能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2012年6月6日水曜日

国と誇り/Queen's Diamond Jubilee




昨日QueenJubilee Cerebrationについて長々と書いたのだけど、2日遅れてバッキンガム宮殿前で行われた大掛かりなコンサートがアメリカABCでも放送された。残念ながら殆どを見逃してしまって気付いたときには既に最後のポール・マッカートニーが歌っていた。この人はいつまでも若い。後で好きな人だけYoutubeの映像を探そう。

この日、Queenの旦那様のフィリップ殿下は病院にいたらしく欠席。


ポール・マッカートニーが終わった後で、Queenとチャールズ皇太子、カミラ妃がステージに現れた。Queenが話すことはなかったけど、チャールズ皇太子が観客と彼女に向けて非常に温かでチャーミングなスピーチをした。

“Mummy, thanks for making us all so proud to be British.”(ママ、僕達みんなに英国人でいる事を誇らしく思わせてくれてありがとう)。うわーちょっと泣ける。

Queenもチャールズ皇太子の時々飛ばす軽い冗談に笑う。病院のフィリップ殿下に話が及ぶと唇をかみしめた。彼女の60年の治世を称え、上記の英国の誇りに話が及ぶと、ステージを囲んだ2万を超える観衆から歓声があがる。そこへ国家“God Save The Queen”。宮殿を取り囲んだ見渡す限りの人人人が国を愛して国家を歌う。最後にQueenが国中に灯された4200に及ぶかがり火の最後の火を灯す。

 
その直後、宮殿の上に打ち上げられる大掛かりな花火。奏でられる音楽はホルストの“Jupitar(木星)”とエドガーの“Pomp and Circumstance(威風堂々)第1  Land of Hope and Glory(希望と栄光の国)”。これで気持ちがうわーっとアガル。この2曲は英国では何かあるたびに流れる曲。私も馬鹿みたいにこの曲を聴くだけで気持ちがあがるようになった。マジで泣きそうになる。宮殿に投写された赤白青のライト。画面は宮殿の上空を飛ぶヘリコプターの映像に切り替わる。花火と宮殿がものすごく綺麗だ。

英国には、いや国家にはたまにこういうものが必要なんじゃないかとも思えてくる。こんなに幸せそうな英国の国民。国を愛して誇りに思う国民。今年はオリンピックもある。…だけど去年は警察も手が付けられないほどの暴動が起こった国でもあるのだ。去年ロンドンは炎上した。世界中のこととはいえ英国の景気も悪いと聞く。失業者の数も増えた。そもそも普段の英国人は悩みも多く常に斜に構えたような人も多い。国中に不満が充満しているかもしれないのだ。

だからこそそんな日々、国としてたまに国民に愛国心を呼び起こさせ、幸せな気持ちにさせるのは決して悪いことではないと思う。自分達を誇りに思うなんて、普段の英国人はそんなこと大声では決して言わない人達なのだ。こんな風にわざわざ機会を与えて国民をいい気持ちにさせることも国として必要なのではないかと思えてくる。

どこかいつも自信が無くて、自分に誇りを持つことも躊躇しがちな謙虚すぎる日本。自信たっぷりすぎて、自分の間違いに気付けないアメリカ。いつも反省ばかりして文句も多いけど、時々皆で誇りを取り戻すためにお祭りをする英国。もしかしたら、日本も国のあり方を考える時にきているのかもしれないと思う。


2012年6月5日火曜日

英国女王の「ダイヤモンド・ジュビリー」即位60周年記念式典/Queen's Diamond Jubilee



もう前回のJubilee Cerebrationから10年もたってしまったんだろうか。早いな。10年前の当時、私はバッキンガム宮殿に歩いていける距離に住んでいた。
前回のセレモニーは自宅のフラットで旦那ATVで見ていた。街の喧騒や祝砲(花火だと思った)、式典の最後に飛ぶ戦闘機の音などもフラットの窓の外に聞こえてきた。街の土産物屋には女王の顔を印刷したカップやお皿が連日並べられていたし、式典の前数日は祝日になった。式典の一環としてロックバンドやミュージシャンが集い大規模コンサートを開催。バッキンガム宮殿の屋上に、Queenのブライアン・メイがのぼり、英国国家“God Save the Queen/神よ女王(国王)を護り賜え”を一人奏でるという演出もあった。ああ懐かしいな。当時は旦那Aの仕事で移住した英国での生活にどっぷりつかっていて、あの国からよその国へ移住するなんて思っても見なかった頃。まさか、10年後に外国にいるとは思わなかった。

