能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ 【随時更新】 https://www.nhk.or.jp/shutoken/ne...

2020年5月8日金曜日

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第16回「大きな国」5月3日放送


 
 
涙なくして見られない大傑作回。感動しました。
 
 
★あらすじ
1555年 秋 父道三VS息子高政 長良川の戦いに至るまで 人々それぞれの心 光秀の決意
 
 
感動しました。これは…いいドラマ。この年になって…2020年にもなって、こんなに素晴らしい歴史大河ドラマに出会えるとは。ただただ言葉もなく感動。嬉しいです。
 
脚本が素晴らしい。断言してもいい…いいドラマは脚本が要。全てはいい脚本があってこそ。人生の大先輩・池端俊策様の脚本の台詞のひとつひとつに毎回心震えております。
 
そして俳優さん女優さん方々の真剣勝負。いい芝居はいい脚本から。いい脚本が名優を生み出す。
 
 
そして俳優さん達の全力投球を、最高の演出でドラマ化してくださるNHKの皆様。今年は文句のつけようがないです。大きな拍手と感謝。とにかくかっこいい。
 
俳優さんのお顔に接近して撮るカメラは人物の心を写し取る。俳優さんの目の虹彩に光が透けるのが見えるほどのアップ。それぞれの目に心の動きが映し出されるのを意図的に撮っているのだろうか。
 
それから光の効果的な使用…例えば今回光秀に「大きな国…信長」の言葉を告げる道三は逆光の中。道三の後ろから射す朝日の光は、道三を見上げる光秀の顔を明るく照らしだす。まるで光秀が道三の心を受け取めたかのように。

そして場面を盛り上げる音楽。
 
セットもいい。建物もいい。力を蓄えた戦国の武将は頑丈で大きな城に住む。力強く美しい。カメラも建物が大きく見えるように撮っているのだろうと思います。以前の道三の稲葉山城の場面は天守閣ですね。今回は天守に高政が入ってました。
 
 
巧みなストーリー展開。感動させられる台詞の数々。俳優さんの本気。その演技を捕らえるカメラのアングルも、効果的な光も、音楽も、美しいセットも…本当に素晴らしい。現場の皆様の、いい作品を作るための本気が見えます。感動してます。
 
 
 
今回は、斉藤家の父道三VS息子高政…長良川の戦いに至るまでのそれぞれの人物達の思いを描いた回でしたが、最後の主人公は光秀でした。光秀の学びを描いた回でした。
 
光秀は現在20代半ば。真面目です。優等生。まず頭が先に動く。理屈が先に来る人。だから道三と高政の争いもやるべきではないと言う。兵の数(道三3000未満×高政10000越え)を見て勝敗が明らかであること。それから美濃の国衆同士が争った結果、国が乱れることもよくない。優等生の光秀は優等生らしく理屈で無駄な戦はするべきではないと思うんですね。
 
 
ところが、叔父の光安、そして道三の話を聞いて
 
世の中には理屈よりも大切なことがある
 
ということを学ぶ。戦国の世とはそういうもの(いや違うか…儒教なら江戸時代か昭和の時代劇調と言ったほうがいいかな)。優等生の生真面目な男が、叔父と主君の言葉から、人生には理屈や計算、損得よりももっと大切なものがあることを知る。義を通す。そうやって戦争にいくわけだ。だから悲しいんですよ。泣
 
21世紀の今の時代にはあまり通じない理屈です。負けるとわかっている戦に出て行くことはもちろんやるべきではない。そんなことはわかっている。しかし私も古い人間なのだろう。こんな昭和風なドラマにはどうしようもなく心動かされてしまう。
 
 
光秀の心を動かした二人の人物達の言葉
 
まず光安叔父さん。
 
彼は道三が立ち上がったと聞いて、縁側で可愛がっていたメジロを逃がす。おじさんの寂しい背中に泣く。なぜなら光安叔父さんは、戦に行けばもう二度と家には帰ってこられないだろうと思っているからです。お世話が出来なくなったから、かわいがっていた鳥を野に放す。
鳥好きの優しいおじさん
 
「明るいうちに逃がしてやろうと思ってな。…飛んでった」としょんぼりと肩を落とし「兄上から預かった領地を守れそうにない。私が非力ゆえ。牧殿にも面目がない。」と泣く。「美濃が新しい国になるという。それもよかろう」しかしその後、強い口調で決意を語る「しかしあの高政ごときに、わしの命を預けようとはゆめゆめ思わぬ。わしは大桑城に行く。道三様のためなら、心おきなく一踊りできる。行かせてもらうぞ!」
 
