2013年8月20日火曜日

NHK大河ドラマ「八重の桜」第33回「尚之助との再会」


えー今日は、話の筋よりもまず、以前からとても気になっていた八重ちゃん夫婦の話を考えます
 
まず最大の問題はですね…
 
覚馬さん(西島秀俊)、八重ちゃん(綾瀬はるか)、どうして尚之助さん(長谷川博己)を助けてあげないの? 特に覚馬さん、あなた結構お金も持ってるでしょうに、どうして尚さんをなんとかしてあげないの? 長屋には八重ちゃんが一人で会いに行ったけど、八重ちゃんも尚さんを連れて覚馬兄さまに無理にでも会いに行かせるとか…、助けようと思えばもっとなんとかなりますよね、あの場面。
 
いや…分かってるんです。今回の再会の場面は史実じゃないんですね。二人は再会してないんです。結局山本家の兄妹は、八重ちゃんの元旦那のことなんかもう忘れちゃってたらしい…。あまり記録も残ってないそうですし。そんなところを考えても、そもそも史実の尚之助さんと八重ちゃんの夫婦仲がどうだったのか…なんてあらためて思ったりして。
 
だってあの二人、もしこのドラマみたいに昔あれだけ仲が良かったのなら…(長年一緒に暮らして信頼しあった関係だったろうし、あの戦争を一緒に戦った同士愛もあるだろうし、お互いの頭脳や技術にリスペクトもあって、八重ちゃんにとっては彼女をそのまま受け入れてくれる優しくて大きな旦那さん…)、そんなに簡単に別れられるはずがないと思う。
 
そんなステキな旦那さんを、まず八重ちゃんが斗南まで追いかけていかなかったのがそもそもいけない。昔の普通の女なら旦那さんの行く所についていって支えてあげるのが当然。だから、斗南に行かなかった八重ちゃんが、とんでもねぇ自分勝手女に見えてしまうわけです(ワタクシのような古臭い既婚の女としては…)。もっと旦那さんを支えてあげんかいっ! それがまずおかしい。
 
その後、斗南の尚之助さんからいきなり離縁状を送りつけられて、八重ちゃんもむくれたみたいですが、そもそも二人の関係は、そんな紙一枚で簡単にけりがつくのか…というのも疑問。八重ちゃん尚さんのこと好きだったんじゃないの…? この時点で八重ちゃんが尚之助さんに会いに行ってればもうすこし辻褄もあったと思う。
 
そして今回の八重ちゃん、最愛の旦那さんにふらふら会いに行って、彼の困窮している様子を見ているのに、彼を助ける努力を何一つしていないんですね。これもおかしい。兄の政治力と金に物を言わせて、愛する旦那様を助けてあげればいいじゃないの…(史実と違ってしまうので論外なんですが)。
 
それにあれだけわんわん泣いてるのに、その後サラっと戸を閉めて出て行くのもどうも冷たい感じがした。あまりにもあっさりしすぎ。だってこれが今生の別れなのよ…。それに八重ちゃんすぐにジョー君と結婚しちゃうし…。

そんなわけでどうも会津編での二人の人物像と辻褄が合わなくなっちゃった感じ。
 
 
それから、もう一つ、尚さん、どうしてそこで八重ちゃんにあやまるのだ?(←猪苗代謹慎所行きの件)「八重さんあなたの誇りを踏みにじった。許してください。」っておいおいおいあのね。あなたはあの場面で八重ちゃんの命を救ったんです(ドラマの中での話ですが)。あの決断は最愛の奥さんを救う為の選択だったんじゃないのか。あそこであなたが八重ちゃんを救ったからこそ八重ちゃんは生きていると言ってもいい。あなたはなにも間違ったことはしていない。
 
八重ちゃんが男でいられる誇りなんて、猪苗代について行ったら簡単に潰されてしまうものです。一部屋に男ばかりで雑魚寝。風呂も一緒。逆賊の捕虜としての肉体的、精神的な試練は女性には絶対に無理。女性だから個室にしてくれなんて言えない立場だもの。結局女は女。意地や誇りだけではどうにもならないんです。下手すりゃ嬲り者にされて消される可能性さえあったかも。女が男に混じって謹慎所に行けた可能性なんてゼロです。それを分かって八重ちゃんを救った尚さんは大人。なにも間違ったことはしていない。
 
