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2016年5月3日火曜日

BABYMETAL: 『Metal Resistance』レビュー/感想(無駄に長文)





やっと数回聴けた。日本からCDの初回盤が届くのを待って出遅れ、またきちんと落ち着いて作品を聴こうと思っていたので、なかなか時間がとれないまま暫く聴けなかった。ネット上で大量に出回っているプロのレビューもまだ殆ど読んでいない。

大昔にハードロックを聴き、20年以上前にメタルをほんの少し掠っただけの音楽好きの年寄りが新譜を聴く…年寄りには年寄りのBABYMETALの聴き方もあるだろうと思いまた感想文を書く。『Metal Resistance』に真面目に向き合った記録。

 
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●全体の印象
ファースト・アルバム『BABYMETAL』にあった面白味、何が出てくるかわからない楽しさは減りました。ユーモアはほとんど感じない。子供がメタルを歌う組み合わせ、おもしろく可愛い歌詞と轟音の組み合わせ、とんでもなく珍妙な曲構成の面白味も減った。全体に遊びが少なくなった。このアルバムはとても真面目です。

●何故こうなった
BABYMETALがこういう風に変わったのは周りの状況によるものでしょう。ファースト『BABYMETAL』が海外で大うけしたことからセカンドへの期待は高まる。さて次作はどうするのか?

道は2つあった…。
1 前作を踏襲して同じタイプのおもしろ可愛いアイドルメタルをやる
2 ガチメタル。もう文句は言わせねえ。メタルヘッド/ヘイター達への挑戦

選んだ道はもちろん「2メタルヘッド、ヘイター達への挑戦」。『BABYMETAL』を聴いて散々「ギミックだフェイクだマニュファクチャード…」と言ったヘイター達に真っ向から挑戦する。今回はガチのメタルをやる…もう文句は言わせねえ!どうだこれならどうだ!

●戦い
この作品はコバさんの戦いなんだろうと思います。彼はヘイター達への挑戦を選んだ。まずその勇気に大きな拍手。そもそも得体の知れない海外のリスナーに戦いを挑むなんて本当にすごいことです。彼は恐れずに挑戦している。

●成長したBABYMETAL
新しく見せてくれた硬派なイメージは決して悪くない。真面目にメタル界に挑戦する超少女達の図。彼女達も成長しましたからね。もう子供じゃない。女の子達も意志を持ってメタルをやっている。今までおふざけ、洒落、冗談だと思っていたBABYMETALストーリー(紙芝居)にも真実味が加わる。内容はガチの力技。決して悪くない。遊びの少ない真面目なアルバムの中から見えてきたのは、女の子達の大きな成長。これがこのアルバムの一番の収穫。ゆいちゃんともあちゃんは力強く、すうさんはより高く君臨する。彼女達の今後の伸びしろは計り知れない。

●それで何を失ったのか
…ガチのメタル道『Metal Resistance』。しかしそのために以前のような遊びはなくなった。もうパパ頂戴よんよん烏賊ゲソ今何時、チョコくれ女は女優よキツネだお…のような歌はなくなった。歌詞も戦いのトーンが多い。全体にとても真面目。
また音がガチなメタルに変わったせいで、普通の音楽ファンには聴きづらい音にもなった。どういうわけか曲の構成は単純なものが多いが、その代わりアレンジと楽器の技は高度になった。プログレ調も導入。ポップな感じは減った。ギミチョコのように万人に面白いと言わせるギミック的な面白味も減った。

●まとめ
ポップで一緒に踊って歌おう系の楽しい曲はなりをひそめ、重く攻撃的でシリアスな曲調が増えた。しかしプログメタルなど、バンド好き、音楽好きには気になる曲も多い。

これでがっかりする層はいると思う。ファーストを単純に面白がってくれた気楽なファンには多少重過ぎるアルバムだろう。しかしネット上をざっと見回してみると、メタル系のメディアには大変高評価らしい。今回はコアなメタルファンもアルバムを評価していくれているのだろうと思う。その前評判も手伝って、このアルバムはアメリカでビルボード総合39位、英国総合チャート15位に上昇。それはコバさんの狙い通りなのだろうと思います。