この光安叔父さんは先日、高政の稲葉山城での酒宴で、道化のように踊っていたのですね。それも明智の荘を守る為。ところが高政から領地替えを告げられて、叔父さんは高政を相手に戦う決心をした。彼の誇りは兄(光秀の父)から託された明智の荘とともにある。それを取り上げられるのなら致し方なし。
 
…領地替えを言われて主君に背く。おおっと光秀…
 
 
そして斎籐道三
 
戦を止めに来た光秀に思いを語る場面。あまりに素晴らしいのでそのまま台詞を書いておこう。
 
「高政はわしが父だとわかっておる。されど土岐頼芸様が父だと言い触らし…。高政は人を欺き、自らを飾ろうとした。人の上に立つ者は、正直でなくてはならぬ。偽りを申すものは必ず人を欺く。そして国を欺く。決して国は穏やかにならぬ。

傾いた坊主頭を描くのって異様に難しいことがよーくわかったうーん…

「わしはこれまで戦で幾多の家臣を死なせてきた。毎夜眠りにつくとき、その者たちの名を唱えてみる。それが近頃、その名が出てこぬ。わしの命を救うた家臣の名が何人も出てこぬようになった。忘れてしもうたのじゃ。わしは老いぼれた。もはやこれまでと家督を譲ろうと思うたのじゃ。しかし譲る相手を間違えた。間違いは正さなくてはならぬ
 
「皆の者、集え、城より打って出る!」
 
それから昔、道三が父親から「近江も大和も皆ひとつになればよい。豊かな大きな国なれば誰も手出しが出来ぬ。わし一代では出来なかったことをお前がやれ」と言われたことに触れ、
 
「わしも美濃一国で終わった。しかしあの信長という男は面白いぞ。あの男から目を離すな。信長となら、そなたやれるやもしれぬ。大きな国を作るのじゃ 誰も手出しのできぬ大きな国を。さらばじゃ」
 
…痺れる。感動しましたねぇ。本木さん素晴らしかった。道三も道三の義を通す。息子高政は嘘つき。弟達も殺した。これからも人や国を欺くだろう。そんな息子に家督を譲ったのは間違いだった。だから間違いを正す。戦っても勝ち目はない。しかし息子のことは認めない。自分の意志を示し息子と戦って散り、夢を娘・帰蝶が嫁いだ尾張の信長に託す
 
 
叔父さんと道三が今回のMVPかと思っていたら、最後の最後に光秀も立ち上がりました。彼も勝ち目のない戦に出る決心をする。叔父と道三の言葉から、光秀も自分なりの義を通す道を選んだのでしょう。道三には恩がある。先祖から受け継いだ桔梗の紋に恥じない選択をする。一生懸命考えてやっと結論を出した。最後は光秀の話になってましたね。
 
光秀がんばれよっ
 
 家臣に行き先はと聞かれて、
「叔父上の後を追う。鶴山へ! 敵は…高政様!」
キャーッ ミツヒデ! …テキ ハ―ホンノ~
やっぱり長谷川さんは戦う場面になると活き活きしてる。
 
 
最後に煕子さんに光を。彼女は光秀とのフワフワした恋心のエピソードもないまま、いつの間にか明智家に馴染んで奥さんをつとめていますが、この回で彼女の存在がわかったと思った。
 
煕子さんの人生は旦那さんを黙って支える人生。何があってもどんな状況になっても、旦那さんを支える。それをよーくわかっている奥さん。
ひろ子さんに幸せを
高政から領地替えを言われた光秀が、そのことを煕子さんに伝えれば
「美濃のために良いことなら、十兵衛様についてまいるだけ
 
おお。彼女は旦那さんを支えて「私は大丈夫だから。心配しないで」と夫に伝えているのですね。転勤族の奥さん。いやー今回は彼女にちょっと感動したのです。だって私も転勤族の嫁(のようなもの)でしたもん昔(私は文句を言いましたけど)。
 
そして戦に行くか迷う光秀に対し「皆、既に覚悟を。あとは十兵衛さまのお心のままに
 
煕子さんは光秀の気持ちを邪魔しないように100%彼を支えていると光秀に伝えている。帰蝶さんとは正反対。帰蝶さんは自分の人生を自分で掴み取って行く女性。しかし煕子さんの人生は、全て旦那さんの光秀次第。昔の女性の生き方ですよね。
 