今年のDiamond Jubileeは、数日前にBBCを見ていて知った。ここアメリカでは式典のみの放送で、前日のコンサートは見られなかったけど、どうやら今年、バッキンガム宮殿の屋上では大昔のバンドMadnessが演奏したらしい。今Youtubeで見てきたけど、宮殿に投写した映像がすごい。ロンドンやっぱりすごいな。

さて、妙な時間帯に目をこすりながらLIVEで見た式典。BBCの司会やレポーター、コメンテーターなど懐かしい顔がならんでます。懐かしい街並み。ちょっとロンドンが恋しい。式典の行われたSt. Paul’s大聖堂がものすごく綺麗。数年かけて改装をしたのだそうだ。天井を見ているだけでくらくらしそうなくらい綺麗。私がいたころとは全然違う。昔はもっと暗かった。
ずいぶん待たされて最後に現れるロイヤルの方々。なんと今年、女王様の旦那様フィリップ殿下が前日に病気になられて欠席。女王は旦那様のエスコートもなくお一人で式典に出席されることとなった。長々と続けられる宗教の儀式。英国民は普段、宗教に無頓着な人が多いが、こういうときの宗教の力は大きい。ましてやこれは国家元首=国のお祝い事。Queenは英国国教会Anglicanの首長でもある。神様が国を守ってくれているという意味は非常に大きい。みな頭を下げて神様に感謝しご加護を祈る。この国の国歌は文字通り“GOD Save The Queen”なのだ。
式典の最後に参列者の全員が立って国歌“God Save The Queen”を歌う。国民も国中でTVを見ながら心の中では歌っているはずだ。その歌声が国中に響き渡る中、この銀色のスーツに身を包んだ小さな高齢の女性は、たった一人、口を一文字に結んでなんとなく寂しそうなお顔をなさっている。なんだか泣いてしまった。

この小柄な女性は英国そのものなのだ。彼女の60周年をお祝いするのは国をお祝いすること…英国がこの女性のもとで(いろいろあったけれど)ともかく平和に60年間を過ごすことができたことを国民全員でお祝いしているのだ。ただ一人の個人が60年間同じ仕事をしてきたのとは意味が違う。
この女性は(政治的な権限がないとはいえ)たった一人で、はるか古(いにしえ)に繋がる王室の存在を、決して動かない大きな岩のように静かに守り抜いてきた。国の元首として毎日職務に励む。延々とはてしなく続くQueenとしての毎日。それを神様から与えられた使命として、淡々と文句一つ言わず日々を送ってきた。彼女には事実上1日も休みがない。彼女が国そのものだからだ。Queenのタイトルは60年前に王座に座ったその瞬間から、彼女がこの世で最後を迎える日までつきまとう。彼女がQueenになったのは25歳のとき。小さな頭に大きすぎる王冠を載せて嬉しそうに笑う古い映像の中の彼女は、ため息が出るほど美しかった。
国民全員が喜んで国歌を斉唱している間、口を一文字に結んで彼女は何を考えていたのだろうと思う。60年間、ほんとうに長かっただろう。でもこれで終わりではない。この式典も彼女の人生の一つの通過点でしかない。

