能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2023年1月11日水曜日

★「鎌倉殿の13人」好きだった人々4

三浦義村 和田義盛 巴御前 
畠山重忠 上総広常 梶原景時
後鳥羽上皇 安達盛長 三善康信 運慶 善児


三浦義村
頭が良く計算高く要領もいいが、たぶんどこかが抜けている。彼が義時の上に立てなかったのにはきっと何か理由がある。御本人は真面目にやっているのになぜかユーモラスで笑いを誘うキャラ。突然脱いで筋肉を見せたがる笑。 最後の頃に度々義時を裏切るが、その理由は義時の成功に嫉妬していたことによるものだった。最後に本音が出た。急に親しみがわいた。義時のライバルとして最初から最後までいた重要人物。


和田義盛
豪快。脳筋。単細胞。でも心はゴールド。いい人。裏表がない。暖かい。こういう人がいいですよ。すごく好き。繊細な実朝が悩んでいれば自宅に招いて鍋パーティー。占い師の元にも連れていく。面倒見がよく思いやりのある人。子だくさん。その上に喧嘩も強い。最高ですね。最初はユーモラスなキャラで面白がってましたが、最後の頃にはファンになっていた。


巴御前
このドラマで一番かっこいい女性。現代的。自立していて御本人がとにかく強い。男以上に強いから皆に一目置かれる。そんな彼女が、和田義盛の優しさに触れて女性らしさを取り戻す。眉を剃り髪を整えて綺麗な女性に生まれ変わる。和田さんの前では女の子のような可憐な笑顔。すごくかわいかった。


畠山重忠
かっこいい武将。華やかな武将。素敵でしたね。中川さんはお若いのにベテランの俳優さん達と肩を並べて堂々とこの有名な怪力の武将を演じていらした。義時と殴りあったときは、そのまま義時をやっちまえと思った笑。


上総広常
豪快な人。彼もかっこよかったな。佐藤さん御本人は寡黙で知的な印象のお方なのだけれど、この上総介は大軍を率いて男気溢れる豪儀なお方。北の佐竹義政に「お前老けたなぁ」と言われて一瞬でバッサリと斬ってしまう笑。気が短いのね。すごくいい人だったのにパラノイアの頼朝に誅殺されてしまう。酷い酷い酷い。


梶原景時
苦悩の人。義経の天才的な戦略を間近に見て圧倒され、自分と比べて苦悩していた。最初に頼朝を見逃した時も理屈で判断していたようで、彼は常に直感よりも理屈で物事を考える優等生だったのだろう。努力する秀才か。お堅くて真面目過ぎるせいか肉体派の御家人たちにあまり人気がなく、皆から景時糾弾の連判状が作成され鎌倉を追われ討ち取られる。


後鳥羽上皇
やんごとなきお方。ただそこにいるだけでユーモラス。似顔絵がうまい。


安達盛長
安達さんはおだやかな頼朝の忠臣。いつも頼朝の突飛な行動に驚かされて目を丸くして困っていた。それがコミカル。このお方の最後は穏やかでよかったです。


三善康信
三善さんもいい人。控え目で欲がなく真面目でおだやかな人。いい人。このお方もNOを言えないお方かな。最後までチャーミングでした。


運慶
本物の天才。世界に誇れる天才。13世紀の大昔にあれだけパワフルでリアルな彫刻をなさったお方。特殊能力。このドラマの運慶さんは、権力者に媚びないかっこいい芸術家。芸術家はこうあるべし。かっこよかったなぁ。最後の義時の像はトラウマになるほど怖いが、あれは弟子に彫らせたのだろう。


