの映画のことを考え続けてますます知りたくなり、また米国のNetflixが9月30日でこの映画の配信を終了する…ことを知り、思い切ってBlu-rayを購入した。それから旦那Aが「原作を読みたい」というので同時に原作も購入。共にアマゾン。ちょっと嬉しい。Aはすでに原作を読み始めた。この映画がいかに丁寧に原作を再現しているのかに感心している。いつか私も読めればいいな。





2025年9月24日水曜日

ジミー・キンメル/Jimmy Kimmel氏のトークショー番組復帰!そして『NewsNation』



今日は水曜日24日。昨日23日火曜日の夜10時30分、私はテレビの前に座って待機した。先週9月17日から放送中止となっていたABCの人気深夜番組『ジミー・キンメル・ライブ!/Jimmy Kimmel Live!』が復活したというので見てみようと思った。

ジミーさん、冒頭のモノローグで沢山泣いてた。涙ぐんでた。私もちょっと涙ぐんた。彼が復帰してよかった。よかったよかった。

彼は正直な人なのだろう。私は普段から米国のトークショーやニュースショーのプレゼンターを見て「この人の本当の顔はどんな感じなのだろう」とよく考えるのだけれど、ジミー・キンメルさんはかなり正直な人なんじゃないかな。そういえば彼のことは去年の11月の選挙の後にもここで取り上げていた。あの時も彼は泣いていた。男が泣くなんてとちょっとビックリしたのだけれど彼は普段からそういうお方なのだろう。正直な感情が出やすい人。テレビの中の人とはいえ、そういうお方にはちょっと心が動く。

ジミ・キンメルさんが復活できて本当によかった。


番組中止の話を最初に聞いた時はとても驚いた。いよいよやばくなってきたと思った。言論統制などという言葉が頭に浮かぶ。私は日本人でこの国では移民の一人なので、ここのところ数か月のこの国の動きを見ながら不安は募るばかり。しかしそのような不安をここに書くわけにもいかない。書けばそれが後で仇になるかもしれない。怖い。実際にそのような不安がここ数か月ず~っと続いている。


番組にキンメルさんが出てきて会場の人々と一緒に拍手した。

「But I want to make something clear, because it’s important to me as a human, and that is – you understand that it was never my intention to make light of the murder of a young man."
しかし、人として私にとって重要なことなのではっきりさせておきたいと思います。それは若い男性の殺人事件を軽視するつもりでは決してなかったということを皆さんに理解していただきたいということです」

そして彼は涙ぐんだ。私も泣く。
彼が戻ってきてくれて本当によかった。



ディズニーの決定とその後

今回のABCチャンネルの親会社であるディズニーの決定は、各界にかなり大きなショックを与えたらしい。私もそのABCの告知の文章に「indefinitely suspended/無期限停止」の言葉を見てそのトーンの強さに驚いた。

番組終了といえば、今年の7月にもCBSの(同じ時間帯の)人気トークショー『レイト・ショー・ウィズ・スティーブン・コルベア/The Late Show with Stephen Colbert』が、来年5月で終了だと発表されたばかり。それに対してト氏がはしゃいで喜んでいる情報も流れてきた。…コルベアが終わり、そしてキンメル、それに続いて他のトーク番組、ジミー・ファロンにセス・マイヤーズも…などという話も出てくるほどで…とにかく「こうやってアメリカは変わっていくのか」と不安は重なるばかり。


キンメル氏の番組がなぜ再開したのかの理由は…
ディズニーによる「この番組の無期限停止」を受けて、数多くの彼のファンやリベラルの人々がディズニー傘下の「Disney+」や「Hulu」などのサブスクをキャンセルしたこと、それから有名人の多くが「言論の自由」への心配を表明したことによるものらしい。納得ですね。(政治的な派閥の)片方がもう片方を完全に黙らせることが、この「自由の国」でできるはずがない。


もう分断を煽らない

ジミーさんはまた、亡くなったCharlie Kirk氏の追悼式で奥さんのエリカさんが聴衆に向かい「私は彼(犯人)を許す」と仰ったことも取り上げ、それがいかに尊く心打たれることであったかとも話していた。

「There was a moment over the weekend, a very beautiful moment. I don’t know if you saw this. On Sunday, Erika Kirk forgave the man who shot her husband. She forgave him. That is an example we should follow. If you believe in the teachings of Jesus, as I do, there it was. That’s it. A selfless act of grace, forgiveness from a grieving widow. It touched me deeply, and I hope it touches many, and if there’s anything we should take from this tragedy to carry forward, I hope it can be that
週末に、とても美しい瞬間がありました。ご覧になったでしょうか。日曜日、エリカ・カークは夫を撃った男を許しました。彼女は彼を許したのです。これは私たちが見習うべき模範…もしあなたが私と同じようにイエスの教えを信じているのなら…まさにそれでした。悲しみに暮れる未亡人による、無私の慈悲の行為、許しです。私は深く心を打たれました。そしてこれが多くの人々の心にも響くことを願っています。もし私たちがこの悲劇から何かを学び、未来に繋げるべきものがあるとするならば、このことであってほしいと願います。」