平均的な私の世代の日本人として(英国に住むまで)私は日本の皇室に特別な気持ちを持つことなく日々を過ごしていた。それなのに英国に来て5年も経たないうちにすっかりロイヤリスト(外国人なので本当の意味はないが)になってしまったのが我ながらおかしい。というのも、英国では王室の方々のメディアでの扱いが日本とは全く違うからなのだ。
英国には悪名高いタブロイドというものがある。いや高級紙でもそう。王室のメンバーは、常に一般庶民の関心事。メディアは毎日のように王室のメンバーの話題を書き立てる。私がいたころは、ダイアナ妃やチャールズ皇太子のゴシップが酷かった時期なのだが、それだけではない。彼らの人となり、何をやっているのか、どんなことに興味があるのか、恋人は、結婚は…など等、彼らに対するメディアの関心はとどまるところを知らない。結果的に王室のメンバーはどんなロックスターやサッカー選手も敵わないほどのスーパー・セレブリティになる
英国にもひねくれものはいる。税金を食いつぶす王室なんて無くしたほうがいいという人々も少数だがいる。しかしあれだけ毎日メディアに登場するスーパーセレブリティを本気で無くしたいと思う人は実際には少ないのだろうと思う。英国王室の方々は日々国民の娯楽として皆を楽しませ、そして、今回のような伝統にのっとった国のお祝い事には、いい意味でのフォーカルポイント(焦点)となる。

Queenは英国の国そのもの。彼女が皆に手を振り、国民全員が彼女を愛する。彼女を愛するということは、国を愛するということ。アメリカのオバマ大統領を愛しても、アメリカを愛することにならない事を考えたら、ちょっとだけ王室の意義も解るかと思う。昔から国家元首の力はそこにある。違いは国民が自分の国を愛せるかどうかということなのだ。英国の王室とメディアの関係も、そう考えればいろいろと興味深い。
あれだけのお金をかけて、あれだけ豪華に、たった一人の女性のためのお祭り。でもそれは同時に、一つの伝統ある国が国家として存在することを皆でお祝いするお祭りなのだ。なんだかいいなと思う。日本にも世界に誇れる天皇家がある。たとえ前時代的とはいっても、このような文化的、歴史的な遺産を継承していける国は、その伝統を大切にしていった方がいいと私は思う。

30代の全てを過ごした英国。10年の生活でそれはそれはいろんな事を学んだ。英国を出てからもう7年も経ってしまったけれど、未だに英国のことは忘れられない。 英国と私の関係は、まるで気難しい憧れの先輩に片思いをするような感じだ。一緒にいれば、ほんとうにいろんな事を学ぶことができる。でも私がどんなに愛しても、先輩は決して心を開いてはくれない。好きで好きでたまらないけど思いは届かない。それにそんな気難しい先輩は理屈ばっかり言って一緒にいてもあまり楽しくなかった。だからちょっとだけ嫌いにもなった。でもやっぱり嫌いになりきれない。 今でも好き。そんな存在だ。またいつか行きたい。

そんなことを大好きなエリザベス女王のダイヤモンド・ジュビリー式典を見ながら思った。おめでとうございます。女王様、どうかいつまでもお元気で。

追記:ありゃーJubilee Concert、翌日にABCでフルで放送したのね。ほとんど見逃してしまったわ。

2012年6月4日月曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第22回「勝利の代償」


またよかったです。さすがに戦の前夜や真っ只中のようなドラマはなかったけれど、いろいろとベタとはいえ、すんなりと楽しめました。

さてこの大河、前も言ったけど、主人公の清盛君がどうもいけない。なんだか青い。いろんなことがすごく青い。それに無神経。子供時代からよく喚く単細胞の騒がしい人だったけれど、基本的に中年になっても同じ。まず、忠正叔父さんを捕えて匿って、それで彼が救えると信じているところなんかものすごく甘い。「余計な事をするな」と叔父さんを捕えた忠清を咎めた盛国のほうがずっと大人。その直後に清盛が「いやワシが命じたのだ…」で、がくっときた。その後、これからどうなるかもわからない叔父さんに「僕播磨守になったんだ。面白いでしょ。」などという無神経。最後に叔父さんの死刑を宣告されると「ぇえええ…?」顔。馬鹿じゃないの。人物の深みも何もあったものじゃない。叔父さんも「あいつは最初っから問題児だと思っていたけど…。」案の定という感じでしょうか。先週は弟くんも愚痴っていたし。こんなふうにこれからも、ちょっとあほな清盛君に周り中が振り回されていく話なんだろうか…。ま、そういう設定ならそれでいいですけど。