善児
彼を忘れられるはずがない。怖い怖い怖すぎる善児。彼の名前が出るたびに皆恐怖に震える。強烈な印象。とにかく強い人。




…三谷さんのドラマはとにかくキャラひとりひとりが皆スポットライトを浴びるので、印象に残っている人…と思えばまだまだいくらでも出てくるのです。
北条長男言い出しっぺ宗時、伊東のじさま伊東祐親、マツケン平清盛、ホーオー様後白河法皇、男臭くかっこいい木曽義仲、綺麗な若者義高、戦は強いがおだやかな土肥実平、いつも笑顔の仁田忠常、いい人過ぎる江間次郎、奥さんと仲がいい/北条に騙された比企能員、一番の悪人大江広元、湯気出る筋肉土木課八田知家、京いけず源仲章、早口言葉慈円、神出鬼没文覚、中二病がんばれ北条朝時、頑張り屋さんの鶴丸/平盛綱、息子がよにん佐々木秀義爺、そして沢山の女性達。ひとりひとりキャッチフレーズが皆書けるほど。このドラマの俳優さん達は、たった1話限りの出演でも皆記憶に残ってます。
皆さまおつかれさまでした。

★「鎌倉殿の13人」好きだった人々3

源義経 源範頼 北条泰時 北条時房 源頼家 源実朝 千世 公暁


源義経
戦の天才。走り出したら止まらない。一番効果的な戦略をぱっと思いついてすぐに実行する。誰も思いつかないやり方で最短で結果を出す。だから天才。しかし行動が型破り過ぎるせいで人望がない。そして心は脆い。子供のように無邪気。政子さんに母を求めて甘えていましたね。その後、頼朝に拒絶されてどうすればいいのかわからずに子供のように迷い悲しむ。惜しい人。もったいない人。この義経はかわいかった。魅力的だった。


源範頼
上品な優等生。このお方も人が良すぎて人間不信な兄・頼朝に逆らうことができなかった。謀反を疑われて弁明もせず引き下がるのが悲しい。そして暗殺された。迫田さんが素敵。


北条泰時
彼が北条家の希望。真面目。純粋だが理性的。最初は頼家に仕え、その後実朝に仕える。少しずつ父・義時の元で政治に関わるようになり成長する。父の影のサイドを見て反発する。史実でもこのお方は優等生なのだそうです。それが色白で綺麗な坂口さんのイメージに合っていた。また坂口さんで泰時のその後のドラマをやってほしい。


北条時房
童顔のかわいい若者のイメージかと思ったら、冷静で落ち着いている人物だった。複雑な政治的状況でも敵を作らず誰に対しても穏やかな笑顔。バランス感覚の優れた知的な人物だと見た。


源頼家
頼朝が亡くなってすぐ将軍になった頼家。子供だからとバカにされないようにイキり過ぎたせいで御家人達からの信頼を失う。すぐに有力御家人達13人による合議制が決められ、頼家はますます隅に追いやられ拗ねて反抗する。本人もちょっと問題児だったけれど、北条と比企の間で板挟み、結局北条の野心に消されてしまう。かわいそうだった。必死で突っ張ってたのにね。義時との夜の会話で流した大粒の涙が忘れられない。


源実朝
繊細な人。若くて将軍になったのでそのことで悩んでいるのかと思ったら本当の悩みは別のところにあった。泰時に恋をして想いはかなわず。その繊細な表情がうまい。歌を詠む歌人。芸術を理解する人。悲しみの表情が多かった実朝。将軍になどにならずに引退して歌を詠む人生を送れば幸せだっただろう。せめて船が海に浮かべば喜んだだろうに。最後に公暁の顔を見つめて頷いた実朝は何を思ったか。


千世
かわいかった。普通の結婚ではなかったのに文句も言わず彼女は常に微笑んでいた。実朝と一緒の時はいつも嬉しそうだった。彼女の嬉しそうな笑顔が見れてよかった。幸せになってほしかった。


公暁
彼を忘れてはいけない。幼い頃、比企尼に「北条を許すな」と吹き込まれる。京で修行をして鎌倉に帰ってきた頃、叔父実朝は「もう争いごとは沢山だ」と(御家人たちが争わないように)京・朝廷から新しく鎌倉殿を迎えようとしていた。蔑ろにされたと傷つく公暁。乳母夫の三浦義村からは父・頼家の最後を知らされる。北条に恨みを募らせる公暁。しかし彼の計画は甘かった。計画が失敗したと知ってその場で狼狽える様子がリアル。鎌倉幕府初代征夷大将軍の孫に生まれながら「私に武士の名はありませんでした。私の名を知らしめたかった」と泣くのがかわいそうだった。