何があっても冷静に夫と家族のために最善を尽くす。できることをやる。そんな人生が性に合う女もいる。結局自分の人生を男に託した女はそうするしかない。私も同じだ。彼女のようにしおらしくはないけれど。私も自分の人生を自分で選べない人生を自分で選んでしまった。後悔はない。だからちょっと親しみを感じる。煕子さん応援するわ。
 
 
 

2020年5月5日火曜日

お猫様H:階段の陽だまり



あっ… おーいHさん
あっ またひっくりかえった
お日様いい気持ち?
あったかいね
変顔ですよ
しあわせネ
愛してるよ
 
 
 

2020年4月30日木曜日

上白石萌音 - 夜明けをくちずさめたら (2020)

 
 
心洗われる
 
 
 
フルのバージョンがあがってました!(追記 9/7/2020
Mone Kamishiraishi - Yoakewo Kuchizusametara (2020)
上白石萌音 - 夜明けをくちずさめたら (2020) ~Teaser~
Yoakewo Kuchizusametara
Released: May 11, 2020
A UNIVERSAL J release; ℗ 2020 UNIVERSAL MUSIC LLC
 


さっきテレビをつけたら「みんなのうた」がたまたまやっていて、この曲が流れていた。すぐにひき込まれた。アニメーションがいい。鉛筆画かな。いい雰囲気のイラスト。
 
そして心地のいい歌声。あれ、歌詞もいい。聴き入る。途中から見たのですぐ終わってしまったのだけれど、すぐに動画サイトで曲名をチェック。出てきた。まだ発売前なのですね。511日に配信スタートだそうだ。(追記:アメリカでもAppleなどで購入可能)
 
これはワンコラースのみのティザーですけど、いい歌ですよ~メモします。「みんなのうた」でまた見れるといいな。(萌音さんのチャンネルにフルであがってました
 
そうだ月を見よう
 
 
 

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第15回「道三、わが父に非(あら)ず」4月26日放送




ますます面白くなってまいりました。


★あらすじ
…を書くよりも、今回はちょっと複雑なので美濃と尾張の情勢を書きます。


美濃
1554年 斎籐道三(本木雅弘)は高政(伊藤英明)に家督を譲り仏門に入る。
国衆が争い始める。
高政の弟の孫四郎(長谷川純)と喜平次は高政に不満。

尾張の帰蝶(川口春奈)も、兄高政が夫織田信長(染谷将太)と敵対する織田彦五郎(梅垣義明)と通じ始めたことに不満。
その後、尾張で信長が彦五郎の清洲城を落としたことを道三が喜ぶ。
道三+孫四郎+帰蝶+信長(尾張)の側が力を持ったことに高政が焦る。
高政の家臣稲葉良通(村田雄浩)が高政の不安を煽る。
1555年 高政は孫四郎と喜平次を暗殺。
道三が大桑城に逃走。

      道三
高政 ←→ 孫四郎-帰蝶信長
稲葉    喜平次


尾張
守護・斯波義統が清洲城で織田彦五郎坂井大膳に討ち取られる。
義統の息子・義銀信長の元へ。
信秀の弟/信長の叔父=織田信光(木下ほうか)が彦五郎を暗殺。
信長は義銀を擁し清洲城へ。