それに清盛と義朝のおふざけ友達シーンもいらない。あんな現代劇はいらない。清盛君は得意満面でこれから武士の世だなどとエラソーに騒いでいるけど、あなたは叔父さんとうだうだ言いながら斬りあっただけじゃないの。結局兎丸に蹴散らされるし。義朝君は、文字通り死闘をしてきたのよ。


他の人物は相変わらずいい。

今回の、負けた側の敗走の場面はリアルでした。頼長の場面はかなりきつい。首を射られて、父親に見捨てられ、ぼろぼろになった籠の中で涙を流しながら自害。あーつらい。でも、史実なんだそうだ。うわー苦しい…。たまたま見ていた旦那Aも口元を押さえて顔を青くしてました。たった1回だけなのに男色の印象が強くてイロモノかと思ったけれど、この人のことはもっと知りたかった。後で信西が在りし日の頼長を回想するシーンで特にそう思った。生きている間にああいうシーンでもっと頼長の人となりを知りたかった。父親との関係もそう。粛正と男色だけの印象なんだもの。今回で死んでしまったので、ますますそう思う。ほんとにいいキャラだったのに。最後は可哀想だった。

崇徳上皇も、輿から出て出家できずに泣く。やっぱり悲しい。「生まれてからずっと何一つ思い通りにならない…」は悲しすぎる。ネットでちょこっと調べたら、このお方は有名な怨霊になられたそうだが、ほんとうに可哀想だ。なんにも悪いことしてないのにね。

平家側。忠正叔父さん。入魂の演技。力入ってます。こういう人がもうすぐいなくなるのは、ドラマとして痛手。大人だもの。最初は理不尽な意地悪オヤジ、途中からお茶目、それから優しい叔父さん、最後は強いオヤジといろいろと性格が変わったけど、ここ3回は魅力的でした。来週は辛いな。

源氏側。為義パパ。もう最初っから弱々しいお方で、どうしてこんな人から漢義朝や怪物為朝が生まれたのかも疑問なくらいだが、今回義朝が殿上人になったと聞いて、ほんとうに嬉しそうな顔をした。この人がいなくなるのも悲しい。


後白河天皇。やっぱりいい。この人はたまらんね。オレ様、超ドS(エス)だと思う。歴史上のこのお方がどんな人なのか知らないけれど、まぁこの天皇は悪そうだ。やっぱり一度グレた人は怖いもの知らず。今回の戦勝も当たり前だ顔。本当は武士に感謝なんかしていない。そんな無情な彼の下で武士は泣く。たとえ負けてもこの人ならへとも思わないんだろう。すぐ傷ついて泣く崇徳上皇の繊細さとは対極。得子さんにちょっとやり込められると「だってオレ様生きてるじゃねーか。ドウヨ。はははは…。」うわー得子さん大丈夫か。あぶねー。こいつは何を言い出すかわからんぞ。もちろん逆賊のお兄さんには薄ら笑いをしながら流罪宣告。嬉しくてたまらないらしい。こんな人にかかったら皆明日の首の心配をしたほうがよさそうだ。

得子さんもあいかわらずまたきつい女。いいと思います。

信西。やっぱり黒い。しかしいろいろと思うところもあるのだろうインテリな黒さなので見ていて面白い。

義朝はいつもどおりCOOLです。捉えられた父親に会おうとしないところはいかにも。この人の一貫した性格描写だけは一切変わることが無い。見事です。今回はあまり出番が無かった。

由良御前。この人もいい。あまり義朝に愛されてないのかな。最初っから「役にたつ」とか言われていたし。しかし惚れた女の弱みか…。文句を言わず、しっかりと強く正しい正妻の役を責任を持ってこなしている。涙をためて義朝に食って掛かる彼女。普通なら時代的に考えても女が出しゃばってと興ざめなところだが、彼女ならいい。この女性は魅力的。がんばってね。応援してる。


さて来週は、もっとヘビーです。しかし、一族の棟梁がわざわざ罪人(それも親族)を処刑する必要も無いだろうと思うが、これはベタなドラマ仕立ての演出なんでしょう。さて来週泣けるのか…?