★「鎌倉殿の13人」好きだった人々2

北条政子 源頼朝 北条時政 りく 実衣 阿野全成 


北条政子 
最初に頼朝に会ったばかりの頃は元気いっぱいでユーモラスなかわいい女性。それなのに頼朝が亡くなった後、息子や娘たちが命を落とす頃から、彼女はあまり感情を表さなくなってしまった。大姫が病で命を落とし、頼家、一幡がいなくなり(彼女は彼らが弟・義時に討たれたことを知らなかった)、次男の実朝も孫の公暁に討たれる。そして公暁も討たれる。子や孫を亡くした母親として耐えられないほどの悲しみと苦しみだろうに、彼女は全てを静かに受け入れているように見えた。泣き叫ぶことも、憤ることも、病むこともなく、彼女は尼御台の座に座って全てを見守っていた。もしかしたら、あまりの悲しみに感情が麻痺してしまったのではないかと思うほど。心を閉じてしまったのかもしれませんね。三谷さんの描く新しい政子さんは静かな女性。静かにしていてもものすごいカリスマなのに印象は穏やか。ちょっと不思議なキャラだった。


源頼朝 
前半の主役。女好きで(たぶん)人たらし。ひょうきんでユーモアに溢れているのに、権力の階段を上りつめたとたんに人間不信になって全方向を警戒し始める。そして自分に一番近い存在の弟二人を殺害。ひょうきんさとユーモア、威厳とカリスマ、しかし心は空虚で人を信じられずにいる。自ら弟・義経を拒絶し殺害しておきながら、討ち取った後には首桶を抱えて泣きくずれる。一人の中に様々な相反する感情が存在する複雑な人物。しかし大泉さんの多面的な演技でその全てが信じられた。


北条時政 
陽気な下町のお父ちゃん。喧嘩が強い。短気。表裏のないわかりやすい人。実は子煩悩の家族思いの優しいお父さん。憎めない人。しかし途中から美人妻のりくさんの言いなりになって周りの御家人たちを攻撃し始め、それが北条家の進む方向を決めた。後に息子・義時が苦しむのも元はと言えば時政とりくの野心のせい。最後はのんびりとリタイアできてよかったですね。お父さんキャラは好きでした。


りく 
宮沢りえさんの力技。魅力的な悪女。生々しく野心に溢れる悪い女なのに憎めない。りくさんは悪くなればなるほど艶々イキイキと光輝く。色香で夫を操り…出会う全ての男を惑わせ自分の思い通りに操ろうとする。悪い女なのに見ていると楽しくなってくる。そんなりくさんが好きでした。宮沢さんの華がキラキラ艶々して輝いていて楽しかった。うまい女優さん。


実衣 
実衣さんはムーミンのミイだそうだ。最初の頃は何か情報を仕入れるとそれを人に言わずにはいられない。「黙っていろ」と言われたら必ず誰かに話して物事を大きくする。コミカルなキャラクターだった。夫・阿野全成の前では小さな女の子のよう。かわいかった。ところが全成が討たれる。その泣きの演技の力技に思わずもらい泣き。あの場面は「鎌倉殿」全体の中でも記憶に残る名演技だと思う。その後は仏を信じられないと出家せず、実朝を育てたことから政治にも野心を持ち始める。次第にエゴと政子への嫉妬が顔を出す。徐々に性格が変わっていく様子が見事。
 

阿野全成 
ちょっといいかげんで頼りにならないが、とことん優しい人。実衣さんには優しい旦那様。優しい表情に優しい声。こういう人と結婚したらきっと幸せ。人が良すぎて頼まれればNOを言えず、それが自らの命を縮める理由となった。彼が討たれて悲しかった。



Fujii Kaze – Matsuri (2022)



年の初めは明るくいこう




Fujii Kaze - "Matsuri" Live at Panasonic Stadium Suita
まずはライブが良し バンドがうまい
そしてスタジオ ver.
Album: LOVE ALL SERVE ALL
Released: March 23, 2022
A UNIVERSAL SIGMA / HEHN RECORDS release; ℗ 2022 UNIVERSAL MUSIC LLC