●私個人は…
・全体に音が重くなったのはいい
ただフレーズのリピートの多い単純な構成の曲が増えたのは気になった。
KarateAwadama FeverGJ!Sis. Anger4曲はABメロのみの構成で、アレンジで趣を変えているだけ。これが一番気になる。
・あとは濃いスタンダードなベタ曲、Road of ResistanceAmoreNo Rain, No Rainbow3曲。
・面白かったのは
Tales of the Destiniesの冒険/実験。
Tales of the DestiniesThe Oneのプログレコンビ。これがとてもいい。
Meta Taroは変り種。


第一印象は、もう少しポップな遊びが欲しい…ファーストの曲のように構成が面白くキャッチーで、あまり大袈裟にならない可愛いメタルも聴きたかった。そういう意味では予想外。しかし上に書いたように、このアルバムは、はっきりとした目的があって作られたものだと思うので、全体の重さ、真面目さは理解出来る。

見方を変えればBABYMETALのガチメタルへの挑戦はいいことなのかも。このアルバムで思い切った実験/冒険が出来たからこそ今後の可能性も広がった。次回にはまた違う実験/冒険がやりやすくなったと思う。

ここ数回聴いてこの重さにもだんだん馴染んできてます。これは若い世代の方々が制作したロックのアルバム。新譜のロック・アルバムをこれほどじっくり聴いたのも本当に久しぶり。アルバムのそれぞれの曲を、一つ一つ音を確かめながらじっくりと聴くのはとても楽しいことだとあらためて思い出させてくれた。やっぱりバンドの音はいい。天才ボーカルと可愛い女の子達の声、巧みなアレンジ、楽器の超絶技巧、楽曲それぞれの大きな熱量と勢い…それ以上何を望むだろう。こんなに楽しいものはなかなかない。いいアルバムだと思います。ライブでどう成長するかも楽しみ。

明日からは北米ツアー!
がんばれー!応援するわ。


★曲別--------------------------------------------

1 Road of Resistance❤❤❤❤
これは以前公式の音源をダウンロードしたんだけど、改めてCDで聴くと色んな音が聴こえてくる。ギターの音の粒がとても多い。とにかく速い。曲の勢いがとてつもない。曲はもうおなじみですね。最初はメロディがベタであれれと思ったけれど、時間を経てこの曲は本当に素晴らしく成長しました。すっかりBABYMETAL印のアンセムになった。曲の構成は堂々と正攻法。ブリッジの展開もいい。勇ましく元気一杯ないい歌です。とにかく沢山の音が聴こえる。いろんなところでギターがキュルキュル鳴っている。こういうタイプの曲は動画サイトで満足してはいかんのだなと思います。大きな拍手。

2 Karate❤❤❤❤
元気がいい。この曲のレビューは以前書きましたが、このスタジオver.はとてもいい。大音響。この曲は構成が単純でAメロとサビしかないんだけど、アレンジの変化でキャッチーにまとめられている。勢いがあって最後まで止まらずにおしていく。好き。

3 Awadama Fever ❤❤❤❤
音一発目から好き。こういうのは好み。ついボリュームを上げてしまう。Prodigyの「Firestarter」を思い出す。いいですね。女の子達の声が可愛いのでバックの音とのギャップがいい。キャッチーです。これも曲の構成としては単純なんですが、アレンジでいい感じに仕上がってます。攻撃的な音の勢いでおしていく曲。元気がいい。…これガムの歌なの?

4 YAVA! ❤❤
これスカだっけ?スカのリズムは苦手(踊れない)で、去年のライブの音源ではうひゃ~と思ったんですけど、このスタジオ版は思ったよりもいい。印象が随分違う。アレンジでずっと魅力的になってる。キャッチーですね。全体の音の雰囲気は好き。ただAメロの歌のメロディが苦手。

5 Amore ❤❤
ベタ曲。こういうのはたぶん私がロックから離れた後に日本で流行ったアレンジなんだろう。メロディは感動系のJ-歌謡なのにリズムが単純でバタバタ速い。音にメリハリが無くてうるさい苦手なアレンジ。しかしメタルアルバムのフォーマットの中ではこういう曲も必要なんでしょう。それでも歌のSU-METALさんは輝いてます。綺麗な声。彼女はこういう曲では本当に輝きますね。おそらくライブでは映える曲だと思う…名曲になるかもしれない。アルバムver.はアレンジでマイナス点。アンプラグドで歌をじっくりと聴いてみたい。