2012年6月3日日曜日

最近のperfume:またまたPerfumeがJAPAN TIMES の記事に




リンク
http://www.japantimes.co.jp/culture/2012/05/31/culture/perfume-needs-to-walk-a-fine-line-on-its-path-overseas/#.UmnLGVVZwqI

Perfume needs to walk a fine line on its path overseas.
全和訳はネット上に既にあがっているようです。


先日530日付けで、なんとまたまたPerfumeの記事がJapan Timesに掲載されたようです。このお方イアンさん、以前アルバム『JPN』をかなり辛辣にこき下ろしていたんですが、今回はPerfumeUniversal  Japanへの移籍に関して、かなり本気でPerfumeの海外での可能性について分析してくれてるみたいです。とにかく、この人はいろいろと詳しいですね。相変わらずなんだかエラソーな口調なんだけど、今回の内容には私もほぼ同感です。分析をした上で「これから楽しみだ。」と書いてくれているので、Perfumeに喧嘩を売っているわけではなさそう(冗談です)。



「まず日本の音楽を海外に売るのなら、あほらしい“クールジャパン”をまず忘れろ。」と言ってます。鋭いですね。確かにPerfumeを売るのに“クールジャパン”などというラベルはあほらしいです。「そもそもあんなものは日本人をいい気持ちにさせるだけのもので、広告業界に公金が回るためのこけおどしにすぎない」とアート界の村上隆さんの言葉に言及している。その後にいろいろと言っていることはPerfumeとはあまり関係ないです。日本文化がいろんなものの寄せ集めだというのは鋭い。

そういえばこの言葉で思い出したけど、このイアンさんの国、英国でも15年ぐらい前に“COOL BRITAIN”というのが流行ったんですね。流行ったという以上に、当時新しく政権をとった労働党のブレア首相がこの言葉を使って実際に国家ブランド戦略と言うものを大々的にやったんです。これは英国国内の景気付けから始まったと思うのですが、国内経済の活性化という意味でそれなりの結果も出したんですね。なによりも英国の国民がいい気持ちになった。当時英国は、大変景気がよくて、ほんとにほんっとに皆元気だったんですよ。ばかみたいに希望に溢れた空気感があった。ところが45年もしないうち言葉自体が旬な時期を過ぎて、なんだかかっこ悪いものになってしまって…。そんなあたりからの警告かもしれません。気をつけたほうがいい…。私には、国が関わることが良いのかどうかは解らないけど、感覚としては国が関わった時点でかっこいいのピントがずれるような気がするのも事実。


そんな十把一絡げの“クール・ジャパン”なんて無視してPerfumeがどうやったら売れるのかを独自に考えるべきだと言っている。正論。「隙間(市場)」がキーワード。YMOとコーネリアスを挙げ、どちらもそれぞれ独自の個性と(天才的にすばらしい)音楽性、それに(日本から来たという)異国風の味付けが海外でも面白くてうけたのだと言っている。Perfumeも同じように考えるべきだということでしょう。私も同感。

Perfumeの面白さも、彼女達独自のスタイルとともに、彼女達を支える強力なスタッフの力が大きいこと。Puffyがアメリカでアニメになってうけたことに言及し、同じような客に受けるかもしれないこと。中田ヤスタカさんがべったりくっついてサポートしてくれたらもっといいと言っている。私も中田さんとセットはいいと思う。

彼によると、ヨーロッパは国によってそれぞれ違うのでそれぞれのマーケティングが必要ではないか…。

そんなこんなで、Universal Japanも(iTunesなんかの)売り上げの様子を見守っているらしいこと。それにあちらで大きく出るのなら、大きなプロモーターを雇った方がいい(これはほんとにそうです)。そうすれば、アニメエキスポよりも市場を拡大することが出来るだろう。ともかく、楽しみだと締めくくっている。