実は2日前の9日に藤井さんの「Shinunoga E-Wa」はここに取り上げた。あの曲がいかに素晴らしいのか(←特にメロディ)と1日かけて文章を書いた。音楽的にすごくいい曲なのですよ。そしてその曲が、海外でウケていること、そしてその分析をして「あの曲が海外でウケたのはYouTubeに先に上げられたライブビデオが良かったからではないか(ピアノ最高、サビの転調最高)」などとも書いた。藤井さんは才能に溢れていて、これからどんどん外に向かっていくお方でこれから楽しみだと書いていた。絶賛していた。

その文章をあげてから数時間後、なんだか違和感を感じ始めた。…ちょっと待て。あのリピートされるサビの歌詞。あれはいかん。あれはやっぱり年の始めに繰り返す言葉じゃないだろうと思い始める。私は普段音楽を聴くときは、あまり歌詞を聴かずコード進行やメロディから入るのですけど、人によっては歌詞から曲に入る人もいるだろう…などなどと考えていたら少し苦しくなってきた。というわけでその文を一旦削除しました。

…それからどうしようかと考えていた。藤井さんは好きだし、期待しているし、その事も書きたいし、ちょこちょこ動画サイトで曲もチェックしているし、…いや~「Shinunoga E-Wa」は音楽的には今でもすごく好きなのですけどね(特にあのライブ ver. 最高)。どうしょうかな…と思ってた。

そうしたら今朝、キチンに立っていたらこの「まつり」を無意識に口ずさんで踊っているのに気付いた。…あ、そうだ。この曲があるじゃん。これを取り上げよう。どれどれ歌詞は何を歌っているのかな?おぉ前向きじゃないですか。すごくポジティブな曲。よし、じゃぁこれにしよう。というわけで今この文章を書いている。


藤井さんはいいですよ。いい曲。この曲も「Shinunoga E-Wa」と同じで踊れる曲。思わず身体も揺れる。いい調子。いい気持ち。特にこのPre-Chorusというのかな…「花祭り 夏祭り…」のあたりが気持ちいい。しかしいい歌だ。

  あれもこれもが有り難し
  苦しむことは何もない
  肩落とすこた一切ない


よくあることですが、うまいバンドはスタジオ ver. よりもライブの方がいいですね。グルーブがいい。この曲のライブ ver. もスタジオ ver. よりずっといい。バンドかっこいいな。


そうだ色々と考えたので「Shinunoga E-Wa」の文で書いていたものを、ここにコピーしよう。

「全体に踊れるリズムなのがいい。横ノリでまったりいける。今の世界でウケる音のスタンダードは踊れる系。どんなリズムでもいいけれど最低ノレるリズムはあった方がいい。ダンスは今世界での音楽の共通言語になってます。この歌が受けたのも踊れるリズムだったからでしょう。

とにかく藤井さんはすごいわ。まだ25歳ですからね。本当に才能に溢れた若い人。別次元の若い才能。世界に行く人。このお方は単にポップスターやロックフェス参戦などと言うよりも、これだけピアノができる方なので(ポップス有りの)ジャズ・フェスとかでいけそう。

今世界の音楽って、EDM、ソフトで作曲するダンス系ばかりなのですよ。でもその中で、やっぱり楽器を捨てられない人々がいる。今楽器を弾くバンドには、本当に上手い人達がちらほらいる。例えば大学でクラシックを学んでた…チェロやバイオリンを弾いてた人たちが、バンドを組んで品のいいポップスをやっていたりする。私は深くは調べていないのですけど、ここに以前取り上げたフランスのL'Impératrice とか、米ニューヨークのLake Street Diveはこなれていて上手い。それから売れてるポップスターのCharlie Puthさんも同じタイプかな。

藤井さんはこういう上手いミュージシャンのジャンルでいけるでしょう。日本のうまいバンドを引き連れて世界ツアーをやってほしい。あのピアノならいける。楽器ができるのは宝物。

