2014年8月13日水曜日

NHK BSプレミアムドラマ『プラトニック』全8回



日本語TVサービスTV JAPANにて、ここ数週間放送されていたものを録画して今日見終わった。

脚本は野島伸司さん。私は長い間日本のドラマを見ていないのでよく知らないのだけど、大変有名な脚本家の方らしい。NHKBSプレミアムドラマとして日本では5月から7月にかけて放送。全8回。


つかみから引き込まれた。心臓疾患がある娘を救おうとする母親。そこに心臓移植のための心臓の提供者が現れる。まず出会いの設定が面白い。無さそうでありそうな話。理屈も合っている。これは面白くなりそうだと最初から思った。

その後、話はどんどん複雑になっていって、だんだん重~くリアリティも無くなってくるんだけど、途中まで見たらもう抜け出せない。いろんな予想外の展開に「まさか…」などと呟きながらも最後まで完走。面白かったです。


最初のつかみは面白かったんだけど、だんだん人物描写が進むにつれて重苦しくなってくるのを頭をひねりながら鑑賞。例えば母・望月沙良(中山美穂)の娘への執着は気味が悪い。可愛そうな悲劇のヒロインの母が、実はとんでもない痛い女だったとわかったときは「うひゃーこりゃー見続けていられるか…」とも思った。もちろんそこが面白いところなんだけど。また、その彼女が青年(堂本剛)と「あなたと私の二人だけの幸せ…」と溺れ始めたときもついていけないかと思った。

わかってます。これがいいんですよねこのドラマ。悲しい二人がパズルが合わさるように一緒になれた…というのがロマンチックなのはよくわかるんだけど、これはね…ワタクシほど年をとるとちと白けますな。ちょっと作りすぎ。でもおそらく2030代の女性にはうっとりするような話なんだろうなぁ。

台詞も演劇調だったり、文学青年風だったり、非常に作りこんでいて真面目。あまりに詩的な台詞はかっこいいんだけど、その世界にドップリ入り込まないとリアリティーとしては苦しい。ちょっと鼻白む。でも悪くない。程度の問題。おそらく配役の問題も大きい。ともかく苦悩の主人公達を大真面目に大真面目に描写したドラマ。


…なーんて文句ばかり言ってますが、じゃあなぜワタクシがわざわざここに感想を書いているのか?それは、このドラマに出ていた俳優さん達が本当に素晴らしかったからです(例外あり)。それから真面目に真面目に取り組んだ演出もとてもよかったから。そしてスタッフさんがこのドラマを非常に真面目に作ろうとしているのが見えたのが嬉しかったからです。

中山美穂さん。大昔ティーンの頃のドラマで「てめーこのやろう!」なんて叫んでた(笑)のをよく覚えているけど、ほんとにステキな大人の女優さんになりました。この人の表情を見ていて、それだけでかなり引き込まれた。特に娘さんと一緒の母親の顔が素晴らしい。ラブシーンよりも母親の顔が良かった。

それから娘さんをやった永野芽郁さん。たぶんこのドラマで一番輝いてました。初々しくて本当に素晴らしい。この人は伸びると思う。

白黒はっきりの父親・吉田栄作さん。この人もよかった。大人の男の色気。ガミガミやくざのように怒鳴るのが大変素晴らしい。優男ばかりが多い40代の俳優さん達の中で、こんな怖い雰囲気の人はあまりいないのでは。こんなに怒鳴り声の似合う俳優さんだとは思わなかった。非常に男臭い。

弟・小泉孝太郎さん。あーもうこの人はね…何をやってもおかしい。どうしてこんなにコミカルなんだろう。去年の大河「八重の桜」での慶喜公も最高でしたが、今回のドラマではたったひとつの笑いどころ。最高に可笑しくて可愛い。すっかりファンになった。

コンビニの店員・前田公輝さん。この人も記憶に残りますね。まだ23歳だそうでこれから楽しみな人かも。ちょっと癖があるのがいい。

叔母・加賀まりこさん。流石、かっこいい。こういうお方がこういう役をやると説得力が違う。いつもいい女。ステキです。

医者・尾美としのりさん。ちょっと不気味な感じがよかった。一見意外な配役だけど現実にいそうな感じがいい。

ちと番外ですが、娘さんのBF役の松井健太さん。まーこの子はなんと顔が綺麗な子だろう…。

さて、最後に青年・堂本剛さん。大変申し訳ないがこのお方の配役だけは全く理解出来なかった。中山さんとのからみにも説得力なし。色気を全く感じない。俳優さんとして上手いのかどうかもよくわからなかった。たぶん演技の方法の好き嫌いだけだと思うんだけど、この役には馴染んでいるようも見えなかった。ほんとによくわからない配役。どうしてこの方が選ばれたのだろう。たぶん外見の感じが若すぎる童顔だからではないかと思う。もちろん個人的な好みの問題なのでどうにもならない。申し訳なし。あいすまぬ。

(おそらく)この主演の二人の組み合わせがしっくりこないために、ドラマにも完全にのめりこむ事が出来なかった。二人の男と女のケミストリーがゼロ。だから運命的な恋に落ちる設定に説得力がなかった。これはドラマとしてかなり致命的。

それでも内容が重いとはいえ、演出は凝っていて非常に丁寧に作られていると思った。毎回、最後の数秒でたねあかしのように無音の映像が流れるのも、趣があって素晴らしい。全体が非常に丁寧。こういうドラマが出来るのならまだまだドラマには期待できる。とても嬉しい。