6 Meta Taro❤❤❤
最初はなんだかVangelisの「炎のランナー」かと思ったぜ。おい…変…面白い。最初はこの調子はびっくりしますね。この曲調は予想できない。不思議。「ずっと昔…」からのAメロ(?)はゆいちゃんともあちゃんが交互にリードをとって歌っているの?  120秒あたりからの「君に聞こえているか…」の転調Bメロがとてもいい。このBメロで急にいい曲に聴こえ始める。「かっとぉばせー」って言っている…QUEENの「がんばーれタブチ」を思い出すぞ。いやーこれはびっくり曲だ。どこでこんな曲を思いつくんだろう。ちゃんとキャッチーな曲になってますよね。SU-METALさんの声の力でしょう。面白い。

7 シンコペーション(邦盤)❤❤❤❤
J-歌謡メタル。とてもキャッチー。素直なロックバンドの音で聴きやすい。こういう曲があるとほっとします。Aメロのベースもよく聴こえるし、全体のアレンジに音の隙間があるのでメタルファンじゃなくても聴きやすい。しっかりとしたメロディが曲を前に引っ張っていて勢いがありますね。普通に素敵な歌謡メタル。SU-METALさんの声が綺麗だ。かなり好き。これ洋盤に入らなかったのはもったいないかも。

7 From Dusk Till Dawn(洋盤)❤❤
おお…大人じゃないか…。ほぼインストですかね。これもVangelisとかああいう80年代の音かな…いやこれは90年のEnigmaだな。実験かな。曲の印象は薄い。

8 GJ! ❤❤❤
高校野球。おッ最初のうねうねギターがいいねぇ。ぅぅううわぁ…みみみみ…うだうだ…もっともっとほらもっともっとほらもっともっと…ノリがいいな。ヘビーなうねうねギターの上でうだうだ言うのがいい。歌部分はベタなメロディーがちと残念。アレンジだけで成り立ったような曲。でも女の子達の声は面白い。これもBABYMETALなんだよなぁ。いろんな顔がありますよね。

9 Sis. Anger
うひゃ~これは大変だ。これは無理ムリ…全然ムリ。 (^_^;)\  うるせーっうるさすぎ。女の子の声は可愛いけどこれは私は聴けないや(笑)これ音楽じゃないもの。叱られっぱなしも辛い。しょうがないですよこれは。コアなメタラーへ向けたものなんでしょうね。そういう意味での実験作ならあってもいいと思います。しかし耳が疲れる。

10 No Rain, No Rainbow❤❤❤❤❤
よし。これは語りたいことがある。これはQUEENなんだろうね。こういう情緒的な曲というのは、歌の下手な人(癖の強い人)が歌うともう5秒で聴けなくなるんですよ。30年前ぐらいまではこういうのを有り難がって聴いていたのに、今の時代にはこういうセンチメンタルな曲をあまり聴きたいと思わない。 …それにもかかわらずSU-METALさんが歌えば素晴らしいのね。別格なんですよ。彼女の透き通った声がとても綺麗だ。こんなにベタなメロディーなのに、曲を最後まで聴き続けられるばかりではない…彼女の歌声に感動さえしてしまう。彼女は本当にすごいボーカリスト。フレディ・マーキュリーがそういう人でしたね。彼が歌うとどんなベタ曲にも感動させられてしまう…。この曲はQUEENへのオマージュでしょう。2分頃からレッドスペシャルも泣いてるじゃないか…まんまQUEENのようだ。とても懐かしい。…余談だけれどこの曲は昔80年代にEXTREMEがやったQUEENへのオマージュ曲よりも数倍いい。EXTREMEとの違いはボーカル。SU-METALさんの声が本当に素晴らしい。彼女の声を聴いているとフレディを思い出す。この曲は彼女が歌うからこそ名曲になる。いいボーカルは大切です。SU-METALさんは宝物。本当にそう思う。