面白いですね。昔は日本人の音楽で海外に受けるのって現代音楽系とかシンセ系とかバカテク系とかだったと思うのですが、今はポップス系でいけるのね。だんだんいい感じになってきてる。」


↑大絶賛。藤井さんを応援する。と言っても歌を聴いて鼻歌を歌うぐらいだけれど。この才能のある若者がどこまでいけるのか。楽しみです。

「Shinunoga E-Wa」の歌詞ですが自分で歌う時には「犬のがいいわ~」にしよう。私は「猫のがいいわ~」だな。   サムー





2023年1月10日火曜日

★「鎌倉殿の13人」好きだった人々1

北条義時 今どきの悪人の描き方


今回はとにかくドラマが濃いので、ただトップ10を並べるだけでは物足らない。もう少し踏み込んで書きたい。特に義時についてはいろいろと考えた。分析した。


北条義時/小栗旬

複雑なキャラでした。純粋な若者が恐ろしい独裁者に変わっていく。そして鎌倉に北条家の独裁国家を作る。このドラマはそれが主題。史実の北条義時は間違いなく傲慢な野心家で悪人…身内も仲間も殺しつくして権力を手に入れた人物。しかしそんな人物がドラマの主役になったらどうする? これが一番の難問。

最初の頃の義時はかわいかった。なんの違和感もなく見れた。小栗さんの演技も自然。小栗さんはうまいお方。純粋な若者だから応援したくなる愛される主役。…ところがこの人物が途中から変わり始める。


…ドラマが面白いからこそ真剣に見る。だから普段なら気にならないことも気になってくる。つまりはドラマにのめりこんでいるからこそ色々と考え始める。多少重箱の隅をつつくようだが、何度も考えたことなのでメモしておこうと思う。
 


ドラマの最後の頃の感想で私は何度も「義時が煮え切らない、いつまでも迷っている」と書いた。

この人物は、親しい友人を最悪の方法で殺しているのに、いちいち泣いたり悲しんだり苦しんだり反省して、殺した相手に向かって「ごめんね」と言っているように振舞う。しかし私はそれにリアリティがあるとは思えなかった。というのも、己の欲のために人を殺し続けるような人物はどこかで普通の常識や感情を切り捨てるだろうと思うから。人を何十人何百人と殺している人がいちいち罪悪感を感じていたら自分がメンタルをやられる。人は何度も罪を重ねれば、いつか「俺は間違っていない」「俺は正しい」と開き直る。いやむしろ目的に向かって前しか見ていないから、人を何人殺そうと自分が正義だと言い切るだろう。独裁者とはそのようなものではないか。


しかし義時は人を殺しながら毎回反省して苦しむ。彼はいつまでも「いい人」であろうとする。最後に悪行を反省しなくなった頃でも「泰時のために、北条家のために」と自分自身には野心がないかのように言い訳をしている。まるで人(視聴者)から「いい人」に見られたいと思っているかのように。本当は善人の義時…しかし権力のために人を殺し続ける義時…にリアリティはあるのかと私は首を捻り続けた。


それにしても今どきの大河ドラマは主人公を100%悪人には描けないのですよね。主人公がとことん悪人になれば視聴者がひく。視聴者が主人公にそっぽを向いたらドラマそのものの人気が落ちる。だから主人公を悪人に描くのは大変危険。

主人公はどんなに悪事を重ねても善人でなければならぬ。



この義時は難しい役だったのではないかと思います。義時はあくまでも主役。どんなに悪行を重ねても、どこかで必ず視聴者に愛され受け入れられなければならない。そんな人物を(おそらく御本人がいい人の)小栗さんが見事に演じられた。複雑な義時。大河ドラマを1年間背負って極悪人になり切れなかった北条義時。最後までかっこよかった義時。すごく見ごたえがあったし色々な意味で考えさせられ、惹きつけられました。


ドラマの最後、義時は罰を受けることで許されましたね。そこまでしなければ今どきの視聴者は彼を許さないのかもしれない。今どきのドラマは真の悪人を描くのが難しいのだろうと思う。三谷さんの脚本は特にそうかもしれません。時政も最後は善人でした。