ほんと楽しみです。…しかし、こういう海外出身の方がこんな風に日本の音楽を分析して、それらが過去に海外でどんな位置にいたのかを把握し、その上で今後のPerfumeの海外での可能性も探ってくれているのを見るにつけ、さてそれでは、日本の国内のメディアや、国内の音楽業界の方々で、これぐらい冷静に、同じような分析のできる人がどれくらいいるのかということにも興味が湧いてきます。今までの宇多田さんや聖子ちゃんの海外でのぱっとしなかった結果は、こういう日本のJ-POPを海外へ売ろうとした業界の方々に、いまひとつ海外市場の知識や事前調査が欠けていたからではないか…という気がしないでもない。海外に打って出るのなら、まず敵を知ること。これがほんとうに出来ているのかということです。


それと同時に、自己(の作品)に対しての冷静な自己分析・批判(Self-Criticism)が出来るかどうかも大切。Perfumeを海外に売る場合もそう。日本製品を海外に売る場合もそう。自己批判が出来るからこそ目的に向かって最善を尽くすための努力、改善ができるわけです。「とりあえずYoutubeで人気みたいだから…、音楽もいいと思うし…、Perfume可愛いし…、とりあえずiTunes出してみようかな…」みたいにのんびりやっていたら売れないです。マジで(特に西洋)。


このイアンさんの分析、それに先日の、同じくJapan TimesPefumeの記事を読んで、そういえばこんな記事、日本語のメディアではあまり見かけないなと思ったんですね。Perfume陣営の内部からも今のところあまりこういうものは見えてこないし…。もしPerfumeであれ誰であれ、日本からのJ-POPを海外に売って出るのなら、西洋の音楽市場に詳しい人材(例えば外国人)を、レーベルやレコード会社の内部に入れて、徹底的に現地のリサーチをするとかやったほうがいいんじゃないかと思えてきます。実際の状況はどうなんでしょうか…。



2012年6月2日土曜日

Kylie Minogue - WOW (2008)



またまたカイリーちゃん。


Kylie Minogue - WOW (2008)

Album:  X
Released: Nov 21, 2007
℗ 2008 Parlophone Records Ltd,

a Warner Music Group Company
 

流行りものの曲をチェックしていないので、この曲も全く知らなかったのだけど、今回の新曲の後にYoutubeめぐりをしていたら出てきた2008年の曲。やっぱりカワイイ…と言うより…体形があまりにも人間離れしていてちょっと怖い。

たまたまPerfumeが最近ロボットをやったばかりなので、あっと思ったのだけど、このカイリーちゃんもロボットです。
 
いやーすごいですねこの体形。完璧なバランス。CGもロボットダンスもなんのギミックも使わずに体形と衣装だけでアシモ君のガールフレンドみたい。ほんとにこんなちっちゃいロボットがいそうだ。まるで動くフィギュア。ものすごく綺麗。この曲のリリース時、2008年でほぼ40歳(げげっ)。やっぱりこの人は人間離れしている。歌う妖精。

曲もいいです。イントロはマドンナのHolidayかと思った。ものすごくキャッチー。この人がこういう軽快な、いかにもなPOP SONGをやると最高に楽しくてはまる。やる曲やる曲に思想だとか主張だとかは全く感じられないけど、だからいい。ポップシンガーは楽しませてなんぼをしっかり解ってやっているんだと思う。自己主張をすることなく素材に徹して変幻自在。すごいなー。尊敬します。

余談だけど、Perfumeもこれくらい衣装で冒険をしてもいいんじゃないかと思う。彼女達ならいけると思うけどな。今のようなトレードマークの、ミニにハイヒールの綺麗なお姉さん路線でいつまでいくんだろう。もっとガンガンに冒険してもいいと思う。このカイリーちゃんも全然肌を出してるわけじゃないし、こんな感じで、セクシーを売りにするのではなく何か変化がつけられないものか…。いろんな色のウィグなんかもいいな。ちょっと前まではブーツも履いてたし…。でもあのトレードマークのミニ衣装とピンヒールPerfumeでもあるわけだから冒険は難しいんでしょうか…。少なくともミニをやめたらがっかりする男性ファンは多いと思う…。