私も彼女のその言葉の意図…聴衆に対し「憎しみや暴力を拡大させないこと」を伝える姿に涙が出そうになった。

しかし彼女のすぐ後、「私はチャーリーとは意見が違う、私は反対派が嫌いだし彼らのベストも望まないよ、ごめんねエリカ」とト氏は嘯いた。私は溜息をついた。しかしもう私は驚かない。


コルベアはとうしているのだ

この『キンメル・ライブ!』のCMの間に、裏番組のCBSの『コルベア』がどうしているのかも見にいった。この番組を見るのも久しぶり。なんとカリフォルニア州の知事ギャビン・ニューサム/Gavin Newsomが氏出ていたので驚いた。私はまだ彼のことはよくわかっていなくて様子見なのだけれど、さ~どうですかね。彼はどういう人なのだろう。面白そうなので後でYouTubeに彼のインタビューも見にいった。


私が(以前は)見ていたコルベアのショーを見なくなったのは、彼の番組があまりにも民主党政権の宣伝番組になっているように感じたから。コロナのワクチンが出たころ、彼の番組は視聴者に対し毎晩のようにワクチン強要のメッセージを発していた。まるで視聴者を洗脳しているようだった。「反ワクチン派は低学歴」などと一方的な意見を押し付けるのに頭にきて私は番組を見なくなってしまった。


トークショーの本来の役目

本来、米国の夜のトークショーの役割は「政治的なsatire/サタイア/風刺」。どちらの政党であれ一方的に進む政府に対し民衆の不満が溜まってきた時に、このようなコメディ番組がチクチクと針でつついてガス抜きをする…世の中が一方的になったり深刻になり過ぎた時にほんの少しガス抜きをして世の中の緊張をほぐすのが夜のトークショー役目のだったのだろうと思われる。しかし近年はこの「政治的な右派と左派が分かれて国民が戦っている状況から」なのか、トークショーも皮肉やユーモア以上に、政敵に対する攻撃が多くなったことは否めない。それが嫌で私もトークショーが楽しめなくなっていた。本来ユーモアでガス抜きをするはずの娯楽番組が、国の分断を煽るのは大きな問題だろう。前述のエリカさんの「犯人を許す」言葉を取り上げたキンメル氏もあらためてそのことを伝えようとしていたのではないか。



この国は右と左に別れて戦っている

このことはこのブログでも過去に何度か書いてきた。右が全て最高でもなければ左が素晴らしいばかりでもない。右の政府は恐ろしいが左の政府も過去に大きな問題をまき散らしていた。一番恐ろしいのは、右派の国民と左派の国民がそれぞれの反対派を敵だとみなし、その敵の発するものはとにかく何から何まで間違っていると攻撃している状況。相手を嫌い、攻撃し、暴力を使うことも厭わないと言う若い世代の人々。残念ながらそれが今の米国の現実。



『NewsNation』

少し前の5月、このブログでは米国のケーブルチャンネルの『NewsNation』のクリス・クオモ氏のことを取り上げた。あれから私は彼の番組を録画して毎晩見ている。彼の番組の軸は彼が毎晩繰り返すフレーズ

「NewsNation, where the right and left come together to be reasonable/ニューズネーション、右派と左派が共に協力して道理をわきまえる場所」

まさにこれですね。このフレーズに惹かれて私は彼の番組を毎晩1時間見るようになった。録画なら広告が飛ばせるので時間の節約にもなる。


様々なことが起こっている今の国の状況を見て、私個人はあくまでも「オブザーバー/観察者」になろうと心を決めたのだけれど、 それでも「今の世の中で何が起こっているのか」は知りたいと思う。そこでクオモ氏の番組を見る。彼の番組はその日に起こったことをほぼカバーしてくれるので助かっている。

この番組は(クオモ氏がリベラル・サイドであるにも関わらず)基本的にはニュートラルな立場で、左派のみならず右派からも人物達を招き、右派と左派が同時に会話をする場面もあったりして、決して国の分断を煽ることはない。まさに右派と左派が共に協力して道理をわきまえる場所を提供するこの番組には私も学ぶことが多い。クオモ氏が驚くほど知的で正直、Honestであることも大きな魅力。(上記のキンメル氏についても書いたが)プレゼンターが「信じられる人物であるかどうか」は本当に大切。クリス・クオモ氏は私には信じられる。

ついでだが、彼の番組の後のLeland Vittert氏の番組『On Balance with Leland Vittert 』も録画して時間があれば見ている。彼は元々はFOX Newsのプレゼンターで保守派の人物なのだが、リベラルではない彼の意見も興味深い。彼も今は『NewsNation』のプレゼンターなので、内容はクリス氏が言っていることとほとんど変わらない印象なのだが、彼なりの論説も面白いと思う。


そんなわけで国が不安定なので日々どうも落ち着かない。今はなかなかドラマや映画を見る気分になれないのも、この不安な空気のせいなのだろう。自分でもわからないところでコンスタントにストレスを感じているのだろうと思う。なかなか大変だが、これからの3年間をあまり落ち込むことなく過ごしていければいいなと思う。