2012年7月2日月曜日

The Jacksons - Shake Your Body (Down to the Ground) (1978)



マイケルさん。625日の彼の命日も過ぎてしまいました。



Michael Jackson & The Jacksons - Shake Your Body (Down to the Ground) 

Released: 1978 ℗ 1978 Sony Music Entertainment Inc.


彼のように、ステップを踏むだけで他人を踊らせてしまえる人もそういるものではない。だってほんとうに楽しそうにリズムをとるんだもの。ヨシ私も…と無意識に体が動く。やっぱりこんな人は他にいません。リズムの神様の申し子だったんです、ほんとに。この頃のビデオを見るとほんっとに楽しそう。音楽が鳴るとじっとしていられないんだと思う。体の芯がリズムに反応して止められないかのよう。すごいです。

マービン・ゲイのような声ではなかったし、ポール・マッカートニーやプリンスのような天才作曲家でもなかったマイケル。でも彼の体から溢れるリズム感だけはものすごかった。鞭がしなるように弾む体、映像が止まったかのようにぴたっと決まるポーズ。訓練に訓練を重ねて作り上げた動き。体中の隅々まで全ての筋肉と神経をコントロールしつくした彼のダンスは、まさに神の領域に届いていた。後から彼の物真似はごまんと出てきたけど、誰一人として彼にはなれなかった。

今思えば『スリラー』で世界中がこの人に狂ってしまったのも、彼にとっていい事だったのかどうかわからない。アルバム『スリラー』は私も買ったしあなたも買った。あの人もこの人も彼も彼女もみんな買った。プログレ好きの友人のレコード棚にさえ『スリラー』は並んでいた。街の店の客寄せのTVスクリーンに「スリラー」のビデオが流れるだけで、歩いていた人全員が立ち止まって人だかりが出来たくらいみんな夢中だった。当然みんなあのゾンビダンスを真似した。

だけど、あれ以来マイケルは幸せだったのだろうか…と思う。

ダンスはますます研ぎ澄まされて、誰も真似の出来ないものになったけど、彼独自のポーズ;「左手で軽く押さえた帽子」「蹴り上げる右足」「ムーンウォーク」「掴んだ股間」「開いた脚の角度、斜め上に上げた腕の角度」…ばかりが目立って体の芯から弾むような楽しいダンスはなくなってしまった。私達観客は、そんな彼を見ればうわーっと思ったけど、実際にはマイケル本人を見ていたのではなく、彼の演じる「マイケルのイメージ」を見て喜んでいたに過ぎないのではないか。彼はいい人だったから、客を喜ばせるために、そんなお決まりの「マイケルのポーズ」を常に完璧にキメていたけれど、若い頃の弾けるようなエネルギーはいつしか消えていたと思う。昔のような、ただ楽しいから踊っている感じがなくなってしまった。あれで楽しかったのだろうか。

もし『スリラー』があれほど売れなかったら…。もし彼がKING OF POPにならなかったら…。もし『スリラー』の後も上質のポップ、ダンス・アルバムをプレッシャーの無い状態で淡々と出し続けることが出来たら。(客の期待がそれほど大きくないからこそ)音楽的にもいろんな実験ができたら…失敗することも許されていたら。自分の楽曲だけにこだわるのではなくパフォーマーとして、他のアーティスト達とももっと積極的にコラボしていたら…。ソロでも活動するけどJacksonsとしても時々気楽にお兄さん達とやれるような立場だったら。もっと気楽にいろんなことを楽しめたら…。いつもあんなふうにキメポーズを作る必要が無かったら。 もし普通に結婚して子供も7人ぐらい作って、毎晩ビールを飲んでガハガハ笑うような親父になっていたら…。

こんな事を書くのも『スリラー』の後の彼の人生があまりにも多くの試練に満ちていたからだ。あれほどすごい才能の持ち主だったのに、人としてありえないほど純粋過ぎたのではないか。当時力をつけてきていた百戦錬磨のプリンスやマドンナのようなライバル達に比べて、彼は人としてもアーティストとしても、あまりにも幼い感じがした。そんな彼に世間やメディアは冷たかった。もし『スリラー』の成功がなかったら違う人生もあったんじゃないだろうか。

このビデオの頃の若いマイケルはほんとに楽しそうだ。目がキラキラと輝いて、歌うこと、踊る事を心から楽しんでいるマイケル。見ているだけで嬉しくなってしまう。そんな彼は本当に美しい。ずっと忘れない。ほんとうにありがとう。