2012年5月31日木曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第21回「保元の乱」



これもついでに今日中にUPしとこう。


前回から引き続き良かったです。汚名返上? 面白かった。ただ戦(いくさ)ものが好きなだけかもしれないけど。あちこちに場面を移しながら、ほぼ全編バトルなんだもの。コーフンするわ…なんか血が踊る(笑)。あの綺麗な鎧のむさい男達を見てるだけでドキドキする。あー面白かった。この第20回と21回は録画を保存しよう。


まず最初に戦の図を地図で見せてくれたのはありがたい。こういうのがあるととてもわかり易い。戦といってもひとつの街の中での戦いで、戦国時代に比べるといかにスケールが小さいのかが分かって興味深い。


俳優さん達もいい。信西(阿部サダヲさん)いいですね。こういう人物がいると話が盛り上がる。「即刻火をかけよ!」 この人サイコー!


まず、武装した侍たちが御殿の前に跪いて並んでいる場面だけでうわっと思う。そんななかで、むさい男の義朝は「オレは死ぬ気なんだからすぐ昇殿させろ」とごり押し。いいですね。男くさー。なんだかあんまり義朝がかっこいいんで清盛君がかわいそうかも。



さて軍議、崇徳上皇側と後白河天皇側で、それぞれ夜討ちの話をする場面。頼長と(大男)為朝の崇徳上皇側、信西と義朝の後白河天皇側を、同時間に同時進行で対比させながら見せる場面は面白かった。頼長が「そんな品のないことはしない」と言ってる間に、信西側は「いけいけっ!」。これで勝負は決まったのか…。ドキドキします。


さて戦が始まって、まー崇徳上皇側の為朝さんていったい誰? 大男じゃないですか。矢も大げさにぶんぶん飛んで面白い。昔の歴史上の怪力男なんてあれぐらい漫画みたいでいいと思います。しかしこんな俳優さんが今の日本にいたんだ。それにどの場面だったか忘れたけど、宇梶さんも出てきたし、これは大男ぞろいで面白くなってきたぞ。


いちいち細かく書かないけど戦の場面はそれぞれよかったし、悲しみの為義パパが頼長を怒鳴りつける場面も良かったです。頼長さんも真っ青になって震えて、あの威張ってた藤原摂関家がガタガタじゃないですか。これで武家の世になっていくのか…。おっと白いインコちゃんを忘れないで。兎丸たちの楽しそうなバタリングラム攻撃もいいし、あー面白かった。ところで、あの白河北殿のセットは本当に燃やしたんだろうか。


戦の場面はなんだかまったりしてるんだけど、当時の話によると「やあやあ我こそは…」とか、戦いの真ん中で歌を歌ったりする(だったかな)ような、実際にまったりした戦いぶりだったらしいので、こんな感じなんでしょうか。


前回のような繊細な心理劇は無かったし、戦ばっかりだったけど、戦なんてアクションばっかりなんだからこんなふうにガヤガヤやってればいいと思う。面白かったわ。なんだかまとまりのない感想で申し訳ない。どうもこの回、また視聴率が落ちたらしいのだけど、これはもったいないですよ、みなさん。この回は画面を見てるだけでも面白いのに。


さあこの後、またヘビーな心理劇が始まると思うのだがどうなるんだろう。

2012年5月30日水曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第20回「前夜の決断」


実は、先週忙しくて見れなくて録画していたものを第20回、21回といっしょに見たのだけど、これが非常に良かったので、前回第19回の感想も復活させようと思ったのでした。これはよかったです。ほんとうに面白かった。

保元の乱前夜、いいです。心理劇につぐ心理劇11日と時間を追っての話の展開もとてもいい。清盛君はまた脇だけど、本当の脇の方々が非常にいい感じだったので見所満載。素晴らしいです。第19回でさんざん文句を言ったばっかりなのに、どうして1週間でこんなに良くなったんだろう。やっぱり史実がいろいろあると、話が引き締まるのだろうか。今週ほんとに面白かったです。