似顔絵を何枚か描いているのですが、似顔絵でもお顔がどんどん変わっています。最初の頃の義時は無邪気で可愛かった。最後のパワハラおやじとは別人。小栗さん素晴らしかったです。



2023年1月8日日曜日

★「鎌倉殿の13人」を褒めつくす



恒例「好きだった人物達」のことを書く前に、まずドラマのことを書こうと思う。このドラマは本当に面白かった。記録されている史実(とされるもの)をひとつひとつ細かに拾い上げて大きな流れを描いた歴史ドラマ。傑作かもしれませんよ。近年でこんなに面白かった大河ドラマはない。素晴らしかった。皆様に感謝感謝でございます。


ドラマ+脚本

最後まで中だるみせず
面白かった。こんなに夢中になった大河ドラマは初めて。今まで見てきた近年の大河ドラマは、最初は面白くても途中から勢いがなくなるものが多かったように思うが(それが当たり前だと思っていた)、このドラマは最初から最後までみっちり面白かった。最終話まで勢いが失われなかったのは本当に凄いと思う。

歴史の学び
(私が鎌倉時代の歴史をよく知らないことから)このドラマは毎回鎌倉の歴史を新しく学ぶレッスンのようだった。そして事実はフィクションより奇なり。三谷さんの創作だろうと思った内容も、後で調べたら歴史の記録に残るものだったりする。そういう話ばかりで驚いた。史実/記録とフィクションがスムースに繋ぎ合わされて自然な物語になっている。本当にすごいと思う。毎回毎回唸りました。

登場人物が異様に多い
人物たちの似顔絵を描いていたら、回が進んでもいつまでも新しい人物達が登場し続ける。最初からドラマに出てくる人物達の似顔絵はできるだけ沢山描きたいと思っていたのだけれど、途中から「このドラマは普通ではないのだな」と覚悟を決めた。 今までの他の大河では、1話ごとに1人や2人の似顔絵を描いていたのだけれど、このドラマでは最低でも4人5人は描かなければ追いつけない(しかし描かなきゃ話がわからなくなる)。しかし一旦覚悟を決めたら、それらの登場人物たち…歴史のサイドストーリーの実在の人物たちを知ることがとても楽しくなった。例えば、初期には以仁王と源頼政が一瞬だけ出てくる。木曽義仲の回では今井兼平。木曽義高の側近・海野幸氏。そして義高を討った藤内光澄。奥州藤原氏では秀衡だけではなく息子の国衡、泰衡、頼衡まで描かれる。畠山重忠の息子・重保。三浦義村の弟の胤義。頼家の室・せつとつつじ(←フィクションだけど)。全成の息子の阿野時元。和田義盛の息子達三人…。いちいちWikipediaを開いてその人物を調べる。それぞれの人物にそれぞれの人生。ドラマがますます面白くなる。私が「鎌倉殿の13人」にとことんはまったのは、これら大勢のサイドキャラクター達の存在も大きいと思う。皆様お疲れさまでした。

ちなみにこの「鎌倉殿の13人」で描いた似顔絵+シーン絵は全部で228点(たぶん)似顔絵に描いた登場人物は全部で104人(たぶん)。そして228点も描いても(次も出るだろうと思っていたら出なかったなど)描いてない人も何人もいる。この数がいかに多いのか…比べてみれば、三谷さんの前回の大河「真田丸」で描いた絵は全部で86点。「麒麟がくる」が113点。 とにかく「鎌倉殿」は登場人物の数がすごかった。絵を描いていて毎回へとへとになった。面白かった。

死を描く
決しておだやかではない時代のドラマ。今回の三谷さんの歴史ドラマは、苦しみや荒々しさから逃げていない。死をしっかりと描いている。暗く厳しい場面がきちんと描かれている。ぎりぎりグロくならない絶妙な演出は見事。不快になることなく時代の厳しさと恐ろしさをしっかりと描く。何度も息を呑む場面があった。それらの死の場面で善児はドラマの影のスターになった。 上総広常、 阿野全成、 和田義盛、 源仲章、源実朝、公暁は死の場面をドラマの華として正面から描き、源義経、源義高、梶原景時、畠山重忠の死は首桶でその死をあらわす。そしてその後にそれぞれの人々の死が意味するところを描いているから、悲しく恐ろしく、苦しく哀れであり…、過去に実際に起こった歴史上の事実に心を揺さぶられてますますドラマにはまり込む。