11 Tales of the Destinies❤❤❤❤
あっこれは
UK
ELPだ…プログレだ。\(^o^)/ワーイ まーよくこんな曲を入れたもんだね。これほんとにUKだ。へぇー…うひゃーうわああこれはなんだかケオスすげぇ…。これは誰に向けた曲なんだろう? このキーボードもUKだ、エディ・ジョブソンをつれてこい。あっ突然キング・クリムゾン。Jeff Beckもいるぞ。いろんな音が聴こえる、よくわからんけど色んな音の記憶が蘇る…
面白い。女の子の声でこういうものをやるアイデアは大変素晴らしい。「BABYMETALはポップなだけじゃないんだよ」という強い意志が見えます。大きな拍手。…曲としてあまりまとまっていないしまったく踊れないけれど、それでも癖になって何度もリピートしてしまう。面白い。謎解きのように音の部品が誰に似ているのかを解明したい。キミタチサイコダヨ。 

12 The One  ❤❤❤❤❤
11からの流れがとてもいい。英語ver.がまた意外にいい、いやとてもいい。SU-METALさんは別次元。本当にいい声。この曲もCD/アルバムで聴くのと、公式動画サイトで聴いた印象とはまったく違いますね。アルバム全体の流れの行き着く終点として聴くと本当に素晴らしい。これはアルバムの構成の勝利。感無量だ。11 Tales of the Destinies と全く違う曲調なのもいい。SU-METALさんの高音が本当に気持ちいい。圧倒されます。この曲もSU-METALさんがいてこその曲でしょう。

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2016年4月26日火曜日

NHK大河ドラマ「真田丸」第16回「表裏」 4月24日放送



サナダマル16回。話のほとんどが大坂城内の信繁の出来事という感じですが、歴史も進んでます。いつの間にか大名同士の戦は秀吉の許可制になったらしい。それで徳川は真田を攻めたいわけですが、一応秀吉にお伺いを立てる。上杉は「真田に味方をするな」と秀吉に釘を刺されているので、徳川が攻めてきたら真田は大ピンチという状況。

●あらすじ
上杉は越後へ帰郷。真田パパは上洛しない。秀吉は痺れをきらす。もうすぐ九州征伐も始まるし、徳川が真田征伐の許可を求めてきたので許可してしまう。真田ピンチ。…茶々さんと仲良くなれば殺されるかもしれないし、石田さんは利休さんを排斥しようとしているし、信繁いろいろと困った。

★感想
・大坂城。上杉さんが信繁を残して越後に帰っていった。あれー
・信繁、秀吉に呼びつけられ「上杉に真田に味方をするなと言ったのよ」と言われる。あれー
・そして秀吉の馬廻衆に勝手に決められている。いろんな事が勝手に進められている
・直属の上司は平野長泰「茶々様に近づくと殺されるぞ。実は前の子もそうなんだよ…」
・秀吉は利休による舶来品の展示即売コーナーへ。
・秀次が美術に詳しい。ブランド品に詳しいのね。
・寧々さんへ帯をプレゼント。
・おいきりちゃん、寧々さんとこで何やってるんだ。
・秀吉「九州征伐が始まる」←おおおおぉ…ってこのドラマで九州攻めが描かれることはまさかあるまい。
・次は茶々さんへ帯をプレゼント…すぐに信繁に話しかけてくる。この娘はたいくつしてるんだろうな…。
茶々さんに親しくして殺された秀吉の近習は今までに3もいるんだそうだ。こええぇ。
信繁の真田のパパへのお手紙は検閲されていた!ひー。
・石田三成「これからの世は、大名は殿下の許しなく戦をしかけてはならぬ。…もはや戦で事を決する世は終わった」←今週の〆言葉。
・石田さんの高圧的な感じもいいですね。だんだん慣れてきた。
・石田さんは堺を配下におくために、利休さんを失脚させるつもりでいるらしい。それにしても信繁はいろんな事を知りすぎる。
・いきなり茶々さんから呼びつけられ(逃げ場なし)
・信繁はそれにしてもずいぶんずけずけとぶしつけなことを聞くわね。
・加藤清正はただの暴力男じゃないか…おかしいやろ。あ、それにさっさと「自分が殺した」と白状するのか?聞いてないです。みんなよく内情をぺらぺら喋りますね。
・井戸に投げ込まれそうになったところを秀長さんが通りかかったので助かる。ぶっそうやな大坂城。
・秀長さん「兄上についてここまでやってきた。…生まれながらの大名は一人もいない。元をただせば中村の百姓。あっという間だった。だが心がついてきていない。」←今日の決め台詞。秀長は弟。豊臣家も弟ができる人なのね。

・その頃浜松城では。娘が可愛い本多忠勝。デレデレしてる。稲ちゃんは元気がいい。

徳川は秀吉に真田討伐の許可をもらうふり…?