45分の間にいろいろな事が起こりました。結構複雑なのにドラマとして非常に面白くまとまっているのがすごいです。巧み。

--------------------------------------------------------------------------------

美濃の高政問題

高政は不安定ですね。彼も最初は光秀に「平穏が一番」なんて言ってるんですよ。それなのに、弟二人+父道三+妹帰蝶+その夫信長が繋がっていることが面白くない。不安になる。
しかしこれは高政の勝手な思い込み。道三は高政に家督を譲ったぐらいなので、高政を排除しようとは考えていない。むしろ高政を警戒しているのは尾張の帰蝶ですよね。彼女が弟二人を焚きつけている。なぜなら、高政は夫信長と敵対する織田彦五郎と通じ始めたからです。
じゃあぜ高政は帰蝶+信長を嫌い、わざわざ(信長と敵対する)彦五郎と通じるのか? 理由は道三が信長を気に入って褒めたことによるらしい。嫉妬ですね。高政は本当はパパ道三の愛情が欲しいのに愛されていないと思ってるみたいなんですよ。だからがパパ道三が嫌い。とことん嫌い。パパ道三がかわいがる帰蝶も信長も孫四郎も皆嫌い。全員が自分を貶めようとしていると毎日心配でたまらない。
その後、尾張で信長が織田彦五郎を討ったとのニュースが入ってきた。
それを聞いて家臣・稲葉良通が高政にアドバイス「用心なされたほうがよい。尾張の後押しで孫四郎がこの城の主にとってかわるかも。わしは殿の味方だが、国衆の中には、高政様は側室の子だと言う者もおる。家督など道三様次第。尾張がこうなった以上、孫四郎様から目を離すな」 稲葉さんが煽る煽る。高政をますます不安にさせてます。ところで稲葉さんは深芳野の弟だそうだ。
結果高政は、弟孫四郎と喜平次の二人を殺害。騙まし討ち。やってしまった。もう後戻りできない。高政は極度の心配症ですよね。これから大丈夫かなこのお方。端整なお顔の伊藤英明さんが神経質で不安定な高政を好演。キリキリしてます。いい配役。こういうこじれた役がドラマでは面白い。注目です。


余談ですが、今Wikipediaを見ていたんですけど、高政は身長197cmだそうだ。大男。おっと…お母さんの深芳野は187cmだそうですよ。ええええええええ

-------------------------------------------------------------------------------

そして今回の一番の見所は
尾張の帰蝶さんの優等生風ダブルオジサマ落とし

帰蝶さん、今回は織田信光叔父さんを上手く操って夫信長の政敵・織田彦五郎を暗殺させます。もちろんドラマ上の設定ですが、いやー面白い。帰蝶さんますます冴え渡ってますね。優等生悪女。
しかし彼女もこれ、サバイバルなんですよ。己の身の安全のためにやっている。もし織田彦五郎が夫・信長を滅ぼせば、尾張に自分の居場所はなくなる。しかし美濃に帰っても実家には兄の高政がいる。高政は自分の夫の敵・彦五郎サイド…とすれば、帰蝶さんの居場所はどこにもない。だから彼女も必死。なんとしてでも夫に勝ってもらわなければ困る。だから叔父さんを利用する。なるほど。
この今回の帰蝶さんと信光叔父さんの台詞と芝居が最高でした。19歳年上の義理の叔父に政敵の暗殺を直接お願いをする。メッセージは「彦五郎をコロセ」。しかし台詞では問題になることは一言も言っていない。大きな拍手。興奮した。

マムシの娘 こわい
悪女は楽しいな。そしてこの役を綺麗な川口さんが優等生的に演じているのがまた素晴らしい。この帰蝶さんの台詞は、他の女優さんならしなをつくって色仕掛け風に演じるかもしれない。しかしそれでは安っぽくなる。川口さんの帰蝶さんはあくまでも真面目なお姫様。冷静で頭がいいお姫様。彼女は人を操ることを面白がってますよね。マムシの娘。目が笑っていない。それがいい。彼女も目力がありますね。帰蝶さんかっこいいわ。
正統派美人の姪に言い寄られて信光叔父さんはタジタジ。目が泳ぐ「こんな綺麗な女の子にお願いされたらオレ頑張っちゃおうかなぁ」とドキドキしてますもん。この信光叔父さんの表情もまた最高。一番面白かった場面。
 
そして信光叔父さんは、意を決して碁を打ちに行くわけですよ。一瞬、帰蝶さんの顔が頭に浮かぶ。いい演出。

-------------------------------------------------
帰蝶さんと信光叔父さんの会話を記録
織田信光叔父さんが帰蝶に、織田彦五郎が「碁を打ちに来い」と言ってきたと打ち明ける。
それに答えて、
帰蝶「良いお話ではありませぬか。打ちに行けばよろしいかと。碁を。」
信光「信長殿はわしをお疑いにならぬか?」
帰蝶「彦五郎殿も斯波家の若殿をこちらに抑えられ、焦っておいでなのでしょう。それゆえ仲間を増やしたいのじゃ。碁の仲間を
こちらも手詰まりでございました。あちらから誘いがあるのは、好都合ではありませぬか。叔父上様が心変わりなさるとは誰も思いませぬ。お迷いにならず、お行きになればよい。行ってお打ちになれば、よろずかたがつくというもの。碁が終わったと知らせがあれば、時を移さず殿も参られましょうぞ。」