八重ちゃんも、その場では頭に血が上っていても、後からそれくらいのことは理解して尚さんの優しさに感謝するのが自然。普通に想像すれば分かりそうなものなのに…。過去の会津編では、人物の心をもっと丁寧に描いていた(言葉に出さない思いやりなど)と思うんで、どうもこの会話も変だった。
 
ま…なんというか、ドラマ全体の雰囲気は変わりましたね。ずいぶん荒くなった感じ。
 
 
でも、すごくもったいないんですよ。だって俳優さん達は本当に素晴らしいんだもの。尚之助さんと八重ちゃんはすごくいい化学反応があったと思う。綾瀬さんは役に気持ちが入っちゃう体質なのかな。尚さんとの別れで本当に泣いてますもんね。長谷川さんと綾瀬さんの相性がこの役柄の関係性にすごく合ってたんでしょう。今までもお二人の場面はいつも素晴らしかったです。
 
泣いてる八重ちゃんを前面からすっと抱きしめる長谷川さんの動作もすごく自然。あーこの人は女性の扱いに慣れてるな…(笑)。いや二人とも夫婦なんだからああいう自然な動作はすごくいい。夫婦の関係性に説得力が出るもの。長谷川さんは、綾瀬さんとの場面では、言葉での演技以上に身体の動作がすごく自然でいい感じでした。お二人とも夫婦役を演じるのにいい化学反応が確かにあったと思う。いやーだからこそ最後の別れの場面は綺麗に納得のいくものにしてほしかった…。もったいないな。でももう残りの尺が足りないらしい…。
 
なんだか八重ちゃんと尚さんの話でたくさん書いた…。
 


えーそれ以外は、いろんなことが沢山あったし、調子も変わったし、ちょっと違うドラマみたいな感じ。

特に槙村さん(高嶋政宏)。あんなにコメディ路線でいいのかいな。それから八重ちゃんが、槙村さんに説教したり、木戸さん(及川光博)、岩倉さん(小堺一機)に食って掛かる場面も違和感がありますね。思わず「江」を思い出してしまった。あの時代の女性が、あんなに偉い人達にあそこまで出しゃばっていいのか。それから、三条さん(篠井英介)の倒れる場面は(史実だそうですが)不気味なのかコミカルなのかよく分からなくて、唐突な芝居と演出に「清盛」を思い出した。今後とても心配。

八重ちゃんがやたらと元気一杯なのに比べると、肝心の政治関連はサラッと流しました。結局2回見たけど征韓論の流れもよくわかんなかった。土佐・佐賀と薩長が対立して、その後急に西郷どん(吉川晃司)、板垣さん(加藤雅也)、江藤さんが止めちゃう。ずいぶん荒いですよね。もう会津編のように、明治の政治関連をドラマとして丁寧に構築することは無いのかもしれません。おそらく残りの尺があまり無いので、丁寧にやっている時間が無いんだろうと思う。政治的なことは後で自分で調べようと思う。


ともかく雰囲気が変わったのは、今までの会津編でネット上でも囁かれていた「八重の桜」に対する視聴者の文句(低視聴率の理由)=

     主人公が目立たない。活躍しない。
     会津藩の京都の話(政治)ばかりでつまらない
     画面が暗い
     衣装も演出も地味
     全体の話もトーンも暗い

…に対応して、視聴者の要望に答えるという意図ではないかと思ってしまった。テコ入れというヤツですか。だって今回から

     主人公が出しゃばってよく目立つ。
     京都の八重ちゃんの話を中心に中央政府のことにはあまり触れない
     画面が明るい
     衣装も演出も明るい
     内容もコミカルで明るくなった。

…と、ことごとく以前と正反対ですもんね。さー結果はどう出るか…。

ちなみに会津編は一般受けはしなかったのかもしれませんが、いくつかの歴史ファンのブログなどでは「ここ近年で一番面白い」などという感想もよく見かけました。私も丁寧で古風な会津編がとても好きだったので、今後の明治編はあまり期待せずのんびりと見守ろうと思います。