・信州・真田には上杉離反のニュース。家康は秀吉に下ったのか。昌幸パパ「えらいことになった。どうすればいい」

・大坂城。秀吉は信繁を呼びつけ「家康が真田攻めの許可を求めてきた」←え…これって信繁に言う必要ある?
・(家康が本心で秀吉に従っているのではなくても)家康は単に真田を攻めたいだけ。それに秀吉は先週「徳川に恩を売っておきたい」と言って上杉に真田を助けるなと言っているので、徳川の真田攻めへの許可は既に決定事項でしょう。秀吉は信繁に「そうかーだまされるところだった。」なーんてニコニコしてるけど、そもそも秀吉は真田のことなどなんとも思っていない。上杉にも釘を刺してるし「真田は逆らってるから徳川は勝手に攻めていいよ。」と思ってますよね。
・案の定、徳川の真田討伐は認められたらしい。
・驚く信繁。

2016年4月25日月曜日

Princeさんの思い出~1986年‣横浜スタジアム「Parade Tour」最終日のセットリスト



アメリカのTVでは、昨日もプリンスさんのニュースが流れていた。もう4日も過ぎたのにまだ心が落ち着かない。

1月にDavid Bowie氏が亡くなって、今度はプリンスさんなんて今年はどうしたんだろうと思う。たった4ヶ月ほどの間に若い時に大好きだったスターが2人もいなくなるのは悲しい。


高校生の頃初めて聴いたプリンスの曲は「I Wanna Be Your Lover」。最初に買ったアルバムは1999。その頃からファンになってParadeまで新しい作品が出るたびにアルバムを買って聴いた。

1983年の1999は全米9位。その翌年1984年には、自伝的映画Purple Rainのサントラが全米で1位になる。その後も1985年のAround the World in a Day1986年のParadeと傑作を連続して発表。作品も売れに売れてプリンスは世界クラスのスーパースターになった。この時期をファンとして過ごすことが出来たのは幸運だった。

当時学生だったこともあって、多くの時間とエネルギーを彼の作品や情報を集めることにつぎ込んだ。発表されたアルバムはもちろん、過去の作品を遡ってDirty Mind』『Controversy買った。プリンスをめぐるミネアポリス界隈のアルバムも漁った。Sheila E.の『The Glamorous Life』、TimeWhat Time Is It? 』『Ice Cream Castle』、Vanity 6Vanity 6』、Apollonia 6Apollonia 6』などをレンタルレコード屋で借りて聴いた。プリンスの関わった音作りは独特で、それまで聴いていたイギリスのバンド、米の普通のロックが全て色あせてしまった。

当時から彼は天才だと様々なメディアが書いていた。どのアルバムも殆ど捨て曲がなかった。バンドRevolutionも本当にかっこよかった。ギターのウェンディ、キーボードのリサが素敵だった。特にリサの声はプリンスの作品に独特の色を添えていた。大好きだった。


プリンスは19869月に初来日。会場は横浜スタジアム。98日と9両日とも参戦気になって当日のセットリストを調べたらなんと出てきた。


198698日 横浜スタジアム
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1. Around the World in a Day
2. Christopher Tracy's Parade
3. New Position
4. I Wonder U
5. Raspberry Beret
6. Delirious
7. Controversy
8. A Love Bizarre  (Sheila E. cover) 
9. Do Me, Baby
10. (How Much Is) That Doggie in the Window? (Patti Page cover) 
11. Lady Cab Driver
12. Automatic
13. D.M.S.R.
14. When Doves Cry
15. Little Red Corvette
16. Paisley Park
17. Under the Cherry Moon
18. Anotherloverholenyohead
19. 17 Days
20. Head
21. Pop Life
22. Girls& Boys
23. Life Can Be So Nice
24. 1999
--------Encore:
25. Mountains
26. Kiss
--------Encore 2:
27. Purple Rain
 
