能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2013年9月30日月曜日

NHK大河ドラマ「八重の桜」第39回「私たちの子ども」



あーここまで不快になると感想を書くのも難しくなるな…。じゃあ見るの止めれば?…なんですけど。ええ…ごもっともごもっとも…。しかしなぁ…これは黙っていられない。このドラマ、最初っから戦争物を扱うつもりでいたんですかね…。それもわかんなくなってきたよなぁ…。

…文句を言う前に、この京都編、ただ純粋にフィクションとしてはとてもいいドラマだと思います。八重ちゃんもいい人だしJoe君も優しい旦那様だし、新居の描写も楽しくて、なかなか雰囲気もいいと思う。結構楽しめる。

だけど、歴史を描くドラマなら話は別。歴史上の人物を描くのなら嘘を書いちゃいけない。それだけは基本。単なるエンタメドラマなら純粋なフィクションを別の時間帯にやって欲しい。そんなわけで今回もまた文句。


★まず八重ちゃん。

あの19世紀の古臭い時代に、男と同等に銃を持って戦った強い女性。そして戦争が終わったら今度は男女分け隔てなくガミガミ生徒を叱り飛ばす怖いオバチャン。現代から見てもあっぱれな変わり者。史実の八重さんて(旦那に)ハンサムウーマンなんて呼ばれていたけれど、実際は男みたいにハードボイルドな最強のオバチャンでしょ。あの時代に新しいものをどんどん受け入れて肉もガンガン食う、男も叱り飛ばす。会津戦争での自らの武勇伝を自慢げに語り、晩年は周りの迷惑も考えず茶道に凝って散財した(笑)、実にあっぱれな面白い女性だったんじゃないの…?

いや…こんな風に書くと、いかにも万人受けしそうにない可愛げのない女なんだけど、そもそも八重ちゃんの魅力って最初から全然可愛くないところでしょ。どうしようもないほど全てが型破り、その強烈な人柄がぶっちぎりですごく面白い…っていう女性じゃなかったの…?

テコ入れだかなんだか知らないけど、京都編から八重ちゃんを可愛い万人愛されキャラにしたのは作品として大失敗だと思う。ここは個人の弱小ブログなんではっきりといいます! 視聴率の低下を恐れて本来の八重さんみたいに型破りな面白い女性が描けないのなら、最初からそんな女性を主人公にするな! 新島八重さんに失礼です。会津編の八重ちゃんはかっこよかったのになぁ…。


★八重ちゃんの謝罪

なんで命をかけて自分の国と家族を守る為に戦った勇気ある誇り高い人物が、「親を殺された」と言ってゴネてる小娘に土下座謝罪するするわけ? この場面の脚本・演出ともにおかしい。もう八重ちゃんをどういう人物に描きたかったのかも全く分からなくなってる。

あのね、戦争は理屈じゃないの。国と国が殺しあえば死人が出るのはあたりまえ。それに八重ちゃんにとってはしっかりと理由のある戦争。彼女も命をかけて必死だったんです。八重ちゃんが頑張らなければ、あの小娘の父親に佐久さんやみねちゃんを殺されていたかもしれない。それを謝るなんて…あきれる。命がけで会津を守ったヒロインに謝罪をさせるのか。

たまたま事実を知らずに同志社にやってきた小娘が、父親をたまたま八重ちゃんに殺されていたのなら、無理に理解しあおうなんて思わず、さっさと薩摩に帰してあげればいい。そうすれば彼女も苦しまずにすむ。父親を殺された彼女が八重ちゃんを心から許すわけがない。あんな設定そのものが無理。まだ戦争から10年しかたってないのに…。

あの小娘もおかしい。戦争が終わった時点でまだ78歳だったはず。ほとんど父親の顔もおぼえていないだろうに、その後も延々と周りに会津への恨みを刷り込まれて未だにガタガタ言ってる。そもそも薩摩は官軍。勝った側の小娘が個人的な恨みを口にするのもおかしい。誇り高い武家に育った娘とは思えない。この娘の父親はきっとあの世で泣いている。そんなにいやならさっさと故郷に帰ればいい。(ちなみにワタクシの祖先は薩摩に近い官軍の側。会津の側ではありません)


★戦争とは…

国と国が理論でぶつかった事柄を、武力=力で勝敗を決めるのが戦争。戦争になったらもう理論は無いんです。結果は力のみ。だから国の一歯車として戦った個人には、どうしても理屈や感情で決着をつけられないことも出てくる。(そんな歪みも含めて)終戦は戦った国同士が公に条約を結び(敗者が裁きを受け)、無理にでも理屈で決着をつけて国として清算し、あとは国も個人も次の時代に歩を進める。それが公の戦後。

ただ個人にとっての話は別。個人にとっては(戦時中のあまりの混乱のために)戦後も理屈だけでは納得できないことも多く、戦争が終わった後にもいろんな複雑な感情が残るのはあたりまえ。感情や理屈で決着がつけられなくてもそれはもうしょうがないんです。本音では敵に恨みが残るのもやむなし。それなのに無理にTVドラマで分かりやすい結果を出そうとして、人物達に簡単に謝罪させたりしたら史実の人物達に大変失礼。なんて浅はかな。

個人にとっての戦争は、国のために戦った本人達が、長い年月をかけてやっと謝罪や悔恨などに少しずつ気持ちを落ち着けていくのが自然。それなのに10年そこそこ、まだ硝煙の匂いや家族を奪われた悲しさをよく覚えているような人物が、土下座をして自分の戦時中の行動を謝るなんてありえないです。ほんとに馬鹿な脚本だ。人の心を舐めてんのかと言いたい。


戦争とは、分かり合えるはずの人間達を、お互いに一生許せないような状況に追い込むほど残酷なもの。戦争を経験した人達の中には、一生をかけても気持ちの整理が出来ずに苦しむ人もいる。そんなに簡単に決着なんてつけられないんです。敵を殺さなきゃ自分が殺されていたんですから。

会津戦争はとにかく悲惨な戦争だったと聞いている。たった10年で「ゴメンネ」って言えば、明日から仲直り…なんて、ほんとになんて馬鹿な脚本だろうと思う。このような事柄を軽々しく扱わないで欲しい。

あの薩摩娘がゴネてるのならさっさと国に帰すのが一番自然。


個人の理性だけではどうにもならない極限の状況を生み出すからこそ戦争は悲惨。人物達の感情も含めて真実を描かなければ本当の反戦ドラマなんてありえないのに…。