人物描写に深み
三谷さんが死を正面から描く。そしてそんな風に「死が日常」の時代に生きる人物たちのそれぞれの人となりも細やかに描かれる。人物達一人一人にそれぞれの人生があるのだと気付かされる。…軽薄な問題児のように描かれた北条朝時は実は「周りから期待されないこと」に悩んでいた。義時の成功を密かに妬み、ことあるごとに義時を裏切ろうとする三浦義村。成功の階段を上った頼朝が人間不信に陥る様子。梶原景時の天才になれない苦悩。目的を達成して燃え尽き症候群になる源義経。「大人はわかってくれない」症候群の頼家。最後まで揺れ続ける義時。…それぞれの苦悩が描かれて人物たちがぐっと身近になる。だからますます面白くなる。


俳優さん達が素晴らしい
脚本がいい。台詞が素晴らしいから俳優さん達が輝く。最初から最後までドラマのペースが落ちない。だから初回から最終回まで俳優さんたちの芝居が輝いていた。このようなドラマはなかなかない。48回ほぼ全部の回でいい演技が見られる。経験豊かな俳優さん達も若い方々も皆いい。芝居がいい。上手い人、自然な演技の人、繊細な演技、豪快な演技、皆個性はそれぞれだが、その全てはストーリーを効果的に語るため。脚本でキャラクターの人となりが作られて、俳優さんのうまい芝居で人物像が出来上がる。いい脚本が俳優さん達のいい芝居を引き出している。

配役も素晴らしい
これ最高。配役が素晴らしかった。どの役もいい。主要人物からたった1回だけの出演の俳優さんまで全員が素晴らしい。脚本がいいから俳優さん達が輝く。配役に違和感のある人がいないのは不思議なほど。脚本がいいから全員が輝いていたのか、それとも配役がいいから台詞と芝居が輝くのか…どちらが先なのかがわからなくなるほど。俳優の皆さんが素晴らしかった。

演出が素晴らしい
俳優さん達を輝かせる演出もいい。それぞれの場面の画面の絵の構成が巧み。カメラのアングル、画面の中の人物の大きさ、俳優の顔に迫るカメラ、光の演出、全てしっかりと考えられて効果的に演出されていると思った。ほんの一瞬だけ映る場面にも全てに意味がある。俳優の顔に迫るカメラと引くカメラ。絵そのものがドラマを語る。何度も何度もうまいと思いながら画面を見入った。そして効果的な音の演出。 全体に奇を衒うことなく、演出が饒舌過ぎて邪魔になることもなく、全てがストーリーに自然に馴染んでおさまっている。演出は全て「脚本に描かれたストーリーを語るため」にあるのだとあらためて思わされた。素晴らしかった。


このドラマへの愛は語っても語っても語りつくせない。もうはまりましたよ。大好きだわ。素晴らしいと思ったことをここに集めましたが、たぶんもっとあると思います。三谷さんの脚本も、効果的な演出も、俳優さん達の巧みな演技も、様々なシーンの全てが素晴らしかったです。皆様に大きな拍手。拍手喝采。皆さまお疲れさまでした。

1年間最高に楽しみました。感謝しております。面白かったです!



2023年1月4日水曜日

お猫様H:冬の猫 2023



ここのところ猫さんが寝てばかりいる。寝てばかりいるからいい写真も撮れぬ。そろそろこの猫シリーズもできなくなるかもしれぬ。 
猫さんは去年の九月ごろに9歳になった。人の年齢で言えば52歳。今は9月から3か月が過ぎたので、人でいえば53歳ぐらいだろうか。今でも毎日ブラッシングを要求するし人と一緒にいたがるのは以前と変わらない。しかしずいぶん怠け者になったように感じる。定期健診では十分健康だそうだ。ただ中年になってだらだらしたいだけなのか。それは人間も同じですね。