198699日 横浜スタジアム
--------------------------------------------------------
1. Around the World in a Day
2. Christopher Tracy's Parade
3. New Position
4. I Wonder U
5. Raspberry Beret
6. Delirious
7. Controversy
8. A Love Bizarre  (Sheila E. cover) 
9. Do Me, Baby
10. (How Much Is) That Doggie in the Window?  (Patti Page cover) 
11. Lady Cab Driver
12. Automatic
13. D.M.S.R.
14. When Doves Cry
15. Little Red Corvette
16. Do U Lie?
17. The Ladder
18. Condition of the Heart
19. Under the Cherry Moon
20. Anotherloverholenyohead
21. or $
22. Head
23. Pop Life
24. Girls& Boys
25. Life Can Be So Nice
26. 1999
--------Encore:
27. America
28. Kiss
--------Encore 2:
29. Sometimes It Snows in April
30. Purple Rain
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…うわ凄いセット。9日は30もやったとは今まで知らなかった。いいものを見たんだなぁ。これはライブの音源が残っていないのだろうか。欲しい。あったらいつか公式にリリースしてほしい。


ツアーは『Parade』ツアー。前座はSheila E.。プリンスのライブが始まって数曲目、ウェンディとリサが「I Wonder U」を歌う。二人の篭ったような声の、もあ~っと湯気の出るような感じにうわーっと圧倒された。興奮のあまりこのコンサートのことはよく覚えていないのだけれど『Girls& Boys』で手をくねくねクロスさせて回りのみんなと一緒に踊ったのは覚えている。最後は『Purple Rain』で、スタジアム中の観客全員が催眠術にかかったようになった。

あのライブがバンドRevolutionとして最後のライブだったことは後から知った。


後日、雑誌『Rockin’ On』のライブ・レビューで(たぶん)渋谷さんが「プリンスのライブは彼と観客が一人一人直接繋がっているような…」と表現していて、ああなるほどと思った。確かに9日最後の「Purple Rain」には、催眠術にかけられたような、全身が痺れるような不思議な感覚があった。

スタジアムでのライブなのにどこか秘密クラブの集会のような雰囲気、異様に密度の濃いショー…あの日の濃い空気は、バンドからのエネルギーと観客の熱意が一緒になって起こった化学反応だったのだろうかと今になって思う。

1986年になっても日本での一般的なプリンスのイメージは、まだどこか「キワモノ」だった。だからあの横浜のライブに集まったのは「俺にはわかる」「私には彼の事が理解できる」…そんな濃いファンばかり。それぞれプリンスに対して特別な思い入れのあるファンがあの日かなりの数集まっていたのだろうと思う。

そしてその日はバンドにとってもRevolutionの最後の特別なショーだった。

あれから数多くのスターのライブを見たけれど、あのような全身が痺れるようなライブはあれ以来一度もなかったかもしれない。あのライブで何かが完結した。Revolutionも解散した。全ての事があいまいでいろんな事に馬鹿みたいに夢中になれる学生時代もおしまい。翌年私は社会人になった。


その後時代も変わった。プリンスも通好みのキワモノアーティストから、東京ドームを埋める誰もがよく知るスーパースターになった。彼のライブも、ボディコン姐ちゃんの群集が踊るバブルにふさわしいイケイケなイメージに変わった。1990年の東京ドームと横浜スタジアムのショーは行ったはずなのに殆ど覚えていない。そのあたりから私はプリンスの音楽を聴かなくなってしまった。


アイドルとの濃い時間を過ごしてもいつかは終わる時が来る。そして振り返らないまま時は流れた。それでも思い出が消えることはない。学生時代にプリンスに夢中になっていた頃のことは忘れない。彼と彼の音楽は特別だった。かっこいい音。素敵なリズム。溢れる才能。圧倒されるほどに濃く妖しくパーソナルでディープな世界。突き刺すような視線の綺麗な目。身体をくねらせながら歪んだギターを弾く彼は本当に素敵だった。そんな彼を綺麗な女性達が常に取り巻いていた。あれほど苦しくなるほどかっこいい人もめったにいない。

買い集めた初期のアルバム。オールナイトの映画館で連続4回見た『Purple Rain』。ディスコでも彼の曲が流れていた。熱気むんむん横浜スタジアムのParade Tour最終日。どれも素敵な思い出。彼の音楽を、彼の創りだす世界を追いかけるのは本当に楽しかった。


プリンスさんありがとうございました。

ご冥福をお祈りいたします。

 
Sheila E-TheGlamourous Life (1984)
Wendy &Lisa -Honeymoon Express (1987)