↑この帰蝶さんの言葉、碁を(彦五郎)打つを討つに変えると…ひゃ~っひえ~っ
-------------------------------------------------


最後のもっくん道三がすごかったです。本当にすごかった。素晴らしかった。かっこよかった。

もっくんステキ

 いろんな場面でそれぞれの役者さんが最高の表情を見せてくれる。
このドラマは面白いです。ますます目が離せない。



2020年4月28日火曜日

NHK 土曜ドラマ『浮世の画家』(2019) 感想



ケンワタナベ第二弾。

こちらのTV Japanで去年の20197月に放送されたものをやっと鑑賞。
日本でのオリジナルの放送は、2019330日。


ずいぶんほったらかしにしてしまった。いいドラマだろうなと期待したので、気持ちが落ち着いている時に正座して見ようと思っていたら長い間録画機にそのままになってしまった。昨日『王様と私・ミュージカル』を見たので、ケンさんシリーズとして今日鑑賞。


いや~…

謙さんいい役者。

いいですねぇ…
本当にこの俳優さんの財産はお顔。

表情豊かな大きな目

極論を言うと、ケンワタナベは喋らなくてもいいわと思った。

大きな目…苦悩の表情も、涙も、戸惑いも、それはそれは様々な心模様を映し出す目。目で芝居。目の周りの皺で芝居する。すごいね。ラストサムライの頃よりもっと深い皺がいい。
 
 
そもそも私は今まで渡辺謙さんのお芝居をあまり見ていないのですよ。『独眼流政宗』も総集編しか見ていないし、見たのは『ラストサムライ』『硫黄島からの手紙』SAYURIと、いくつかのハリウッド映画。それに日本の『沈まぬ太陽』『明日の記憶』かな。ほとんど知らないんですよ。謙さんがどんな役者さんなのか。連続のドラマも見ていない。あ…『西郷どん』
 
残念ながらいくつかのハリウッド大作の脇役(ノーラン監督とかゴジラ)は全然いいと思わなかったです。脚本がダメ。台詞もあまりなかった。変わり者のキャラが多かったのではないか。だからケンさんがハリウッドばかりにいるのはもったいないと思ってました。…おっと今調べたら、日本のドラマをよくなさっているみたいですね。
 
 
日本の役者さんは日本語の芝居が見たい。
 
 
というわけで、久しぶりに拝見する日本語を喋る謙さん。
日本の日本人を演じる渡辺謙。

このドラマは謙さんの


でした。顔のアップが多い多い。薄い茶色の目の色も、目の周りの皺も、本当に表情豊か。

いい顔だなぁ

と感嘆しました。やっぱり謙さん日本語の芝居がいいわ。
 
 
 
ドラマとしても気合が入ってましたね。すごく豪華。綺麗。俳優さん達も大物が何人も出ているし、お金をかけた贅沢なドラマでした。いい雰囲気。
 
 
 
ただストーリーは…うーん…微妙。意図したところはたぶん理解したと思うのだけれど、どうにも結論が出るまでにもったいぶって時間をかけた割には結果が拍子抜け。構成の問題か?いや原作かな。
 
私はドラマの前半の小野の苦悩から、小野がものすごい犯罪に手を染めていたのではないか…と思ってしまったのです。確かに小野がやったことは、本人にとってはものすごい苦悩なのだろうけれど。しかし当時の(実際に戦地に行った)日本人の苦悩を考えれば、彼の苦悩はそれほど大きな悩みにも思えず。また彼が恐れるほど世間が彼を攻め立てるとも思えず。
 
私の勝手な想像ですが、カズオ・イシグロさんは日本をルーツに持つとはいえ英国人ですから、この話も日本をルーツに持つ英国人が、無難な内容で戦前戦後の日本人の心を想像して、英語圏の読者に向けて書いた話にも思えてしまった。…この話の意図は、原作を読まないとわからないのだろう。
 
 
とにかくこのドラマは、

渡辺謙さんの目力

素晴らしかったです。(話はどうであれ)ケンさんの苦悩の表情が素晴らしい。表情だけで泣ける。あの宙を見つめる無の表情が独特ですね。最後の大粒の涙に心動かされました。ほんとうにすごいお顔だと思った。色々な渡辺謙がもっと見たい。今度老齢の戦国武将をやってください。