後白河天皇の溢れんばかりのカリスマ性。正真正銘のやんごとなきオレ様。徹底的にオレ様。生まれもった絶対的な地位。美しい顔から溢れ出る絶対的な自信。この人の天皇はゾクゾクするほどいい。鼻筋の真っ直ぐな美しい顔。なのに予測不可能で怖い。何を言い出すかわからない。怖いです。松田さんがこんな表情のできる人だとは。この役はすばらしい。もうね、この天皇の高貴なカリスマが凄すぎて、清盛君は可哀相なくらい下僕の位置にはまっていた。これから大丈夫か…。


それから今週は、弟の頼盛(西島隆弘さん)の熱演に次ぐ熱演。これはびっくりした。最初に出てきたときは、まぁなんと繊細そうな優男だろうと思ったのに、意志の強い若い男子を熱演。この役者さんはほんとにいい表情をする。以前から私は「時代劇の男が男が」と何度も言っているが、男を演じるのに大きな体や怖い顔は必要ないといういい見本。極論を言えば、10歳の子供でも男を表現することはできるんです。人を男にするのは心(意志)です。繊細な顔の西島さんはこの役で、使命をもって自分の意志で立ちあがろうとする真摯な若者を熱演している。非常に男らしいです。母とのやりとりでの繊細な表情。心を決めたときの思いつめた表情もとてもいい。

そんな頼盛の苦悩の表情を見て、忠正叔父さんが心を決める。忠正叔父さんは優しい人なんですね。この二人のやりとりの心理劇はすばらしかった。こんな繊細な心理劇がいままであっただろうか。



それに義朝の2人の女性の場面もいい。妙な現代風の嫉妬劇があるわけでもなく、正妻と側室の位置も自然。常盤が余計な事を言い始めた場面で、由良御前の見せた正妻の貫禄もすばらしかった。そう、戦に感情は必要ない。戦は男の仕事。たとえ辛くてもそれを黙って支えるのが妻の仕事。そのまま黙って頭を下げる由良御前がいい。この義朝の場面はほんとによかった。その直後に敵側の源氏の武将達(義朝の親族)を見せるのも上手いなと思う。鎧が非常に美しい。

それから続いて、いかにも大河ドラマ・時代劇らしい場面だったのが、鎌田通清(金田明夫さん)と息子の正清(趙珉和さん)の場面。これはこのドラマの過去最高じゃないですか。すばらしいです。こんなにも歴史時代劇らしい場面があるなんて。それでそれでそれで…帰ってきた正清に義朝が一言「遅いではないか。」玉木さん、いい表情です。友情と忠誠心。正統派男のドラマ。参りました。この一連の流れは何度見ても泣ける。ここ数回の玉木さんは顔が変わってしまっている。素晴らしいです。毎回ますます良くなる。


なんかいろいろと泣けました今回。どうして急にこんなに変わったのだろう。今回だけで、好きになった人物も多い。天皇、頼盛、忠正叔父さん、由良御前、鎌田通清、正清…、これらの人物の人となりがはっきり解った。いろいろ思うところもあるのだろうと応援したくなる。人物描写だけでこんなに印象が変わるなんて。いったいどうしたんだろう。

毎回戦争ではないけれど、こういう極限の場面があるから歴史時代ものは面白いんだとつくづく思う。家族なのに敵味方に分かれて殺しあわなければいけない現実。それが忠誠心からくるものであれ、お家の為であれ、人として辛い決断なのは同じ。これがドラマ。上下関係では礼儀を尽くし、忠誠を誓い、自己の責任で必死にその日を生きようとする歴史上の人物達にやっぱり心を動かされる。人が人に礼節を尽くす姿というのは美しいです。鎧を着けた武者達が静かに跪く姿は本当に美しい。私はやっぱり昭和の人間だと思う。ほんと。

今回、音楽もとてもよかったと思う。
満足です。

一言。こんな重厚なドラマの中で、清盛君と時子の場面は浮いてます。この二人のコミカルなやりとりは正直いらない。せめて戦の回くらいは自粛して欲しい。